マジックリアリズム作家イサベル・アジェンデ-家族の思い出、女性、拷問、移民

2008/4/7(Mon)
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30分

☆ 対訳ニュースレターの第1号に取り上げました。この号はサンプルとして、ダウンロードできます。

チリ出身のベストセラー作家イサベル・アジェンデは、個人的なエピソードと架空の事柄を織り交ぜる巧みで人を魅了する物語づくりで国際的に知られています。彼女の小説は十数作を超え、これまでの売り上げは全世界で合計5100万部にも上っています。1982年の小説デビュー作『精霊たちの家』は、激動の政治状況を生きた4世代にわたるチリのある一族を描いたもので、アジェンデ自身の家族をモチーフにしていました。最新作は、家族の思い出をつづったThe Sum of Our Days(『わたしたちの日々すべて』)です。アジェンデ氏をスタジオにお招きしました。

1973年9月11日、チリ大統領府が空爆で炎上しました。民主的な選挙で選ばれた世界初のマルクス主義者国家元首、サルバドール・アジェンデ大統領は混乱の中で落命。反乱軍を率いたピノチェト将軍による、26年余りにわたる軍事独裁がはじまりました。米国の支援の下で、いわゆるシカゴ学派が主導する徹底的な自由主義経済の実験場となったチリでは、経済指標上の「奇跡の成長」の裏で、失業と貧困が急拡大しました。また軍政による過酷な弾圧で、2千人以上が「行方不明」になり、拷問被害者は3万人にのぼります。

イサベル・アジェンデ氏は、アジェンデ大統領の従兄弟を父として生れ、ジャーナリストとしてテレビや雑誌で活躍しましたが、政変後ベネズエラへ亡命。1982年、激動の歴史に翻弄された家族の経験を幻想的な筆致で描く小説第一作『精霊たちの家』が世界的ベストセラーになると、次々にヒットを繰り出し、総販売部数が5千万部を超える人気作家になりました。

番組では、夭逝した長女の思い出を皮切りに、最新刊の回想録『私たちの日々すべて』(The Sum of Our Days: Memoir 邦訳未刊)にいたる自らの人生と創作、チリ初の女性大統領となったバシュレ大統領、貧しい女性への支援活動、移民、世界に拡大する拷問など広範な話題について語ります。 (斉木)

★ ニュースレター第1号(2008.9.10)
★ DVD 2008年度 第1巻 「中南米の潮流」に収録

イサベル・アジェンデ(Isabel Allende)チリ出身のベストセラー作家。 『精霊たちの家』『パウラ、水泡(みなわ)なすもろき命』『エバ・ルーナのお話』(すべて国書刊行会)最新作は16作目にあたる回想録The Sum of Our Days (『私たちの日々すべて』)公式ホームページ www.isabelallende.com

Credits: 

字幕翻訳:斉木裕明 /校正:桜井まり子
全体監修:中野真紀子