ナオミ・クライン 金融救済で暴利をむさぼるのは誰?

11月15-16日ワシントンで開かれた緊急金融サミットには、世界20カ国/地域の首脳が集まり、金融危機や世界不況への対策を話し合いました。先進国が金融市場の十分な監督を怠ったことが、今回の金融危機を引き起こしたという認識が参加国のあいだで共有され、国際金融規制の強化をうたう共同声明が出されました。新興経済諸国の参加により従来のG7の枠を超えた画期的な方針が打ち出されることが期待されていましたが、結果はどうだったのでしょう?(30分)

核拡散防止条約から40年 潮目の変化か

2008年7月は核拡散防止条約(NPT)の誕生から40周年でした。この条約は核兵器の廃絶をめざし、核保有国は自らの核兵器を最終的に廃棄し、その代わりに核を持たない国も核兵器開発の能力を身につけないということを合意した画期的なものでした。40年を経た現在、189カ国が同条約に署名しています。しかし、世界には現在9つの核保有国が存在しています。そのうち米国とロシアはいまも群を抜いて大量の核兵器を保有しています(世界全体の9割)し、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮の4国はNPTに加盟していません。この成果をどう評価するべきか?(7分)

ジョセフ・スティグリッツ「今は救済だ、あとで見直せばいい」

10月1日夜、上院は7千億ドルの救済法案を修正して可決しました。74対25と、両大統領候補を含む、民主、共和両党の賛成多数で承認されました。ノーベル賞を受賞した経済学者 のジョセフ・スティグリッツは、この救済措置に問題はあるものの、今はこれを支持し、11月の大統領選の後に問題点を見直すべきだと語ります。(20分)

1933年ルーズベルト就任演説「他人の金による投機に終止符を」

金融危機
1933年3月にフランクリン・ルーズベルトが大統領に就任したときには、1929年の株価大暴落を受け、すでに銀行1万行以上が倒産していました。米国の4人に1人が失業しており、人々は残飯をめぐって争うほどでした。 そんな中で「資本主義の修正」を掲げ圧倒的支持を受けて当選した新大統領は、「恐れることは何もない、私たちの恐れそのものが危険なのだ」と述べて国民を安心させ、現在の危機の原因をわかりやすく説明しました。その後の100日間で次々と大胆な改革を断行し、米国を破滅の淵から救い出しました。(14分)

辞任したNY初の公立アラビア語学校の校長 マッカーシズムの再来に抗議

バラク・オバマの当選は米国の人種対立の歴史に画期的な意義を持つ大きな出来事でした。その重大きさは計り知れませんが、その一方でいまだに野放しにされているもう1つの人種差別があります。公然とした黒人差別がタブーとなった今、米国で唯一おおっぴらに許されているのが反アラブ、反イスラムの風潮です。ニューヨーク初のアラビア語教育を行う公立学校ハリール・ジブラーン国際学園が2007年秋に開校する直前に、メディアの集中攻撃を浴びて辞任に追い込まれたデビ・アルモンタサー元校長の訴えを聞いてみましょう。(28分)

アルジャジーラが共和党候補を誘拐?

中東カタールのドーハに本部を置くアルジャジーラ・イングリッシュは、2006年に始まった24時間の国際ニュース放送です。英語の国際放送ではBBCやCNNに並ぶ最大級のもののひとつですが、米国での普及はすすまず、いまだにバーモント州バーリントン、オハイオ州トレド、ワシントンDCの3都市でしか見られません。 今年の選挙でもイスラムやアラビア語への偏見をあおるようなキャンペーンが目につきましたが、そういうエピソードの1つ、アルジャジーラが槍玉に挙げられた事件を紹介します。共和党から下院に立候補したイラク復員軍人アラン・ウェスト元陸軍中尉が、アルジャジーラのスタッフに誘拐されそうだとFBIに通報しました。(5分)

パレスチナの詩人マフムード・ダルウィーシュ死去

パレスチナを代表する詩人、マフムード・ダルウィーシュが8月に亡くなりました。持病の心臓病の悪化のため米国で手術を受け、そのまま帰らぬ人となりました。遺体はパレスチナのラマラに運ばれ、ヤセル・アラファートに次ぐパレスチナで2人目の国葬が執り行われました。彼の死を悼み、パレスチナでは3日間の喪服期間が宣言されました。一介の詩人が、これほどまでに人々に敬愛され惜しまれるのはなぜなのでしょう? 「敗北したトロイの語り部になろうと決意した」というダルウィーシュが、パレスチナやアラブ世界全体にとってどんな存在意義を持ったのか話し合います。(28分)

ガザ解放船がキプロスを出航 イスラエルの封鎖を破れ!

漁船を改造した2隻の船が今日キプロスを出ました。目的地はガザです。イスラエルの封鎖に抗議し、ガザ解放を世界に訴えるため、17カ国から集まった40人以上の人々が乗り込んでいます。イスラエルは、ガザからは撤退したといいながら、国際赤十字や人道団体援助の立ち入りさえ許さない非人道的な封鎖をつづけているからです。イスラエルは彼等を海賊とよび、ガザに近づけば実力で阻止すると宣言しました。リバティ号とフリーガザ号の船上から3人の活動家の話を聞きました。(11分)

『あなたは大統領になれない』 米国民主主義の驚くべき障壁

選挙
米国人の多くは、「よき市民は誰でもいつか統領になる可能性がある、民主主義を守るのは国民の義務だ」と教えられて育ちます。ほんとうでしょうか?ハーパーズ誌の発行人リック・マッカーサーは、そんな考えは、サンタクロースの実在を信じるようなものだと一蹴します。それどころか「この国には民衆からわき起こり、広く浸透した真の大衆民主主義が存在する」という国民的な妄想を補強する、きわめて有害な一般通念だと辛らつです。そのような理想の象徴とされるオバマ次期大統領(番組放送時点では候補者)を取り上げ、彼が民主党の大統領候補にのしあがった経緯が、いかに「草の根」とは無縁なものであるかを説明します。コロラド州デンバーで民主党大会が開幕するのに合わせ、リック・マッカーサーに新著『あなたは大統領になれない』について話を聞きました。(33分)

大統領候補者討論会に議論がない理由

米国大統領選挙のクライマックスは、主要候補者が公開の場で意見を戦わす公開討論会です。その歴史は案外新しく、一般向けに公開放送されるようになったのは1960年のケネディ対ニクソンの対決からです。しかし討論に参加するのはたいていの場合、民主党と共和党の候補であり、第3勢力の候補が招かれることはまれです。討論会に招かれるのは誰なのか、どのような話題が話されるのかを決めているのは、いったい誰なのでしょう?大統領候補の討論会をモニターする非営利団体「オープンディベート」のジョー ジ・ファラー氏に話を聞きます。2008年大統領選挙においては、民主党オバマ陣営と共和党マケイン陣営が密かに談合し、すべての公開討論の内容について細かな取り決めを行っていたと告発します。(13分)

「聴くことは愛すること」普通の人の語りを記録する社会史プロジェクト

アーカイブ
録音テープから、さまざまな年齢の人々、市民や移民の語りが聞こえてきます。祖母が子供のころの思い出を孫に語り、若い男性がガールフレンドにプロポーズし、兵士が戦争の体験を語り、父親が亡き家族の一員を思い返す・・・ごく普通の人々の会話に耳を傾ければ、彼らの人生にも驚くほど面白い逸話、知恵やポエジーがつまっているのがわかります。現在、こういった語りが何千と録音され、永久に保管されています。このすばらしいプロジェクトを思いついたのは、数々の賞を受賞しているラジオ作家デーブ・アイセイです。彼は2003年、オラール・ヒストリー(口述史)による全米規模の社会史記録プロジェクト「物語隊」(ストーリー・コー)を立ち上げました。全米各地に設けられた「物語隊」のブースに立ち寄った人々の会話の記録は、米国議会図書館に寄贈され、オーラルヒストリー資料として最大規模のものになりつつあります。(46分)

食糧暴動で揺らぐムバラク体制下のエジプト

ムバラク政権の長期支配が続くエジプトで、事実上の最大野党はムスリム兄弟団ですが、同国は特定の階級や宗教に基づく政治集団を禁じているため、非合法集団とされています。ことし4月15日にムスリム同胞団のメンバー25人が、軍事法廷による実刑判決で収監されました。弾圧強化の背景には、息子に政権を譲るため政敵を極力排除したいムバラク大統領の意図が働いているようです。裏を返せば、長期の独裁政治に不満が鬱積して爆発寸前になっているのです。ここ数年反ムバラクのキファーヤ(もうたくさん)運動が高まってきました。ここへきて食糧危機がそれに重なり、社会不安が高まっています。カリフォルニア大学で客員教授をつとめるエジプト人ジャーナリストのホッサム・ハマラーウィに、ブログを中心とするエジプトの新しい民主化の動きについて話を聞きます。(12分)

環境団体がG8首脳を非難 地球温暖化への取り組みが後退

7月に北海道で行われた洞爺湖サミットでは、主要8カ国の首脳たちは、世界全体の温室効果ガスの排出量を、少なくとも2050 年までに半減させる長期目標に合意しました。米国政府はこの宣言を大きな進歩として高く評価しましたが、環境活動家たちは中期的な数値目標が欠如していると批判しています。 地球温暖化は、食料および燃料価格の急騰など、他の世界的な大問題に密接に結び付いています。世界の重大なものごとを少数の国だけで決める非民主的なG8のシステムに反対して、北海道には世界各地から活動家たちが集まり、対抗アクションをとりました。何億ものお金をつぎ込んだ贅沢な会場の外で、反対の声を上げる人々に取材しました。北海道にきていた反グローバル家の代表的な論客ウォールデン・ベロー氏に、現地でお話を聞きました。(12分)

ペンタゴンの御用「軍事専門家」 国防省のプロパガンダ策を検証

ニューヨークタイムズ紙は、米国防総省がイラク戦争開戦前、イラクを差し迫った脅威として描き出すために、いわゆる軍事アナリストとしてテレビ出演させる目的で75人以上の元米軍仕官を雇ったことを明らかにしました。国防総省は、ブッシュ政権の戦時演出に有利なニュース報道を生み出す宣伝攻勢のために、こうしたアナリストたちを使い続けていると同紙は報じています。元空軍大佐のサム・ガーディナーと、フェアネス・アンド・アキュレシー・イン・レポーティング(報道の公正と正確さを追求する会)のピーター・ハートから話を聞きます。(25分)

新聞に未来はあるか?人員削減、部数縮小、広告減少の負のスパイラル

リストラの嵐が吹き荒れる米国の新聞業界。何千人ものジャーナリストが職を失い、新聞社の株価は急落、発行部数も激減しています。10月末にはついに老舗の一流紙クリスチャン・サイエンス・モニターが、紙媒体を捨ててネット展開だけにすると宣言しました新聞というメディアは、ついに終わりを迎えるのでしょうか?新聞の未来をめぐるディスカッションをお聞きください。(30分)

米国労働者の冬の時代

労働運動
ニューヨーク・タイムズ紙の労働記者スティーブン・グリーンハウスは、新著Big Squeeze(『きつい締め付け』)の中で、米国人は労働時間が延びる一方、収入は減少し、年金や医療保険は貧弱になり、雇用の安定は失われたと、雇用環境の悪化を検証しています。米国の労働システムの不平等と破綻、将来の変革の可能性について話を聞きます。(16分)

カーライル・グループ 民間軍事諜報企業ブーズ・アレン・ハミルトン買収へ

カーライル・グループは未上場企業投資を専門に行う世界でも最大級の投資ファンドです。 一方、最もなぞに満ちたファンドでもあり、数々の政治家との深い関係から「元大統領のクラブ」と呼ばれていました。近年同社の取引に厳しい目が向けられてから、軍事契約数や問題の多い政治家との関係を減らす傾向にありました。しかしそのコースは変更されたと見え、今年5月には諜報コンサルティング企業であるブーズ・アレン・ハミルトン(以下ブーズ・アレン社)がその政府関連部門をカーライル・グループに売却すると発表しました(その買収は事実上7月に完了しました)。ブーズ・アレン社は民間の軍事諜報企業の大手であり、現在米国で進行中の「政府の諜報活動の民営化」の一端を担う企業で、米国の諜報活動において戦略的に重要な役割を負っています。(30分)

パトリック・コウバーンが語る 米軍地位協定をめぐる対立

大統領選挙一色に染まった米国のメディアでは、イラクはもうニュースの片隅に追いやられています。新しい展開はなく、相変わらず状況は悪いままだと。しかし、その陰で国の将来を決する重要な協定が米国との間で交わされようとしています。米軍の無期限駐留を受け入れて米国に従属国家になるのか、主権を回復するのかの瀬戸際なのです。このニュースを暴いたロンドンのインディペンデント紙記者パトリック・コウバーン氏に話を聞きます。(14分)

ナオミ・クライン 火事場泥棒の資本主義を検証 "ショックドクトリン"応用編ー前半

2008年7月ブッシュ大統領は、環境保護のため米国近海の大陸棚での石油・天然ガス採掘を禁止してきた1981年の法律を、解除するよう議会に強く要請しました。エネルギー資源の対外依存を引き下げ、ガソリン価格の低下をもたらすためと説明しています。果してそうでしょうか? ゲストのナオミ・クラインは、2007年に発表した『ショックドクトリン 惨事活用資本主義』の中で、社会が大きな危機に見舞われたとき民衆がまどわされ、目の前にある救済策に飛びつくのを利用して、本来なら容易に受け入れられない企業寄りの政策を強行するネオリベ政府の手口を論じています。今回の石油価格高騰を受けたブッシュ政権の対応も、まさしくこの火事場泥棒の手口に他ならず、本当の問題解決にはならないけれど、石油企業は念願の海底掘削権を手に入れるのだと論じます。(36分)

チョムスキー・ジン異例の共同インタビュー 市民的不服従の勧め

ボストン発のデモクラシー・ナウ!の特別配信の第二弾です。アメリカ独立戦争が始まったレキシントンの戦いを記念して、マサチューセッツ州では4月16日が「愛国記念日」という祝日です。この日、ボストンに住む反戦運動の大御所ノーム・チョムスキーとハワード・ジンが、ふたりそろってインタビューに応じるという豪華な企画が実現しました。2日目(17日)の放送では、大学における言論弾圧の問題から発展して、国家が誤っているときには、その命令に従わない権利があるという「市民的不服従」の考え方をいま一度、心にたたむべきだとハワード・ジンが強く勧めます。(16分)
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