初のアフリカ系副大統領が登場したコロンビアでアフリカ系の抵抗の歴史と感性を描く音楽映画企画がスタート

2022/7/26(Tue)

コロンビアでは、2022年6月の選挙で元左派ゲリラのグスタボ・ペドロが当選し、何世紀も続いてきた右派の保守的政治に終止符がうたれました。副大統領になるのはアフリカ系コロンビア人の著名な環境活動家フランシア・マルケスです。彼女は南西部ラトーマ地区で多国籍企業による違法な金採掘から先祖代々の土地を守るために立ち上がり、女性たちを率いて命がけで闘い、2018年にゴールドマン環境賞を受賞しています。これまで左派の政治家や環境活動家が次々と抹殺されてきた国では、画期的な事件です。彼らに投票したのは、アフリカ系や先住民系、地方の貧農などコロンビア社会の底辺で見捨てられてきた人々です。コロンビアの伝統音楽と自然の結びつき、底辺の人々の抵抗の歴史を、新作の音楽映像プロジェクトを通じて考察します。(20分)

豪州のグリーンスライド 気候災害の波が緑の党&労働党を押し上げ石炭推進政権を倒す

2022/5/23(Mon)

オーストラリアでは2022年5月21日に行われた総選挙で労働党が過半数の議席を獲得し、10年近く続いた保守派政権に終止符が打たれました。主な争点は気候変動でした。新首相に選ばれたのは、中道左派の労働党のアンソニー・アルバニージ党首。2018年から首相を務め石炭産業を推進してきた右派のスコット・モリソン自由党党首は敗退しました。有権者の支持は圧倒的に気候対策強化を訴える候補者に集まり、労働党が議会の最大勢力となりました。(10分)

スティグリッツ「米国の金利政策が世界的な経済危機を悪化させる」(前半10分)

2023/3/7(Tue)

米国では50年にわたり妊娠中絶は憲法で保障された権利であるとされてきましたが、その根拠となる1973年の「ロー対ウェイド裁判」の判例が、保守派判事が多数を占める連邦最高裁の判決で覆されてしまいました。2022年6月24日の「ドブス対ジャクソン女性健康機構裁判」の判決です。これにより州法によって安全な中絶を受ける権利を制限することが可能になり、12の州では中絶医療が全面的に禁止されました。望まない妊娠をしている人々は中絶手段を求めて金銭的にも健康的にも大きなリスクを負うことになり、特に貧困層への打撃は大きなものです。
憂鬱な事態ですが、その一方で希望も膨らんでいます。判決に反発して中絶の権利を守り抜こうとする動きが各地で盛り上がっているのです。(9分)

ジェフリー・サックス:米国の「危険な」政策と「西側の偽りの説明」がロシアや中国との緊張を煽る(前半)

2022/8/30(Tue)

コロンビア大学の経済学者ジェフリー・サックス教授と、欧米の覇権主義について話します。和平交渉を妨害してウクライナに軍事支援を続けるNATOの政策が今日の世界に核戦争の危機をもたらしています。おまけに米国は中国に対してもわざわざ対立を煽るような威圧的な戦略を取っています。外交手段よりも軍事対応を優先する西側(G7とEU)の振る舞いは、愚かで非常に危険です。なぜそうなってしまったのか?(13分)

シリコンバレーの光と影 マルコム・ハリスが新刊『パロアルト:カリフォルニアと資本主義と世界の歴史』を語る

2023/2/27(Mon)

話題の新刊書 ”Palo Alto: A History of California, Capitalism, and the World”(仮訳『パロアルト:カリフォルニアと資本主義と世界の歴史』)について、著者のマルコム・ハリス氏に話を聞いています。彼の故郷であるパロアルトは、シリコンバレーの中心に位置し、多数のテック系億万長者を輩出しました。独自の資本主義ブランドを世界中に送り出し、資本主義経済を新たな段階に導いた土地ですが、これまで影の部分はあまり語られてきませんでした。(12分)

「ロー対ウェイド」判決が覆されて半年 米国の「中絶の権利」の現在地(前半)

2023/1/18(Wed)

米国では50年にわたり妊娠中絶は憲法で保障された権利であるとされてきましたが、その根拠となる1973年の「ロー対ウェイド裁判」の判例が、保守派判事が多数を占める連邦最高裁の判決で覆されてしまいました。2022年6月24日の「ドブス対ジャクソン女性健康機構裁判」の判決です。これにより州法によって安全な中絶を受ける権利を制限することが可能になり、12の州では中絶医療が全面的に禁止されました。望まない妊娠をしている人々は中絶手段を求めて金銭的にも健康的にも大きなリスクを負うことになり、特に貧困層への打撃は大きなものです。
憂鬱な事態ですが、その一方で希望も膨らんでいます。判決に反発して中絶の権利を守り抜こうとする動きが各地で盛り上がっているのです。(9分)

「すべての始まり」デビッド・ウェングローと故デビッド・グレーバーの共著は新しい人類の歴史を語る

2021/11/18(Thu)

負債論やオキュパイ運動の理論的支柱として有名な人類学者デビッド・グレーバーは、昨年急逝する直前に一冊の本を遺しました。考古学者デビッド・ウェングローとの共著The Dawn of Everything: A New History of Humanity(仮訳『すべての始まり ~新しい人類史』)です。この本は、「西洋思想」の根幹と考えられている民主主義や平等の観念が、じつは北米先住民の文化に大きく影響されていたことを、ヨーロッパからの植民者と現地の人々との遭遇にさかのぼって検証しています。(10分)

言論の自由を審判:インターネットの未来が変容しかねない最高裁審問

2023/2/27(Mon)

連邦最高裁で係争中の2つの裁判が、インターネットの未来を大きく変えてしまうかもしれません。両裁判とも、争点は1996年制定の通信品位法第230条です。この条項により、ウエブ・サービスを提供する企業は、ユーザーが投稿したコンテンツの内容に起因する法的な責任から免責されています。肯定的に評価する人々は、この規定がオンライン上の言論の自由を育んできたと主張します。しかし一方では、この免責によって、オンライン・プラットフォームを提供するテック企業が有害なコンテンツの拡散に関する説明責任を免れているという批判もあります。(11分)

クリス・ヘッジズ獄中のWikiLeaks創設者ジュリアン・アサンジの結婚式を語る 「ロンドンの獄中で彼は壊れていく」

2022/4/1(Fri)

学生字幕翻訳コンテスト2022 課題6「ジャーナリスト迫害」の受賞作品です。
ロンドンのベルマーシュ刑務所に収監中のウィキリークス創設者ジュリアン・アサンジは、長年の伴侶ステラ・モリスと獄中で結婚式を挙げました。米国から出席したジャーナリストのクリス・ヘッジズは、アサンジが獄中で肉体的にも心理的にも「壊れつつある」と語っています。

ウクライナは停戦へ NATOの東欧拡大は核戦争の脅威を高める

2014/9/5(Fri)

9月5日、ウクライナ政府は親ロシア分離派との停戦協定を交わしました。ウクライナ東部では6カ月にわたる戦闘で少なくとも2600人が死亡し、100万を超える人々が難民となりました。一方、欧米首脳は英国のウェールズでNATOサミットを開催中でした。数日前からウクライナの戦局は大きく反転し、分離派の反撃攻勢で政府軍は敗走し、唯一南部の要衝マリウポリのみを死守しています。NATOは危機に対応するため「即応部隊」の設置を決定しました。(17分)

「アメリカの叛乱」 1.06議会襲撃事件を経て過激な右翼運動は少数派から主流派へ(前半)

2022/1/5(Wed)
https://www.democracynow.org/2022/1/5/american_insurrection_jan_6_frontline_documentary

2022学生字幕翻訳コンテストの課題4:「連邦議事堂の襲撃」の前半部分です。コンテスト課題は、この後に続く部分になります。

【2022/01/05/1】2021年1月6日、トランプ支持の極右白人至上主義者が数千人の暴徒となって連邦議事堂に押し寄せ、大統領選挙の結果の議会承認を妨害して5人の死者と数百人の負傷者を出しました。事件から一年が経ち、この運動は今どのような状況にあるのでしょうか。PBSのドキュメンタリー番組『フロントライン』(Frontline)が、非営利報道機関『プロパブリカ』(ProPublica)やカリフォルニア大学バークレー校の調査報道プログラムとの共同調査をもとに制作した調査報道ドキュメンタリーAmerican Insurrection(『アメリカの叛乱』)の最新版を見て検証します。(16分)

ビエト・タン・ウェン アジア系ヘイトの根源を語る:米国の植民地主義から中国脅威論まで

2021/3/22(Mon)

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題6:「人種偏見と政治」の受賞作です。前半は参考動画、後半が受賞作です

アトランタの連続銃撃事件を受けて、アジア系アジア系アメリカ人を狙ったヘイトクライムに抗議する動きが続いています。銃を持った白人男性がアジア系所有のマッサージ店3店を次々と襲撃し、アジア系女性6人を含む8人を殺害しました。アトランタの州都ジョージアの州議事堂の周囲をはじめ米国各地の街頭で何百人もの人々が集まり、アジア系に対する人種差別をやめるよう訴え、8人の犠牲者を追悼しました。米国のアジア系に対する憎悪は「ちっとも目新しいものではありません。米国でのアジア系に対する暴力の歴史はアジア系移民の流入までさかのぼります」と、ビエト・タン・ウエンは言います。彼はピュリツアー賞を受賞したベトナム系米国人作家です。彼は、中国を敵視する弁舌が共和党と民主党の両方の指導者の口から流れていることの危険性を語り、それが世間的なアジア系米国人に対する猜疑心につながっていると指摘します。(18分)

チリの国民投票はピノチェト時代の憲法の改正を圧倒的に支持

2020/10/28(Wed)

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題5:「中南米とアメリカ」の受賞作です。

2020年10月、チリで国民投票が行われ、ピノチェト独裁政権時代の憲法の廃止と新憲法の起草を圧倒的多数の国民が支持しました。これを祝って、数万人が街頭に繰り出しました。前年の2019年に社会経済的格差に対する大規模な抗議行動が国を揺るがした結果、根本的な社会改革への道に踏み出して、ちょうど一年となります。チリ最大のフェミニスト団体コルディナドラ・フェミニスタ8M(Coordinadora Feminista 8M)の広報担当ハビエラ・マンツィは、この国民投票は、政治家たちが何十年にわたり対応を怠ってきたことを、国民が実現させたものだ、と言います。(15分)

デブ・ハーランドの内務長官指名は先住民系米国人にとって「重要な一歩」

2020/12/18(Fri)

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題4:「マイノリティの政治進出」の受賞作です。

2020年12月、ジョー・バイデン次期大統領が、ニューメキシコ州の下院議員デブ・ハーランドを内務長官に指名しました。議会が承認した場合、ハーランド議員は先住民系米国人としては初めて閣僚の地位に就くことになります。ハーランドの指名は進歩派や120人以上の部族指導者たちが後押ししているもので、彼らは前の月にバイデン議員に手紙を送り、彼女を内務長官に選ぶよう促していました。「これは次期バイデン政権にとって非常に重要な一歩でした」と、オナー・ジ・アース(Honor the Earth)の事務局長ウィノナ・ラデュークは言います。彼女は農村地帯開発経済学者で、ネイティブ・アメリカン活動家です。「インディアンの人々こそが、この土地を管理する方法を知っています」。(7分)

『仕事は報いてはくれない』

2021/2/17(Wed)

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題3:「ギグエコノミー」の受賞作です。

新型コロナ感染症の拡大による経済危機で、何百万人ものエッセンシャルワーカーが、低賃金で不安定な労働条件の悪影響をもろに受けています。労働と経済的正義をテーマとするジャーナリストのサラ・ジャフィに、彼女の新著Work Won’t Love You Back:How Devotion to Our Jobs Keeps Us Exploited, Exhausted, and Alone(『仕事は報いてはくれない~~どれほど尽くしても、仕事は、私たちを搾り取り、疲れ果てさせ、孤独にする』)について話を聞きます。(9分)

ベゾスが退任してもアマゾンの「略奪的ビジネスモデル」は続く

2021/2/3(Wed)

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題2:「巨大テック企業の脅威」の受賞作です。

アマゾン創業者ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)氏が最高経営責任者(CEO)を退任すると発表しました。彼の下でアマゾンは、オンライン書籍販売の単一事業から多岐の事業にまたがる巨大なビジネス帝国にのし上がりました。しかし常識破りの急成長の裏には、略奪的なビジネスモデルがあります。民主主義を脅かすほどに富と力を集中させた巨大テック企業への懸念が高まり、議会で追及されたことが今回の退任発表につながったようですが、果たしてベゾスの退任でアマゾンは変わるのでしょうか?(8分)

100カ国以上がWTOに求めるワクチン特許の適用免除を米国が阻む理由は?

2021/2/25(Thu)

2021学生字幕翻訳コンテスト  課題1:「知的財産権と人命」の受賞作です。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために、ワクチン接種の重要性が叫ばれています。しかし、WTO(世界貿易機関)が加盟国に課す知的財産権保護の規定によって、大手製薬会社は新型コロナワクチンの生産や流通を独占しています。その結果、ワクチンが一部の豊かな国に集中し、貧しい国ではワクチン接種の見通しが立たないという不平等が生じています。この状況を変えるために、南アフリカとインドを中心に、WTOの知的財産権保護規定の一時的免除(waive)を求める提案がなされました(ウェイバー提案)。製薬会社に一時的に知的財産権(ここでは特許権)を放棄させ、各国が自由にワクチンを製造できるようにするというものです。南アフリカWTO国連代表部のガマ氏と、シャコウスキー議員に話を聞きました。(11分)

東京五輪開幕 コロナと酷暑で矛盾が煮詰まる利権の祭典

2021/7/23(Fri)

ついに始まってしまった東京オリンピック。テレビはメダル報道一色ですが、コロナ感染の激増と医療現場はひっ迫は隠しようがなく、IOCからは「パラレルワールド」発言も飛び出す始末。7月23日の開会式にぶつけた放送では、現地の抗議行動の様子と国内の反感を伝えると共に、それをねじ伏せて開催を強行する五輪システムそのものの問題を論じています。(25分)

東京五輪おことわり! 国内感染者急増で中止の声が拡大もIOCは耳を貸さず 儲けるのは誰?

2021/5/27(Thu)

日本では新型コロナ第4派で国内感染者数が急増しており、オリンピック主催団体に開催中止を求める声が強まっています。すでに一年先送りされた大会は、今年7月23日から始まる予定です。しかし日本のワクチン接種率はまだ3%以下にとどまり、先進国では最低レベルです。元五輪サッカー選手のジュールズ・ボイコフ教授は、国際オリンピック委員会(IOC)とホスト国との間で交わされる開催都市契約書が「極端に片務的」な内容であり、中止を判断する最終的な権限はIOCのみにあることを指摘します。(20分)

シアトルの戦いから20年:バンダナ・シバとロリ・ウォラックがWTO抗議運動を語る(前半)

2019/11/27(Wed)

2020学生字幕翻訳コンテスト  課題6:「グローバル貿易協定への抗議」の受賞作です。

1999年11月30日、世界中から数万人の市民活動家がシアトルに結集し、世界貿易機関(WTO)の閣僚会議を中止させました。WTOで交渉されるグローバルな貿易協定は、非民主的で、世界中の労働者の権利や環境や先住民に害を与えていると多数の人々が考えるようになったのです。会場となったシアトル・コンベンションセンターを抗議者たちが人間の鎖で囲み、中心街を占拠しました。警官隊は、大半が平和的に抗議していた群衆に、催涙ガスとゴム弾を発砲しました。抗議行動は5日間続き、600人が逮捕されましたが、WTO協議はとん挫し、シアトル警察署長は辞任しました。WTO批判の先頭に立つ2人の重要人物、インドの物理学者で活動家のバンダナ・シバとNPO団体パブリック・シチズンのロリ・ウォラックに、20年後に話を聞きました。(10分)

フランシスコ教皇が日本で核兵器の廃止を要求 米国ではカトリック反核運動家が収監に直面

2019/11/25(Mon)

2020学生字幕翻訳コンテスト  課題5:「ラディカルな核廃絶」の受賞作です。 広島と長崎を訪問したフランシスコ教皇は、カトリック教会の最高指導者として被爆者と対面し、核兵器の保有は人道に反すると宣言しました。折しも米国では、カトリックの平和活動家7人が量刑判決を待っています。2018年4月4日に米国政府を平和に反する罪で告発する訴状を持ってキングスベイ海軍潜水艦基地へ侵入した「プラウシェアズの7人」です。同基地には少なくとも6隻の核弾道ミサイル潜水艦があり、各々が20個のトライデント熱核兵器を搭載しています。カトリックの反核運動について「プラウシェアズの7人」の1人、マーサ・ヘネシーに聞きます。

世界で一番幸せな場所? ディズニーの遺産相続人がディズニーランドの労働者酷使について批判

2019/7/17(Wed)

2020学生字幕翻訳コンテスト  課題4:「労働格差」の受賞作です。 ディズニー社の創業者一族の相続人アビゲイル・ディズニーが同社の不労働慣行や賃金について批判。カルフォルニアのディズニーランドで働く職員たちから話を聞き、労働環境について調査しました。彼女は以前、同社のCEOボブ・アイガーの途方もない巨額報酬と、同社の労働者の給与とのすさまじい格差について批判したことがあります。子供たちに夢を売るディズニーランドも、一皮めくれば劣悪な条件の労働者の犠牲の上に巨額の利益をあげる米国の大企業の典型です。(6分)

ベネズエラ外相:米国はラテンアメリカの政治に絶えず介入している

2019/1/25(Fri)

2020学生字幕翻訳コンテスト  課題3:「ラテンアメリカと米国」の受賞作です。 石油資源の豊富なベネズエラを標的とする米国の策謀は、先代のウゴ・チャベス大統領が1999年に就任して以来、20年にわたって続いてきました。後継のマドゥロ大統領を引きずりおろそうとする国内反対派の動きが2019年のはじめから活発になっていますが、ニューヨークタイムズ紙によれば、2018年9月にトランプ政権がベネズエラ軍の将校の一部と秘密会合を持ち、政権転覆について話し合っていた模様です。ベネズエラ外相ホルヘ・アレアサへのインタビューです。(8分)

気候変動が感染症の流行を 起こりやすくしている

2020/2/27(Thu)

科学専門の調査報道記者ソニア・シャーは、気候変動が原因でコロナのような感染症の流行が起こりやすくなっていると指摘します。気候変動で野生動物の生息地が破壊され、彼らの移動パターンが変化してヒトとの距離が今までにないほど接近したため、新たな病原体の発生可能性が高まっているのです。(8分)

アルンダティ・ロイ:資本主義は気候危機と不平等の解決を阻む「宗教の一種」)

2019/5/13(Mon)

2020学生字幕翻訳コンテスト  課題1:「気候危機と資本主義」の受賞作です。 100万種もの生物が絶滅に向かい、地球温暖化による危機もますます深刻化しています。地球上の生命の未来に資本主義が及ぼす脅威について、著名なインドの作家アルンダティ・ロイが語ります。(6分)

『地球が燃えている』ナオミ・クライン(4)極右白人至上主義の台頭は気候危機と関連

2019/9/17(Tue)

ナオミ・クラインが新著『地球が燃えている~気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』の発売当日に、デモクラシー・ナウで語りました。日本でも先月(2020年11月)に翻訳版が出たので紹介します。 パート(4)はエコファシズムです。2019年3月15日、最初の世界的な学校ストが実施されたのと同じ日に、ニュージーランドのクライストチャーチで自称「エコファシスト」の白人男性がモスクを襲撃し100人近くを殺傷しました。温暖化懐疑論は未曾有の自然災害の前に影が薄くなりましたが、今度は温暖化の事実を認識したうえで、それに対する防衛手段としての白人至上主義のテロが世界各地で台頭しているのです。彼らが恐れるのは、途上国に対する「気候債務」です。気候変動が事実なら、その原因を作った先進国は富を途上国に再分配しなければならないからです。だから災害で故郷を奪われた気候難民が激増することを見越して、国境から締め出し、自分たちの富を守ろうとしています。その根源にあるのは、自分たちだけが自然を無制限に搾取する権利を持つという考え、キリスト教の人間中心主義と植民地支配がつくりあげた、白人キリスト教徒が世界の頂点に君臨し、他の「劣った」人間たちは隷属させ、生き物も地球もすべて自分たちを養うために存在するという思想です。これを打破して、人類全体が運命共同体であると認め、力を合わせて危機に対処する方向に向かうことができるかどうかが、いま問われているとクラインは指摘します。(11分)

『地球が燃えている』ナオミ・クライン(3)グレタ・トゥーンベリの特異な能力

2019/9/17(Tue)

ナオミ・クラインが新著『地球が燃えている~気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』の発売当日に、デモクラシー・ナウで語りました。日本でも先月(2020年11月)に翻訳版が出たので紹介します。 パート3は、グレタ・トゥーンベリについて。気候対策を求める運動に大きな弾みをつけた学校ストライキ「未来のための金曜日」を始めたスウェーデンの少女です。この運動は瞬く間に世界中の子供たちに広がり、2019年3月15日には世界130か国で160万人もが参加しました。自分たちの未来を消さないでほしいと訴える子供たちの声は、親たちの心に強く響きました。この運動をたった一人で始めたグレタには、ほかの子供たちにはない特別の才能が備わっていました。それは、自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)です。物事を白と黒にきっぱり分けて見てしまい社交的なかかわりは苦手となる独特な脳神経の働き方が、こと気候変動に関しては正しく危機をとらえる超能力となったのです。(13分)

『地球が燃えている』 ナオミ・クライン(2) グリーン・ニューディールの提言

2019/9/17(Tue)

ナオミ・クラインが新著『地球が燃えている~気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』の発売当日に、デモクラシー・ナウで語りました。日本でも先月(2020年11月)に翻訳版が出たので紹介します。 パート2は、グリーン・ニューディール(GND)の提言について。GNDは今や誰もが口にする流行語のようになりました。推進派も反対派も含めて、いろんな立場の人々がそれぞれのGNDを語っています。ではラインの主張するGNDはどんなものなのでしょうか?  それは地球の危機に見合うような規模の大転換を迅速に行うアプローチです。ただし、単なるエネルギー転換とCO2の大削減だけではなく、それと並行して現在の社会経済全体のゆがみを是正し、より公正なものにする方策を同時に行います。そのためには賢明な政治リーダーに任せるだけではなく、グラスルーツの運動による強力なプッシュが必要です。それによって現行の経済システムで搾取され虐げられてきた地域や人々に対する賠償と回復の手助けをするものでなければいけません。(11分)

『地球が燃えている』ナオミ・クライン(1)「トランプ・ストローの中身は?」 

2019/9/17(Tue)

(9分)ナオミ・クラインが新著『地球が燃えている~気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』の発売当日に、デモクラシー・ナウで語りました。日本でも先月(2020年11月)に翻訳版が出たので紹介します。パート1は、オンラインサイト「インターセプト」で公開された、新著のプロモーション・ビデオです。新著の大きなテーマのひとつは、「どうして私たちは気候危機をいつまでも直視できないのか?」 焼却処分できないプラスチック・ストローに代えて環境に優しい紙製のストローの使用が広まっていますが、そんなのは欺瞞だと反発するトランプ陣営はロゴ入りストローを発表して大当たりをとりました。このトランプ・ストローが示唆するのは、有効な温暖化対策に踏み出すことを阻んでいるアメリカ人特有のメンタリティです。気候対策はやるつもりだけれど、それは現在のライフスタイルを変えないという条件付き。リベラル派の大統領候補も、こぞってチーズバーガーは死守するぞと表明します。その裏にあるのは、経済成長と消費拡大に限界があることを頑として認めない、建国以来の無限の成長神話です。(9分)

『RBG 最強の85歳』ルース・ベーダー・ギンズバーグ最高裁判事の生涯を追う注目の記録映画

2018/12/27(Thu)

ルース・ベーダ―・ギンズバーグ最高裁判事はリベラル派のシンボルです。ラッパーの故ノートリアスB.I.G.(悪名高いビッグ)にちなんで、「ノートリアスR.B.G.」と呼ばれています。彼女が2018年末に入院したとき、過激な激励のツイートがあふれました。「RBGに私の肋骨をあげる。腎臓も肺もあげる。必要なら何でも。夫だって木曜なら貸すわ」。「私の肺をRBGにあげる。両方でもいいわ」。支持者がこんなに必死なのは、RGBが長生きすることが最高裁のバランス維持のため絶対に必要だと多くのリベラルが感じているからです。トランプ政権は就任当初から裁判所の右傾化をねらって、すごい勢いで保守派の裁判官を任命し続けています。総本山の最高裁の定数9人の判事のうち、すでに2人が保守派に置き換えられています。RBGの後任に保守派の判事が任命されれば、最高裁のバランスは決定的に変わってしまいます。(24分)

デュポンとの闘い 化学大手がテフロンのフッ素化合物の世界的な健康リスクを隠蔽(後半)

2018/1/23(Tue)

2020年4月10日、沖縄県の米軍普天間飛行場から有害な有機フッ素化合物PFOSを含む泡消火剤が基地の外に大量に漏れ、11日には宜野湾市の宇地泊川や付近の住宅街に風に乗って泡が広がる事件がありました。改めてフッ素化合物の危険性と行政の対処が問われる事態です。これに関連する2018年の動画を前半と後半に分けて掲載します。2018年のサンダンス映画祭で初公開された記録映画『既知の悪魔』は、テフロン加工に使用される有機フッ素化合物C8(PFOS/PFOA)の有毒性と水質汚染の広がりを解明するため、製造元のデュポン社を相手取って住民が集団訴訟を起こし、被害を賠償させるとともに、国内での製造と使用の段階的終了を約束させたいきさつを描いています。(後半16分)

デュポンとの闘い 化学大手がテフロンのフッ素化合物の世界的な健康リスクを隠蔽(前半)

2018/1/23(Tue)

2020年4月10日、沖縄県の米軍普天間飛行場から有害な有機フッ素化合物PFOSを含む泡消火剤が基地の外に大量に漏れ、11日には宜野湾市の宇地泊川や付近の住宅街に風に乗って泡が広がる事件がありました。改めてフッ素化合物の危険性と行政の対処が問われる事態です。これに関連する、2018年の動画を前半と後半に分けて掲載します。2018年のサンダンス映画祭で初公開された記録映画『既知の悪魔』は、テフロン加工に使用される有機フッ素化合物C8(PFOS/PFOA)の有毒性と水質汚染の広がりを解明するため、製造元のデュポン社を相手取って住民が集団訴訟を起こし、被害を賠償させるとともに、国内での製造と使用の段階的終了を約束させたいきさつを描いています。(17分)

監視資本主義の時代 「グーグルで検索のつもりが、グーグルに検索されていた」

2019/3/1(Fri)

2019学生字幕翻訳コンテスト  課題6:「個人情報ビジネス」の受賞作です。 FacebookやGoogleのような巨大IT企業が収集した個人情報を、売り買いする闇市場が問題となっています。ハーバード大学名誉教授のショシャナ・ズボフ氏は、この状況を「監視資本主義」という概念で説明します。かつてマルクスが説いたように、労働力に寄生する吸血鬼のごとく、その基本的な原理は資本主義に基づく経済論理と同じです。しかし、監視資本主義では、その吸血鬼は、私達の個人情報と日々の活動に寄生するのです。(16分)

チョムスキー:キャラバンは米国がつくり出した悲惨と恐怖から逃れてくる人々

2018/11/2(Fri)

2019学生字幕翻訳コンテスト  課題4:「国境壁と移民」の受賞作です 中米から米国をめざして移動してくる難民集団(キャラバン)の数はどんどん膨れ上がっています。これに対しトランプ政権は彼らの入国を断固阻止すべく国境に兵士を派遣すると脅しています。トランプ大統領は、キャラバンには犯罪者や中東テロリストが潜んでいるなどと根拠なく言い放ちますが、難民たちの多くは女性や子供です。彼らが逃れて来たのは、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラといった国々で、いずれも長年にわたる米国の内政干渉の結果として社会の崩壊、テロと極度の貧困が蔓延しています。米国の外交政策の犠牲者といえる哀れな難民たちをテロリスト呼ばわりするなんて、なんとも下劣なふるまいです。(10分)

オカシオコルテス議員 「グリーン・ニューディールはエリート主義じゃない」

2019/3/28(Thu)

2019学生字幕翻訳コンテスト  課題2:「グリーン・ニューディール」の受賞作です ニューヨーク州選出の民主党下院議員アレクサンドリア・オカシオコルテスは、ミレニアル世代を代弁する注目の新人です。彼女の目玉政策の一つが「グリーン・ニューディール」という、大規模な再エネ投資で雇用をつくり出し、温暖化対策と貧困問題を一挙に解決する大胆な提案です。(7分)

世界的な学校スト運動を触発した15歳の活動家グレタ・トゥーンベリに聞くー前半

2018/12/11(Tue)

2019学生字幕翻訳コンテスト  課題1:「気候アクション」の受賞作です 2018年に学生たちの気候ストライキに火をつけて世界の気候対策に大きな転換をもたらしたグレタ・トゥーンベリは、タイム誌で「2018年の最も影響力のあるティーン」に選ばれました。その後の活躍ぶりはよく知られるところですが、このインタビューは初めて国際的な舞台に登場したころの、15歳の少女の姿を伝えています。あどけなさの残る中で、自分の信念にかかわるところは実にきっぱりとした口調で、熟慮に満ちた真摯な返事を返しカリスマ性を発散させています。

バンダナ・シバ:1%の支配に反撃して6度目の大量絶滅を防げー(2)1%のマネーマシン

2019/2/22(Fri)

種子法の改定や水道ガス事業民営化推進など、日本でもグローバル資本主義の脅威が実感されるようになってきました。こうした動きと闘いづづけてきた大先輩、インドの環境活動家バンダナ・シバの発言に、いまこそ耳を傾けましょう。新著の紹介にからめて、彼女が30年ほど前に創始したナブダーニャ(9つの種)運動やモンサントがインドで引き起こした惨状、進化したグローバル資本主義の現状などが語られます。後半は、金融バブルで肥大した特許ビジネスの巨大企業が政治機構を支配して世界を破滅に導くことに対抗する手段としての食糧民主主義について。(15分)

バンダナ・シバ:1%の支配に反撃して6度目の大量絶滅を防げー(1)毒のカルテル

2019/2/22(Fri)

種子法の改定や水道ガス事業民営化推進など、日本でもグローバル資本主義の脅威が実感されるようになってきました。こうした動きと闘いづづけてきた大先輩、インドの環境活動家バンダナ・シバの発言に、いまこそ耳を傾けましょう。新著の紹介にからめて、彼女が30年ほど前に創始したナブダーニャ(9つの種)運動やモンサントがインドで引き起こした惨状、進化したグローバル資本主義の現状などが語られます。前半はモンサントに代表される世界の農業支配をたくらむ農薬カルテルについて。(13分)

未来の抹殺:アマゾン森林破壊を急加速するブラジルに世界中から非難

2019/7/30(Tue)

アマゾンの森林火災の頻発に世界の注目が集まったことによって、ブラジルのボルソナロ政権の性格が露呈しました。森林火災は毎年起きていますが、急増の原因は気候ではなく農牧業者による野焼きの延焼や放火だというのですからびっくりです。農牧業に利用したり鉱山開発をするために保護区の森林がどんどん破壊されています。もちろん違法行為ですが、政府が取り締まろうとしないので、やりたい放題です。環境保護政策に反対する大統領が当選して以来、先住民の土地に不法に侵入し、土地を強奪したり、違法な伐採や採鉱を行う者たちは政府のお墨付きを得たと感じているようです。(16分)

ナオミ・クライン 火事場泥棒の資本主義を検証 "ショックドクトリン"応用編 -後半

2008/7/15(Tue)

ナオミ・クラインは、2007年に発表した『ショックドクトリン 惨事便乗型資本主義の正体を暴く』の中で、社会が大きな危機に見舞われたとき民衆がまどわされ、目の前にある救済策に飛びつくのを利用して、本来なら容易に受け入れられない企業寄りの政策を強行するネオリベ政府の手口を論じています。今回の石油価格高騰を受けたブッシュ政権の対応も、まさしくこの火事場泥棒の手口に他ならず、本当の問題解決にはならないけれど、石油企業は念願の海底掘削権を手に入れるのだと論じます。後編は気候変動をビジネスにしようとするモンサント社について、また北京オリンピックに乗じて中国政府に国民監視システムを売り込む欧米ハイテク企業について語ります。(10分)

オカシオコルテスの「未来からの伝言」 グリーン・ニューディールが変えた世界

2019/4/18(Thu)

グリーン・ニューディールは、連邦政府による大胆な再エネ投資と大規模な雇用の創出によって迅速に経済システムを転換させ低カーボン社会を実現しようという民主党の政策です。2030年までにゼロ炭素社会を実現させるという意欲的なグリーン・ニューディール決議案が、2019年2月に議会に提出されましたが、民主党内でも賛否が分かれ否決されてしまいました。しかし法案提出の立役者となった新人議員アレクサンドリア・オカシオコルテスを主役にしたアニメ『未来からのメッセージ』がオンラインサイト『インターセプト』から発表されると、24時間のうちに4百万人がアクセスし、大きな反響を呼びました。このアニメ動画を紹介し、制作に携わったアーティストや脚本家の話を聞きます。(28分)

経済学者ジェフリー・サックス:米国の違法な経済制裁がベネズエラを荒廃させ4万人以上を死なせた

2019/5/1(Wed)

著名な経済学者のジェフリー・サックスが、ベネズエラに対する米国の経済制裁措置は「一般市民に対する集団懲罰」にあたり、国際法にも国内法にも違反すると論じてます。『集団懲罰としての経済制裁 ~ベネズエラの事例』という経済政策研究所の報告書での主張です。(10分)

再教育キャンプ、潜入と監視:中国政府によるウイグル人ムスリムの迫害

2018/12/6(Thu)

中国政府によるウイグル弾圧の実態を告発したルシャン・アッバースへの単独インタビューです。それによれば、中国西端の新疆ウイグル自治区では、住民の半分近くを占めるウイグル人や他のイスラム教徒への迫害が激化しており、失踪者が相次ぎ、推定200万人ともいわれる人々が強制収容されています。中国政府は2018年になって施設の存在を認めましたが、これは収容所ではなく「過激主義者」を再教育するための職業訓練センターだとしています。しかし、過密状態で劣悪な環境におかれ拷問も行われているという証言もあるようです。また、収容者の子供たちも強制的に孤児院に入れ、非ウイグル化教育を施しているようです。(29分)

米政府の経済封鎖による打撃がベネズエラのクーデターの試みを後押し

2019/1/25(Fri)

ベネズエラでは今年1月、マドゥロ大統領の二期目就任からほどなくしてクーデタの試みが起こりました。1月24日に野党指導者のフアン・グアイド国民議会議長が、マドゥロの就任は正統性がないとして自ら臨時大統領を名乗り、米国は即刻グアイドを承認し、親米諸国もそれに続きました。しかし、グアイド議長の呼びかけに応じる国民は少なく、軍もマドゥロ支持を表明し、クーデターの試みは失敗しました。それでも主要メディアの注目と米国を後ろ盾にグアイドはマドゥロ政権への揺さぶりを続けており、こう着状態が続いています。(31分)

グリーン・ニューディール 上院で否決 広がる運動を阻止する悪あがき

2019/3/28(Thu)

民主党のオカシオコルテス下院委員とマーキー上院議員が提出したグリーン・ニューディール(GND)決議案が3月26日、上院で否決されました。グリーン・ニューディールはオバマ以来の民主党の目玉政策の一つで、政府が再生可能エネルギーに大胆な投資をすることで多数の緑の雇用(グリーン・ジョブ)を作り出し、米国経済を2030年までにCO2排出ゼロに変えることを目指します。しかし、共和党が強引に採決に持ち込んだ結果、民主党議員はほとんどが棄権(賛否を示さない「出席」投票)、4名は共和党議員と共に反対票を投じました。グリーン・ニューディールは挫折したのでしょうか?(14分)

世界的な学校スト運動を触発した15歳の活動家グレタ・トゥーンベリに聞く―後半

2018/12/11(Tue)

2018年12月、第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)に参加するため、世界中からの政府代表がポーランドのカトビツェに集まっています。番組では、大人たちが二酸化炭素排出削減のために何もしないことを非難している15歳の気候活動家グレタ・トゥーンベリさんにじっくりと話を聞きます。彼女はスウェーデン議会前で気候変動に対する学校ストライキを行っていることで、国際的な注目を集めています。「私たちは私たち自身を今変える必要があります。なぜなら明日では遅すぎるかもしれないからです」とグレタさんは言います。彼女がたった一人で始めた学校ストは、今や世界規模の広がりを見せています。 (15分)

米国人教授 ケンブリッジ・アナリティカが保有する自分の心理学プロファイルの開示を請求

2018/3/23(Fri)

2018学生字幕翻訳コンテスト 課題6:「個人情報ビジネス」の受賞作です。 ケンブリッジ・アナリティカ社の有権者プロファイリング事業をめぐるスキャンダルを取り上げます。5千万人以上のフェイスブック利用者の個人データが本人の許可なく収集され、大統領選挙でトランプ候補支持に動かすために利用されたのです。ケンブリッジ・アナリティカ社は億万長者のロバート・マーサー(Robert Mercer)によって設立され、トランプ大統領の元上級顧問でブライトバート・ニュース・ネットワーク会長のスティーブ・バノン(Steve Bannon)も同社幹部の1人でした。(12分)

米国企業のCEOがプエルトリコの電力民営化を提案 島民はコミュニティ所有の太陽熱発電を要求

2017/11/1(Wed)

2018学生字幕翻訳コンテスト 課題5:「気象災害と惨事便乗資本主義」の受賞作です。 巨大ハリケーンの直撃を受けたカリブ海の米国の自治連邦区プエルトリコでは、電力供給網が壊滅的な打撃を受け、水も電気も供給されない状態が長く続きました。連邦政府の災害復旧対策が本土に比べて不十分なことが指摘されていますが、その背景には長年にわたる半植民地状態と米国の金融機関に食い物にされた挙句の巨額債務と財政破綻がありました。デモクラシー・ナウ!の現地取材により明らかになったのは、被災地に群がる米国企業の復興ビジネスのいかがわしさと、その一方で自然エネルギーでの復興をめざす現地の人々の希望です。特に災害後の長期停電中に威力を発揮した太陽光発電は、将来の島の発展の鍵を握るものとして注目されています。従来のプエルトリコの電力供給はほとんどが輸入された化石燃料による発電に頼っていましたが、これを太陽光に切り替えればエネルギーの自立が可能になるのです。(9分)

「異様に暖かい」冬の北極 科学者たちは気候変動の最悪シナリオ見直しへ

2018/3/1(Thu)

2018学生字幕翻訳コンテスト  課題4:「悪化する温暖化シナリオ」の受賞作です 北極圏で異様に温暖な気温が続き、科学者たちに衝撃が広がっています。北極では10月から3月下旬まで太陽がまったく昇らない極夜にもかかわらず、グリーンランド北端の気象観測点で、2018年に入ってから氷点越えが61時間に達する前代未聞の事態になっています。国連の専門家会議による報告書の草稿によれば、科学者たちは1.5から2度の気温上昇で「夏季に北極圏から氷が消滅する危険性は50パーセント以上」としています。(7分)

国際女性デー:「男性優位社会と資本主義の同盟」に抗議しスペイン全土で女性のゼネスト

2018/3/1(Thu)

2018学生字幕翻訳コンテスト 課題3 Year of Women の受賞作です 昨年の"MeToo”運動から火がついた女性のエンパワメント運動は世界に拡大中です。3月8日の国際女性デーでは世界各地で女性たちが行動を起こしました。フィリピンでは、女性達がマニラで集会を開きロドリゴ・ドゥテルテ大統領の政治方針に抗議しました。アフガニスタンでも、女性たちがカブールで公共集会を決行。ケニアでは、女性や障害のある少女に対する暴力についての議論。英国では婦人参政権獲得100周年を祝う集会があり、。婦人参政権活動家エメリン・パンクハーストのひ孫も登壇しました。(12分)

テキサス銃乱射事件 「何が白人男性を駆り立てるのか?」

2017/11/6(Mon)

2018学生字幕翻訳コンテスト 課題2:テキサス銃乱射事件 「何が白人男性を駆り立てるのか?」の受賞作です 米国での銃乱射事件は、その多くが白人男性によって引き起こされています。2017年11月6日のテキサス州サンアントニオ郊外の教会襲撃事件では少なくとも26人が死亡し、20人が負傷しました。その前月のラスベガス銃乱射事件ではコンサート客への発砲で、本人を含め59人が死亡し、527人が負傷しました。しかし、このような事件が「白人男性」の問題という角度から取り上げられることは、まずありません。もし犯人が黒人やイスラム教徒であれば、そのことはすぐに報道され、そうした彼らの属性が犯罪に導く要因であることが自明のことのように共有されます。しかし、白人が犯人の場合は属性は報道されず、事件の原因が白人であることに結び付けられることはありません。(7分)

「命のための行進」銃規制を求める生徒たちのスピーチ

2018/3/26(Mon)

2018学生字幕翻訳コンテスト 課題1:「立ち上がる高校生」の受賞作です。

フロリダ州パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校で2018年2月14日、元生徒が校内に侵入してAR-15ライフル(軍用自動小銃の民間仕様版)を乱射し、生徒や教職員17名が死亡する事件がありました。それから約1カ月後の3月24日、事件を経験した生徒らが主体となり、銃規制強化を議会に求める抗議行動が全米800カ所以上で一斉に催されました。首都ワシントンのデモ行進March for Our Livesには主催者発表で80万人が参加し、他にもニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスなどでも大規模なデモが行われ、近年まれにみる大規模な抗議行動の日となりました。ワシントンの行動では、高校生たちが次々と登壇し自らの体験に基づいた悲痛で力強い訴えを行いました。スピーチの中から、この日の行動を組織する中心となったマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒キャメロン・カスキーと、マイア・ミドルトンのスピーチを取り上げます。(8分)

湾岸戦争と米国の戦争プロパガンダ機構の進化

2018/12/5(Wed)

米国の戦争プロパガンダを大きく進化させた、1991年の湾岸戦争をふりかえります。湾岸戦争は故ジョージー・H.W.ブッシュ大統領の負の遺産の一つです。形式的には1カ月で終結しましたが、米国のイラクへの攻撃は継続しています。50万人以上の子供が死んだとされる過酷な経済制裁のあげく、2003年に息子のジョージ・W.が再び軍事侵攻し、現在でも米軍や軍事請負業者が駐留しています。でも、湾岸戦争で注目されるのは、米国民に向けた大胆なプロパガンダです。ベトナム戦争の記憶がまだ残り、軍事介入に懐疑的な世論を転換させるため、ブッシュ政権は大芝居を打ちました。ナイラというクウェート人の少女を使って、サダムの軍の残虐行為を米国議会で証言させたのです。兵士が保育器の赤ん坊を殺したと証言したナイラは、じつは難民どころかクウェート大使の娘で、広告会社に振り付けされて真っ赤な嘘をついていたことが後に判明しました。しかし、当時はマスコミも国際人権団体も無批判にこれを喧伝し、軍事侵攻に議会の支持を取り付ける決め手となりました。

「ファシズムは、こう機能する」ジェイソン・スタンリー(2)ファシズムには強いパパがいる

2018/10/2(Tue)

世界的なファシズムの傾向に警鐘を鳴らすジェイソン・スタンリー教授の新著のインタビューの続きです(最後の10分は省略しました)。前半ではファシズムの政治手法の特徴として「10の柱」を列挙しましたが、後半ではそれぞれを具体的な事例に結びつけて説明し、それらが互いに補完しながらファシズムのイデオロギーを支えていることを示します。事例として挙がっているのは主にトランプ政権下の米国の出来事ですが、日本でも思い当たるふしはたくさんあります。(20分)

「ファシズムは、こう機能する」ジェイソン・スタンリー(1)トランプ、ボルソナロ、世界的なファシムズの台頭

2018/10/11(Thu)

ファシズム的な傾向は世界各国で見られるユニバーサルな現象になっていますが、この傾向について米国人が見落としがちな視点を提供するタイムリーな書籍が出版されました。著者のイエール大学の哲学教授ジェイソン・スタンリーはホロコースト難民の子で、かつ母親が長年ニューヨークの刑事裁判所に勤めていたことから黒人の大量収監の実態についても子供の頃から認識していました。そんな彼には、トランプ政権下の米国がとくに従来の社会規範から大きく逸脱しているようには見えないのです。(8分)

スティーブン・キンザー(2)マーク・トウェインと反帝国主義連盟の忘れられた歴史

2018/3/12(Mon)

元NYタイムズ紙海外特派員スティーブン・キンザーへのインタビューのパート2は、反帝国主義連盟の忘れられた歴史の話です。20世紀への変わり目の時期に米国の領土拡張政策は岐路を迎えていました。北米大陸の制覇は完了し、カリブ海や太平洋のスペイン領に触手を伸ばし、米西戦争中にプエルトリコ、フィリピン、グアムなどを占領しました。このとき海外領土を持つ世界帝国へと発展するか、それとも拡大はここで打ち止めにして、北米大陸内部の支配を強固にすることに専念べきか、選択を迫られたのです。海外への領土拡張に反対する勢力の中心となったのが反帝国主義連盟でした。(13分)

スティーブン・キンザー(1):米国のレジームチェンジと内政干渉の百年史 イラン、ニカラグア、ハワイ、キューバ

2018/3/12(Mon)

過去100年の米国の外交政策のキーワードは「レジーム・チェンジ」(体制転覆)です。これは米国に従わない他国の指導者をCIAがクーデターを画策して倒し、親米体制に替えることを指します。この政策がもっとも露骨に現れているのが、グアテマラ、ニカラグア、ハイチ、ドミニカ共和国など、カリブ海や中南米地域の国々です。20世紀初頭のグアテマラ大統領ホセ・サントス・セラヤが独自の外交姿勢を鮮明にしてつぶされたように、この地域では対米自立はご法度です。米国は民主主義の保護者を標榜しながら、選挙の結果、自国の利益を優先する指導者が出現した時には卑劣な手段で民主主義もろとも葬り去り、都合の良い独裁者を押し付ける。このパターンは現在も続いており、2009年のホンジュラスの軍事クーデターでも民主政権が倒され、独裁体制の下で暴力が蔓延し、ホンジュラスから逃げ出した人々が難民キャラバンとなって大挙して米国を目指しています。(17分)

オピオイドまん延の起原:20年前の情報隠蔽と製薬会社幹部の大罪を見のがす司法省

2018/6/1(Fri)

米国でのオピオイドのまん延は深刻で、昨年トランプ大統領は「非常事態」を宣言し問題解決に数十億ドルの予算を投入するとしました。それから半年以上が経過し、オピオイド依存症患者の数は大きく減ったといつものトランプ節で自慢げに語りますが、最新の統計ではオピオイド過剰摂取による死亡者数は2017年10月でまでの1年間ではむしろ増加しているとのことです。このことは平均寿命にまで影響を与え、50年ぶりに米国の平均寿命が低下するという事態にまで及んでいます。 今回の動画では、オピオイド系鎮痛薬「オキシコンチン」について取り上げ、『鎮痛剤:詐欺の帝国と米国のオピオイドまん延の起源』のバリー・マイヤーさんに聞きます。(28分)
 

急拡大する巨大メディア企業シンクレア キャスターに画一台本の読み上げを強要して批判殺到

2018/4/3(Tue)

「シンクレア・ブロードキャスト・グループ」と聞いてピンとくる人はあまりいないかもしれませんが、米国で最も有力な放送事業者の1つで、173の地方テレビ局を所有しています。これには大手ネットワークの系列局も含まれます。同社は、更に放送大手のトリビューン・メディアを39億ドルで買収することを計画。この計画は、米連邦通信委員会(FCC)による審査の対象となっています。(20分)

金正恩との歴史的な首脳会談後トランプが朝鮮半島の「挑発的な」合同軍事演習を止めると約束

2018/6/12(Tue)

2018年6月12日。史上初となる、現職アメリカ大統領と北朝鮮最高指導者との首脳会談がシンガポールで行われました。同年3月に突然発表された米朝会談開催でしたが、5月に中止の発表そしてまた開催の決定といった動きは目まぐるしく、当日トランプ大統領と金正恩委員長が並んで姿を現わすまで、会談が本当に実現するのか誰も確信を持つことはできませんでした。(20分)

ホワイトハウスの入植者 トランプ大統領は米国大使館のエルサレム移転を宣言

2017/12/7(Thu)

トランプ大統領が12月に、エルサレムをイスラエルの首都と認め、米国大使館の移転に着手すると宣言したことは、大きな国際的反発を招きました。実は米国ではすでに1995年、大使館のエルサレム移転は議会で決議されていました。でも当時のクリントン大統領は、中東和平の仲介者として1993年にオスロ合意をとりつけた立場上とても実施はできず、半年ごとに実施を先延ばしする道を選びました。その後ずっと大統領が交替しても先送りされ続けてきたのですが、2017年6月に上院が再び大使館移転を求める決議をしたため、トランプは実施を判断しました。どこまで結果を見通してのことなのか、はなはだ疑問ですが、とにかくこれでイスラエル・パレスチナ関係は新段階に進みます。(19分)

サンフアン市長が語るプエルトリコのショックドクトリン

2017/10/31(Tue)

2017年9月にハリケーン「マリア」の直撃で水や電気のインフラが破壊されたプエルトリコに現地取材しました。5週間経っても島の大半が停電中で、半数の住民が水の供給も受けられません。ハリケーン被害を受けた米国の他の都市に比べても異常な復旧の遅れで、連邦緊急事態管理庁(FEMA)の不作為が非難されています。そんな中でようやく現地を訪れたトランプ大統領は、1000人超の死者が出た05年のハリケーン「カトリーナ」に比較して、死者16人の「マリア」は「本物の大災害」ではないと述べて顰蹙を買いました。実際には公式発表の死者数をはるかに上回る犠牲者が出ています(18年5月発表のハーバード大学の調査では約4,600人)。(20分)

テキサス州銃乱射で26人死亡 過激な銃ロビーと不十分な身元調査を嘆く

2017/11/6(Mon)

2017年11月5日に、テキサス州サン・アントニオの東にある小さな農村サザーランド・スプリングスの教会で銃乱射事件が起きました。この事件のデビン・パトリック・ケリー容疑者は、防弾チョッキとルガー社製の攻撃用「AR-15」(M16 5.56ミリ口径ライフル)を身に着けてファースト・バプテスト教会に侵入、少なくとも26人を射殺し、20人以上が負傷しました。被害者の中には妊娠中の女性や高齢者、14歳になる牧師の娘、複数の児童も含まれていました。ケリーは妻子に暴力をふるい軍法会議にかけられ、刑に服した経歴があるにもかかわらず、2016年4月にサン・アントニオのアカデミー・スポーツ&アウトドアズ店でルガー社製ライフルを購入しています。購入時に彼は身元確認の用紙に銃器購入の資格を失効させる犯罪歴はないと記入していました。(8分)

アフリカの独立運動を支援したフィデル・カストロとキューバの知られざる歴史

2016/11/28(Mon)

2017学生字幕翻訳コンテスト 課題6:「知られざる歴史」の受賞作です。

キューバのフィデル・カストロが2016年11月25日に亡くなりました。90歳で亡くなるまでに、CIAなどが仕組んだ暗殺計画を600回以上も潜り抜けてきましたが、2006年以降は健康がすぐれず、2008年に弟のラウル・カストロに正式に最高指導者の地位を譲りました。1959年に米国が担ぐキューバの独裁者フルヘンシオ・バティスタ政権を倒した革命の成功は世界中の革命運動に大きな刺激を与え、米国からは仇敵とみなされるようになりました。デモクラシー・ナウ!の一時間の追悼番組から、あまり知られていないアンゴラ紛争への直接介入についての部分を取り上げます。(13分)

スタンフォード大学レイプ被害者の陳述書を1300万人が閲覧 「重大な転機」と活動家

2016/6/9(Thu)

2017学生字幕翻訳コンテスト 課題5:「キャンパスレイプ」の受賞作です。

2015年夏にスタンフォード大学のキャンパス内で同大学の学生にレイプされた女性に対し、大学当局が公に謝罪するよう求める署名運動に6万人以上の署名が集まりました。この事件が全国ニュースになったのは、レイプ犯の水泳選手が意識のない女性に大型ごみ収納器の陰で性暴力を加えている現場を取り押さえられていたにもかかわらず、判事が言い渡した量刑がたった6カ月の禁固だったからです。(13分)

バーバラ・リー下院議員:終わりなき戦争を可能にしている9.11武力行使権限を撤回せよ

2016/9/13(Tue)

2017学生字幕翻訳コンテスト 課題4:「武力行使の白紙委任状」の受賞作です。

9.11同時多発テロ事件から15年の節目に、米国の戦争拡大と恒久化の端緒となった武力行使権限(AUMF)を振り返ります。9月11日の攻撃から3日のうちに米国議会がほぼ全会一致で採択したAUMFは、この攻撃の責任者と協力者に対する武力行使の権限を大統領に与えるものです。これにより米国はアフガニスタンを攻撃し、米国史上で最長の戦争の端緒を開くことになりました。

しかし、この決議はその後に拡大解釈され、9.11事件とはなんの関係もない国々への軍事攻撃を議会に諮ることなしに行う根拠とされることになりました。シリア、ソマリア、イエメンと米国の戦闘領域は拡大し、多くの国民はその事実さえ知りません。おまけに、国際テロ防止を口実に自国民の通信内容まで盗聴することが可能になっています。(10分)

俳優シェイリーン・ウッドリー パイプライン融資銀行へのボイコットを呼びかける

2017/1/25(Wed)

2017学生字幕翻訳コンテスト 課題3:「パイプライン出資者に抗議を」の受賞作です。

トランプ大統領がパイプライン建設再開の許可を出す前日(1月23日)、サンダンス映画祭が開催中のユタ州のパークシティでは、ノースダコタ州でパイプライン建設への反対運動を続ける「水の保護者」たちがやって来て、映画祭の後援企業チェースマンハッタン銀行に抗議の声を上げていました。パイプライン計画に融資しているからです。スー族の伝統儀式「サンダンス」の名を冠して先住民支援も行っている映画祭のスポンサーとして企業イメージを高めながら、影では先住民社会を脅かす事業に巨額の資金を提供しているのです。抗議行動に参加していたシェイリーン・ウッドリーは、映画『スノーデン』でNSA内部告発者エドワード・スノーデンの恋人役を演じた若い女優ですが、昨年ノースダコタの抗議運動に参加して逮捕され、騒乱罪と不法侵入罪の容疑で起訴されています。ノースダコタの抵抗運動の現状や、この運動に深くかかわることになった理由を聞きます。(18分)

フリント市民は汚染水に高額水道料 ネスレは地下水を無料で汲み上げ

2016/2/17(Wed)

2017学生字幕翻訳コンテスト 課題2:「ミシガンの水戦争」の受賞作です。 2016年2月、水道水の鉛汚染で非常事態のフリント市を現地取材しました。市庁舎の裏では住民たちにペットボトル入りの飲料水が配られています。そこで配られていたネスレの「アイスマウンテン」は、フリントから車でほんの数時間のところにあるメコスタ郡の工場で製造されています。ネスレは毎分218ガロンもの地下水を毎日ミシガン湖に注ぐ帯水層から汲み上げていますが、その水に対しては一銭も払っていません。ネスレは無料で汲み上げた水をボトルにつめて世界中に販売していますが、その一方でフリントの住民は有毒物で汚染された水に米国で一番高い水道料金(おおよそ月に1万円以上!)を支払わされています。緊急措置として住民にネスレのボトル水が配られる光景は、新自由主義経済の矛盾の縮図のようです。(16分)

「長き一夜」強制収容所の歴史と今日における他者排斥の風潮 アンドレア・ピッツァー (2)

2017/9/21(Thu)

強制収容所は植民地支配の一環として誕生しました。ピッツァーによれば、19世紀末、植民地の反乱に手を焼いたスペインがキューバ植民地に最初に導入しました。ゲリラ軍に利用されないように農村の人々を強制移住させ収容所に押し込めたのです。でも収容所の環境は劣悪で死者が続出しました、当時、米国の新聞はこの惨状を大々的に報じてスペインを避難し、米西戦争に向けて世論をあおりました。でも、スペインから引き継いだフィリピン殖民地では、米国自身が同じような強制収容所を建設することになりました。植民地の抵抗に悩む他の国々もこの手法を取り入れ、世界各地に広がることになりました。イギリスはケニアで、フランスはアルジェリアで、米国はベトナムで村人の強制収容を行いました。(9分)

「長き一夜」強制収容所の歴史と今日における他者排斥の風潮 アンドレア・ピッツァー (1)

2017/9/21(Thu)

強制収容所(Concentration Camp)というと真っ先に浮かぶのはナチの絶滅収容所でしょう。第二次大戦中にドイツ支配地域で多数のユダヤ人や同性愛者、マイノリティが抹殺されました。西洋文明の中心部でこのような野蛮な企てが起きたことは世界を震撼させ、徹底的な追及と断罪が行われました。しかし、この悪夢のような歴史の一幕は、それ以外の強制収容所の存在を矮小化することにもなりました。強制収容所はどのようにして始まったのか?いまはもう存在しないのか?アンドレア・ピッツァーは、強制収容所とは「民間人を裁判なしに大量に拘禁すること」だとして、その包括的な歴史の記述を試みました。(パート1 10分)

カリフォルニア州 最後の原発が閉鎖へ 再生可能エネルギーへの転換が加速

2016/6/22(Wed)

2016年6月、米国カリフォルニア州の最大手電力会社PG&E(Pacific Gas and Electric)が、同州で運転する最後の原子力発電所ディアブロキャニオンの運転認可の更新を申請しないと決定しました。これにより、2025年までにカリフォルニア州は原発ゼロとなり、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの開発に拍車がかかります。州としてはすでに、2030年までに再生可能エネルギーの比率を50%にするという目標を掲げていますが、PG&E社はその比率よりさらに高い55%を目標に掲げ、前向きに取り組むとしています。ベースロードに位置づけられる原発がなくなったことで、自然エネルギーへの転換が加速することの証明です。(9分)

『トランプランドのマイケル・ムーア』(2)「人間火炎瓶」トランプを投げつけろ

2016/11/7(Mon)

監督はトランプを「人間火炎瓶」であるとし、それを現行体制にぶつけることは「合法的テロだ」と指摘します。自身もミシガン州の出身で、保守的な人々に囲まれて育ったムーア監督が彼らの怒りに満ちた言い分を「代弁」するところは真に迫っており秀逸です。「現行システムのせいで仕事も家も失った俺らに最後に残ったものは、一票の権利。それを使って、職業政治家やエリートどもに一矢報いるのさ」とばかりにトランプに投票することは「最高の憂さ晴らし」。ああ、気分良かった、やってやったぜ!さて、その結果は…(10分)

映画 『トランプランドのマイケル・ムーア』(1)トランプ 白人男性 断末魔の恐竜の叫び

2016/11/4(Fri)
https://www.democracynow.org/2016/11/7/disenfranchised_by_misinformation_victoria_law_on

トランプ政権発足から1年余りが経ちました。大統領選時から「トランプ」の名前がメディアに登場しない日はほぼないと言っても過言ではなく、最近ではアフリカやハイチ、エルサルバドルといった国々に対する「肥溜め」発言など一国のトップとしては信じられない言動は、むしろ拍車がかかっているようにも見えます。しかし実のところ、私たちはトランプ大統領の発言の品位のなさや主張がころころ変わることなどにもはや耐性がついてきて、ひどいニュースにも「またか」と驚かなくなってきているのではないでしょうか。そういった意味でも、大統領選直前に作成されたマイケル・ムーア監督の映画『トランプランド』を取りあげた動画を見て、当時を振り返ることには意義があると思われます。(11分)

気候変動で世界の寄生虫の3分の1に絶滅のおそれ 影響は甚大と米科学者

2017/9/11(Mon)

「現在進行中の気候変動によって、2070年までに地球上の寄生生物の約3分の1が絶滅する」との可能性を指摘した論文、"Parasite biodiversity faces extinction and redistribution in a changing climate"(気候変動により絶滅と分布の変化を迫られる寄生生物の多様性)が、査読付きの科学論文集Science Advancesに掲載されました。この論文の筆頭著者で、カリフォルニア大学バークレー校環境科学・政策・マネジメント学部の博士号候補生のコリン・カールソン氏、そして、ピュリッツァー賞を受賞した『6度目の大絶滅』の著者でジャーナリストのエリザベス・コルバート氏が今回のゲストです。カールソン氏は、12歳で大学に入学し、16歳までに生態学や生物学の学士号だけでなく修士号まで取得しています。2011年には、「人類史上最も聡明な16人の子ども」にモーツァルトやピカソらと共に名を連ねました。このインタビューが行われた当時は21歳です。(

ドナルド・トランプが撒き散らす肉食獣系略奪思考:女性への暴力根絶を訴え立ち上がる女たちのV-Day

2017/2/14(Tue)

性被害にあった女性たちがこれまでひた隠しにしてきた自分たちの声を明るみに出し加害者への責任を追及する動きが広がってきています。こちらの動画ではそんな女性たちの活動を勇気づけるであろう、女性に対する虐待問題に取り組む二人のゲストをお迎えして、現在の性暴力に対する米国の対応や今後どうなっていくのかということについて議論を行います。(24分)

チョムスキー講演:トランプ政権の登場で人類の存続に危険信号

2017/1/2(Mon)

ちょうど一年前に放送されたお正月特番です。2016年にデモクラシー・ナウ!は20周年を向かえ、12月5日に盛大な記念行事を行いました。ノーム・チョムスキーとハリー・ベラフォンテという超大物アクティビストが初めて同じ舞台にのぼって対談し、パティ・スミスが歌で盛り上げるという豪華な催しでした。その中からチョムスキーの講演部分に字幕をつけました。最後の部分にパティ・スミスのパフォーマンスもちょっぴりあります。(25分)

グアムで米軍駐留への抵抗が拡大 米朝間の挑発と瀬戸際外交でミサイル着弾の危機

2017/8/11(Fri)

米朝関係は非難と威嚇の応酬を繰り返し、ますます緊張が高まっています。8月、トランプ大統領は核戦争を示唆する威嚇をツイッターに投稿し、北朝鮮は中距離弾道ミサイル「火星12」をグアム近海に発射する計画があることを明らかにしました。これを受けてグアムでは現地紙がミサイルの到達時間を示す「14分!」という見出しをトップに掲げ、一気に緊張が高まりました。グアムには朝鮮半島有事の際に戦略爆撃機が出撃する米軍の基地があります。グアム大教授でグアム平和正義連合会長、脱植民地化委員会メンバーのリサリンダ・ナティビダド氏とアメリカン大学文化j人類学准教授で『 米軍基地がやってきたこと』の著者ディビッド・バイン氏を迎え、現地グアムの状況、基地に対する住民感情、在外米軍基地が抱える弊害について話を聞きます。(26分)

「ヘイト」後の人生:ネオナチ集団からの離脱を支援する非営利組織にトランプ政権は補助金を取り消す

2017/8/18(Fri)

今年8月バージニア州シャーロッツビルに白人至上主義者が大結集し、戒厳令が出される混乱の中で死者が出ました。シャーロッツビル市では、奴隷制維持のため南北戦争を戦った南部連合の司令官ロバート・リー将軍の像を市の公園から撤去する計画でしたが、撤去に反対して全米各地からネオナチ、白人ナショナリスト、クー・クラックス・クラン(KKK)などが集まりました。このデモに抗議していた群衆の中に白人至上主義者の車が突っ込み、一名が死亡、数名が負傷しました。犠牲者の母親は追悼集会で、娘の死を無駄にしないでと悲痛な訴えを行いました。ヘイトに基づく犯行の背景に何があるのか?元ネオナチで、今はヘイト集団からの離脱を支援する活動を行っている人物と、ネオナチ極右団体メンバーの親族をゲストに迎え、ヘイトに走る人々の心情や病理、更正への道について話し合います。(24分)

ナオミ・クライン『NOでは足りない』トランプのショック政治に抵抗するために(2) バーニー、コービン、革新候補を押し上げる下からの反乱

2017/6/13(Tue)

新著『NOでは足りない』の発売日にDNに登場したナオミ・クライン。底抜けで危険極まりない大統領が、あと3年は国家を壊し続ける見通しなのですから、多くの人は気持ちが重い。いや、わかりますよ、その気持ち。日本だってあと四年、少なくとも2年後の参院選まではまだまだ壊れ続けていきそうです。どうすればこれに抵抗できるのか、彼女が大急ぎで書き上げた処方箋は、米国人でなくとも大いに参考になります。ナオミ・クラインの新著『NOでは足りない』のインタビュー、パート2です。このところ幾つかの国の選挙で、従来の候補者とは違い明白な反緊縮政策を掲げた候補が、下からの民衆運動に押し上げられる形で予想外の大健闘を見せたことについてです。(14分)

ナオミ・クライン『NOでは足りない』トランプのショック政治に抵抗するために(1)ホワイトハウスのブランド化 

2017/6/13(Tue)

トランプ大統領が選出されてからそろそろ1年を迎えようとしています。彼の名前を冠したホテルの高価な部屋に宿泊することで歓心が買えると「忖度」した外国政府関係者は、史上最も裕福な大統領をますます裕福にする手助けをしています。「職業政治家」に対する失望から、まさかのどんでん返しで選ばれた「実業家大統領」ですが、保険制度の改革(改悪)も遅々として進まず、イスラム諸国などからの入国制限は違憲との判決が相次ぎ、そのはらいせのように北朝鮮をいたずらに挑発するなど、少なくとも現時点では国内・国外ともに政権発足以前よりよい状況になったとは思えません。(16分)

盗人政治? イバンカとジャレッドのホワイトハウスでのお仕事

2017/4/20(Thu)

「お前はクビだ」と、リアリティー番組さながらに次々と更迭されるトランプ政権の幹部たち。フリンが去り、プリーバスが去り、ついにバノンも去りました。その中で不動の地位を保っているのがホワイトハウスに執務室を持つ娘のイバンカと婿のジャレッド・クシュナーです。身内への絶大な信頼を置くトランプ大統領は、縁故採用を禁ずる法律の縛りをすり抜けて親族を重用し、まるでホワイトハウスを家族経営しているような感覚です。当初こそ公私混同への批判が上がりましたが、より緊急な他の大問題が次々と持ち上がる中で、この問題は次第に忘れ去られているようです。娘夫婦はホワイトハウスで、どんな仕事をしているのでしょう?(14分)

核兵器禁止条約に向けた国連交渉をボイコットし 1兆ドルかけて核軍備を刷新する米国

2017/3/30(Thu)

2017年7月、核兵器の全廃と根絶をめざす歴史的な核兵器禁止条約が国連加盟193カ国のうち122カ国の賛成で採択されました。しかし、主要核保有国はすべて棄権し、核の傘の下にあるNATO加盟国や日本も棄権しました。しかし日本は唯一の被爆国であり他の同盟国とは立場が違います。条約交渉会議で生々しく苦痛を訴えたヒバクシャを裏切る日本政府への憤りが、広島や長崎の平和記念式典における安倍総理へのブーイングと早期の条約加盟を強く求める要望に反映されています。条約の草案を作るための交渉会議が行われていた今年3月のインタビューで、条約の意義を振り返ってみましょう。(21分)

ハリケーン・マシューと気候変動の関係を報じないメディアに第一級の気候学者が声を上げる

2016/10/6(Thu)

空前の大型ハリケーンの接近で、米国は大騒ぎです。ハリケーン「マシュー」の直撃で、ハイチでは死者26名、ドミニカでは4名が報告されています。その後、勢力を強めて北上し、進路にあたるフロリダなど4つの州では非常事態が宣言され、200万人以上に避難勧告が出ました。メディアは終日ハリケーン速報を出して詳しく報道していますが、次々登場する専門家の解説に「気候変動」という言葉は出てきません。でも、第一級の気象学者マイケル・マン教授によれば、「マシュー」がこれほど猛威を振るうのは、地球温暖化の影響と関係があります。この動画の字幕は、神戸女学院大学とソルボンヌ大学の両通訳翻訳コースの皆さんが合同授業で取り組んでくださった作品です。(11分j)

ビヨンセがスーパーボウルを席巻 ハーフタイムショーでブラックパンサーや「黒人の命も大事」に表敬

2016/2/8(Mon)

2月7日の第50回スーパーボウルをテレビ観戦した視聴者は1億人を上回りました。彼らはデンバー・ブロンコスがカロライナ・パンサーズを下した試合に加えて、スーパーボウル史上で最も政治的なハーフタイムショーを目にすることになりました。伝説的ポップ歌手ビヨンセが、ブラックパンサーや「#黒人の命も大事」運動に敬意を表したのです。バックステージではビヨンセのダンサーたちが拳を掲げ、1968年オリンピックでトミー・スミスとジョン・カルロスが行った「ブラックパワー・サリュート」を想起させるポーズをとりました。 2016学生字幕翻訳コンテスト 課題6:「スポーツと政治」の受賞作です。(7分)

FBIはアップルをひとかじり? 両者の最終対決を元CIAエージェントが語る

2016/2/25(Thu)

アップル社が米捜査当局からテロ事件の捜査に協力しiPhoneの携帯ロック解除を求められていると公表し、要請を突っぱねて断固抵抗する構えを見せました。この出来事は他のネット企業も巻き込んで、捜査当局との距離がどうあるべきかという重大な問題を突きつけることになりました。2016学生字幕翻訳コンテスト 課題5:「ネット企業は市民監視に協力すべきか?」の受賞作です。
(11分)

朴槿恵の罷免と緊迫する朝鮮半島情勢 THAAD配備を急ぐ米国の太平洋東アジア地域戦略

2017/3/13(Mon)

3月10日、韓国の憲法裁判所は、汚職や収賄を理由として全員一致で朴槿恵大統領の罷免を決定。この2日後、朴氏は大統領府を去りました。今後、朴氏は刑事訴追を受ける可能性があります。今回の政変は、在韓米軍へのミサイル防衛システムの配備が進められる中、そして、北朝鮮がミサイル発射実験を行った直後の出来事でした。一方、現在進行中の米韓合同軍事演習には、多数の兵器と兵士が投入されており、その規模は過去最高と言われています。朝鮮半島の緊張が高まる中、中国の王毅外相は、米国と北朝鮮は「衝突に向け加速している列車のようだ」として両国に自制を呼びかけました。レックス・ティラーソン米国務長官は、就任後初の日韓中のアジア歴訪を予定しています。記者団を帯同しないという異例の形での訪問です。(24分)

ベルタ・カセレス追悼 ホンジュラスで暗殺された先住民&環境運動の指導者

2016/3/4(Fri)

2016学生字幕翻訳コンテスト 課題4:「軍事独裁は資源開発企業の天国」の受賞作です。
ホンジュラスの環境保護活動家ベルタ・カセレスが2016年3月に自宅で暗殺されました。彼女はホンジュラス先住民の土地への権利の運動を組織した中心的な人物でした。1993年に「ホンジュラス民衆と先住民の国民協議会(COPINH)」を仲間と共に設立しました。COPINHは何年も前から弾圧や殺害予告で脅されてきました。自分たちの生活を破壊する資源採鉱やダム建設に抗議して立ち上がったためです。カセレスは前年に、ゴールドマン環境賞という、草の根活動家を称え、環境分野では世界で最も栄誉ある賞を受賞したばかりでした。(15分)

「移民が非合法になった経緯」 アビバ・チョムスキー 米国の移民労働者搾取を語る

2014/5/30(Fri)

2016学生字幕翻訳コンテスト 課題3:「米国の移民選別の歴史」の受賞作です。

米国は「移民の国」です。一般に語られる移民の歴史は、こんな感じです。「最初に入植して国を築いたのは、英国人など白人プロテスタント(WASP)だった。その後さまざまなグループが渡ってきたが、19世紀末に南欧や東欧から工場労働者が大量に流入し、文化の違いから社会不安が増大した。新移民への排斥感情が高まり、ついに1924年、出身国別の移民枠が設けられ自由な移民の時代は終わった。しかし戦後の公民権運動の高まりで、1965年以降は国別の割り当てが撤廃され、誰にも平等に扉が開かれた」。中南米を専門とする歴史学者アビバ・チョムスキーは、この説明には「人種偏見」と「労働力需要」の視点が足りないと言います。(12分)

スタンディングロック特集(2) 警察の過剰な取り締まりとアメリカ先住民へのシステマティックな差別の歴史

2016/11/24(Thu)

スタンディングロック特集の後半では、スー族でリーダーの一人、サラ・ジャンピングイーグル医師他への現地インタビューで、非常に多くの抗議者を微罪で連行・勾留し、全裸にして身体検査が行われていることが明らかに。このやり口は、法よりも尊厳の問題であり罪は深い。そのような屈辱的仕打ちは、少数民族に対する差別やヘイトが根底にあると指摘します。かつて受けた祖先の受難、虐殺と収奪の歴史におのずと思いが至ると言います。そのような過去の記憶と今もなお差別を受け続ける現実は、長く厳しい弾圧に耐える原動力となり、人権や環境正義の旗のもと「勝つまで戦う」というしぶとい抵抗となって人々の間に連帯と共感を生み、国際的ムーブメントを巻き起こしています。続いてアメリカ先住民の活動家であり、元米大統領候補にもなったウィノナ・ラデュークさんとタラ・ホウスカさんに話を聞きます。(20分)

スタンディングロック特集(1) DAPLの警備員 「水の保護者たち」に犬をけしかけ唐辛子スプレーで攻撃

2016/11/24(Thu)

ノースダコタ州スタンディング・ロックでのアメリカ先住民とその支持者による原油パイプライン建設への抗議活動を特集で取り上げます。ダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)の建設計画は、総工費38億ドルを投じ、日に50万バレルもの原油をノースダコタ州バクケン油田からサウスダコタ州とアイオワ州を通り、イリノイ州の製油所に送ると言う巨大プロジェクト。この建設計画をめぐり、建設ルート近くのスー族は、古くからの聖地や埋葬地が脅かされるばかりでなく、パイプラインから原油が漏れ出た場合、居留地の水源に打撃を与え、飲料水として利用するミズーリ川が汚染されることを懸念し、建設の中止を訴えています。この土地の地役権は先住民にあり、先住民の居留地を侵害しないことを定めた条約に違反していると彼らは主張し、自らを「水の保護者」と名乗り建設計画を中止させるため阻止行動を続けてきました。デモクラシーナウ!は早い段階からこの動きを報道してきました。10月にオバマ大統領が建設差し止めを命じる直前までの、初期の動きの総集編です。(13分)

コロラド州初の黒人女性大麻企業家が語る食用利用、投獄、大麻産業における白人支配

2016/4/22(Fri)

2016学生字幕翻訳コンテスト 課題2:「大麻合法化と黒人の大量投獄の関係」の受賞作です。

コロラド州では2012年の住民投票で、娯楽目的のマリファナ使用を合法化することが決まりました。現在、米国の23の州とコロンビア特別区で医療目的や娯楽目的のマリファナの使用が合法化されており、大麻産業は米国内で最も急成長している産業の一つです。しかし、大麻販売が生み出す何十億のお金を手にしようとする人々に対し、疑問の声もあがっています。ベストセラーThe New Jim Crow: Mass Incarceration in the Age of Colorblindness(『新たな黒人隔離:カラーブラインド時代の大量投獄』)の著者ミシェル・アレグザンダーは、麻薬政策連盟(the Drug Policy Alliance)との会話の中で、「白人男性が、大々的に大麻事業に乗り出し、大麻の販売で一攫千金をもくろんでいます。でも、これまで40年間にわたり、貧しい黒人の子どもがマリファナを売った罪で投獄され、家族も未来も破壊されてきたのです。それなのに今、白人男性が、まったく同じ行為をして、金持ちになろうとしているのです」と指摘します。(9分)

最悪の核災害チェルノブイリから30年 米国の活動家たちが現在進行するリスクを警告

2016/4/26(Tue)

2016学生字幕翻訳コンテスト 課題1:「核なき世界とは逆方向に進む米国」の受賞作です。

チェルノブイリ原子力発電所の事故からちょうど30年、福島第一原発事故からは5年を経た2016年4月26日、米国の二大核兵器研究施設のひとつロスアラモス国立研究所を抱えるニューメキシコ州から放送しました。第二次大戦で使用された原子爆弾は、このロスアラモス研究所で設計・開発され、現在も米国が所有する全核兵器を設計する2つの研究施設のうちの1つです。(9分)

アメリカの急進派 I.F.ストーンの生涯とその時代-後半

2009/6/18(Thu)

稀代の調査報道ジャーナリスト、I.F.ストーンを語る2009年の長編インタビューの後半です。ここではストーンの思想がより深く掘り下げられています。ベトナム戦争における政府の嘘の暴露、公民権運動との関わり、イスラエル・パレスチナ問題との関わりと、いずれも問題に対する彼の立ち位置や報道に対する考え方がよく示される例です。また、最後には本人が語る古い映像をパシフィカ・ラジオのアーカイブから紹介しています。告発ジャーナリズムが米国における「言論の自由」の伝統に根ざしていること、巨大な軍事機構を持つことが米国が戦争をする原因になっているという指摘など、現在にも通用する鋭い指摘をしています。(21分)

『分断される米国』: 米国の不平等の実態を検証する新TVシリーズ番組

2016/10/6(Thu)

大統領選挙まで残り5週間という時期に公開されたTVドキュメンタリー・シリーズ『分断される米国』が話題を集めました。5週にわたり放送されたこの番組では、映画やTVドラマ、音楽界など各界で活躍する著名人がトピックごとに登場し、教育、住宅、医療、労働、刑事司法、と多岐にわたる側面から見た米国内にはびこる不平等の実態を検証していきます。この日のデモクラシー・ナウでは製作に携わった3人のブロデューサー(リック・ローリー、ソリー・グラナスティン、ルシアン・レード)を招いて番組紹介が行われました。デモクラシー・ナウが始まる直前に放映記念イベントに参加したエイミーもこの番組を「画期的な試み」と絶賛。興奮気味にインタビューに臨みました。(19分)

アメリカの急進派 I.F.ストーンの生涯とその時代-前半

2009/6/18(Thu)

「急進派ジャーナリスト」を自称したI.F.ストーンは、20世紀アメリカを代表する調査報道記者でした。学究的とさえいえる緻密で徹底した調査によって政治スキャンダルを暴く独特のスタイルで、報道界に大きな影響を与えました。60年にわたる活動を通じて取り上げた問題は、ニューディール政策、第二次世界大戦、マッカーシズム、冷戦世界大戦、イスラエル=パレスチナ問題、公民権運動、ベトナム戦争と多岐にわたります。前半です。(29分)

クリス・ヘッジズとロバート・ライシュ サンダース撤退後の選択肢について討論

2016/8/4(Thu)

2006年の米国大統領選の一般投票日が目前に迫ってきました。メディアはクリントンかトランプかという有力候補の争いばかりに注目しますが、不人気対決と言われるほど好感度の低いこの2人。第3の選択について十分な議論はなされたのでしょうか。クリントンが正式に党の大統領候補指名を受けた7月末の民主党全国大会初日、予備選でクリントンと指名を争ったバーニー・サンダースはクリントン候補の下に民主党の結束を呼びかける演説を行い、一部の支持者からブーイングを受けました。「政治革命」を掲げ、既存の政治や経済のあり方にノーを突きつけて支持を集めたサンダースが、既存権力の象徴のようなクリントンへの鞍替えを呼びかけたのですから、裏切り行為と受け止めた支持者がいて当然でしょう。サンダース支持者の次なる選択肢はどのようなものでしょうか。大会期間中、ジャーナリストのクリス・ヘッジズと、元労働長官でカリフォルニア大学バークレー校教授のロバート・ライシュが、この点について論戦しました。(34分)

パナマ文書公開で大躍進のアイスランド海賊党 次期政権を担う可能性も

2016/4/6(Wed)

10月29日に予定されるアイスランド総選挙で、第一党も夢ではない海賊党の躍進に注目が集まっています。今年4月、史上最大のリークともいわれるパナマ文書が公開され、世界各国の要人がタックスヘイブン(租税回避地)を利用していた事実が明らかにされました。この直後、アイスランドでは首相が辞任に追い込まれる事態となりました。その一方で、支持を急拡大したのが海賊党です。現行の著作権法がインターネット社会の現実にそぐわないとして、法の改正を訴える人たちが、その呼称を逆手にとって自らをpirateと名乗り、政党を組織して活動するようになりました。2006年にスウェーデンで最初の海賊党が誕生して以来、主にヨーロッパ各国に結成されています。その主張は著作権法関連を超えて、直接民主主義、政府の透明性拡大、プライバシー保護といった政策を掲げるようになっています。アイスランド海賊党は2012年に結成され、結成翌年の国政選挙で3議席を獲得しました。ゲストのビルギッタ・ヨンスドッティルは、海賊党の結成メンバーで党の代表を務めています。急速な支持拡大の背景にあるものは何か、ビルギッタは海賊党の目指すものを、従来の政治や社会のあり方と対比して語ります。(25分)

7万人の断種につながりナチ科学者の弁護にも引用された米国史上最悪の最高裁判決

2016/3/17(Thu)

今回は、米国史上最悪と言われる最高裁判決が下された「バック対ベル訴訟」を取り上げます。1927年、米国の連邦最高裁は、精神病または知的障害と言われている人々に対し、州が不妊手術を強制することを可能とするバージニア州の法律を支持する判決を下しました。この訴訟の原告は、何の障害も持っていないにもかかわらず州の隔離施設に収容されていた、キャリー・バックと言う若い女性でした。判決は、バージニア州はバックに不妊手術を施す権利があるとするもので、判決文を書いたオリバー・ウェンデル・ホームズ・ジュニア判事は、「知的障害が3代も続いたなら、もう十分だろう」と締めくくっています。この判決により、子孫を残すには「不適格」とされた6~7万人の米国人に強制的に不妊手術が行われました。この裁判について本を書いたアダム・コーエンに話を聞きます。(20分)

70年前に強制収容された12万人の日系米国人:ふたたび起こる可能性

2016/4/11(Mon)

かつて米国に「強制収容所」が存在し、移住した日本人(一世)や、その子や孫の世代までが収容されていたことは、米国人のあいだで正しく認識されているのでしょうか?どうやらその答えは否、のようです。米国史の「恥」であるその事実はあまり語られる機会はありません。シリア人の定住拒否の正当化に在米日本人・日系米国人の強制収容を持ち出すバージニア州ロアノーク市の市長の発言のように、収容されたのは「在米日本人」すなわち日本国籍を保有する者だけであったという誤った発言も取り上げられています。(17分)

ジョセフ・スティグリッツ  クリントン候補に提言 「米国経済のルールを書き換えよう」

2015/10/27(Tue)

☆ この動画の字幕は、神戸女学院大学とソルボンヌ大学の両通訳翻訳コースの皆さんが合同授業で取り組んでくださった作品です。安倍首相もご意見を仰いだ経済学の世界的権威スティグリッツ教授のインタビューに挑戦。早い時期からヒラリー・クリントン民主党大統領候補の経済政策顧問をつとめているジョセフ・スティグリッツ。昨年秋に出版されたRewriting the Rules of the American Economy: An Agenda for Growth and Shared Prosperity(『アメリカ経済のルールを書き換える 成長と共栄に向けた提言』)は、クリントン陣営の経済政策に影響を与えるだろうと注目されました。そこで語られているのは、現在の米国の経済は岐路を迎えており、過去30年あまり続いてきた実験が失敗したのは、もはや誰の目にも明らかである。レーガン政権の時代に始まった政策が、過度の富の集中によって需要を消滅させ経済自体を破壊している。この誤った政策がもたらした経済構造を転換させなければいけないということです。実際、バーニー・サンダースは格差の問題を中心に据えて大きな支持を集めましたが、ヒラリーもそれに押されて所得格差が経済全体をゆがませていると主張しています。スティグリッツ教授が期待する政策を詳しく聞いてみましょう。(18分j)

「民主主義への渇き」 緊縮行政が引き起こしたミシガン州フリント市の深刻な水道汚染を現地取材

2016/2/17(Wed)

米国より、先進国での出来事とは信じがたい水道水汚染の報告です。2014年4月、フリント市に供給される水道水の水源がフリント川に変更されました。フリント市は、かつては自動車関連の製造業で栄えた労働者の街でしたが、19世紀後半にその産業は衰退、市は多額の負債を抱えるに至り、2002年以降、市の財政はミシガン州の知事が独自に任命した非常事態管理者の管理下におかれていました。今回の水源の変更は、市の財政を立て直す一環として非常事態管理者が決定した、より安く水道水を提供する水道会社への切り替えを行うための一時的な措置でした。ところが、水源の変更直後から住民が水道水の質の著しい悪化を訴え始めます。最初に問題となったのは、細菌による汚染でした。この対策として、市は殺菌剤である塩素を投入しましたが、発がん性物質であるトリハロメタンの生成も同時に招く結果となりました。2015年11月までに、汚染された水道水が原因とみられるレジオネラの感染者は87名、そのうち10名が死亡しています。細菌汚染への対応を行う中で、新たな問題も明らかになりました。フリント川の水は、それまで使用していた水源の水に比べ腐食性が高く、水道管に含まれる鉛やその他重金属が溶け込みやすい状態でした。その結果、水道水から基準値を大幅に上回る鉛が検出され、住民の健康被害も数多く報告されています。鉛に暴露された結果起こる症状は、貧血、倦怠感や身体の痛み、消化器や神経系への異常など多岐に渡りますが、特に恐ろしいのは、成長過程にある子供への影響です。鉛は、脳や神経の発達に悪影響を及ぼし、治ることのない障害をもたらします。(20分)

近代オリンピック秘史と祭りをダシにする惨事便乗型資本主義

2016/6/1(Wed)

いよいよリオ五輪の開幕です。『悪魔と踊るブラジル』の著者デイブ・サイリンと『パワー・ゲーム オリンピックの政治史』の著者ジュールズ・ボイコフ氏をゲストに迎え、オリンピックの歴史にまつわる興味深い事実や変質について話します。近代オリンピックの父クーベルタンは「愛と平和と環境保護」という理念を掲げましたが、その一方で巧妙に仕組まれたショーであり、排除のゲームであるという側面も浮かび上がります。

ミシェル・アレグザンダー:現在の黒人大量収監のルーツは奴隷制度やジム・クロウ法に

2015/3/4(Wed)

☆ この動画は、「学生字幕翻訳コンテスト2015」の特別審査員賞の受賞者の作品です。

ミシェル・アレグザンダー教授へのインタビューの続きです。このセグメントでは、米国における黒人の異常な収監率の実態と、その裏にある歴史的な黒人労働力の搾取の問題に焦点を当てています。ファーガソンの住民の集団訴訟では、黒人を標的とした刑事司法システムを「現代版の債務者監獄」と呼んでいます。借金が返済できないと投獄され、働くか金を工面するかするまで収監されるという19世紀以前の制度が、現在の米国の刑事司法によって再現されているというのです。ほんの些細な違反をもとに黒人を検挙し、罰金→未納を理由に逮捕→実刑判決という流れでどんどん犯罪者をつくり出し、前科者の烙印を押して普通の生活ができにくくし、結局は刑務所を出たり入ったりの人生に陥れるという、いわば刑事司法による再奴隷化のシステムです。(16分)

イエスメン 政府高官を装い 国土安全保障会議で再生可能エネルギー革命を発表

2014/5/2(Fri)

☆学生字幕翻訳コンテスト 課題7: 米国流アクティビズムの受賞作品です。

米国流のアクティビズムは大胆でユーモア一杯です。カルチャー・ジャミング(文化の創造的破壊)の活動を行う神出鬼没の集団「イエスメン」の、痛快な活動を取り上げました。2014年4月イエスメンのメンバーが、米国政府の高官を装って国土安全保障会議に招待させ、2030年までに米国のエネルギー供給を100%再生可能エネルギーに切り替える画期的な計画を発表しました。この「アメリカ再生可能クリーンエネルギー・ネットワーク」と称する架空の計画は、エネルギー省が国防総省やインディアン局を巻き込んで、地元の小規模事業者がエネルギー生産を直接所有できるようにすると謳っています。

潰された虫けらじゃない  パキスタンの子どもの巨大写真で米無人機操縦士に立ち向かうアーティスト

2014/4/10(Thu)

2015学生字幕翻訳コンテスト 課題6: 政治とアートの受賞作です。無人機攻撃への反対運動の一環として、数名のアーティストと村民が、パキスタンの平原に広がる、小さな子どもの顔を描いた巨大なバナーを公開しました。企画者によれば、この女の子は両親と幼い兄弟を、米の無人機攻撃により亡くしました。この女の子の写真は、衛星写真でも確認可能なほどの大きさがあります (3分)

大学は行く価値があるのか? 新作映画が描く高等教育機関の持続不能の支出と学生ローン

2014/6/10(Tue)

米国の大学の学位取得のための費用は過去30年で1120%も高騰し、食品や医療、住宅など他の生活必需品の物価上昇率をはるかに上回っています。学生ローンの貸付総額は1兆2000億ドルにも達し、第二の住宅バブルとまで呼ばれて経済を脅かす要因になっており、それだけでなく国の教育制度そのものも脅かしています。( 9分)

ハーバード大学で化石燃料からの投資撤退を求める学生や教員が本部ビルを占拠

2015/4/16(Thu)

ハーバード大学で、学生や卒業生、教職員などが大学の管理部門が置かれた本部ビルを占拠するという事態が発生しました。化石燃料産業からの投資撤退をめぐる議論を大学側が避けていることに業を煮やしての行動です。気候変動問題が世界的に大きなテーマになり、運動が盛り上がりそうですが、キャンパス内での運動は、学生のみなさんにも身近に感じられると思います。( 9分)

ケリー国務長官の広島訪問の陰で 米国は1兆ドルかけて保有核兵器をひっそりと刷新

2016/4/13(Wed)

オバマ大統領は5月26、27日に三重県で開催されるG7首脳会議(伊勢志摩サミット)に出席の後、被爆地の広島を現職の米国大統領として初めて訪問する予定です。今回の訪問は、日米が歴史問題を乗り越えて強固な同盟関係を築き、「核なき世界」の実現に向けた国際的機運を盛りあげる歴史的な一歩とうたわれています。しかし実際の政策を見ると、両国の首脳にそんなアピールをする資格があるのかどうかは疑問です。国民の反対をねじ伏せて原発を推進する日本政府には核兵器保有への下心が透けて見えますが、米国だって膨大な核兵器庫の刷新をひっそりと進めているのです。(9分)

ミシェル・アレグザンダー: ファーガソンの抗議は刑事司法による人種統制の廃止を要求する

2015/3/4(Wed)

ミシェル・アレグザンダーは、現代の米国において、刑事司法を通じて黒人の隔離と統制が復活しているという画期的な視点の本を書き、大きく注目されました。現在、米国各地で黒人に対する警察の差別的な暴行への抗議が起きていますが、それについての彼女の見解を聞きます。(14 分)

我々が支払う代償:オフショア資産隠しが国内の人々の金を盗むことになる理由

2015/11/3(Tue)

ドキュメンタリー映画The Price We Pay(『我々が払う代償』)を基にタックスヘイブンの問題を取り上げます。監督のハロルド・クルックス氏と、映画にも登場するエコノミストでタックス・ジャスティス・ネットワーク上級顧問のジェイムズ・ヘンリー氏をゲストに迎え、映画制作の動機や経緯、またタックスヘイブンの歴史的背景、納税を回避する手口と隠れ資産の実態、そしてその弊害について映画のシーンを交えて検証していきます。(15分)

ブロキュパイ運動 ユーロ圏の「緊縮政策の実験」を止めよ フランクフルトで数千人のデモ

2014/3/19(Wed)

2014年3月18日、ドイツのフランクフルトで数千人のデモが警官隊と衝突し、双方で数十名の負傷者が出ました。この行動を起こしたのは、この日に催された欧州中央銀行(ECB)の新しい本店タワービルの落成記念式典を阻止するブロキュパイ(Blockupy)運動の活動家たちでした。ブロキュパイは、多数の左翼団体や社会正義を求める団体の連合体です。彼らがECBを攻撃するのは、ユーロ圏で緊縮政策を推進する国際機構の中心だからです。この政策が欧州全体に貧困と失業をもたらし、特にギリシャなどの周縁諸国にひどい影響を与えていると、「ブロキュパイ」デモに参加したドイツ人の気候正義活動家タジオ・ミューラーは語ります。(9分)

FCC ネット中立性の保護に転換 ケーブル業界の支配から「開かれたネット」を守る市民の勝利

2015/2/6(Fri)

2015年学生字幕翻訳コンテストで取り上げた課題の(1) 市民が守る「ネットの中立」の字幕動画です。
インターネットが企業利益の追求のために二層化してしまうところだったのを、それに反対する膨大な市民の声が止めました。「ネットの中立」という抽象的な言葉ではぴんとこないのですが、ことの重大性を普通の人々に周知させる努力がいかに重要かがよくわかります。 (12分)

TPPの本当の危険:トランスカナダ社がパイプライン却下で米国に損害賠償を請求 WTO敗訴で精肉の産地表示も撤回

2016/1/7(Thu)

カナダに本社を置くエネルギー企業大手トランスカナダ社が、カナダ・米国間の石油パイプライン建設を認めない決定は不当であるとして、米国政府を提訴しました。この米国政府の決定は、気候変動対策を求める数十年にもわたる草の根運動に後押しされたオバマ大統領が大統領権限で実行したものでした。もし今回の決定が覆されると、米国の気候変動対策は大きく後退することとなります。一方、トランスカナダ社は、パイプラインの建設が認可されない場合、パイプラインの建設費用のみならず、投資によって将来得られたであろう利益も含めた150億ドルの賠償を要求しています。なぜ外国の一企業や投資家が、主権国家による公衆衛生や環境保護など公共の利益のための政策に対し、異議を申し立てられるのでしょうか?米国NGOパブリック・シチズンのロリ・ウォラック氏にうかがいます。(15分)

メアリー・ロビンソン: 人権とジェンダーの平等が気候変動対策の根幹

2015/12/10(Thu)

12月10日は、世界人権宣言の採択を記念する世界人権デーです。2015年のこの日、パリでは、国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が開催されていました。この動画では、現地パリから、国連で人権擁護の活動に従事した、元アイルランド大統領のメアリー・ロビンソン氏に、「人権問題としての気候変動問題」をテーマにインタビューします。国連時代に目の当たりにした、アフリカの環境悪化による現地の人々への被害に触れながら、ロビンソン氏は、今後気候変動への対策を考える上で、人権問題がいかに中心的な課題となるかを訴えます。(18分)

グレン・グリーンウォルド: パリ襲撃を口実に市民監視を正当化する政府、戦争を煽る「従順」なメディアとムスリムへの卑劣な責任転嫁

2015/11/19(Thu)

11月13日金曜日に起きたパリの襲撃で、世界が一気にキナ臭くなってきました。フランスのムスリムたち1月のシャルリエブド襲撃事件に続いて再びイスラム憎悪の高まりに怯えています。各国で移民への反感も露骨になってきました。フランスでは非常事態が宣言され、デモも禁止されています。欧米諸国はここぞとばかりに防衛と監視の体制を強化し、イスラム国に空爆で報復していますが、そんなことではテロ根絶どころか民間人の犠牲がテロに拍車をかけるだけで、喜ぶのは軍需産業だけです。グレン・グリーンウォルドは、現在の異様に好戦的な空気は2003年にブッシュ政権がイラクに侵攻したとき以来のものだと懸念します。(27分)

悪魔のチェスボード:アレン・ダレス、CIA、米国の秘密政府の台頭 (2)ケネディ暗殺の陰謀

2015/10/19(Mon)

デイビッド・タルボットに新著『悪魔のチェスボード:アレン・ダレス、CIAとアメリカの隠された政府の隆盛』について聞きます。後半のインタビューでは、アメリカ近代史最大の謎、ケネディ大統領暗殺にも踏み込んで触れています。アイゼンハワー大統領時代にCIA長官に任命されたアレン・ダレスは、ケネディ政権の下でもその地位にとどまり、若い大統領をないがしろにして暗殺や破壊工作を続け、次第に疎まれるようになりました。(17分)

悪魔のチェスボード:アレン・ダレス、CIA、米国の秘密政府の台頭 (1)破壊的な遺産

2015/10/13(Tue)

1950-60年代、というと、遠い過去のことのように感じるでしょうか。しかし、この時代にCIA長官アレン・ダレスが行ったことは、現在のアメリカそして世界に暗く長い影を落としています。米国諜報機関による自国民や同盟国民の盗聴、監視活動、マインドコントロール、拷問、誘拐−これらのことは、911以降に始めたものだと私たちは捉えてしまいがちですが、実はダレス長官時代、1950-60年代にすでに政権転覆のために行われていました。デイビッド・タルボットに新著『悪魔のチェスボード:アレン・ダレス、CIAとアメリカの隠された政府の隆盛』について聞きます。(10分)

バーニー・サンダース上院議員 ギリシャからプエルトリコまで金融ルールは1%のための八百長

2015/8/21(Fri)

メディアがなぜサンダース候補を取り上げたがらないかは、彼の主張を聞けばわかります。金融業界の大幅な規制強化と、1%が独占する巨大な富の再分配を訴えるバーニー候補の面目躍如というようなスピーチをお届けします。今年7月にワシントンの上院議員会館に経済専門家を集めて行われたフォーラムのもので、主要なテーマはギリシャの債務危機です。ギリシャの話が中心ですが、問題はギリシャにとどまるものではなく、世界の多くの国々が共有するものです。重過ぎる債務と極端な格差に苦しむ国が、債権者の強要する緊縮政策のために所得も経済もますます低迷し、社会的弱者が追い詰められ、民主主義も人権も踏みにじられていきます。ギリシャで起きていることは、この現代の病の構造をこの上なく鮮明にみせてくれるのです。

クライン&ルイスの映画「これがすべてを変える」 気候変動の最前線で闘う人々が切り開く未来

2015/10/2(Fri)

ベストセラー『ショック・ドクトリン』で知られるナオミ・クラインとアルジャジーラの番組フォールトラインの元司会者アビ・ルイスが気候変動の課題に取り組む新作ドキュメンタリー映画『これがすべてを変える』を制作しました。クラインの同名著作の執筆と同時進行で制作された本作品はルイスが監督し、4年の歳月を掛けて5大陸9カ国を巡り、世界中に広がる気候正義運動を伝えています。映画の中で、「気候変動は危機ではなく、よりよい世界を作るチャンスだとしたら?」と問いかけるクラインとルイスに話を聞きます。(30分)

黒人女性ブリー・ニューサムが南軍旗を自分の手で引きずり降ろした理由

2015/7/6(Mon)

2015年6月27日、晴れた空の下、サウスカロライナ州の州都コロンビアにある州議事堂に高々と掲げられていた南軍旗が黒人女性のブリー・ニューサムさんによって引き降ろされました。白人至上主義者である、ディラン・ルーフ(当時19歳)がサウスカロライナ州の黒人教会で銃を乱射し9名の尊い命が奪われるという残虐な事件が起きた10日後のことでした。彼女はなぜ、身の危険を冒してまで旗を引き降ろしたのか。(20分)

銀行家の訴追を拒んだホルダー前司法長官 古巣の企業法律事務所に戻る 「究極の回転ドア」 

2015/7/8(Wed)

今年4月に辞任したエリック・ホルダー前司法長官といえば、まずは米国史上はじめての黒人司法長官であることが特筆されます。確かに公民権の擁護やマイノリティの権利擁護に尽力しており、一定の評価を得ています。しかしホルダー氏には、記憶されるべき別の側面もあります。テロ容疑者の無人機による暗殺や内部告発者の迫害などを許した国家安全保障の暗黒面に加え、とりわけ罪深いと思われるのはウォール街の犯罪行為を免罪したことです。金融危機の最中に登場したオバマ政権に米国の有権者が期待したのは、これを機に金融規制を再び強化し、経済全体を危機に陥れた大銀行の不正を糾すことでした。ところがオバマはこの絶好の機会を取り逃がし、銀行家は結局だれ一人として投獄されず、金融業界による支配をますます強化させてしまいました。なぜそうなったのか?退任後のホルダーが、就任前の8年間を過ごした法律事務所こ復帰するというニュースから、その理由が透けて見えます。(16分)

変わりゆくキューバ (2) 先駆的な有機農法システムは米国アグリビジネスの参入で生き残れるのか?

2015/6/2(Tue)

キューバの話題の後半は、1990年代に始まって大成功を収めた有機農業に焦点をあてます。1990年代に実際にキューバに暮らし、研究を行っていた経験を持つ、キャサリン・マーフィをゲストに、世界でも稀に見る先駆的有機農業システムを作り上げたキューバの様子を、カレン・ラヌッチらの取材ビデオ(記録映画『ハバナからのポストカード』の一部)を見ながら考察します。人口約1,100万人のキューバはいまや主要な食品や農産物の有望な新市場として世界中の食品・農業の多国籍企業の市場参入のターゲットとなりつつあるのです。(15分)

オーストラリアの保守派首相トニー・アボットが与党に引きずり降ろされる タリク・アリ

2015/9/14(Mon)

先のセグメントの続きで、臨時ニュースとして飛び込んできたオーストラリアの首相交代について、タリク・アリが明快に説明しています。ちょっと前の日本と同じように、めまぐるしく首相が交代するオーストラリアの政治。2年前に就任したトニー・アボット首相は日本の安倍晋三首相と大の仲良しで、経済連携協定(EPA)を結んで自由主義政策を一緒に推進し、軍事的にも中国を脅威とみなして日本との同盟強化を進めています。そのアボット首相が、与党自由党の党首選でマルコム・ターンブル通信相に敗れ、首相の座を明け渡すことになりました。突然の首相交代劇の背景には、アボット首相のすさまじい不人気があったようです。それに比べターンブル新首相は人気も人望もありますが、軍事政策でどれほどの違いがあるかは疑問のようです。(4分)

「英国の政治反乱」 タリク・アリ 労働党の新党首ジェレミー・コービンの当選について

2015/9/14(Mon)

英国の野党、労働党の党首選で、反戦、反緊縮、移民保護を掲げる社会主義者のジェレミー・コービン議員が6割近い票を獲得して圧勝し、内外に衝撃が走りました。英国のマスコミはパニックに陥り、これで政権獲得の芽はなくなった、「労働党の自殺行為」だ、などと一斉に酷評しました。一方、コービン議員とは40年来のつきあいだという政治評論家タリク・アリは、コービン党首の誕生で「労働党が変わり、英国の政治も変わる」と大喜びです。日本でも反原発、反安保の抗議運動が政治運動に変わろうとしている今、タリク・アリの分析は必見です。(24分)

オバマ政権による空前の武器輸出が中東の戦火をあおっている?

2015/4/7(Tue)

オバマ政権の下で、米国の武器輸出が前代未聞の水準に達していたという驚くべき報告が発表されました。国際政策研究所の武器取引専門家ウィリアム・ハートゥングによれば、オバマ大統領が最初の5年間で認可した武器輸出の額は1690億ドル以上に達し、すでにブッシュ政権の8年間における総額を300億ドルも上回っているのです。その6割は中東に輸出され、最大の輸入国はサウジアラビアです。数年間で膨大な量の兵器を購入しました。そのサウジは3月に隣国イエメンへの爆撃を開始し、市民に多大な被害を与えながら攻撃をエスカレートさせています。HRWによれば、クラスター爆弾のような非人道的兵器も使用され、米国製の武器が市民の無差別攻撃に使われています。(12分)

変わりゆくキューバ (1)米国との関係正常化がもたらす大きな希望と課題

2015/6/2(Tue)

1961年に外交が断絶されてから50年以上たつ今、キューバ・米国間の関係が大きく動きつつあります。2015年5月29日にキューバが米国のテロ支援国家から指定解除されたことも非常に大きな出来事でした。この動画では、前半に作家で歴史家のジェイン・フランクリンを迎え、テロ支援国家からの指定解除の意味や、なぜ今なされたのかについて伺います。(18分)

TPP 新たなリーク文書で国民の健康と医療への企業支配強化が鮮明になり 米国内の反発が高まる

2015/6/11(Thu)

世界的規模で巻き起こる反対運動にもかかわらず、大筋合意に向け最終段階に入ったと言われる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉。厳しい守秘義務が課され、議員でさえその膨大な内容と全体像が見えないとされ、その全容はいまだ闇の中です。ウィキリークスがこじ開けた穴からのぞくしかありません。そのわずかなリーク内容が発表されるたびに、あまりの不公平な内容になぜこのような条約が締結されようとしているのかと、各方面から強い反対の声が上がっています。この協定が成立すると、参加12カ国で世界GDPの約40%を占める自由貿易圏が形成されると言われます。今回取り上げた番組では、パブリックシチズンのピーター・メイバードゥクと、ヒューマンライツウォッチのジョン・シフトンをゲストに迎え、ウィキリークスが最近公表したリーク草案、「法的・制度的事項」の透明性に関する章の付属文書を基に、TPPの医療・医薬品問題や人権問題への影響について語っていただきます。(21分)

学生ローン危機に対するオバマ大統領の取り組み 返済条件の大幅緩和も焼け石に水?

2014/6/10(Tue)

第二の住宅ローン危機とささやかれる米国の学生ローン問題。学生ローンの残高は総額1兆2000億ドルに達し、住宅ローンを除けば最大の消費者負債項目になっています。2014年の卒業生は7割以上がローン利用者であり、卒業と同時に平均3.3万ドルもの借金を抱えています。思うような就職ができなければ、たちどころに返済に苦しむことになり、大きな社会問題となっています。(9分)

ロバート・J・リフトンとの対話 (2) 悪の社会化 専門家・知識層とジェノサイドの関係

2015/5/7(Thu)

米国の著名な精神医学者、ロバート・ジェイ・リフトンへのインタビューです。リフトンは、広島の被爆者に対するインタビュー調査とその精神的側面に光をあてた『ヒロシマを生き抜く─精神史的考察』の著者として知られています。長年にわたり、戦争をはじめとする極限的な状況における人間の心理について批判的分析を行ってきた研究者です。近著、Witness To Extreme Century : A Memoir (『極限の世紀の証言者 ~回想録』) では、これまでの自身の活動を、研究者としての学問的行為であると同時に、「証言者」としての行為であったと振り返っています。後半では、ナチスの犯罪に加担した医師たちの研究を通じてわかったのは、極悪な国家犯罪の遂行には専門知識集団が不可欠であり、ジェノサイドの核心部分を担うのは体制に順応する能力の高い専門家集団であるということについて話します。(12分)

「ナチスの医師たち」の著者ロバート・J・リフトンとの対話 (1) CIAの拷問に加担した心理学者の罪

2015/5/7(Thu)

米国の著名な精神医学者、ロバート・ジェイ・リフトンへのインタビューです。リフトンは、広島の被爆者に対するインタビュー調査とその精神的側面に光をあてた『ヒロシマを生き抜く─精神史的考察』の著者として知られています。長年にわたり、戦争をはじめとする極限的な状況における人間の心理について批判的分析を行ってきた研究者です。近著、Witness To Extreme Century : A Memoir (『極限の世紀の証言者 ~回想録』) では、これまでの自身の活動を、研究者としての学問的行為であると同時に、「証言者」としての行為であったと振り返っています。前半は、世界最大の心理学者の団体である米国心理学会(APA)がブッシュ政権の拷問採用に積極的に関与していたという最近発覚したスキャンダルをめぐり、専門家集団が非人道的な犯罪に加担する心理について語ります。(14分)

個人情報を収集し世界をコントロールする隠れた闘い ~ブルース・シュナイアー

2015/3/13(Fri)

エドワード・スノーデンの暴露により、米国政府が行っている大規模なオンライン上の個人情報の収集及び監視の実態は明らかになりましたが、企業による同様の行為はあまり知られていません。今回は、『データとゴリアテ』(副題:あなたの情報を集め、あなたをコントロールするための隠れた闘い)の著者で個人情報保護の専門家であるブルース・シュナイアーに聞きます。(16分)

「資本主義と気候の対決」ナオミ・クライン

2014/9/18(Thu)

ベストセラー『ショックドクトリン』から7年、ナオミ・クラインの待望の新著は気候変動の問題を支配イデオロギーの側面からとらえます。地球温暖化の真偽をめぐる論争は、純粋に科学的な関心に基づくものと思ってはいけません。少なくとも米国においては、懐疑派は共和党、肯定派は民主党と、支持政党によってきれいに分かれており、その本質はきわめて政治的かつ思想的な対立です。(35分)

エクアドル大使館のジュリアン・アサンジ 2014年7月

2014/7/7(Mon)

デモクラシー・ナウ!は昨年(2014年7月)と今年(2015年6月)の2度にわたってロンドンのエクアドル大使館に身を寄せるジュリアン・アサンジを訪れ長時間インタビューを行っています。この動画は昨年7月のときのもので、アサンジをめぐる米国とスウェーデンの捜査について詳しく聞いています。エクアドルに政治亡命を認められたアサンジの移動を阻んでいるのはスウェーデンと米国でそれぞれ別個に進められている2件の刑事捜査があります。そのうち彼が深刻に恐れているのは米国の秘密大陪審による訴追なのですが、それに比べて言いがかりに等しいウェーデン当局の性的不品行をめぐる事情徴収のことばかりが注目され、真の脅威を覆い隠していると彼は言います。(32分)

次のシリザ? スペインM15運動から生まれた反緊縮政党ポデモスの大躍進 党首パブロ・イグレシアスに聞く

2015/2/17(Tue)

2014年、反緊縮を掲げるスペインのポデモス党は、結党4か月にして欧州議会議員選挙で5議席を獲得しました。スペイン二大政党の国民党と社会労働党は前回選挙時よりそれぞれ250万票以上を失い、大敗を喫しました。結党から1年を経たポデモス党の党首、パブロ・イグレシアス氏をゲストに迎え、民衆に焦点を当てた政策について聞きます。(18分)

現代の戦争の姿を決定づけた自動小銃の発明者ミハイル・カラシニコフ 94歳で死去

2013/12/24(Tue)

元ソ連軍の技術者ミハイル・カラシニコフが設計したカラシニコフ自動小銃、別名AK-47は、世界で最も多く使用されている銃器の一つで、現在およそ1億丁が出回っているとみられます。人気の秘密は簡単な構造で、安価で信頼性が高く、手入れも簡単なことです。かつては反植民地、反帝国主義の解放闘争で大活躍した「革命」を象徴するような武器でした。冷戦時代にソ連が植民地の独立運動など西側に対抗する勢力に無償でどんどん配り、世界中に広まったためです。欧米のポップカルチャーでは今もゲリラ、というか「敵」を示すアイコンです。しかし、ソ連体制が崩壊した後は、状況が一変します。膨大なカラシニコフの在庫は国家の管理をはなれ、利益だけを求める闇商人の手に落ちて、紛争地で大量に売りさばかれるようになりました。特にアフリカの独裁者たちに銃を与えて天然資源を獲得する戦争ビジネスは、コンゴ シエラレオネ、アンゴラなどの紛争を長引かせ、子ども兵士が利用されるという問題も生み出しました。国際政策センターで武器と安全保障問題を担当するウィリアム・ハートゥングは、カラシニコフ銃こそが戦争を可能にしている20世紀最大の大量殺人兵器だと言い切ります。

左派シリザ党が歴史的勝利 ギリシャが最前線を行く欧州の反緊縮の闘い

2015/2/2(Mon)

1月末のギリシャの総選挙でシリザ党(急進左派連合)が勝利を収め、公約どおり「緊縮政策の撤廃」に動き出したことは、欧州各地にみられる左派の台頭を象徴するような事件でした。ギリシャの債務危機を巡っては、これまで何度か取り上げてきましたが、ユーロ圏諸国、欧州中央銀行、IMFの3者による救済パッケージには過酷な財政緊縮政策の実施が組み込まれており、債務を返済するために自国民の生活を破壊するような内容です。救済されるのは民間銀行なのに、そのツケは国民が負担する、例のパターンです。5年にわたって緊縮政策を続けた結果、ギリシャでは中産階級が激減し、既存の中道政党は右派も左派も支持基盤を失ったと、ゲストのパナヨタキス氏は指摘します。その結果、弱小政党だったシリザが有権者の反緊縮の声を代表する存在となり、政府に送り込まれたのだと。(18分)

ベネズエラは本当に「深刻な脅威」か? 米国の新たな制裁措置で緊張が高まる

2015/3/11(Wed)

今月10日夜に開かれた米州首脳会議(SOA)では初めてキューバの参加が実現し、カストロ・オバマの首脳会談が脚光を浴びました。しかし、その影で不協和音を奏でていたのが米国とベネズエラの緊張です。昨年12月以来米・キューバ関係が正常化に向けて迅速に進んだのと同時進行で、米国とベネズエラとの関係は急速に悪化しています。3月にオバマ大統領はベネズエラを「国家安全保障と外交政策を脅かす重大な脅威」に分類し、人権侵害などを理由に7人の政府高官を制裁リストに追加する大統領令を発しました。これに対しマドゥロ大統領は議会に対し、「帝国主義から国を守る」ための権限拡大を要求しました。オバマ大統領が歴史的なキューバとの関係修復に踏み切ったのは、キューバの参加をみとめない米国の頑なな態度によって米州サミットが紛糾し、このままでは今年のサミット開催も危ぶまれる孤立状態に追い込まれたからです。しかし、キューバを孤立させようとして逆に自らを孤立させたと気づいたのなら、なぜ今またベネズエラに制裁措置をとり、中南米諸国の反発を招くような行動に出るのでしょうか。(19分)

怯えるフランスのムスリム 『シャルリエブド』襲撃後に高まるイスラム憎悪

2015/1/9(Fri)

年明け間もなく飛び込んできたフランスのシャルリエブド社襲撃のニュースは、「イスラム国」(ISIS,ISIL)の台頭が関心を集めていた時期でもあり、世界を震撼させました。「ホームグロウン・テロ」(自国民によるテロ行為)であったこと、メディアが標的になったことも衝撃的でした。日本では単に、フランス社会に溶け込めない移民の若者が、鬱屈を晴らすため過激思想に傾倒した上での犯行、という表層的な報道しかされなかった襲撃事件。一般のモスリムの声として紹介されるのは「テロは許されない、イスラムの教えに反する」というお定まりのパターンばかりでしたが、こちらのインタビューでは、フランスのモスリム社会内部からの視点で歴史的背景など重要なポイントを踏まえ、より深い内容となっています。(14分)

教皇フランシスコと「解放の神学」ポスト共産主義時代の復権

2014/12/31(Wed)

後半は中南米の軍事独裁時代を生きた教皇フランシスコの過去と現在のかかわりに光を当てます。史上初の新大陸出身の教皇は、外交の世界でも大活躍。米国とキューバが国交正常化に向けて踏み出すという昨年末に世界をあっと言わせた出来事でも、その準備段階では教皇が仲介役として大いに尽力していたようです。両国の長年の不和は、双方が築いたイデオロギーの壁で出口を失った不毛な対立の典型例であり、まさにこうした状況を調停し打開の道を開くことこそフランシス教皇の生涯の使命だと伝記作家のオースティン・アイバリーは言います。教皇は共産主義にも批判的で、1998年ヨハネパウロ2世に随行してキューバを訪問した際の回想録では共産主義はキューバの伝統と価値感に相容れないイデオロギーだと厳しく批判したようです。とはいえ大量消費資本主義にも批判的で、中南米の成長モデルはもっと伝統に即したカトリックの人間中心主義の価値感に基づくものであるべきだと考えているようです。(17分)

地球を貪る資本主義を非難し 世界のカトリックに気候変動への決起を促す 「急進的」教皇フランシスコ

2014/12/31(Wed)

フランシスコ教皇は、自然保護を訴え気候変動への行動を促す画期的な「回勅」(教皇書簡)を準備です。これは教皇による最高形式の教示で、司教や司祭に送付され、彼らを通じて全世界のカトリック教徒に重く受け止められます。今年末にパリで開かれる国連気候変動サミットが真に効果のある対策を打ち出すものになるよう、世界規模で決起を促すものですが、世界のカトリック人口は12億人に達しますから、教皇の呼びかけはどんな環境団体のキャンペーンよりも遠大な影響力を持つでしょう。バチカンの改革者として登場し何かと話題を呼んできる教皇ですが、今回の回勅はとりわけ論争を招くかもしれません。(13分)

マッチョな男像が横行する米国のゲーム界 女性蔑視への批判は命がけ

2014/10/20(Mon)

グローバル市場で年間百億ドル近い収益をあげるビデオゲーム業界。ヒット商品として脚光を浴びるのはバイオレンスあふれるゲームの数々です。実際には米国でゲームを楽しむ人々の4割以上が女性であるにもかかわらず、ゲーム業界は男の世界と位置づけられ、女性のゲームデベロッパーは3割に達しません。メディア批評家アニタ・サーキージアンは、米国の人気ゲームに登場する女性像を分析し、その多くがゲームの本筋に無関係な端役というだけでなく、ゲーマーの興奮をあおるためにレイプや殺しの対象として使われているという実態を指摘しました。(10分)

イスラム国に処刑された米国人ジャーナリスト、ジェームズ・フォーリーの本当の声

2014/9/12(Fri)

日本人2人が処刑されたことで「イスラム国」(ISIS,ISIL)に対する関心は一気に高まりましたが、人質解放に失敗した日本政府の対応についての検証はまだこれからです。トルコやフランスの人質は解放されているのに、中東への軍事干渉には直接関与していない日本の民間人が殺されてしまったことには、おおいに疑問が残ります。脅迫ビデオでイスラム国の処刑人ジハーディ・ジョンから「安倍晋三、お前の責任だ」と名指しで非難された日本の総理は、そんなことは知らんぷりで、ここぞとばかりにイスラム国と戦うことの必要性を熱弁し、「政府に協力しない者はテロリストの味方」というロジックで、大手メディアを使って政権批判の声を封じています。これはジョージ・W・ブッシュの対テロ戦争ドクトリンをそっくりいただいたものですが、オバマの民主党政権になっても米国は「テロには屈しない」という念仏を唱えて交渉を避ける「拒絶主義」に変わりはありません。最初に処刑された外国人ジャーナリストであるジェームズ・フォーリーへのオバマ政権の対応を見れば、日本政府の行動との共通点が読み取れます。(20分)

メキシコの失踪学生たちは 米国が支援する「麻薬戦争」の犠牲者?

2014/11/13(Thu)

2012年メキシコ大統領に就任したエンリケ・ペニャニエト大統領は、ハンサムで華麗なイメージで欧米マスコミの寵児です。「メキシコを救う」政治家としてタイム誌の表紙を飾り、教育改革やエネルギー政策が絶賛されています。要するに新自由主義の性格であり、オバマ大統領とがっちり組んで多国籍企業の対外投資を保護する政策をメキシコで推進していることがマスコミ人気の秘訣のようです。しかし、ここへきて豪邸をめぐるスキャンダルが浮上し、学生失踪事件をめうる全国的な抗議行動が吹き荒れ、改革者のメッキも剥がれてきました。ローラ・カールセンによれば、メキシコ社会における暴力の拡大とまん延は、ペニャニエトが推進する新自由主義政策と表裏一体なのです。

学生集団失踪事件で揺れるメキシコ 政府と犯罪組織が融合して市民を弾圧

2014/11/13(Thu)

学生43人の失踪事件と捜査当局の対応をめぐりメキシコ各地で抗議行動が起き、現体制への批判が高まっています。メキシコ南部のゲレロ州で2014年9月21日夜、教員養成学校の生徒が乗るバスがイグアラ市警察に襲撃され、6人が死亡、25人が負傷し、43人が行方不明となりました。アヨツィナパ師範学校は貧しい農村地帯の子弟から教員を育て地方の生活水準の向上を図るために設立された地方師範学校の一つですが、こうした地方の自助努力は連邦政府によって反体制運動の温床とみなされ、しばしば弾圧を受けてきました。この事件の捜査で70人以上が逮捕され、警察に襲撃を命じたとされるイグアラ市長も逮捕されましたが、捜査当局の説明には矛盾が目立ちます。7週間以上も経つのに学生たちの行方はわからず、挙句にヘスス・ムリリョ・カラム検事総長が、学生たちはコクラのごみ集積所で殺害され、死体は焼却されたという、またしてもいい加減な発表をしたことが、大規模な抗議行動につながりました。ゲレロ州では政府の建物に火がかけられ、主要道路がデモ隊により封鎖され、抗議行動はメキシコ各地に広がっています。現地で取材している独立ジャーナリストのジョン・ギブラーは、今回の学生失踪事件で露呈したのは、警察と麻薬ギャングの完全な融合だと指摘します。

CIAの拷問 ドイツで刑事告発へ ブッシュ政権の高官たちを訴追できるか?

2014/12/19(Fri)

米上院情報特別委員会は2014年12月、CIAがブッシュ政権下で行っていた「拘禁尋問プログラム」に関する報告書を公表しました。CIAによって秘密収容所に拘禁された119名のうち39名が、水責め、睡眠剥奪、ストレス・ポジションなどの拷問を受けていたことが詳細に記されています。これを受けて米国の「憲法上の権利センター」は、ベルリンの「欧州憲法人権センター」と協力し、ラムズフェルド元国防長官、ジョージ・テネット元CIA長官などブッシュ政権の政府高官をドイツで刑事告発しました。(12分)

「偽善のサーカス」 ジェレミー・スケイヒル がパリのデモに参加した世界首脳の報道弾圧を批判

2015/1/12(Mon)

2015年1月7日、フランスの風刺週刊新聞「シャルリー・エブド」の発行元を複数犯が襲撃し、風刺漫画家らを含む12人を殺害して逃亡、アルジェリア系フランス人の容疑者兄弟2人は2日後に籠城先の印刷工場で射殺されました。これと並行して、8日に警官を殺害したとされるアフリカ系フランス人の別の容疑者が、翌日パリのユダヤ食品スーパーに人質を取って立てこもる事件が発生。警察の強行突入の際に犯人が射殺されただけでなく人質4人が死亡しました。いずれの容疑者もイスラム系の過激思想の影響を受けていたと考えられ、「アラビア半島のアルカイダ」との関連も取り沙汰されています。(12分)

テレビに映らないW杯 警察の取り締まり強化と強制退去

2014/6/16(Mon)

2014年サッカー・ワールドカップ(W杯)開幕日、リオデジャネイロ、サンパウロ、首都ブラジリアなどブラジルの主要都市でデモ隊と警察の衝突が起きました。警察が催涙弾や閃光弾を発射、実弾も使用されたもようです。ルセフ大統領は前日に「デモの権利は尊重するが、暴力行為は一切見逃さない 」と警告していました。背景には混沌としたブラジル経済がありました。ブラジルは1970年代に高度成長時代を迎えましたが、その後、不安定な時期が続きます。2003年のルーラ政権以降は堅調に推移していましたが、2008年のリーマンショックで大きく落ち込みます。しかし2010年に一時的に7%の経済成長率を示し、「エコノミスト」誌は「奇跡の復活」と報じました。ブラジル政府はこの復活を機に、ワールドカップサッカーと夏季オリンピックの両方を開催国し、大国の仲間入りを果たそうとしたのだとデイブ・ザイリンは言います。(17分)

ノーム・チョムスキーが告白 本当は大学教育を受けていない 自分の映画も見ていない

2013/12/3(Tue)

アニメ手法を使った斬新な映画『背の高い男は幸せ?』(Is the Man Who Is Tall Happy?)のお披露目の上映で、主人公(?)のノーム・チョムスキーがミシェル・ゴンドリー監督の対談が行われました。チョムスキーは自分が受けた教育について「じつは私は研究者としての専門資格を持っていません」と、最初から聴衆をびっくりさせます。じっさい、言語学の世界に革命を起こした大学者も、若い頃には先行きが見えず、「このまま大学からドロップアウトしてキブツで暮らそうか」などと考える不安定な時期もあったようです。(8分)

アニメで語るチョムスキー ミシェル・ゴンドリー監督の斬新な映画『背の高い男は幸せ?』

2013/12/3(Tue)

フランス出身のミシェル・ゴンドリーは、アカデミー脚本賞を受賞した『エターナル・サンシャイン』やボリス・ヴィアン原作の『ムード・インディゴ うたかたの記』、『恋愛睡眠のすすめ』、音楽記録映画『ブロック・パーティー』など多彩な映画にとどまらず、ビョーク、カニエ・ウエスト、ポール・マッカートニー、ザ・ローリング・ストーンズなど数多くのミュージックビデオを手掛けたことで世界的に著名な映画監督です。2013年に米国で公開され、2014年には日本でもイベントで上映された記録映画『背の高い男は幸せ?』は、ゴンドリー監督とノーム・チョムスキーMIT(マサチューセッツ工科大学)教授との間で行われた一連の対話に、ゴンドリー監督の手描きのアニメーション映像を添えるという極めて斬新な手法で作られました。(39分)

ラルフ・ネイダー 「もう止まらない 左派と右派の連携が企業支配をくつがえす」

2014/4/28(Mon)

米国の消費者運動の先駆者でパブリック・シチズンの創始者ラルフ・ネイダーは、市民の行動こそが政治変革の原動力だという固い信念のもと、長年にわたり市民の運動に力を尽くし、多くの運動家を育ててきました。近年は米国の二大政党制の行き詰まりに業を煮やして、これに挑戦すべく過去3回の大統領選挙に第三極の候補者として、緑の党の公認や後には無所属で出馬してきました。ネイダーが新著について語ります。(20分)

サパティスタ蜂起から20年 NAFTAに立ち向かったメキシコ先住民が築いたオルタナティブ社会

2014/1/3(Fri)

NAFTAは米国、カナダ、メキシコの北米3カ国のあいだで結ばれた、TPPの元祖みたいな地域間自由貿易協定です。締結当時のうたい文句とは裏腹に、この20年で米国の雇用は失われ、メキシコではトウモロコシの生産が壊滅的な打撃を受けて農村地帯が困窮し、仕事を求めて米国に流入する無資格移民が百万人を超えています。自由貿易協定が引き起こすこのような悲惨な結果を当初から予測し、反対の声をあげて立ち上がったのが、メキシコの奥地の貧しい先住民たちだったことは、記憶に刻んでおきたいものです。NAFTAが発効した1994年1月1日、チアパス州の先住民が「NAFTAは自分たちへの死刑宣告だ」と訴え、自由貿易協定を推進するメキシコ政府に宣戦を布告しました。武装蜂起した農民中心のサパティスタ民族解放軍は、瞬く間にチアパス州の5つの主要な町を制圧しました。巧妙なメディア戦略も奏功して、この蜂起は世界に大きな衝撃を与えました。
あれから20年、サパティスタはチアパス州のおよそ3分の1を掌握し、サパティスモ(サパタ主義)と呼ばれる独自の方法論に基づいた自治を確立しています。(12分)

NAFTAの20年で雇用流出 所得格差 環境衛生基準の劣化 なぜ阻止できなかったのか?

2014/1/3(Fri)

NAFTAは米国、メキシコ、カナダの3国間に結ばれた多国間自由貿易協定で、現在交渉中のTPPやTAFTAの原型といえるものです。締結に至るまでには、その経済的、社会的な影響をめぐって賛否両論の大論争が起こりましたが、多くの異論を押し切る形で締結され、1994年1月1日に施行されました。惨憺たる結果が十分に予想されていたのに、協定が成立してしまったのは何故なのか?これを検証することが、「NAFTAの強化版」(NAFTA on steroids)といわれるTPPやTTIPを阻止するために重要なヒントになります。(12分)

暴露 スノーデンが私に託したファイル ~(4)既存メディアには現状を変えられない

2014/5/14(Wed)

グレン・グリーンウォルドへの長時間インタビューの締めくくりとして、ピュリツァー賞の受賞についての感想や米国の既成ジャーナリズムについての考えを聞きます。スノーデンの内部告発を徹底して報道したことに対しては、当時のNSA長官キース・アレグザンダーが「人命を危険にさらした」と厳しく非難しましたが、グレンにとっては権力者の怒りを買うことは「ジャーナリストとしての勲章」です。ところが暴露記事が続々と発表されるにつれ、同業者であるジャーナリストたちまで敵対的な態度を取るようになりました。「これはもはやジャーナリズムではない」と言うのです。彼らのジャーナリズムとは、どんなものなのでしょう?(11分)

暴露 スノーデンが私に託したファイル ~(3)まるでスパイ映画のようだった

2014/5/14(Wed)

今夜はクリスマス・イブ。NSA(国家安全保障局)の巨大な監視体制を暴く一連のスクープを掲載したグレン・グリーンウォルドへの長編インタビューの第2部をお届けします。ガーディアン紙はこの報道でピュリツァー賞を受賞しましたが、その最大の功績者はグリーンウォルドです。友人の映像作家ローラ・ポイトラスと共に2013年6月に香港に飛び、エドワード・スノーデンと落ち合いました。(34分)

経済学者J・スティグリッツ 米国主導の世銀・IMF体制に挑戦する新BRICS銀行に大喝采

2014/7/17(Thu)

BRICSと呼ばれるブラジル・ロシア・インド・中国・南アの5カ国が今年7月、ブラジルのフォルタレザで首脳会議を開き、新たな開発銀行の設立を発表しました。世界の人口の4割、GDPの25%を占める巨大グループが、先進国にたよらない自前の開発銀行を創設したことは大きな話題となりました。元世銀主任エコノミストのジョセフ・スティグリッツに、この動きの重要性について聞きます。(13分)

『戦争の身体』~(1) イラク傷痍軍人トーマス・ヤングの反戦運動を描く映画 

2008/3/25(Tue)

トーマス・ヤングが、退役軍人の日の前日、妻に看取られてひっそりと亡くなりました。イラクで負傷し、半身付随になりながらも薬物中毒から立ち直り帰還兵の反戦運動に身を投じた活動家です。彼を描いた2008年のドキュメンタリー映画Body Of War (『戦争の身体』)は大きな話題になり、他の帰還兵たちよりも脚光を浴びましたが、背後には同じような悲劇が無数に存在します。日々の生活の格闘から遂に力尽きるまでの彼の人生の軌跡は、9.11事件後の世界で戦争に突き進んだ米国の悲劇をきれいになぞっています。(31分)

『戦争の身体』~(2) トーマス・ヤングのインタビュー 2008年3月

2008/3/25(Tue)

帰還兵の悲痛な境遇を体現する人物トーマス・ヤングが、退役軍人の日の前日、妻に看取られてひっそりと亡くなりました。イラクで負傷し、半身付随になりながらも薬物中毒から立ち直り帰還兵の反戦運動に身を投じた活動家です。彼を描いた2008年のドキュメンタリー映画Body Of War (『戦争の身体』)は大きな話題になり、他の帰還兵たちよりも脚光を浴びましたが、背後には同じような悲劇が無数に存在します。日々の生活の格闘から遂に力尽きるまでの彼の人生の軌跡は、9.11事件後の世界で戦争に突き進んだ米国の悲劇をきれいになぞっています。 後半部分です (18分)

警官か兵士か?ファーガソンで市民の抗議に地元警察は戦争なみの軍備で対応

2014/8/15(Fri)

ファーガソンは、大多数が黒人住民であるコミュニティを白人が圧倒的多数を占める警察が強権的に取り締まるという、火だねを抱えた街でした。そんな緊張をはらんだ背景で起きた事件で、人々の怒りの火に油を注ぐことになったのが、射殺事件直後の治安当局の対応でした。市民による抗議に軍隊なみの武装で立ち向かったのです。エリック・ホルダー司法長官は地元警察による「軍事装備と軍車両の配備」が「送り出すメッセージを深く懸念している」と述べました。しかし、ホルダーが口にしなかったのは、連邦政府が警察への軍隊装備の提供に一役買っていることです。(13分)

CIA 麻薬取引 中南米の反革命ゲリラのつながりを暴いて葬り去られた記者ゲイリー・ウェブ

2014/10/9(Thu)

新作劇映画<cite>Kill The Messenger</cite>(『使者を殺せ』)の主人公は、タブーを破ってCIAの犯罪を報道したために主流の企業メディアによって誹謗中傷されて職を失い、最後には自ら命を絶った報道記者ゲイリー・ウェブ氏です。1996年サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙(San Jose Mercury News)に、Dark Alliance(「暗黒同盟」)と題する衝撃的な記事を発表し、1980年代に全米で大問題になったクラック・コカインの密売が、CIAによって組織されたニカラグアの反政府右翼武装組織コントラの資金源であることをスクープしました。(18分)

イスラム主義民兵団が各地で争うリビアの混沌 NATOの軍事介入はなにを招いたか?

2014/8/26(Tue)

リビアでは2011年にカダフィ政権が倒れて以来、暫定政府はできたものの国家再建は進まず、各地で民兵組織が乱立し再び内乱状態に戻っています。国の西部では首都トリポリの支配をめぐってジンタンやミスラタの民兵組織が闘い、議会を開くこともままなりません。また、ベンガジなど東部の諸都市ではイスラム主義の民兵組織が勢力を伸ばし、米国から帰国したハリーファ・ハフテル将軍の軍と激しく戦っています。トリニティ・カレッジで国際学を教えるヴィジャイ・プラシャド教授は、現在のリビアの混沌を招いたのは、2011年のNATOによる爆撃だと批判します(19分)

USAIDは新たなCIA? 反カストロを煽動するSMSサービスを密かに構築

2014/4/4(Fri)

AP通信の特ダネ記事によって、キューバ「民主化」支援を隠れ蓑にした米国国際開発庁(USAID)による偽ツイッター作戦が暴露されました。キューバの俗語でハチドリの囀り声を指す「スンスネオ」(Zunzuneo)と名付けられた隠密作戦は、銀行の偽装口座やダミー会社など、国際諜報活動の古典的手法を駆使し、当初は当たり障りのない生活情報などを提供しつつ個人情報を違法に収集して若年層のネットワークを構築し、時が熟せば「キューバの春」を演出して社会不安を招き、革命体制転覆へ導くことを究極の目的として始められたものの、2012年半ばには極秘裏に活動を終えたとされています。米大統領府は「議会の承認を得た正規の人道支援だ」と強弁していますが、中央情報局(CIA)や国家安全保障会議などお馴染みの謀略・国防組織ではなく、表向き人道目的を掲げた中央官庁が主体となった工作活動は、米国社会に衝撃をもたらしました。ジョージ・ワシントン大学にある公益研究機関、国家安全保障関連資料館の「キューバ記録事業」責任者ピーター・コーンブルーに取材します(13分)

世界金融規制の撤廃を企むサービス貿易協定(TISA)の機密草稿をウィキリークスが公開

2014/6/20(Fri)

新サービス貿易協定(TISA)は、昨年からスイスのジュネーブで協議されているサービス貿易に関する多国間協定です。これまであまり知られていませんでしたが、6月19日にウィキリークスが金融関連部分(金融サービス付帯条項)の秘密の草案を公開>したことで関心が集まり、同月28日には日本の外務省も交渉の概要を公開しました。TPPは環太平洋の17カ国ですが、TISAにはEUの28カ国を含め約50カ国が参加し、世界貿易の7割を占める極めて重要な貿易協定です。でも例によって秘密主義で、参加国の国民は交渉の内容を何も知らされません。TISAの狙いはなんなのでしょうか?(8分)

イラクは既に分裂した―「イスラム国」台頭の影響は?

2014/7/16(Wed)

イスラム国(旧ISIS)の台頭は、長年にわたる欧米の中東政策の矛盾を露呈させるものです。そもそもイラクやシリアという国の国境線や建国自体が英仏など戦勝国の利権分割のためですし、米国は最初サダム・フセインの独裁を支援していたのに彼がクウェートの石油利権に触手を伸ばし始めると急に手のひらを返して極悪人呼ばわりし、10年間後には9.11事件に便乗してサダムを排除し、ついでにイラクの国家機構も完全に破壊して宗派抗争の大混乱を引き起こしました。そのツケが巡り巡って鬼っ子のような過激組織、「イスラム国」がいまでは、シリア国内を含めて「英国の領土以上に大きい地域」を制圧し、クルド勢力が制圧する地域と合わせて、イラクは3分割状態です。(14分)

暴露 スノーデンが私に託したファイル~(2) 彼は超優秀なサイバー・スパイだった

2014/5/13(Tue)

特別長編インタビュー第一日目の後半部分では、これまで語られてこなかったエドワード・スノーデンの人物像が詳細に語られます。スノーデンが育った家庭環境や政治信念、そして米国の安全保障機構の中での急速な昇進と、そこで果たしていた役割など、従来のマスコミ報道とはまったく違った人物像が浮かび上がります。これらは内部告発に至った動機や、彼の告発の重大性を理解するのに決定的に重要な事実といえるでしょう。(22分)

暴露 スノーデンが私に託したファイル~(1)国民監視のウラとオモテ

2014/5/13(Tue)

世界24カ国同時出版で話題を呼んでいるグレン・グリーンウォルドの新著『暴露 スノーデンが私に託したファイル』。エドワード・スノーデンの勇気ある内部告発に協力し、最大限の効果を引き出すことに大きな役割を果たしたジャーナリストが、事件の当事者として証言している決定的な書籍です。事件の重要性を理解するには欠かせません。一時帰国した折にDNスタジオを訪れ、長時間におよぶインタビューで新著の内容を話しました。2日にわたる放送の最初の部分は、若干テクニカル。Collect It All(すべて収集せよ)という標語に象徴されるように、人間が交わすあらゆる電子通信を収集しようというNSA(国家安全保障局)の欲望と、グローバルな巨大通信傍受システムの広がりとその意味合いについて語ります。
。(25分)

「戦争犯罪人は来ないで」 コンドリーザ・ライスがラトガーズ大学卒業式典を辞退

2014/5/5(Mon)

神戸女学院大学の翻訳チーム第二弾は、先週の動画に引き続き、米国の大学キャンパスでの積極的な直接行動の事例です。ジョージ・W・ブッシュ大統領の国務長官を務めたコンドリーザ・ライスは、ニュージャージー州の名門公立校ラトガーズ大学の卒業式典に招かれ祝辞を述べることになっていましたが、学生や教職員の強い抗議を受け、ライス本人の辞退によって取り止めになりました。(8分)

石炭企業からの投資撤退 スタンフォード大学の決断

2014/5/7(Wed)

米カリフォルニア州の名門校スタンフォード大学が、学生主導の運動に賛同して、石炭生産会社への投資を停止すると発表しました。アメリカの大学の多くは、寄付金や収益の蓄積を“Endowment”(基金)として運用し、その運用益を大学経営に当てています。スタンフォード大学の運用額は、世界でも最大規模であり、その総額は187億ドル(約1兆8000億円)にも上ります。今回投資停止の対象となった具体的な金額は公表されていませんが、実際に化石燃料への懸念を理由に投資を撤退した主要大学はスタンフォードが最初であり、注目の的となっています。(11分)

アニマルライツ運動はテロリズム? 国家安全保障を隠れ蓑にする産業界

2014/3/25(Tue)

神戸女学院大学翻訳チームのみなさんが、デモクラシー・ナウ!の動画に字幕をつけてくださいました。彼女たちが取り上げてくれたのは、オバマ政権の秘密主義に敢然と立ち向かう情報公開法(FIOA)のスーパーヒーロー、ライアン・シャピロのインタビューです。MITで準備中のシャピロの学位論文は、国家安全保障関連の機構や表現技法が動物保護活動家を社会的に無力化するために利用されるというパターンが、19世紀末からずっと続いてきたことを追究しています。彼の研究手法は公文書を多様するもので、FBIに対し700件近い情報開示請求によりおよそ35万通の文書を請求して、司法省から「情報請求数ナンバーワン」のお墨付きをもらいました。FBIはシャピロが執筆中の博士論文の一部を国家安全保障上の脅威であるとみなしているそうです。(16分)

マイケル・パウエルの置き土産とネット中立性を守るバトルの再開

2014/4/25(Fri)

この夏、米国ではインターネットの未来を決定する重大な決定が下されようとしています。コムキャスト、タイムワーナー・ケーブル、AT&T、ベライゾンなどの巨大ISP(インターネット・サービス・プロバイダー)が一致団結してFCC(連邦通信委員会)に圧力をかけ、「ネットワーク中立性」を葬り去ろうとしているからです。この闘いを率いるのは、全米有線テレビ事業者連盟(NCTA)の会長で元FCC委員長のマイケル・パウエルです。彼はジョージ・W・ブッシュ大統領の国務長官を務めたコリン・パウエル将軍の息子です。パウエル長官といえば、2003年2月5日に国連安保理事会でイラクが大量破壊兵器を保有しているという誤まった報告を行いイラク侵攻への道を開いたことで歴史に記憶される人物ですが、本人はこれを生涯の汚点として後に悔やんでいます。息子のマイケルは当時FCCの委員長を務めていましたが、メディアの所有規制の緩和を企てたものの国民的な反対運動を招いて失敗し、2005年1月に退職した後はケーブル業界最大のロビー団体に天下りしました。今度は「ネット中立性」をつぶすための闘いでリベンジを狙っているようです。(22分)

【EXPRESS】イラン・パペ:イスラエルは2014年にアパルトヘイト国家の道を選んだ

2014/7/28(Mon)

停戦交渉が停滞する中、イスラエルのガザ攻撃は激しさを増しています。すでにパレスチナ人の死者は1100人を超え、イスラエル兵も53人が死亡しています。意図的に一般市民を攻撃するイスラエルの戦争犯罪については、2008年末から2009年はじめにかけてオバマ就任直前に行われた前回のガザ侵攻のときと同じですから、とくに新しい字幕はつけていません。今回の侵攻に関しては、いまなぜ攻撃が繰り返されているのか、停戦のためには何が必要かという点にしぼって、簡潔にとりあげました。イスラエルのハイファから、歴史学者のイラン・パペへの短いインタビューをご覧ください。(8分)

第一次世界大戦の平和主義者に学ぶ反戦運動のレッスン パート2 コンゴの呪い

2011/5/10(Tue)

第一次世界大戦における反戦運動を扱った歴史書<cite>To End All Wars</cite> (『すべての戦争を終えるために』)の著者アダム・ホックシールドへのインタビューの第2部です。後半の話題の中心は植民地支配によるアフリカの資源収奪と現代も続くその影響です。ホックシールドは前作<cite>King Leopold’s Ghost</cite> (『レオポルド王の亡霊』)で、ベルギーから独立したコンゴ民主共和国の残虐な植民地支配の歴史をふり返りました。いまも内戦が止まず、戦場における女性への性暴力が常態化しているコンゴは、過去のおぞましい植民地支配が影を落としているようです。。(20分)

ソ連崩壊から20年 共産党が大躍進 ~ロシアの民主化とショックドクトリン

2011/12/30(Fri)

プーチンは米国にとって本当に手ごわい相手ですが、これまでの経緯をみてくると、プーチンは必ずしも欧米に敵対的ではなかったのに、米国の愚かな行動が追い詰めたことが見えてきます。今回はさらに遡って、プーチン登場の背景となるソ連後のロシアと米国の関係を確認してみましょう。ソ連が消滅した後の無秩序で略奪的な自由主義経済への移行についてはナオミ・クラインの『ショックドクトリン』でも詳しく述べられていますが、ここではロシア問題の大家スティーブン・コーエン教授に聞きます。少し前のインタビューですが、現在の米ロ対立がどのようにして起きてきたのかを理解するには欠かせません。(

シアトル市が最低賃金15ドルを採択 残る課題とは

2014/6/5(Thu)

米ワシントン州シアトル市議会は2014年6月、市の最低賃金を現行の9.32ドルから15ドルに引き上げる法案を可決しました。最低賃金としては世界でも最高水準となります。従業員が500人以上の企業は最短で3年、500人に満たない企業は7年の実施期間が与えられています。60%以上の引き上げとなる今回の法案が成立するまでの経緯をシアトル市議のクシャマ・サワントに聞きます。サワントは、最低賃金15ドルを公約に掲げて社会主義政党から立候補、2013年に当選しました。市議に就任するとすぐ「15ドル・ナウ」を立ち上げ、運動を率いてきました。(10分)

NSA内部告発報道にジョージ・ポーク賞 2: 記者会見

2014/4/14(Mon)

4月11日ニューヨークで行われたジョージ・ポーク賞の授賞式で、式典に行われた記者会見のダイジェストです。今回の受賞で初めて帰国したローラ・ポイトラスとグレン・グリーンウォルドの二人に、これまで帰国を控えてきた理由や、米当局によるジャーナリズムへの有形無形の圧力について記者たちから質問が飛び交いました。(10分)

NSA内部告発報道にジョージ・ポーク賞 1: 受賞スピーチ「真の受賞者はスノーデン」

2014/4/14(Mon)

4月11日、米国のジョージ・ポーク・ジャーナリズム賞の授賞式がニューヨークで行われ、国家安全保障局(NSA)の監視に関する一連の報道で中心的な役割を果たしてきたグレン・グリーンウォルドとローラ・ポイトラスが揃って出席しました。内部告発者エドワード・スノーデンにインタビューするため香港に飛んで以来、初めての帰国です。二人の受賞スピーチをお聞きください。(10分)

トムズリバー 公害訴訟で多額の和解金を勝ち取った町

2014/4/23(Wed)

大手化学工場の廃棄物に汚染された水や大気が原因で小児がんになったとして、ニュージャージー州の住民がチバ・スペシャルティ・ケミカル社とユニオンカーバイド社など三社を訴えた事件が1980年代にありました。2002年に和解が成立し、公害訴訟 としては最大規模の和解金が支払われたとされています。和解はしましたが、企業側は最後まで賠償責任を認めませんでした。(24分)

第一次世界大戦の平和主義者たちから学ぶ反戦運動のレッスン

2011/5/10(Tue)

今週は反戦運動についての話題をお届けします。少し前のインタビューですが、第一次世界大戦をふり返るという、今日にぴったりのトピックです。ちょうど百年前の世界は、空前の大戦争に向かって突き進もうとしていました。1914年6月28日のサラエボ事件(オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子の暗殺)がおきてから、たった6週間の間に、それまではそこそこに良好な国際関係を維持し繁栄を極めていたヨーロッパが一転して全土を巻き込む戦争に引き込まれていきました。この戦争の歴史には学ぶことが沢山あります。(20分)

殺される環境保護活動家たち 資源開発の裏側で起きていること

2014/4/16(Wed)

石油、天然ガス、鉱物、木材などの天然資源の開発を人間が追い求めるとき、その背後には多くの場合、そこで以前生活していた人が土地を追われるという構図があります。土地を求めるのは外資の大企業、そこに住む人々はほとんど情報を与えられないまま、小額の補償金をもらうか、ひどい場合は何の手当てもないまま強制移動させられる、というのがよく見られるパターンです。もちろん中にはそのような状況に抗議の声を上げ、必死の闘いを挑む人々もいました。しかし残念なことに、環境監視団体「グローバル・ウィットネス」が最近出した報告書によると、土地の権利を訴える環境保護活動家の殺害は、過去十年で急増しているとのことです。2012年の時点で、このような殺害数はわかっているだけでも2002年の3倍近い数でした。(9分)

奴隷とアイビーリーグ: 奴隷制度が支えた米名門大学の発展

2013/10/30(Wed)

今でこそアメリカの知と良識の府として尊敬を集めているアイビーリーグの名門大学ですが、創立期から19世紀半ばにいたるまで、アメリカの負の歴史にどっぷりと関わっていました。MITの米国史教授のクレイグ・スティーブン・ワイルダーの上梓までに10年をかけた労作、Ebony & Ivy: Race, Slavery, and the Troubled History of America’s Universities. (『エボニーとアイビー:人種、奴隷制、そしてアメリカの大学の問題ある歴史』)は、ハーバード、イェール、プリンストンを初めとする東部名門校が、奴隷貿易で財をなした実業家たちの富を財源とし、北米大陸はもちろん、西印度諸島のプランテーションで大もうけした人々の子供たちを学生としてリクルートし、大学としての基盤を築いていった歴史を跡づけます。

パイプラインの政治学 「オイルロード」と民主主義

2013/10/8(Tue)

欧州委員会が発表した2014年の報告書によると、EU27加盟国が2006-2011年に消費した天然ガスの約6割、原油の約8割が 輸入に依存していました。EUが輸入する原油ガスの3割以上がロシアからだと言われます。このような依存体質の改善策として推進されたのが輸送の多角化でした。アゼルバイジャンからトルコを経由して、欧州に原油を輸送するBTCパイプラインもそのひとつです。コーカサス地方におけるパイプライン建設は、ロシアの影響力の拡大を警戒する沿岸諸国と欧米の利害が一致した政治戦略だとマリオットは言います。(40分)

公民権活動家ユリ・コウチヤマの回想 マルコムXとの友情、日系人収容所の経験

2008/2/20(Wed)

公民権運動の活動家で日系二世のユリ・コウチヤマさんが、2014年6月1日カリフォルニア州バークレーで、93歳で亡くなりました。第二次世界大戦中に日系人収容所に入れられ、米国南部の人種差別を目の当たりにしたことから政治活動にめざめたそうです。日系人への差別と黒人差別に共通するものを見出し、人種間の平等や社会正義の実現を求めて闘うようになりました。後に夫のビル・コウチヤマと共にニューヨークのハーレムに住みつき、黒人解放やブラックパンサーの運動を支援し公民権運動に深くかかわりました。

緩慢なジェノサイド ウラン採掘の健康被害を先住民族が訴える

2014/3/14(Fri)

2013年、連邦政府はグランド・キャニオンから約10キロの地点でのウラン採掘を許可しました。既にナバホ(別称ディネ)民族の土地では1944年から1986年までの期間に390万トンのウラン鉱が掘り出され、現在では千カ所を超えるウラン廃坑と4つの閉鎖されたウラン製錬所がありますが、放射性廃棄物は適切に処理されず、多くが住民の生活圏に放置されています。ウラン採掘のために強制移住させられたナバホ民族は2万人を超えています。(17分)

ウクライナ危機を煽るのはだれ? 米露の役割を検討

2014/3/3(Mon)

ウクライナ危機をめぐっては、米国とロシアが互いに相手側の干渉をなじって議論はまったくの平行線です。3月初めに行われた番組討論会は、その典型的なものです。ロシア軍が海軍基地のあるバラクラバを制圧し、クリミアからは一歩も引かない構えを示してから一気に緊張が高まりました。(35分)

米兵たちが東京電力を提訴 原発事故の被曝による健康被害を訴える

2014/3/19(Wed)

2011年3月、東日本大震災が起こった直後に、米軍は被災地での災害救助・救援・および復興支援を目的とした援助活動を開始しました。一連の活動は「トモダチ作戦」と命名され、2万人を超える将兵に200機近い航空機、また24隻の艦艇が送り込まれました。それから3年後、作戦に参加して果敢に活動した海軍兵士や海兵隊員が、救援活動中の被ばくを理由に、東京電力を相手取って訴訟を起こしました。(29分)

アパルトヘイトへの挑戦 ポラロイドのBDS運動

2013/12/13(Fri)

1970年代初め、マサチューセッツ州にあるポラロイド社の労働者は、南アフリカのアパルトヘイト体制に抗議する投資撤収(ダイベスト)運動を始めました。勤務先であるポラロイド社の技術がアパルトヘイトを支える身分証明書の作成に使われていることに気づいたキャロライン・ハンターとケン・ウィリアムズの2人は、会社に抗議して「ポラロイド労働者革命運動」を結成、会社に南アからの事業撤退などを要求しました。(16分)

新たな冷戦のまっただ中 ロシアとウクライナ危機

2014/4/17(Thu)

ウクライナ危機の打開をめざして4月17日ジュネーブで開かれた4者協議で、ウクライナ、ロシア、EU、米国は緊張緩和に向けた一致点をなんとか見出したようですが、合意の履行をめぐって紛糾が続いています。新たな冷戦の様相を呈してきたウクライナ危機をめぐる対立について、ふたたびコーエン教授の話を聞きます。前回の出演からわずか2カ月のうちに、コーエン教授が危惧したことの多くが現実となりました。わずかな期間に急展開した現在の状況は、キューバ危機以来の危険な状況です。(19分)

新たな冷戦?ウクライナ政変の背景を探る

2014/2/20(Thu)

2014年2月、ウクライナのヤヌコビッチ政権が崩壊しました。前年11月、ヤヌコビッチ大統領は欧州連合(EU)との貿易協定を撤回し、EUと関係を深めたい親欧派による抗議デモが勃発しました。当初は市民による呼びかけだったデモは、たちまち数万人規模のデモになり、武装したデモ隊と治安部隊の衝突が頻発するようになります。2月20日、衝突は死者90人以上を出す大惨事となり、ヤヌコビッチ政権は崩壊しました。反体制デモの中心となった野党勢力には「自由(スヴォボダ)」などのネオナチ・右翼勢力も含まれており、この急進的な勢力が暴徒化したと言われています。(23分)

メタデータによる処刑 NSAの暗殺関与

2014/2/10(Mon)

ガーディアン誌を去ったグリーンウォルド記者が、DN出身のジェレミー・スケイヒルらと立ち上げた新メディア事業ファースト・ルック・メディアのデジタル・マガジン「ジ・インターセプト」。お披露目の記事は2人の共著で、国家安全保障局(NSA)の諜報活動に関する新たな発見です。エドワード・スノーデンの告発以来、NSAが世界中で行っている通信傍受については次々と新事実が明かされていますが、今回のスクープはそうした監視活動の枠を超えた、実戦におけるNSAの関与です。(32分)

日本のショックドクトリン:原発事故から3年、国粋主義と軍国化にひた走る安倍内閣

2014/1/15(Wed)

1月に来日したエイミー・グッドマンと番組スタッフは東京からの3日間にわたる特別放送を行いました。その一部を字幕つきで紹介します。東京発の第1弾は、近隣諸国との関係を緊張させている安倍政権の右翼的政策について取り上げます。(11分)

沖縄の抵抗 米兵による暴行事件や環境破壊に立ち上がる住民たち

2014/1/16(Thu)

3日間にわたる東京からの特別放送、2日目には沖縄の基地問題がクローズアップされました。沖縄の米軍基地が引き起こす問題や沖縄の歴史については、米国ではほとんど報じられていません。この島に最初に米軍が足を踏み入れた第二次世界大戦中の出来事にさかのぼって、基本的なところから説明します。(20分)

ノーム・チョムスキー講演「中心の崩壊~ラディカルな想像力の再考」

2010/5/31(Mon)

もうじき来日するノーム・チョムスキー教授。3月5日と6日の二日間にわたって上智大学で行われる講演会は早々と予約締め切りになったようで、期待の大きさがうかがわれます。今の日本では、チョムスキー氏の講演もこれまでになく切実な響きを持って聞こえることでしょう。さて、そういうわけですから、デモクラシー・ナウ!でも、これを記念してとっておきの動画を配信します。(54分)

「ハンナ・アーレント」 アイヒマン裁判を取材したドイツ系ユダヤ人思想家の映画

2013/11/26(Tue)

マルティン・ハイデッガーに師事したユダヤ系ドイツ人の哲学者で、亡命先のニューヨークに住んでいたハンナ・アーレントは、1961年のアイヒマン裁判の傍聴報告記事によって、米国の特にユダヤ系知識人から猛烈な反発を買いました。ニューヨーカー誌に裁判の傍聴報告を書くことを志願したアーレントは、現地で目にしたアイヒマンが、想像していた邪悪な殺人鬼というよりは、善悪の別に全く無関心で権威に盲従して命令を執行するだけの小役人なのではないかと感じて衝撃を受けます。アイヒマンを単なる類型として「悪の凡庸さ」と名付けたアーレントの報告は、アイヒマンを免罪するものと解釈されて集中砲火を浴びます。さらにアーレントは、「欧州各地のユダヤ人評議会指導部がナチスに妥協的でしばしば取引を行ったためにホロコーストの被害が拡大した」という法廷証言を報じたために、ユダヤ民族の裏切り者の汚名を着せられて憎悪と脅迫の対象となりますが、圧力に屈せず自らの信念を守り抜きました。(20分)

「ゴリアテ」イスラエル社会でレイシズムが加速

2013/10/4(Fri)

ネタニヤフ政権下のイスラエル社会の変化について詳しく紹介するマックス・ブルーメンソールの新著Goliath: Life and Loathing in Greater Israel (『ゴリアテ-憎しみの国 大イスラエルでの生活』)が刊行されました。ブルーメンソールはネタニヤフ政権下のイスラエル社会について、「占領がイスラエル内に戻ってきた」と表現しています。西岸地区の過激な入植者たちがイスラエル内に戻ってデモや占拠を行い、イスラエル内に居住するアラブ系住民やアフリカからの移民とのあいだに大きな摩擦が生じているのです。イスラエルの新聞ハアレツ紙も アフリカ系移民に対する差別が加速していると伝えています。(12分)

ワシントンポストを買ったベゾスのアマゾン・ドット・コムはグローバル企業の象徴

2013/8/7(Wed)

ワシントンポスト紙がアマゾン・ドット・コムCEOのジェフ・ベゾス氏に売却されたことは、凋落が続く米国の新聞産業の転換点となるのかもしれません。2億5千万ドルという買収金額も、大富豪のベゾス氏にとっては資産の1%にもとどきません。米国を代表する有力新聞がポケットマネーで買えちゃう時代、言論もお安 くなったものです。文化も畑もまったく異なる国際ネット通販の創業者が、ワシントンポスト紙なんか買って何をするつもりか、いろいろ憶測を呼んでいます。 新聞事業の赤字体質は解消できるのか、大胆なオンライン化が突破口となるのか、などと。でも、もしかしたらベゾスさんは赤字のままでぜんぜん平気なんじゃ ないかしら。なにせ、ご本尊のアマゾン・ドット・コムが利益を出さない企業なのですから。(33分)

ウィキリークスがTPP知財条項の草案を暴露

2013/11/14(Thu)

ウィキリークスが公開したTPP交渉の知財関連の章の草案をめぐるディベートです。TPP交渉の一番の問題は、なによりもまず秘密主義です。各国政府の交渉担当官の他には利権を持つ業界や企業の代表しか詳細を知ることができません。ウィキリークスによってようやく内容を知った、ということ自体が問題です。米国ではこれまでTPP交渉はほとんど注目されてこなかったのですが、これでようやくその危険性に対する関心が高まり そうです。ウィキリークスが取り上げたことで、その怪しさがいっそう強調されました。とくにアサンジの指摘によって、昨年春に大規模な市民運動の力で一気 に廃案に追い込まれたSOPA(オンライン海賊行為防止法案)やACTAからの継続性が強調されたので、ネット市民の警戒の目も一段と厳しくなるでしょ う。(21分)

「アパルトヘイトへのロードマップ」 バンツースタン化するパレスチナ国家

2012/12/21(Fri)

ネルソン・マンデラ氏の逝去でアパルトヘイト体制の打破について多くのことが語られています。良い機会ですので、パレスチナ自治政府とアパルトヘイトの相似性を検証した一年前の動画を掲載します。1012年11月29日、国連総会でパレスチナを主権国家として認める決議が圧倒的多数で採択されました。主権を認められたことの意義は大きく、歴史的な一歩だったのかもしれません。でも、現実に目をやれば、もろ手を挙げて歓迎というわけにはいきません。決議案を提出したマフムード・アッバース大統領の自治政府には、主権国家の実体がないからです。(19分)

サウジのバンダル王子がシリア反政府勢力を支援 1980年代の再現か

2013/9/6(Fri)

シリア騒乱が2011年に始まってから、もうすぐ3年になろうとしています。騒乱が長引くにつれて国際社会からの非難は高まり、最近では他国の軍事介入の是非をめぐって、国連内でも激しく意見が対立しています。シリア関連の記事が新聞のトップニュースに見られる日も少なくありませんが、騒乱への国際社会の関与について、今回また新たな側面が暴露されました。(12分)

米国が対エジプト軍事援助を一時停止 その実態は

2013/10/18(Fri)

米政府は2013年10月9日、エジプトへの軍事援助の一部を一時停止すると発表しました。1979年のイスラエル・エジプトの平和条約以降、イスラエルに次いで多額の軍事援助をエジプトへ供与してきた米国が実際に援助停止を決定したことは大きなニュースとして報じられました。しかし、アルジャジーラ英語放送でエジプトを取材したアンジャリ・カマトは、援助停止は暫定措置で象徴的行為にすぎないと指摘します。(13分)

米国 軍事分野の輸出規制を緩和 経済効果とリスクのバランス

2013/10/16(Wed)

米国の規制改革の一環として武器輸出の緩和が2013年10月から施行されました。この緩和の目玉は、国務省が許認可を管轄している武器品目を部分的に商務省に移し、輸出の推進を図ることと言われます。武器と汎用品の境界があいまいになるなか、米国の軍事技術がより多く売り出されることはどのような影響を及ぼすのでしょうか。(8分)

政府の学生ローンが若者を餌食に生み出す第二の住宅バブル

2013/8/20(Tue)

この夏、連邦政府が貸し出す学生ローンの金利をめぐって議会が紛糾しました。スタッフォード・ローンの金利低減措置が7月1日で失効するため、一部のローンでは金利が3.4%から6.8%へと2倍に跳ね上がり、何百万人の学生が負担の増加に直面することになります。この事態を緩和するための措置が議論され、8月になってようやく、2015年までは低金利に据え置くという超党派の法案が可決しました。しかし、これは一時しのぎにすぎず、長期的には返済の負担は増加すると予想されています。でもローリング・スト ン誌の政治記者マット・タイビによれば、政府系学生ローンに絡む本当のスキャンダルは、ローン金利の問題ではありません。本当に悪質なのはローン元本そのもの、つまり際限のない学生ローンの提供が招いた授業料の異常な高騰という、一種の学費バブルです。(17分)

デトロイト市の財政破綻「緊急財政管理官」による再建の中身

2013/7/23(Tue)

アメリカの自動車産業を象徴する大都市とされてきたミシガン州のデトロイト市が連邦破産法の適用を申請しました。米地方自治体の財政破綻としては過去最大です。かつて米国第4位の都市だったデトロイトですが、1950年に180万人いた人口が、現在では68万5000人と、半分以下に減少しています。その背景には、犯罪の増加や、郊外への人口流出、自動車産業の空洞化による都市基盤の浸食がありました。(17分)

核ホロコースト 増大する核兵器事故の危険性とその秘密主義

2013/9/18(Wed)

著書『ファストフードが世界を食いつくす』で有名なエリック・シュローサー記者の新著<cite>Command and Control: Nuclear Weapons, the Damascus Accident, and the Illusion of Safety</cite>(『指揮と統制:核兵器、ダマスカス・アクシデント、そして安全幻想』)によると、米国はこれまで何度も、すんでのところで自国での核爆発事故を避けてきました。それどころか、考えられないような単純なミスが原因で、戦争勃発まで間一髪の状態になったことすらあるのです。(16分)

暗号メール・サービスLavabitに閉鎖を決心させたものとは?

2013/8/13(Tue)

8月に入って、米国では機密保全を売りにするEメール・サービスが政府による顧客情報の収集に抗議して相次いでサービスを終了するという事件がありました。Lavabitはエドワード・スノーデン氏がロシアとの交渉に使っていたとされる暗号メール・サービスです。米当局との交渉が続く中での突然のサービス終了ですから、どんな関連があるのかと想像をかきたてます。でもオーナーのレーダー・レビソン氏は、サービス終了の説明にあたってスノーデン関連のことには触れたがりません。彼のことばは「米国人に対する犯罪に加担するよりは、10年近い努力の結晶を終了させる方を選んだ」と、きわめて漠然としています。具体的な事情を他の人に説明することは「米国の議会が通過させた法律によって禁じられている」からだそうです。Lavabitの突然死を見て、「米国に足場を持つ会社には決して機密データを預けてはいけない」という現状への忠告を読み取ってほしい、としか言えません。(15分)

ナショナル・セキュリティー・レター(国家安全保障書簡)の口外禁止規定を暴露した裁判闘争

2013/8/13(Tue)

NS書簡というのは、行政機関(主にFBI)が国家安全保障に関連する情報の提出を求めて発行する書状です。裁判所を通さないのでSubpoena(召喚状)とは区別されますが、役割は似たようなものです。もとはテロリストやスパイの容疑のかかった人物に関するデータ収集が目的だったのですが、9.11テロ事件を受けた「愛国法」によって制限が大幅に緩和されることになりました。濫用を許す「きわめつけ」が「口外禁止」の条項です。「NS書簡」を受け取った者は、そのことを公言することはおろか、同僚や友人や家族さえにも教えてはいけないのです。これでは弁護士に相談することさえできません。おかげで、どれだけ多数の事業者が「NS書簡」を受け取っているのか、実態は想像するしかありません。そんな秘密の捜査手法なら、どうしてその存在が明るみに出たのか?ありがたいことに、こうした当局の脅しに逆らって、果敢に裁判闘争を試みたプロバイダーがいたのです。2004年にCalyx(ケイラックス)というインターネット・プロバイダを運営していたニコラス・メリル氏です。メリル氏があえて裁判所に異議を申立て、長期の闘いを行った経緯をご覧ください。(10分)

チリ・クーデターから40年 ビクトル・ハラの遺族が米国で容疑者を提訴

2013/9/9(Mon)

2013年9月11日はもうひとつの9.11の40年目の記念日です。40年前のこの日、米政府が支援を受けた軍事クーデターにより、民主的に選ばれたチリ人民戦線政権のサルバドール・アジェンデ大統領は命を落とし、首謀者のアウグスト・ピノチェト(本来の発音は「ピノシェ」または「ピノチェ」)将軍による17年間の恐怖政治が始まりました。ピノチェトは左翼や労働運動、人権運動の活動家を徹底的に弾圧する一方、特にサッチャー英首相とニクソン・レーガン両米大統領の忠実な同盟者として極端な新自由主義「改革」を行い冷戦体制にあった西側諸国では「優等生」として称賛を得ました。クーデター直後に暗殺されたチリの伝説的な歌手ビクトル・ハラの妻でゲストのジョアン・ハラは、40年前にハラを殺害したとされる元軍人ペドロ・パブロ・バリエントスを米国で訴えています。バリエントスは在米歴約20年で米国籍を持っているため、ハラの遺族は国外で起きた人権侵害を米国の裁判所で審理することを認める連邦法に基づいて提訴しました。(24分)

イスラム学者タリク・ラマダン 中東に広がる反米運動を語る

2012/9/13(Thu)

一年ほど前、米国で作られた映画がイスラムを冒涜しているとして、北アフリアや中東に反米デモが広がりました。各国の米大使館が襲撃され、リビアでは大使など4人が殺害されました。「アラブの春」を経て、公正な自由選挙が実施され、その結果誕生したのはエジプトでもチュニジアでもムスリム同胞団出身の大統領でした。穏健派のムスリム同胞団の政府の下で反米運動が激化するのはなぜなのか?欧州の代表的なイスラム知識人タリク・ラマダンは、「アラブの春」以降の流れはイスラム主義をめぐる内部の葛藤や、複雑な経済利権の絡み合いなど、様々な要素を斟酌する必要があるといいます。(26分)

エジプト モルシ大統領解任 ふりだしに戻った民主化への道

2013/7/16(Tue)

エジプト初の民主選挙で選ばれたモルシ大統領は2013年7月3日、軍部によって大統領を解任されました。アラブの春と呼ばれた2011年の民主化運動でムバラク大統領が追放されて2年。解任される直前の6月30日には、モルシ大統領の出身団体ムスリム同胞団の本部が襲撃されるなどエジプト全土でモルシ氏解任を要求する大規模なデモが起きていました。モルシ大統領の在任中、主要産業である観光が低迷、失業率も2012年末に13%を超えていたのに加え、政権に批判的な活動家やジャーナリストを逮捕するなど強権的な政策への批判が高まっていました。形の上では民主的な選挙で選ばれたモルシ大統領に期待した国民の不満は高まる一方でした。(21分)

バーモント・ヤンキー原発が廃炉へ 老朽化する原発のゆくえ

2013/8/28(Wed)

2013年に入って以来、米国の原子力発電産業が急速に収縮しています。改良計画がキャンセルされた5基の原子力発電所を始め、6基の原発の新規構築計画が破棄されたほか、すでに既存の原発5基の廃炉が発表されました。これは、1年間に廃炉が決まった原発の数としては、過去最大です。8月に廃炉が発表されたバーモント州のバーモント・ヤンキー原発は、1972年に運転を開始した、全米で最も古い原発の1つです。放射性物質であるトリチウムの漏えい、周辺土壌からのセシウム137の検出など、安全性の問題がたびたび指摘されてきた同原発は、何十年もの間、原発反対派の抗議の対象でした。(7分)

コーネル・ウェスト オバマの偽善を批判―トレイボン・マーティン射殺裁判への発言で

2013/7/22(Mon)

マーティン・ルーサー・キング師の有名な演説『私には夢がある』を生んだワシントン大行進から50年。人種差別はなくなったのでしょうか?そんな問いに大きな疑問符をつきつけたのが、トレイボン・マーティン射殺事件でした。ご近所を歩いていた見かけないティーンエイジャーに目をつけた「自警団」の男ジョージ・ジマーマンが後をつけ、もみあいの末、射殺し正当防衛を主張したこの事件。ジマーマンがトレイボンをターゲットにしたのは、黒人だったから?裁判で出された判決は、無罪でした。これが正義と言えるのか?全米各地で抗議のデモが繰り広げられました。(25分)

混迷を深めるシリア内戦 パトリック・コウバーンの提言

2013/6/5(Wed)

シリアの内戦についてパトリック・コウバーンは、いまや内戦はシリア政府側と反政府側という構図に、反体制派の一部をなすアルカイダ系組織や少数宗派を含む対立が重なり、多層的な紛争に変容したといいます。欧米はアサド大統領の辞任を要求してきましたが、それをよそにシリア政府軍は着実に勝利を重ね、抗争は全体的には膠着状態にあるとコウバーンは言います。局地的にでも停戦を実現して暴力を減らすことが先決であり、それがないままいくら話し合いをしても無駄だと提言しました。化学兵器の使用についても政府軍が使用した証拠はないとしています。(20分)

1970年代のCIA告発者が語るスノーデン事件の「本当の問題」

2013/6/13(Thu)

エドワード・スノーデンによる国家安全保障局(NSA)の違法監視プログラムの暴露を受け、政府は火消しに懸命です。キース・アレグザンダーNSA長官が議会で証言し、NSAの通信データ収集によって数十件のテロが防止できたと主張し、監視活動についての国民への説明も大切だが一定の秘密は必要だと述べました。一方マスコミでは内部告発の信用を貶めようとするネガティブ・キャンペーンも始まっています。40年前に勇気をふるって政府機関の権力濫用を公表し、結果的に政府機関の権力濫用を食い止めることに成功した内部告発者クリストファー・パイルは、現在の事態をどう見ているのでしょうか?

グアテマラの元独裁者リオス・モントに歴史的判決下る

2013/5/13(Mon)

5月10日グアテマラの裁判所は元軍事独裁者エフライン・リオス・モントに対し、ジェノサイドと人道に対する罪で有罪、80年の刑を宣告しました。 中南米はもちろん世界中を見渡しても、元国家元首が自国の裁判所でジェノサイドの罪で裁かれるなんて初めて。しかも有罪判決が出たのは驚くべきことです。 (31分)

ブラックパンサー党の日系人幹部リチャード・アオキはFBIの情報屋だったのか?

2012/8/23(Thu)

リチャード・アオキは日系アメリカ人でありながらブラックパンサー党の初代メンバー。パンサーの武装化を手助けした人物として伝説的な存在です。また1969年にはアジア系アメリカ人の活動家としてカリフォルニア州立大学バークレー校でストライキを指導しアジア系アフリカ人研究学部の設立に大きな貢献をしました。その彼がFBIの情報屋だったという疑惑が浮上し、アオキを高く評価する人々を驚愕させました。(34分)

罰せられる島ビエケス 米軍撤退後も続く被害

2013/5/2(Thu)

ビエケス島は米領プエルトリコの本島の東側に位置する、プエルトリコ全体の面積の20分の1にも満たない小島です。1940年代以来、米国海軍は爆撃演習場としてビエケス島の4分の3を使用し続け、そのため島は不発弾や様々な廃棄物によって高度に汚染されました。島民による粘り強い反演習闘争は1999年の誤爆による民間警備員の死で転換点を迎え、2003年 ついに海軍は演習場を放棄しました。しかし爆発物の処理や環境除染は殆ど進んでおらず、住民多数に重金属その他の有害物質の体内蓄積が報告され、癌発生率 も異常な高率のままです。(13分)

世界を戦場にしていい理由 9.11から無人機攻撃まで

2013/5/17(Fri)

米国防総省の高官たちが、「アルカイダとその関連組織」との戦争は「少なくとも今後20年は続く」可能性があるとの見通しを述べました。この発言が出たのは2013年5月16日に開かれた上院公聴会であり、その目的は、9.11事件を受けて2001年に米国合同議会が可決した「テロリストに対する武力行使権限授与決議」(AUMF)の見直しでした。

この公聴会で国防総省の担当者は、 「軍が敵とみなす者がいるところが戦場」であり、武力行使権限決議(AUMF)は、シリアやイエメン、コンゴを含む世界のどこででも期限を切らない戦争を遂行できる権限を大統領に与えていると証言しました。これに対し、毅然と意義を唱えたのが、メイン州選出の無所属じアンガス・キング上院議員でした。「こんれほど不愉快で、呆れた公聴会ははじめてだ。あなたたちは今日いまこの場で憲法 を書き換えたと同じことをしたんですよ」。
(10分)

「人殺しには手を貸さない」市民的不服従としての納税拒否

2013/4/15(Mon)

エド・ヒードマン氏が所属する「戦争抵抗者連盟」によると、米国在住者が収める連邦税の約半分が何らかの形で戦争に使われているそうです。元良心的兵役拒否者でもあるヒードマン氏は、自分が連邦政府に収める税金が戦争に使われることへの抵抗として40年間納税拒否を続けています。(12分)

資本主義がインターネットを民主主義の敵にする

2013/4/5(Fri)

イリノイ大学教授のロバート・マクチェズニーは、インターネットは権力をもたない人々が平等に発言権をもち、大企業や政治権力と戦える「商業主義から自由なオアシス」とみられていた、と過去形で言います。しかしインターネットは過去20年、特にこの5年間で大企業による商業資本が席巻し、根本的な変質が起きたとマクチェズニーはいいます。(17分)

100のウィキリークスを:監視体制への対抗手段

2013/3/5(Tue)

内部告発者および内部告発を報道するジャーナリズム全体に対する委縮効果を狙った脅迫が激しくなっています。前代未聞ともいえる監視体制が敷かれていることが多くの人に知れ渡った今、監視されている私たちができることとは? (13分)

マニング裁判開始「私たちは内部告発に頼るしかない」

2013/3/5(Tue)

史上最大規模の国家機密を漏洩して軍事裁判にかけられているブラッドリー・マニング上等兵は予備審問で漏洩の事実を認め、司法取引を求めました。予備審問で初めて証言台に立ったマニングはウィキリークスに機密を渡した動機として、「戦争の本当のコスト」を米国人に示し、米国の外交政策について国内議論を促したかったからだと述べました。(11分)

米国の監視体制をあばいたNSA内部告発者エドワード・スノーデンが名乗り出る  インタビュー

2013/6/10(Mon)

米国政府が密かに行っている大規模な通信監視を暴露する内部資料が流出し、波紋を広げています。6月6日にはグーグル、マイクロソフト、アップルなど大手ネット企業9社の中央サーバーにNSAが直接アクセスして利用者の個人情報を入手する秘密プログラムPRISMの存在が明らかになりました。NSAの監視体制についてはこれまでも告発されてきましたが、動かぬ証拠となる内部資料がリークされたのは初めてです。マスコミも初めて大きく騒ぎ出し、ペンタゴン文書を超える破壊力を持つ米国史上最大のリーク事件です。6月9日、これらの内部資料を提供した人物が自ら名乗り出て、滞在先の香港のホテルでガーディアン紙のインタビューに応じました。エドワード・スノーデン氏は元CIA職員で現在はNSAのシステム管理者を務めるブーズアレン・ハミルトンの社員です。好条件の仕事と安楽な生活に恵まれた29歳の米国青年が、全てを投げ打って内部告発に踏み切った理由、そして名乗り出た理由をカメラの前で語りました。(15分)

カトリック教会に巣食うファシスト 信徒虐待と解放の神学弾圧の関係

2013/2/28(Thu)

近年のカトリック教会はスキャンダルまみれで、同性愛者や女性の司祭を認めない偽善性に加え、幼児性愛嗜好の神父たちによって多数の被害者が出ていることがドイツやアイルランドや米国で暴露されました。ベネディクト16世は早いうちから事態を知りながら、犯罪者をかばって組織的なもみ消しを図り、それが被害の拡大につながったようです。イタリア人のあいだでも教会不信は頂点に達し、教皇の退位を求めるデモも起きました。長い歴史を誇る組織が、ボルジア以来といわれる途方もない頽廃に陥ったことには、なにがしかの説明がほしいものです。元カトリック司教マシュー・フォックスによれば、今日の惨状の原因は、がちがちの教条主義者ベネディクト16世が、ラッツインガー枢機卿と呼ばれていた時代に異端審問を復活させ、教会内部の異論を摘発し、排除したことにあります。

移民法改革案「法律はいつも細部にワナがある」

2013/4/11(Thu)

二期目のオバマ政権で動き始めた移民改革法案 についてフアン・ゴンザレスが解説します。ゴンザレスは、この法案は21世紀の米国のありようを問うものだと言います。国内1100万人とも言われる無届移民に対して先行き不透明なオプションを提示する一方、国境警備の強化を柱とする法案は、すでに米国にいる低賃金労働者は確保しつつ移民の流入を制御する、一石二鳥を狙った法案ではないでしょうか。(9分)

バングラデシュ工場崩落 問われるグローバル企業の責任

2013/5/1(Wed)

2013年4月にバングラデシュの首都ダッカで縫製工場の労働者ら1000人以上が犠牲になるビル倒壊事故が起きました。縫製業はバングラデシュの輸出の8割 を占める産業になっていますが、現地企業と組んで奴隷労働に目をつぶるグローバル企業の姿がまたひとつ浮き彫りになりました。(17分)

コモーション・ワイアレス ネット接続を皆で共有し、参加型の民主主義を推進しよう

2013/3/5(Tue)

インターネットと民主主義の関係では心配な話題ばかりが続いていましたが、久びさにネットを民主化推進の手段として使おうという明るい話題です。ネットの監視や検閲への危惧が強まる中、今年のF2C(通信の自由)会議で、ユーザーの無線端末を直接つないだメッシュネットワークでプロバイダを介さずにネット接続を共有する”Commotion Wireless”が米国でリリースされるという報告がありました。エジプト革命の時にムバラク政権が反政府運動を弾圧するためネットを遮断するという暴挙に出ましたが、そのときに海外のネット活動家が迂回手段を提供して民主化運動を支援するという出来事がありました。ommotion Wirelessは、そのときの技術を受け継いでいます。(7分)

チャベスの遺産とベネズエラの未来 追悼座談会 後篇

2013/3/6(Wed)

ウゴ・チャベスは高騰する原油価格による潤沢な資金を武器に周辺諸国への経済協力を実施し、2000年代から中南米およびカリブ海域で躍進した様々な左派政権を代表する存在となり、地域の急進派を糾合した政治同盟である米州ボリバル同盟(ALBA)、欧米メジャーに対抗して地域に安価な石油を供給することを目指したPetrocaribeやPetrosur、地域共通のメディアとしてのTeleSURなどの創設の中心となった他、メルコスール(南米共同市場Mercosur)の活性化や米州機構(OAS)内での米加両国の影響力の抑制などに邁進しました。歯に衣着せぬが故に時に粗野にも映る発言と民衆に直接語りかける政治手法は、国内外の貧困層の喝采を浴びる一方で、多くの西側メディアや寡頭支配層に牛耳られる国内メディアからは激しい批難の的となりました。チャベス政権の期間を通して、国内の貧困は大幅に削減され、非識字の根絶や一般民衆の政治参加は大きな飛躍を遂げましたが、「彼ら」と「我々」を対比する政治的レトリックは国論を完全に二分しました。(13分)

チャベスの遺産とベネズエラの未来 追悼座談会 前篇

2013/3/6(Wed)

14年間にわたってベネズエラ大統領を務め、「反米」左翼政権の代表として国際的な注目を浴びると同時に、国内世論を二分し続けたウゴ・ラファエル・チャベス・フリアス氏は、2年間の癌闘病の末、2013年3月5日に58年の短い生涯を終えました。地方の庶民家庭に生れたチャベス氏は、青年期からフィデル・カストロやシモン・ボリバルの中南米独立思想に強い影響を受け、長じては職業軍人として軍内に革命運動組織を創設。1992年には当時のカルロス・アンドレス・ペレス政権による国民抑圧に反抗し、クーデターを起して未遂に終るものの、投降時の記者会見では多くの国民の共感を呼び、若き政治指導者として急速に支持を得ました。(25分)

「癒える権利」運動:私たちは共に同じ戦争による被害者

2013/3/20(Wed)

「自分たちは共に、同じ戦争による被害者である」ー戦争中は、殺す側と殺される側に二分されていた元米軍兵士とイラク市民が、このたび手を携えて、「癒える権利」運動を立ち上げました。多くのイラク人、また退役軍人やその家族は、今も戦争の後遺症であるトラウマや身体的な傷に悩まされており、その影響は次世代である子どもたちにも及んでいます。また、バックに米政府がいるイラクの現政府が、国の天然資源を外国に売り渡していることも、イラク社会の復興を妨げていると運動は指摘しており、長期にわたる戦争の後遺症と、人々の癒える権利について、米国政府が事実を承認し、その上で責任をとることを要求しています。(14分)

サイファーパンクス ジュリアン・アサンジが語るネットの自由と未来 (後半)

2012/11/29(Thu)

後半では、獄中のジェレミー・ハモンドと彼がハックしたとされる「ストラトフォー・ファイル」の重要性について説明しています。マニングが暴露した米軍や国務省の内部文書と並んで、ウィキリークスで公開されている中でも特に重大な機密文書群が、米国の軍や政府に大きな影響力を行使する民間諜報サービス会社ストラトフォーの内部メールです。諜報活動まで民営化される新自由主義の時代に、国家機密がいかに私企業の利益と絡み合っているのかを浮き彫りにする資料です。こうした政府の実態は、もはや大手メディアによる暴露を期待することはできません。内部告発こそが私たちに真実を知らせてくれるのですが、米国政府はスパイ罪や反逆罪などとを使って脅しています。ハモンドやマニングのような獄中の内部告発者たちの身の上にもっと注目するようアサンジは促します。マニングは今年もノーベル平和賞にノミネートされていますが、こういう動きを支持していきたいものです。(20分)

サイファーパンクス ジュリアン・アサンジが語るネットの自由と未来 (前半)

2012/11/29(Thu)

エクアドルに政治亡命を認められながらロンドンの大使館から一歩も出られないジュリアン・アサンジに、昨年末に行った長編インタビューです。クレジット会社との訴訟やブラッドリー・マニング裁判などについてのアップデートに加え、最近アサンジが他の大物ハッカーたちと共著で出版した電子本『サイファーパンクス』(Cypherpunks: Freedom and the Future of the Internet)の内容が目玉です。インターネットが自由と民主主義の拡大をもたらす夢のツールから一転して、国家が市民の一挙一動を掌握しプライバシーが完全に消滅する究極の監視国家をもたらす悪夢の発明に変質しつつある今、私たちはどのように個人の独立を守ることができるのか? 個人と国家のあいだのまったく新しい関係とは?そこで暗号化が果たす役割は?(18分)

TORプロジェクトのジェイコブ・アッペルボーム 歯止めのない捜査手法に懸念 

2012/4/20(Fri)

ジェイコブ・アッペルボームはTORプロジェクトの中心メンバー。すべての人が制約を受けずにインターネットを閲覧できる権利、自由に発言できる権利を保証するための匿名化ツール「TOR」の開発と推進にかかわってきたハクティビストです。彼は2010年のHope(Hackers on the Planet Earth)大会でウィキリークスのジュリアン・アサンジに代わって基調講演を行って以来、米捜査当局にマークされて度重なる取り調べを受けたり通信情報を監視されたりしています。「炭坑のカナリア」の役を買って出たというアッペルバームのgmailアカウントに関しては、全メールのメタ情報を引き渡すようFBIがグーグルに対してNational Security Letter (国家安全保障書簡)を出したらしいと言われています。(10分)

元NSA職員ウィリアム・ビニーが国民監視体制の拡大を警告

2012/4/20(Fri)

国家安全保障局(NSA)が密かに進める大規模な通信監視プログラムの危険性について、元職員ウィリアム・ビニーが警告します。前回、この番組に登場したウィリアム・バンフォード記者の主要な情報源となった人物です。ビニーは長年NSAに努め、ネット時代に対応した情報収集システムの開発に深くかかわってきましたが、2001年9.11同時多発テロ事件が起きる直前にNSAを辞職しました。その段階でNSAがすでに違法で危険な大規模監視プログラムの開発に舵を切っていたからです。以後はマスコミを通じて計画の危険性を訴えてきましたが、そのためにFBIの家宅捜索を受けるなどの当局による威嚇も受けてきました。(18分)

オリバー・ストーンの「語られざる米国史」後篇

2012/11/26(Mon)

アカデミー賞受賞監督オリバー・ストーンが、歴史家でアメリカン大学教授のピーター・カズニックと共同で、10回シリーズのテレビ番組『オリバー・ストーンの 語られざる米国史』を撮り、大部の書籍『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(早川書房)を刊行しました。記録資料からの新発見や最近になって公開された公文書に依拠しながら、日本への原爆投下から冷戦、共産主義の凋落、そしてオバマ政権へとつながる米国史の全ての道程を批判的に検証しています。いわゆる「秘史」というよりも、顧みられず忘れられた米国政治の歴史を、政府や企業メディアが提示する公式見解とは違う視点で語り直すことに主眼を置いています。(16分)

オリバー・ストーンの「語られざる米国史」前篇

2012/11/16(Fri)

アカデミー賞受賞監督オリバー・ストーンが、歴史家でアメリカン大学教授のピーター・カズニックと共同で、10回シリーズのテレビ番組Oliver Stone's Untold History of the United States(『オリバー・ストーンの 語られざる米国史』)を撮り、大部の書籍『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(早川書房)を刊行しました。記録資料からの新発見や最近になって公開された公文書に依拠しながら、日本への原爆投下から冷戦、共産主義の凋落、そしてオバマ政権へとつながる米国史の全ての道程を批判的に検証しています。いわゆる「秘史」というよりも、顧みられず忘れられた米国政治の歴史を、政府や企業メディアが提示する公式見解とは違う視点で語り直すことに主眼を置いています。(23分)

『リデンプション』 大都市の片隅で空き缶回収で暮らす人々

2013/1/31(Thu)

多くの受賞歴を持つ映像作家コンビが、空き缶拾いで暮らす人々をカメラで追いました。長引く経済の低迷で、かつてはミドルクラスの収入を得ていた人たちが職を失い、空き缶回収で日々をしのぐ人がニューヨークで目立って増えてきたことがこの映画を作る背景だと言います。(8分)

真の公平性とは?メアリー・ロビンソンの提言

2012/12/4(Tue)

2012年、カタールのドーハで開かれた国連気候変動会議に出席したメアリー・ロビンソンは、「衡平性」(equity )を「不公平な事実を考慮すること」と説明しました。途上国と先進国の間に大きな差がある中で、公平に責任を負担し、恩恵を分けあうことを考えることは、気候正義(Climate Justice)を追求することでもあります。第三世界の資源を使って富を得た先進国は途上国に対して負債があるとする気候負債の考えも、衡平性(equity )を達成するための申し立てと言えるでしょう。(10分)

接続の自由:アーロン・シュワルツのF2C基調講演

2013/1/14(Mon)

2013年1月11日に自殺したサイバー活動家で天才プログラマーのアーロン・シュワルツは、著作権業界が推進する「オンライン海賊行為防止法案」SOPAの阻止を目指して、専門家だけでなく一般の人々のあいだにも反対の声を広めるのに大奮闘しました。ネットの力を結集して巨大産業が推進する協力な法案を廃案に追い込んだ素晴らしい運動の顛末について、昨年5月に開かれたF2C(Freedom to Connect)全国大会の基調講演で本人が語ります。(23分)

アーロンシュワルツはなぜ死んだか?

2013/1/14(Mon)

オープン・インターネットの活動家アーロン・シュワルツが、2013年1月11日に自殺しました。わずか14歳でRSSの技術基盤をつくった天才プログラマーです。自由なインターネット空間を唱導してきた憲法学者ローレンス・レッシグとも親交が深く、著作物の有効利用のための承認制度クリエイティブ・コモンズの立ち上げや、オンラインのオープン百科事典ウィキペディアなどにもかかわってきました。(20分)

『汚い戦争』―世界に広がるオバマの戦争

2013/1/22(Tue)

10周年を迎えたサンダンス映画祭ドキュメンタリー部門で初上映された映画『汚い戦争:世界は戦場だ』を制作した調査報道記者のジェレミー・スケイヒル氏と映画監督のリック・ローリー氏が、アフガニスタン、イエメン、ソマリアで拡大を続ける米国の秘密戦争について語りました。2期目を迎えたオバマ大統領は長期にわたる戦争を終結させると宣言したものの、国家機密特権や無人機爆撃を強化し、ブッシュ政権以上に戦争を拡大させた戦争政権だと語ります。

【EXPRESS】追悼 チャベス大統領 ~オバマは「地獄のにおい」

2012/12/21(Fri)

ベネズエラのウゴ・チャベス大統領が2013年3月5日カラカスの病院で亡くなりました。がんを患いキューバで4度目の手術を受けた後、予後が思わしくなく容体が懸念されていました。英語圏の報道ではさっそくネガティブ・キャンペーンが始まっており、BBCは「独裁者スターリンの死と比較」、WSJは「旧世代の独裁者カストロ氏と年下の弟子である専制主義者チャベス氏は経済的、政治的な関係を構築し、今日ではキューバ、ベネズエラ両国の運命を左右するまでになっている」などと書き、民主主義の敵というイメージを刷り込もうと懸命です。(6分)

「ピンチはチャンス」ナオミ・クライン 巨大ハリケーン「サンディ」後の戦略を語る

2012/11/15(Thu)

2012年秋、ニューヨークを直撃したスーパーストーム・サンディ。環境と民主主義に関する新しい著書、そしてその映像版となるドキュメンタリー・フィルムを執筆・制作中のナオミ・クラインが、講演会後の質疑応答で「サンディ後」を語った貴重な映像です。世界的なベストセラーとなった主著『ショック・ドクトリン』で、経済や環境の危機に乗じて右派が展開する、民主主義を切り崩し権力を独占する戦略をみごとに分析してみせたクラインですが、実は危機の利用はもともと左派のお家芸だったと語ります。(7分)

借金をストライキ!「ローリング・ジュビリー」とは?

2012/11/15(Thu)

最初期から占拠運動を支援してきたデイビッド・グレーバーが著書『債務 最初の5000年』で語ったように、貧困層は債務を通じて富裕層に無限に縛りつけられてきた。ローリング・ジュビリーは、ウォール街占拠運動から派生したストライク・デット(「借金をストライキせよ」)と、占拠運動のなかで当初から提起されていた学生の負債問題にとりくむ占拠運動学生債務キャンペーンなどのグループが協力して立ち上げた、債務に対する新しいかたちの抵抗運動である。寄付などを通じて集められた資金を使って債券市場に出回る債権を買い上げ、廃棄するのである。債券市場では個々人の債権の特定は困難であるため、この運動は純粋な相互扶助として行われている。(

バングラデシュの工場火災跡からウォルマート・ブランドの服が

2012/11/27(Tue)

2012年11月24日、バングラデシュで起きた衣料品工場火災は112名の死者を出す大惨事となりました。労働者の逃亡を防ぐため出口にはあらかじめ鍵がかかっていたとみられ、死者のほとんどは工場内に閉じ込められて焼死、7階から飛び降りた人も多くいました。避難用の外階段はありませんでした。バングラデシュでは過去5年間、衣料品工場での火災による死者が700名を超えていると言われます。バ ングラデシュの縫製労働者の賃金は月4000円程 度で世界でも最低水準となっています。(31分)

もう1つの9/11:1973年9月11日 米支援のピノチェトがチリの実権を握った日

2010/9/15(Wed)

チリで9.11と言えば、1973年の軍事クーデターを指します。米国の支援を受けたピノチェト将軍が、民主的に選挙で選ばれたアジェンデ政権を倒した日です。それ以降、チリでは独裁政権が反対派の誘拐や虐殺を繰り返して国民を恐怖に陥れ、その一方でシカゴ学派の主張に沿った新自由主義経済政策が徹底的に推進されました。このショックドクトリンの最初の「実験」は、その後、IMFの手動でバブル崩壊後の中南米全体に広がり、大多数の国民を困窮させて、現在の中南米のアメリカ離れの種を撒くことになりました。今ではそれが全世界に拡大していますが、今日の私たちが直面する問題の先駆けとなった事件として、チリ・クーデターの意義は一段と大きくなっています。(17分)

CIA職員がイタリアで有罪に オバマ政権は拷問を免罪パート2

2012/9/21(Fri)

2001年9月11日にNYの世界貿易センタービルが崩壊してから10年余がたちました。ウィスコンシン大学マディソン校のアルフレッド・マッコイ教授は、「この10年は米国の政治史において、きわめて異例な10年でした」と驚きをもって語りました。米国は、国際社会が禁止した拷問を、政府の正式な政策として採用したのです。もちろん拷問とはいいません。別の名前をつけたのです。「強化尋問テクニック」です。ブッシュ政権が打ち出したこの拷問政策を担ったのはCIAでした。米国の敵とされたアルカイーダ要員は世界中にいます。そのため、米国は、米国が容疑者とみなした人物を尋問するために、グアンタナモ収容所あるいは拷問をしてくれそうな第三国に移送する必要がありました。そのための移送にも特別な名前をつけました。「特例拘置引渡し」です。(9分)

CIA職員がイタリアで有罪に オバマ政権は拷問を免罪

2012/9/21(Fri)

2001年9月11日にNYの世界貿易センタービルが崩壊してから10年余がたちました。ウィスコンシン大学マディソン校のアルフレッド・マッコイ教授は、「この10年は米国の政治史において、きわめて異例な10年でした」と驚きをもって語りました。米国は、国際社会が禁止した拷問を、政府の正式な政策として採用したのです。もちろん拷問とはいいません。別の名前をつけたのです。「強化尋問テクニック」です。ブッシュ政権が打ち出したこの拷問政策を担ったのはCIAでした。米国の敵とされたアルカイダ要員は世界中にいます。そのため、米国は、米国が容疑者とみなした人物を尋問するために、グアンタナモ収容所あるいは拷問をしてくれそうな第三国に移送する必要がありました。そのための移送にも特別な名前をつけました。「特例拘置引渡し」です。(15分)

米大統領選テレビ討論会で隠されたこと

2012/10/16(Tue)

米大統領選挙の投票日が近づいていた2012年秋、民主党のオバマ大統領を共和党のロムニー候補が激しく追い上げ、テレビで放映された公開討論会に、有権者の注目が集まりました。けれども、「米国大統領選:討論会で裏取引?」でもご紹介したように、この公開討論会は、二大政党の枠に有権者を取り込み、それ以外の選択を見えなくすることを狙い、操作されています。司会者には、主流メディアのジャーナリストが選ばれますが、中立を装いながら実は、質問内容はじめさまざまな制約を課され、がんじがらめです。少数政党の候補を排除し、二大政党が一致している問題を議題からはずすことで問われるべき政策が問われず、投票者が大統領候補の考えを聞く貴重な機会が失われてしまいます。(21分)

米国大統領選:討論会で裏取引?

2012/10/16(Tue)

2012年後半、米国では大統領選、日本では政権交代となった衆院選と大きな選挙が続きました。2回目の大統領討論会の直前、オバマ・ロムニー陣営の間で討論に関する覚書が交わされているという暴露記事がタイム誌に載りました。「大統領討論委員会が主催する討論会以外の討論会には出席しない」「お互いに追加質問はしない」など、覚書には事細かにルールが決めてありました。(15分)

大統領候補者が公開討論に参加しようとして逮捕

2012/10/17(Wed)

米国の大統領選の直前に行われる恒例のテレビ討論会は、全世界の注目を集める大イベントと言っても過言ではないでしょう。しかし出てくるのはいつも2大政党の候補者のみ。この討論会の主催者が少数政党の候補者たちを除外しているからです。緑の党の候補者たちは、自分たちが排除された討論会場に出掛けて行き、逮捕されてしまいました。ジル・スタインが逮捕の様子を語ります。(6分)

ウィノナ・ラデューク 「インディアンの土地の軍事化」を語る

2011/5/6(Fri)

先住アメリカ人活動家で作家のウィノナ・ラデュークが新著The Militarization of Indian Country(『インディアンの土地の軍事化』)について話します。米国の発展は先住アメリカ人の土地を強奪して拡大してきた歴史であり、先住民のために残された居住区(リザーブ)にも、さまざまな形で軍産複合体が触手を伸ばしています。軍事基地や核実験場、石炭やウランの採掘場などがインディアンの土地を汚染し、米軍がVXガスを投棄した「VX湖」まであるそうです。(16分)

ビンラディンを ジェロニモと呼び、いまも先住民の撲滅にいそしむ米国政府

2011/5/6(Fri)

米軍によるオサマ・ビンラディン殺害作戦は様々な論議や摩擦を引き起こしましたが、その一つが、アメリカ先住民社会からの激しい反発です。この殺害作戦に「ジェロニモ」というコードネームがついていたことが判明し、伝説的なアパッチ族の指導者ジェロニモの名を、テロリストを追い詰めて殺す作戦に使うとはなにごとかと先住民社会が激怒したのです。米軍がこうしたネーミングをしたことには民族迫害の長い歴史と直接つながっているからです。(9分)

先住民活動家デニス・バンクス「同化政策は失敗」

2012/10/8(Mon)

アメリカ先住民の活動を第一線で支えて来たデニス・バンクスは、4歳で家族と引き離されて寄宿学校に入れられ、先祖の言語や文化を忘れさせる教育を受けました。この事業を主に担ったのはキリスト教の教会でした。言葉の喪失は文化の喪失、アイデンティティの喪失です。「新大陸発見」を「コロンブスの日」として祝い、町や村に先住民との戦争で手柄を立てた軍人の名をつけ、先住民の子供たちを家族から隔離して同化政策を施すー侵略者の言葉でしか語ることを許さない政策は米国に限った事ではありません。(15分)

マイケル・ポーランが語る遺伝子組み換え産業による食の支配─ニューヨーク市の甘味料入り清涼飲料水販売規制をめぐって

2012/10/24(Wed)

ジャーナリストでベストセラー作家のマイケル・ポーラン教授が再登場。カリフォルニア州で州民投票に掛けられた、遺伝子組み換え食品の表示を義務付ける「提案37号」を中心に、米国における食の運動とその周辺を語ります。食品の工業化の弊害を告発し続けるポーラン教授は、企業に与えられた「言論の自由」と産学官の「回転ドア」によって、モンサントやデュポンなど遺伝子組み換え推進派の巨大企業が二大政党とマスメディアを支配している構造を明らかにし、大金をかけて自然で健康的な食生活を維持できる富裕層と、選択肢を奪われて工業化された食を強制される圧倒的多数へ、食の階層化が進行することを強く懸念しています。

マイケル・ポーランが語る遺伝子組み換え産業による食の支配─遺伝子組み換え食品の表示をめぐって

2012/10/24(Wed)

ジャーナリストでベストセラー作家のマイケル・ポーラン教授が再登場。カリフォルニア州で州民投票に掛けられた、遺伝子組み換え食品の表示を義務付ける「提案37号」を中心に、米国における食の運動とその周辺を語ります。食品の工業化の弊害を告発し続けるポーラン教授は、企業に与えられた「言論の自由」と産学官の「回転ドア」によって、モンサントやデュポンなど遺伝子組み換え推進派の巨大企業が二大政党とマスメディアを支配している構造を明らかにし、大金をかけて自然で健康的な食生活を維持できる富裕層と、選択肢を奪われて工業化された食を強制される圧倒的多数へ、食の階層化が進行することを強く懸念しています。

インターネットがあなたに見せないもの

2011/5/27(Fri)

インターネットの世界は急速なアルゴリズムの進化によってどんどんカスタマイズ化されています。同じ言葉を検索しても、結果は人によって異なります。特に指示を出さなくても、あなたの居場所やデフォルトの言語、これまでの検索やクリックの履歴をもとに割り出した、あなたにぴったりの候補が示されるようになっているからです。見たい情報がすぐ探せて、とっても便利? でも、もしかしたら省かれてしまった情報の中に探していたものがあったかも。知らないうちに、情報が選別されているのは困ったところもあります。おまけに、あなたの好みの情報(と機械が判断した)ものばかりを並べられては、同じ傾向の情報ばかりに取り囲まれてしまいます。知らないうちに見たいものばっかりを見せられていると、どんどん視野が狭くなって、結果的に判断を誤るかもしれません。(23分)

ウディ・ガスリー:秘蔵映像とリバイバル・ソングで綴るラディカルな人生 パート2

2012/7/4(Wed)

2012年、米国が生んだ最も偉大なソングライターの1人、ウディ・ ガスリーの生誕100年記念イベントが全米で開かれました。ウディ・ガスリーという名は知らなくても「我が祖国」(This land is your land)という歌は知っているという人は多いでしょう。1970年代のフォーク・ブームになじみのある世代には、ボブ・ディランやピート・シーガーに多大な影響を与えたシンガーソングライターとして知る人も多いと思われます。「我が祖国」がしばしば「米国の第二の国歌」といわれ、ガスリー自身も切手に登場するなど国民的栄誉を与えられるなか、ウディ・ガスリーの活動家としての面に焦点を当て、その波乱に富んだ人生を振り返ります。

ウディ・ガスリー:秘蔵映像とリバイバル・ソングで綴るラディカルな人生 パート1

2012/7/4(Wed)

2012年、米国が生んだ最も偉大なソングライターの1人、ウディ・ ガスリーの生誕100年記念イベントが全米で開かれました。ウディ・ガスリーという名は知らなくても「我が祖国」(This land is your land)という歌は知っているという人は多いでしょう。1970年代のフォーク・ブームになじみのある世代には、ボブ・ディランやピート・シーガーに多大な影響を与えたシンガーソングライターとして知る人も多いと思われます。「我が祖国」がしばしば「米国の第二の国歌」といわれ、ガスリー自身も切手に登場するなど国民的栄誉を与えられるなか、ウディ・ガスリーの活動家としての面に焦点を当て、その波乱に富んだ人生を振り返ります。(45分)

『アメリカン・ドリームの裏切り』バーレット&スティールが新著を語る

2012/7/30(Mon)

ドナルド・バーレットとジェームズ・スティールは40年以上にわたりコンビを組んで調査報道を行い、ピュリッツァーはじめ数々の賞を受賞してきました。1991年に発表されたベストセラー『アメリカの没落』は邦訳も出ていますが、当時のアメリカの繁栄の陰でひっそり始まっていた異変、産業の空洞化と中流層の没落に警鐘を鳴らした名著です。20年後のいま、その続編にあたる、The Betrayal of the American Dream(『アメリカン・ドリームの裏切り』)が発表されました。

テロ容疑者の罪状なき無期限拘禁は合衆国憲法に違反 国防権限法に差し止め判決

2012/5/17(Thu)

オバマ大統領が昨年末に署名した2012年度の国防権限法(NDAA)に連邦裁判所が違憲の判断を下しました。米国大統領に、テロ組織に関係していると疑われる人物を適切な裁判手続きを経ずに世界のどこでも逮捕して無期限に拘禁する権限を与える条項が入っているからです。これに対して民間の学者やジャーナリストから憲法違反ではないかとの訴えが連邦裁判所に出されています。原告団には、ノーム・チョムスキー、ダニエル・エルズバーグ、ナオミ・ウルフ、コーネル・ウエスト、クリス・ヘッジズら著名な人々も含まれています。番組では原告団の弁護士とクリス・ヘッジズを招いて、そのいきさつを聞きます。(13分)。

WikiLeaks:米国大使館によるハイチ干渉の実態

2011/6/3(Fri)

ウィキリークスが2011年に暴露した米国国務省の外交公電により、ハイチに対する米国大使館の事細かな干渉が裏付けられました。ベネズエラが推進していたエネルギー協定(ペトロカリブ協定)に参加しようとしたハイチを、米国大使館と石油メジャーがあの手この手で妨害していたことが分かったのです。(17分)

映画『帝国の収穫』で見る米国と移民の「切っても切れない関係」

2012/9/25(Tue)

デモクラシー・ナウ!の共同司会者フアン・ゴンザレスの著書『帝国の収穫』が映画化されました。このセグメントに出てくるテレビキャスターは興味深いことを言います。「私たちが移民に何をしたというの?奴隷制の遺産がある私たちは黒人に対して借りがある。でも移民は米国にこれまでいなかったのに」。米国の移民法の改正の歴史を見ると、どの時代にどのエスニックグループが脅威とされたかを表わしているようです。1980年代以降、脅威とされたのがラティーノ・ヒスパニック系の移民でした。(31分)

NY市警に沈黙の抗議 マイノリティ市民の自由を奪う路上尋問

2012/6/19(Tue)

仕事や通学、何かの用事ででかけたり友人を訪ねたりの途上。そういえば、「ベンチにすわって星をながめていただけなのに」という若者の話も聞いたことがあります。突然、警官が現れて、お前は誰だ、ここで何をしていると問いただされる。ボディチェックされたり、拳銃をつきつけられることすら。なぜ?理由は、おそらくあなたが黒人だったりラティーノだったりするから。それだけで十分、あやしげな奴なのです。2011年、「ストップ・アンド・フリスク(stop-and-frisk)」と呼ばれるNY市警の「路上尋問」活動は約70万回、実施されました。(12分)

米国公民権運動を20代の信念で支えたジョン・ルイス 投票権獲得の闘いを語る

2012/7/10(Tue)

フリーダムライドの運動に加わった時、ジョン・ルイスは20歳そこそこの大学生。ガンジーの流れをくむ非暴力直接行動を信奉し、頭を割られても激しい暴力と憎悪にさらされ40回も逮捕されながらも人々の良心の力を信じました。キング師が「私には夢がある」という有名な演説をした1963年のワシントン大行進では、SNCC(学生非暴力調整委員会)の議長として若者を代表して演説を行ない、南部での投票権獲得運動でも武装した警察の隊列に向かって停まることなく行進を続けました。その彼の徹底インタビューです。(50分)

人体実験の暗黒の歴史 ナチからタスキギー、プエルトリコまで

2010/10/5(Tue)

医療の発展のためには人体実験にも必要悪の面もありますが、それを行うときには厳格な規制と医療倫理が要求されます。とくに披験者に対して、危険についての十分な説明をしたうえでの同意をとることは絶対に必要です。第二次大戦中のナチスによる生体実験や日本軍の満州第731部隊の行った実験への反省から、1947年のニュールンベルグ綱領は披験者の同意のない人体実験を「人道に対する罪」であると規定しています。しかし米国は、これをナチや日本軍のような野蛮な連中の行為であるとみなしたため、自国の医療研究の現場にそのようなことが起きるとは思ってもみなかったようです。医学史家スーザン・レバビーが、米国の内外で行われた人体実験の歴史について語ります。(16分)

1940年代グアテマラで米国人医師が梅毒感染実験

2010/10/5(Tue)

米国が1940年代のグアテマラで、ペニシリンの治療効果を調べる研究のために、現地人の兵士、囚人、売春婦、精神病患者ら約700人に対して故意に梅毒や淋病を感染させたことが、2010年秋に発覚しました。感染させられた人々が治癒したのか、あるいは少なくとも治療を受けることができたのかさえも、わかっていません。(18分)

死の薬:米食品医薬品局 急速成長の海外治験産業の規制できず

2010/12/17(Fri)

米国の製薬会社が新薬の治験を米国の外で実施するケースが、近年になって急速に増加しています。海外での治験は20年前にはわずか271件でした。それが2008年には6500件近くになっています。海外の治験場に選ばれるのは、規制が緩く、治験費用が非常に安あがりな国々です。しかも多くは貧乏で文字も読めない被験者を使って実施されているのです。そのことが、しばしば人命に関わるような重大な事故につながっています。この問題について調査報道記事を掲載したジム・スティール記者に話を聞きました。(15分)

WikiLeaks: ファイザー ナイジェリアで子供への実験薬投与による医療被害のもみ消しをはかる

2010/12/17(Fri)

巨大製薬会社ファイザーが調査員を雇ってナイジェリアの法務長官の汚職の証拠を見つけ出そうとしていたことが、ウィキリークスが公開した外交公電でわかりました。法務長官の弱みを握って、ナイジェリアの子供たちを死なせた不正な未承認薬投与試験をめぐる60億ドルの訴訟を取り下げるよう圧力をかけるためです。この実験で試験員たちは投与試験の署名同意書を得ず、また医療関係者によると、ファイザーは子供たちの親に実験薬を投与することを伝えていなかったといいます。(16分)

「住宅を占拠しよう」差し押さえ阻止の直接行動

2011/11/11(Fri)

ウォール街の占拠から全国に波及したオキュパイ運動の背景には、住宅ローンの破たんと差し押さえの激増がありました。年末を迎えても差し押さえの件数は増加の一途で、強制退去の執行はむしろ加速しています。しかし金融機関の差し押さえ手続きは貸し付けのときと同様、ずさんででたらめです。オキュパイ運動から派生した「住宅を占拠せよ」という運動は、金融機関による住宅差し押さえの危機にさらされた人々を支援するために、住民の要請に応じて住宅を占拠して立ち退きを阻止しようとするもので、かなりの成功を収めています。(15分)

なぜ?停戦交渉が進む中で行われた2012ガザ爆撃

2012/11/16(Fri)

2012年11月イスラエルはガザへの爆撃を激化させ、14日にはハマス軍事部門指導者アフメド・ジャバリを暗殺しました。暗殺される直前、ジャバリは停戦交渉に応じる意思をエジプトを介してイスラエル側に伝えていたとガーション・バスキンが明かしました。和平交渉や停戦交渉が進み始めるとパレスチナに軍事攻撃をくりかえすイスラエル。バスキンは暗殺されたジャバリを「平和を望む人物ではない」と評しましたが、その言葉はイスラエル政府にもあてはまるのではないでしょうか。

内部告発した米軍兵士ブラッドリー・マニングの人生は「アメリカそのもの」

2012/6/8(Fri)

米軍によるイラク民間人爆撃ビデオや米国国務省の外交公電など大量の機密情報をウィキリークスに渡したとされ、起訴されたマニング上等兵は、拘束されて2年以上がたちますが軍事裁判は遅々として進んでいません。2012年9月に予定されていた軍事法廷は2013年2月に延期となりました。クワンティコ海兵隊基地では拷問に匹敵する処遇を受けていたことが指摘され、カンザス州フォートレブンワース陸軍刑務所に移されました。待遇は改善されたと言われていますが、罪状には「敵に利する行為」が含まれており、死刑になる可能性もあります。(21分)

ガンジーの非暴力とは~ガンジーの言葉を通して

2012/6/5(Tue)

ノーマン・フィンケルスタインは、イスラエル・ロビーに対する厳しい批判で知られるパレスチナ・イスラエル問題の論客です。ガンジーの時代のインドにパレスチナとの共通点をみつけ、ガンジー全集98巻の半分を読破したというフィンケルスタイン。そこでガンジーの非暴力が正しく知られていないことがわかったといいます。ガンジーにとって非暴力とはどういうものだったのでしょう。(17分)

過去最高の選挙献金 大富豪たちが密室で決める 選挙のゆくえ

2012/8/29(Wed)

8月28日フロリダ州タンパで開かれた共和党の全国大会には数千人のジャーナリストたちが取材つめかけました。しかし会場から離れた市内の一角では、11月の総選挙の行方に決定的な影響をおよぼす秘密会議がひっそりと開かれていました。巨額の資金を投じて共和党候補を応援する大富豪やその代理人です。ハフィントン・ポスト紙によれば、28日に行われた会議には、ブッシュ政権で「大統領の頭脳」と言われたカール・ローブの選挙資金管理団体アメリカン・クロスロード(American Crossroads)や億万長者チャールズ・コークとデイビッド・コークの代理人、米国商工会議所の代表などが集まり、オバマ再選阻止のための共同作戦を練ったようです。(14 分)

ハゲタカ・ファンドで築いたミット・ロムニーの財産

2012/8/30(Thu)

共和党の大統領選候補ミット・ロムニーは、ウォール街の熱烈な支持を受けて指名を勝ち取った大富豪の政治家です。「穏健派」というラベルを貼られがちですが、それはお金のこと以外には淡白なので人工中絶や同性婚問題に関しては宗教右派の候補に比べ穏健に見えるだけのことで、ロムニーの本質は金融資本の利益代表です。その本性を把握するには、彼の巨万の資産がいかに築かれたかを見る必要があります。1984年にロムニーが共同設立し、ベイン社(Bain&Company)から分離独立させたプライベートエクイティ・ファンドのベインキャピタル社(Bain Capital)は、企業を標的にするいわゆる「ハゲタカ」資本主義の典型です。
(21分)

オリンピックに乗っ取られたロンドン 

2012/7/31(Tue)

2012年ロンドン・オリンピックのメイン会場となったのはイースト・ロンドンの人口密集地です。英国防省は警備の一環として、人口密集地の給水塔の屋根に地対空ミサイルを配備しました。さらにヘリコプターや戦闘機もスタンバイ。オリンピックは戦争なのでしょうか?(20分)

黒人の自由を求める運動の肉声を記録したパシフィカアーカイブ

2012/2/29(Wed)

独立放送局の草分け、パシフィカ・ラジオ。そのアーカイブには5万5千本もの録音テープが収蔵されています。主要メディアが見向きもしなかった活動家や思想的指導者をいちはやく取材し、市民の運動、なかでも公民権運動を盛り上げるのに貴重な役割を果たしたパシフィカですが、録音テープの劣化が危ぶまれています。その記録に一番身近に接する機会をもつパシフィカ・ラジオ・アーカイブの責任者のブライアン・デシャザーは、その価値がわかるだけに、なんとかデジタル化を進めて保存してアクセスを容易にし、研究や運動に活かしてほしいと意欲的です。

NSAの内部告発者トーマス・ドレイクとオバマ政権による迫害 (2)

2012/3/26(Mon)

国家安全保障局(NSA)の内部告発者、トーマス・ドレイクに話を聞きます。彼はNSAの浪費や不適切な管理、憲法違反の疑いのある活動を報道機関に告発したため、当局の迫害を受けました。スパイ防止法に違反したとして起訴され、最長で35年の投獄という危機に直面しました。でも実際の起訴状にはスパイ行為の具体的な指摘はなく、政府の機密文書を自宅地下室に保管していたという微罪しかありませんでした。結局、この微罪をドレイクが認めるかわりに他の容疑はすべて取り下げるという司法取引が成立し、昨年2011年に裁判は結審しました。当時司法省の首席報道官だったマシュー・ミラーは今ごろになって、「起訴したのは勇み足だった」などと話していますが、明らかに司法を使った内部告発者への嫌がらせです。(12分)

NSAの内部告発者トーマス・ドレイクとオバマ政権による迫害 (1)

2012/3/21(Wed)

国家安全保障局(NSA)の内部告発者、トーマス・ドレイクに話を聞きます。彼はNSAの浪費や不適切な管理、憲法違反の疑いのある活動を報道機関に告発したため、当局の迫害を受けました。スパイ防止法に違反したとして起訴され、最長で35年の投獄という危機に直面しました。でも実際の起訴状にはスパイ行為の具体的な指摘はなく、政府の機密文書を自宅地下室に保管していたという微罪しかありませんでした。結局、この微罪をドレイクが認めるかわりに他の容疑はすべて取り下げるという司法取引が成立し、昨年2011年に裁判は結審しました。当時司法省の首席報道官だったマシュー・ミラーは今ごろになって、「起訴したのは勇み足だった」などと話していますが、明らかに司法を使った内部告発者への嫌がらせです。(12分)

ユタ州に巨大監視センターを建設するNSA

2012/3/21(Wed)

国家安全保障局 (NSA)がユタ州の山間の町ブラフデールに巨大な情報監視センターを密かに建設中であることが、長年NSAの動きを追い続けてきたジェイムズ・バンフォード記者のスクープで判明しました。(11分)

パラグアイのルゴ大統領失職 中南米の潮流に変化か

2012/6/25(Mon)

2012年6月、「貧者の司教」として知られるパラグアイのフェルナンド・ルゴ大統領が、土地をめぐる貧農と治安当局の間に起きた流血の衝突事件をきっかけとして、治安維持に失敗したことを理由に、議会の弾劾を受けて失職しました。ルゴ氏自身はこれを議会によるクーデターと呼び、南米諸国連合(UNASUR)加盟各国も、チリやコロンビアなどの保守政権も含め、パラグアイ国会の動きを一斉に非難していますが、米国のオバマ政権は模様眺めを決め込みました。『アメリカ帝国のワークショップ』の著者でニューヨーク大学のグレッグ・グランディン教授(中南米史)に伺います。(17分)

ジョセフ・スティグリッツ:『世界の99%を貧困にする経済』

2012/6/6(Wed)

経済的な格差が、先進国の中で最大になってしまった米国。機会均等を誇っていたはずの国が、先進国の中で均等の度合いが最も低い国になってしまったのです。最新著『世界の99%を貧困にする経済』の中で、ノーベル賞受賞経済学者のジョセフ・スティグリッツは、経済格差が政治をゆがめ、民主主義をあやうくしている現状を指摘します。(35分)

メキシコ大統領選 旧支配政党PRIが復権か

2012/7/2(Mon)

2012年7月1日、メキシコで大統領と上下両院議員の選挙が実施され、大統領選では、制度的革命党(PRI)のエンリケ・ペニャニエト候補が勝利を収めました。国際選挙監視団などによる、大規模な不正選挙を告発する指摘をものともせず、1929年の結党後さまざまに名前を変えつつ2000年まで国政を独占したPRIの復権について、学生を始めとする広範な市民層が反対の声を上げる中、左派の民主革命党(PRD)の大統領候補であるアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドル元メキシコ市長は、選挙戦の後半で急速に支持を伸ばしたものの、2006年に続き苦杯を舐める結果となりました。開票作業が進むなか、メキシコ国立自治大学のジョン・アッカ―マン教授(ラテンアメリカ史)にお話を伺います。教授は今回の選挙結果が、2000年に制度的革命党から政権を受け継いだ右派国民行動党(PAN)と守旧派PRIによる政権たらい回しにすぎないと指摘し、PANのフェリペ・カルデロン現大統領の下で強引に推進され、膨大な数の市民を犠牲にし続けている米国による「麻薬戦争」戦略が継承されることを懸念します。一方で、学生たちの運動の中から世界中の「オキュパイ」運動に呼応する「私は132番目」運動が生まれるなど、民主的で清潔な政治を求める勢力も力を蓄えていることを指摘し、ロペスオブラドルに投じられた1500万に代表される民意が今後の強力な対抗軸になって右派の暴走に歯止めを掛ける可能性に期待を述べています。

オキュパイ運動の先駆け スペインのM15運動,占拠運動

2012/7/5(Thu)

2011年、世界中の広場や街頭を人々が埋め尽くし、不平等や民主主義を叫びました。ウォール街占拠運動の先駆けとなったと言われるのが、マドリッドのプエルタ・デル・ソル広場から始まったM15(5月15日)運動です。これが9月17日のニューヨークのズコッティ広場へ、10月15日の世界規模の街頭デモにつながりました。M15運動の記録に取り組むスペインの映像作家ステファン・グルエソに聞きました。

メープルの春:ケベックが連帯の赤であふれた大規模学生スト

2012/5/25(Fri)

アラブの春から1年。公正で平等、真に民主的な社会を求める若者たちの運動は、カナダのケベック州に飛び火しました。きっかけは2012年2月、州政府が発表した7年間で75%の学費値上げ案。これに抗議して学生たちのデモや授業ボイコットが始まったのですが、紛争の火に油を注ぐことになったのは、与党自由党が成立させた非常事態法「特別法第78号」でした。「50人以上の集会やデモは8時間前に警察にルートを届け出なければならず、違反した団体は12万5000カナダドルの罰金を科す」。あからさまに学生や市民の運動つぶしの内容です。これには市民も怒り、スト100日目にあたる5月22日には40万人が州都モントリオール市内で抗議行動を行いました。学生ローンで赤字まみれになった学生たちへの連帯を示して、人々はシンボルの赤いマークを胸に着け、鍋釜をたたいて通りにくりだし政府への不満を街に響き渡らせました。赤い旗が翻る「メープルの春」が始まったのです。運動は緊縮財政と学生ローンに苦しむ世界の若者の共感を呼び、ニューヨークやパリでも連帯のデモが行われました。

英国公務員が第二次大戦後最大のゼネスト

2011/11/30(Wed)

2011年には英国でも画期的な直接行動が行われました。夏場の大規模スト(75万人)に続いて11月30日には200万人が参加する戦後最大のゼネストが行われました。中心となったのは公共部門労働者の組合です。教職員や病院職員、清掃職員、消防士、国境警備員など約30の官公労組の連合が24時間ストを決行しました。公立学校の6割が休校となり、自治体職員の半分以上がストに参加、英国全土で1千件に上るデモや集会が行われ歴史に残るゼネストとなりました。転機を迎えた英国の労働運動と、メディアが果たしてきた抑圧t激な役割を取り上げます。(16分)

「大使館に押し入れば、前代未聞の外交特権侵害」アサンジ弁護士

2012/8/17(Fri)

エクアドル政府が政治亡命を認めたにもかかわらず、英政府はジュリアン・アサンジが「大使館から一歩でも出たら逮捕する」と宣言しています。大使館に踏み込んで逮捕するという脅しは実行が難しいようですが、このままずっと大使館に閉じ込めておくことは可能のようです。現状を打開するためには、どうすればよいのでしょうか?アサンジのロンドン在住の弁護士に、現在のアサンジの法的立場と今後の選択肢、自由を取り戻すための方策などについて聞きます。?(11分)

アサンジ亡命を認めたエクアドルの勇気

2012/8/16(Thu)

ジュリアン・アサンジがロンドンのエクアドル大使館に駆け込んでから2カ月、エクアドル政府はアサンの政治亡命を認める決定を発表しました。前夜に英国政府が大使館に立ち入ってアサンジを逮捕すると脅しをかけたことがネットなどで広まり、夜中から駆けつけたアサンジ支持者たちと、大使館を囲む警官たちが対峙する、ものものしい雰囲気の中での発表でした。今回のエクアドルの決定の重要性について、また決定に至った経緯について、アサンジ弁護団の一員マイケル・ラトナー弁護に聞きます。(11分)

ウィキリークス:中南米での影響

2012/8/3(Fri)

スウェーデンへの身柄引き渡しに抵抗して英国の裁判所で闘ってきたジュリアン・アサンジですが、ついに司法の道は万策つきてエクアドル大使館に逃げ込んで亡命を申請しました。まっ先に浮かぶ疑問は「なぜエクアドル?」 人権保護の発達した欧米ではなく、政情の不安定な中南米の国を選んだのはなぜでしょう。その答えは、中南米諸国と米国との長年にわたる外交関係にあります。(18分)

オンライン海賊行為防止法(SOPA)は検閲か? ウィキペディアVS著作権同盟

2012/1/19(Thu)

何千というウェブサイトが24時間停止した18日の歴史的なオンライン上での抗議で、一組の反著作権侵害法案に対する議会での支持が弱まっています。米国外に拠点を持つウェッブサイトが、インターネットを使って、著作権のある作品を海賊版を作ることを防ぐためのものだとして、ハリウッドの映画会社、音楽出版社や主要な放送局は、同法案の成立を支持しています。(19分)

追放されたモルディブ前大統領モハメド・ナシードが語る

2012/4/9(Mon)

モルディブ共和国は1000を超える島々からなる国です。1965年英国保護国から独立し、現在は英連邦に属しています。2008年モルディブ初の民主選挙が行われ、1978年以降独裁政治を行ってきたマウムーン・アブドゥル・ガユーム大統領を下してモハメド・ナシード氏が大統領に就任。しかし2012年1月、刑事裁判所の判事の逮捕を発端として、ナシード大統領の辞任を求めるデモが3週間にわたって続き、ナシード大統領は辞任を表明、後任にワヒード副大統領が就任しました。しかしナシード大統領は「銃で脅かされて追放された」クーデターだと主張しています。(26分)

ウィスコンシン州リコール選挙 ウォーカー知事再選のカラクリ

2012/6/6(Wed)

共和党の現職スコット・ウォーカー知事は2012年6月のウィスコンシン州リコール選挙を勝ちぬきました。今回のリコール選挙は、公務員労働組合の団体交渉権を制限する知事の政策に反発して発生したものでしたが、2つの点から全米の注目が集まりました。1つはもちろん、労働運動の今後を占う上で重要な選挙だったこと。もう1つは、選挙への企業の寄付の規制を取り払ったシチズンズ・ユナイテッド判決後初の大型選挙だったため、11月に大統領選を控えるアメリカにとって、この判決の影響を測るものとして注目されたのです。(14分)

NATOは存在すべきか? 同盟の目的とアフガニスタン戦争の将来を討論

2012/5/22(Tue)

5月にシカゴで開催された北大西洋条約機構(NATO)サミットは、加盟28カ国の他にアフガニスタンやパキスタンなども含めた50カ国の首脳クラスが集まる過去最大の会合となりました。会議ではアフガニスタンからの撤退計画が承認され、2013年中頃までに戦闘行動の中核を現地軍に移管し、2014年末には軍事訓練要員を残してISAF(NATOが率いる国際治安支援部隊)はすべて撤退します。これは本当に「責任ある形の終結」をもたらすのか、また戦後の再建に軍事同盟であるNATOがどこまで協力できるのか、そもそもNATOは何のために存在するのかについて考えます。東西冷戦もとうの昔に終わったのに、なぜいまだに大西洋軍事同盟が存在するのか?(18分)

「NATOに反対、戦争に反対」NATO首脳会議場に向けて帰還兵が従軍メダルを投げつける

2012/5/21(Mon)

2012年5月20、21日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が米国シカゴで開催されました。会場となったマコ―ミック・コンベンションセンターの外には、NATO、戦争に反対する数千人が集まり、抗議デモが行われました。NATO会場に向けて、従軍メダルを投げつけるセレモニーを主催したのは「反戦イラク帰還兵の会」と「平和を願うアフガニスタン人」(Afghan for Peace)のメンバーです。それぞれの短いメッセージに共通しているのは軍隊への不信・だまされたという憤り・イラク、アフガニスタンの人々への謝罪の気持です。アフガニスタンの人々に連帯し、本当の悪者は誰なのかを訴えます。

「私たちの歴史は抹消させない」アリゾナ州行き「密輸」キャラバン誕生

2012/3/9(Fri)

自称「本の密輸人」トニー・ディアスが、アリゾナ州の学校から追放された本を積んだキャラバンを組織しました。アリゾナ州が民族学教育を禁じたことを受けて、同市が評判の良かった メキシコ系アメリカ人研究のカリキュラムを一時停止したことに続く措置でした。「アリゾナ州が私たちの歴史を消そうとするなら、私たちは歴史を作ってやろうと思います」とディアスは言います。さてその効果のほどは?(5分)

アリゾナ州がエスニック教育をカリキュラムから排除 人種統合の歴史を巻き戻し

2011/12/29(Thu)

2010年5月米アリゾナ州では、外見などから無届の移民と疑うに足る理由があれば逮捕ができるとして波紋を呼んだ移民法に続いて、特定の民族を対象にした授業を禁ずる法律が成立しました 。「民族間の結束を強め、白人に対する敵意を助長させる」というのがアリゾナ州当局の禁止の理由でした。この法律は、メキシコ系・ラティーノ系の生徒が過半数を占めるツーソン学区で行われているメキシコ系米国人研究(MAS-TUSD)のカリキュラムを標的にしたものでした。公立学校の教職員や生徒が禁止に反発し、取り消しを求める訴訟を起こしました。(15分)

メキシコに追放される移民の子供たち

2010/11/4(Thu)

テキサスオブザーバー誌に掲載された調査報道記事"Children of the Exodus”(大量移送される子供たち)は、米国の現在の移民法によって引き起こされる二次的な被害に光をあてました。毎年数万人もの子供たちが親族から引き離され、同伴者もなしにメキシコ国境の向こうに追放されます。そうした子供たちの多くは米国との国境に近いメキシコの都市の街頭に置き去りにされ、麻薬と暴力が猛威を振るう荒廃した土地でシェルターに収容されることになります。 合衆国の家族に会いたくて密入国を繰り返す者も多いといいます。(7分)

MFグローバル社倒産で前NJ州知事に厳しい尋問 資金不正利用を知っていたとの証言で

2011/12/14(Wed)

 前ニュージャージー州知事でその前は連邦上院議員も務めたジョン・コーザインが13日、連邦議会で証言しました。商品先物及び金融派生商品を専門とする証券会社MFグローバル社の経営トップを短期間つとめていたからです。同社はこの10月に倒産し、2008年のリーマン・ブラザーズ倒産以降で最大規模の倒産となりました。MSグローバル倒産後、管財人は本来隔離されていなければならない顧客勘定の資金のうち12億ドルにおよぶお金が紛失していることを発見しました。コーザインはMFグローバルのだれにも資金の不正利用を命じたことはないと言いますが、証人の1人はコーザインは顧客資金流用の疑いのある融資を承知していたと証言しました。投資銀行員からジャーナリストに転じたノミ・プリンズに話を聞きます。(13分)

ポール・クルーグマン「さっさと不況を終わらせろ」 (2) ユーロ圏の危機ほか

2012/5/17(Thu)

金融大手JPモルガン・チェース銀行は、今年5月高リスクなデリバティブ取引で巨額の損失が発覚しました。その額は、5月の放送時で、20億―30億ドルと言われていましたが、今では40-60億ドルと言われています。ク ルーグマンは同行の最高経営責任ジェイミー・ダイモンを批判します。ダイモンは金融改革に対抗する知恵袋とされ、「我々のビジネスは我々が一番良く知っている。他の者が、私達にどうするか教える必要はない」と言って、どのような規制にも猛反対してきました。そ結果がこの巨額の損失です。米国政府機関によって預金が保証されている銀行が、このような高リスクの取引をすることは、彼らが納税者のお金で賭けをしているとのと同じです。「ボルカー・ルール」と呼ばれる規制が発効されれば (2012年7月から有効)、このような投機的な取引は出来ないはずですが、今年5月以前は、それがいつも通り行われていたことは明らかです。ひとつ間違えば国の経済をも破壊しかねない「大きすぎて潰せない銀行」は、甘い規制で銀行家に任せておくには重要すぎるとクルーグマンは言います。(20分)

ポール・クルーグマン「さっさと不況を終わらせろ」 (1)いまは赤字削減より財政支出を

2012/5/17(Thu)

大恐慌以来の不況と言われる現在の経済状況の中、米国やヨーロッパでは、財政赤字や政府債務の大きさばかりが大きく取り上げられ、財政赤字削減の大儀のもと、多くの国で緊縮政策が採られています。ノーベル賞受賞の経済学者ポール・クルーグマンは、新著『さっさと不況を終わらせろ』で、低迷する経済状況での、財政赤字に対する過剰な反応は経済回復を妨げると論じています。(17分)

誰がチェを殺した? CIAの完全犯罪

2012/2/7(Tue)

1962年2月7日、ケネディが全面的なキューバ制裁に踏み切って以来、共和党と民主党の一貫した支持のもとで「世界史上最長の経済封鎖」は強化され続け、50年もの長期にわたってキューバ国民に極度の物質的な困窮を強いてきましたが、カストロ政権は盤石の体制を維持したまま今日に至っています。制裁解除を勧告する決議は、1992年以来、国連総会で20年連続採択され、当初は非同盟諸国が賛同の中心だったものの、次第に支持を広げて西欧諸国も一致して賛成に回り、ついに反対するのは米国とイスラエルのみという、米国外交の国際的孤立を対イスラエル政策以上に象徴するものとなりました。憲法上の権利センターのマイケル・ラトナー名誉会長に制裁の歴史と背景を聞きます。ラトナーは、上院議員時代には制裁解除を主張しておきながら大統領就任後は制裁維持を正当化し続けるオバマ大統領の二枚舌を批判します。(40分)

TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具

2012/6/14(Thu)

日本では昨年から危険な秘密貿易協定として大騒ぎになっているTPP。環太平洋パートナーシップとか環太平洋戦略的経済連携協定とかいろいろに呼ばれていますが、中身が分からないのに一旦参加したら抜けられないと言われる馬鹿げた国際協定です。米国でも一般には知られておらず、通商代表部が企業側と連携しながら進めているので国会議員でさえ内容を知ることができないのです。交渉の草案がリークされて、ようやく議論に上るようになりました。2011年3月に「知財関連の条項」がリークされたのに加え、今回(2012年6月)には「投資条項」の草案がリークされました。リーク文書を掲載している市民団体パブリック・シチズンのロリ・ウォラック氏は、「これは貿易協定ではない、企業による世界支配の道具です」「1%の富裕層が私たちの生存権を破壊する道具です」と断罪します。(19分)

アノニマス参上:世界に広がるハクティビズム

2011/8/16(Tue)

アノニマスのように政治・社会的な主張を掲げてハッカー攻撃をしかけるオンラインのアクティビズムを「ハクティビズム」と呼びます。アノニマス関連の事件として有名なのは2010年12月、ウィキリークスの口座を凍結して支援金の送金を妨害したマスターカードとVISAにハッカー攻撃を仕掛け、サイトを一時的にダウンさせたことです。その他にも、ソニー、PayPal、アマゾン、バンク・オブ・アメリカ、サイエントロジー(宗教団体)、エジプト政府、チュニジア政府、シリア政府などが攻撃対象になりました。なんだかオソロシげな集団に聞こえますが、アノニマスの源流にあったのは日本の2チャンネル文化です。こんなふうに進化したのも、祭りのノリが嵩じたのかも。

アノニマス参上: ハクティビストの「名無しさん」がOpBARTを説明

2011/8/16(Tue)

デモを牽制するために地下鉄駅構内の通信網を遮断したBIRT(湾岸高速鉄道公社)の暴挙に対し、活動家ハッカー集団「アノニマス」が報復を呼びかけました。「BART作戦」(OpBart)と称する抗議行動の一環として、アノニマス活動家がBARTのウェブサイトに不正侵入し、顧客の名前と電話番号、パスワードなどを流出させました。正義感にかられた行動とはいえ、無関係の人たちの個人情報を勝手に公開することは正当化できるのでしょうか?BART作戦に参加した、ハンドルネーム“X”を名乗るアノニマスの一人にインタビューします。

アノニマス参上: ベイエリア高速鉄道(BART)のムバラク化に非難集中

2011/8/16(Tue)

「ウォール街占拠」でとっても目についたガイフォークスの仮面。占拠運動の拡散とともに全米各地にアノニマスが増殖中です。最近は日本のデモでもちらほらと・・ 
2010年後半にウィキリークスとのからみで急速にマスコミの注目を集め出したアノニマスですが、そこで語られるイメージは、なにやら怪しげなハッカー集団が、企業や公共機関のサイトを攻撃し、個人情報をさらし出すという危険なものです。でも、彼らの攻撃がどのような動機に基づいているのか、その背景は語られません。相手が「名無しさん」だから、彼らのメッセージには耳を傾ける必要はないのでしょうか。アノニマスって何者なの?2011年夏の事件をもとに、米国での発祥を紹介しましょう。

生まれ変わるメーデー: オキュパイ運動が労働者や移民運動と共闘

2012/5/1(Tue)

ウォール街占拠運動がメーデーに復活しました。全米各地で抗議行動が行われます。しかも、これまでメーデー抗議行動の推進力だった移民運動や労働組合としっかり協力関係を築き、メーデーそのものに新しい息を吹き込みました。今年のメーデーの意義とオキュパイ運動の最前線を4人のゲストが語ります。(30分)

国会事故調査委員会 福島原発事故は「人災」

2012/7/6(Fri)

国会の福島原発事故調査委員会は最終報告書で今回の事故は「自然災害ではなく明らかに人災だった」そして「日本的文化が招いたものだった」と結論しました。原子力技術者アーニー・ガンダーセンさんは報告書に同意しつつも、他国がこれを口実に対策を怠るのは危険だと警告します。

イエメンの政権交代は「中途半端な革命」 サーレハ大統領の訪米の意図とは?

2011/12/27(Tue)

イエメンはアラビア半島の南端に位置し、サウジアラビアと接する共和国です。イエメンで民主化を求めるデモが発生したのは2011年1月、チュニジアのベン・アリ大統領の亡命直後でした。首都サヌアにある広場にはすぐに数万人規模のデモが行われるようになり、6月には大統領宮殿で爆発事件が起こりました。サーレハ大統領は重傷を負い、 サウジアラビアで手術を受けたと報じられています。湾岸諸国協力会議(GCC)はたびたび、サーレハ大統領に辞任をふくむ調停案を示していましたが難航 し、ようやく2011年11月に訴追免責とひきかえにサーレハ大統領は辞任に応じました。

映画『グラニート』が描くグアテマラ集団虐殺に裁きを求める闘い

2011/9/15(Thu)

オットー・ペレス・モリーナ大統領をはじめ現在のグアテマラ政界で表舞台に立つ人々と、この国の暗い過去を結びつける新作ドキュメンタリー映画が完成しました。Granito: How to Nail a Dictator(『グラニート 独裁者を追え』)は、グアテマラ軍が民兵組織を使って20万人以上の国民を拷問し殺害した1980年代の大量殺戮の責任を問うため、40年にわたって証拠を拾い集めている人々の姿を追います。集団虐殺に対する法の裁きを求めるマヤ先住民の運動を記録に収め、大統領選でペレス・モリーナの対抗馬だったグアテマラ先住民活動家でノーベル平和賞受賞者のリゴベルタ・メンチュウにスポットをあてています。(17分)

グアテマラ次期大統領オットー・ペレス・モリーナの過去

2011/9/15(Thu)

昨年11月の決選投票で当選した現グアテマラ大統領オットー・ペレス・モリーナは、1986年に軍事独裁が終了して以来始めての軍人出身の大統領です。グアテマラでは麻薬密輸組織がからむ暴力事件が横行して治安が悪化しており、これに対して「鉄拳」をふるうという公約を掲げた退役将校のペレス・モリーナが支持を広げ、対抗馬の一人だったマヤ先住民活動家でノーベル平和賞受賞者のリゴベルタ・メンチュウは緒戦で大敗しました。しかしペレス・モリーナには暗い過去があります。1980年代にグアテマラで猖獗を極めた軍政府による組織的な自国民の拉致、拷問と集団虐殺に直接関与した人物として人権団体から告発されているのです。(10分)

スペインで緊縮財政に抗議のゼネスト 

2012/3/30(Fri)

欧州南部ではユーロ危機が続いていますが、スペインでは、国民の四分の一近くが失業という深刻な不況の中で市民のみに犠牲を押し付けようとする右派国民党政権による緊縮政策に反対して、ゼネストが行われました。番組では以前にデモクラシーナウの制作者だったフリーの記者マリア・カリオンさんを招き、ゼネストに至る経緯や、ウォール街などでの占拠運動の先駆けともいえるスペインの「インディグナドス」(憤慨する人々)運動などについてお話を伺います。またチリのピノチェト元大統領を人道に対する罪で逮捕して一躍有名になったスペインのバルタサル・ガルソン判事が、フランコ軍政による犯罪を追及するうち、違法盗聴容疑で職務停止を受けた事件についても背景を語っていただきます。カリオンさんは、モロッコが占領を続ける西サハラからの難民を支援する活動の一環として開催されている西サハラ映画祭の広報も担当しており、大手メディアが黙殺する西サハラ問題に関心を持ってほしいと呼びかけています。(19分)

『鉄路の血痕』 ベトナム帰還兵ブライアン・ウィルソン氏が語る反戦運動

2011/10/28(Fri)

ゲストの反戦活動家ブライアン・ウィルソンさんは、これまでの生涯で二度も文字通り死線を彷徨いました。最初はベトナム戦争従軍時。大義などとは無関係な戦場の残酷な現実を目の当たりにして現役兵時代に反戦活動に身を投じたウィルソンさんは、退役後にエルサルバドルやニカラグアを訪問し、米国政府の代理戦争の被害者と交流して米国の外交政策の過ちに確信を強め、1987年9月1日、カリフォルニア州にある基地の近くで軍事物資の輸送を止めようと線路に座り込みました。恐るべきことに、軍用列車は停止するどころか却って速度を上げ、轢かれたウィルソンさんは奇跡的に九死に一生を得たものの、頭蓋骨を割られ両脚を切断しました。(52分)

シリア政府は国民に対する戦争を始めた アサド体制下の民衆弾圧

2011/8/15(Mon)

シリアの内外で民主化を要求して戦う人たちは、親子2代にわたるアサド政権の戒厳令に基づく独裁体制の下で、どのような人生を送ってきたのでしょうか。シリアの第一線の人権弁護士で投獄されていましたが今年になって釈放されたハイサム・マレフと、彼の息子で人権活動家のイヤス・マレフに話を聞きました。(16分)

ホウラ虐殺で高まる軍事介入の要請に警鐘 シリア内乱の危機

2012/5/30(Wed)

5月25日シリア中部ホムス近郊のホウラで100人以上の住民が虐殺された事件を受け、米国や英国の11カ国がシリアから外交官を退去させました。被害者には子供も多く含まれ、国連・アラブ連盟合同特使としてシリアの停戦調停交渉にあたっているコフィ・アナン前国連事務総長は、「シリアは転換点を迎えた」と発言しました。この事件が報道されると、さらなる虐殺を防げと軍事介入を求める声に勢いがつきましたが、最近現地から戻った中東ジャーナリストのチャールズ・グラスは、現地の人々は大半が武力介入に反対していると、慎重な対応を求めています。(12分)

ヴィジャイ・プラシャド:軍事介入は、シリアの殺戮と悲惨を本当に救うのか?リビアへのNATO攻撃の検証が先決 

2012/2/21(Tue)

リビアの40年に及ぶカダフィ政権を打倒した蜂起から1年。解放の喜びもつかの間、リビアは今も地域と派閥によって深刻に分裂した状態です。国内には500以上の武装集団が存在し、拷問や人権侵害は今も後をたちません。そんな中、シリアで政権による反対派への弾圧が強まり、政府軍や民兵によるとされる残虐な殺戮行為が伝えられ、人道を口実とした武力介入を促す声が再び、欧米諸国で聞こえてきます。だが、外国勢の武力介入は、本当に救いになるのか?

中東の覇権争い:内戦化するシリア危機に対して国際社会は?

2012/2/7(Tue)

「アラブの春」がシリアで本格化したのはエジプトの蜂起から2カ月ほどたった2011年3月です。この時以降、シリア政府が民主化デモを武力で弾圧したというニュースがひんぱんに登場するようになりました。早期にNATO軍が介入したリビアとは違い、シリアへの軍事介入に対して国際社会は慎重な態度を取りました。

新たな黒人隔離:カラーブラインド時代の大量投獄

2012/1/13(Fri)

人種差別が無くなったはずの米国。2人の活動家兼著述家、ランダル・ロビンソンとミシェル・アレグザンダーが、黒人のアメリカを語ります。(26分)

ランダル・ロビンソン 「記憶」の力を語る

2012/1/13(Fri)

言葉 文化 ルーツなど、集合的な記憶は集団に力を与え、だからこそ、それを都合良く作り変えようとする動きは後を絶ちません。米国の黒人の場合は、奴隷にされ記憶をごっそり奪われるという体験を余儀なくされました。市民団体 「トランスアフリカ」の創設者、ランダル・ロビンソンの新作小説『マケダ』は、公民権運動の黎明期を舞台に人種隔離下のバージニア州 リッチモンドで一人の青年が盲目の祖母を通してアフリカにルーツを発見し大人になっていく追い、記憶の力を描きます。(10分)

企業が海外で関与した人権侵害について米国の裁判所に提訴できるかどうか 最高裁判断へ

2012/2/24(Fri)

遺族が米国で起こしていた裁判に関する審理です。遺族は1789年の米国法「外国人不法行為請求権法」(Alien Tort Claims Act)に基づいて、石油企業に対する損害賠償訴訟を米国の裁判所で起こしました。外国人不法行為請求権法とは、米国外で行われた国際法違反行為について、外国人が、民事訴訟を米国の地方裁判所に起こすことができるとする法律です。 制定後約200年間、適用されませんでしたが、1980年のFilártiga判決をきっかけに、外国人による国際法違反に対する損害賠償訴訟に使われたことで注目され、この法律に関する議論が続けられてきました。

企業に無制限の選挙献金を許すシチズンズ・ユナイテッド判決に異議あり!

2010/10/28(Thu)

2010年の米中間選挙では、記録破りの選挙費用が使われました。その理由のひとつは、最高裁判所が1月に出したシチズンズ・ユナイテッド判決です。 この判決は、会社法人には、合衆国憲法修正第1条に基づく権利(信教、言論、出版、集会の自由、請願権)が保障されているとみなし、政府が企業の政治的な言論に制限をくわえることはできないとしています。この判決によって、企業や特殊利益団体が政治的な影響力を振るうために、公職選挙に特定候補を支持して無制限の金を使う道が開けました。 まさしく、金で買える民主主義の到来です。(17)

法人利害の州議会内促進を秘密に行うALEC 州法の改訂のための年次総会

2011/8/5(Fri)

米国立法交流評議会(American Legislative Exchange Council)、通称ALECは、州議会にかけられる前の段階で、議員と企業が一緒に草稿中のモデル法案を検討する評議会です。超党派の団体を名乗ってはいるものの、その姿勢は明らかに保守的で、右翼団体と称されることも度々です。2011年度ALEC年次総会から寄せられる情報を元に、メディア民主主義センター事務局長のリサ・グレイブスがその実態に迫ります。(12)

ALECが民営刑務所業界と結託して囚人労働による組合労働者の置き換えを画策

2011/8/5(Fri)

米国立法交流評議会(American Legislative Exchange Council )、通称ALECは、州議会にかけられる前の段階で、議員と企業が一緒に草稿中のモデル法案を検討する評議会です。超党派の団体を名乗ってはいるものの、その姿勢は明らかに保守的で、右翼団体と称されることも度々です。ALECが作成に関わった法案が社会に影響を及ぼした具体的な例に、米国の囚人数の増加があります。1980年代に矯正施設運営企業の支援を受けて以来、ALECは州が刑務所を私営化し、服役期間を延ばす法案を推進してきた、とネイション誌のマイク・エルク記者は共同執筆した記事「ALECと囚人労働の知られざる歴史」の中で暴露しました。(9分)

メディア改革全国会議 リストラの嵐の中でジャーナリズム、ブロードバンド、放送を考える

2011/4/8(Fri)

メディアの集中化が進み、報道分野でも大規模な人員削減が進行するなか、2011年4月にボストンでメディア改革全国会議が開催され、全米から2000人を超すメディア関係者や活動家たちが集まりました。おりしも2011年3月にAT&TのT-Mobile社買収が発表された矢先でした。(この買収に対しては司法省が独占禁止法違反で訴訟を起こしています。)さらにブロードバンド普及の立ち遅れなど、山積するメディアに関する問題を3人のゲストに聞きました。(27分)

ニューヨーク州の無人機基地に抗議  政府の犯罪を告発するのは市民の義務

2011/11/4(Fri)

2011年11月はじめ、ニューヨーク州シラキューズ市で風変わりな裁判が開かれました。ふだんは酔っ払い運転や万引きなどが裁かれる法廷で、裁判官の前に立ったのは「ハンコックの無人機に反対する38人」。同市のハンコックフィールド米空軍州兵基地からアフガニスタンに無人機が出撃されていることに抗議して基地の入り口前で寝転び死体を演じた抗議運動のメンバーでした。(14分)

恐怖、売ります:米国でイスラム嫌悪を仕掛ける「専門家」とその財源

2011/9/6(Tue)

9・11後の米国市民のテロへの不安につけこんで、イスラムへの恐怖と嫌悪を売り込むネットワークの仕組みを解明する報告書が出ました。"Fear Inc: The Roots of the Islamophobia Network in America" (恐怖会社:米国のイスラム嫌悪ネットワークのルーツ)」と題された米国進歩センター(Center for American Progress)によるこの報告書は、「安全保障政策センター」などもっともらしい名前をつけた団体の「専門家」5人が主に7つの財団の寄付を受け書籍や報告書、ウェブサイト、ブログ、綿密に練り上げた反イスラム的な話題の発信源となりイスラム嫌悪を撒き散らしている様子を明かにしました。(14分)

エジプト大統領選は決選投票へ 旧体制派候補に抗議が再燃

2012/5/29(Tue)

ムバラク体制崩壊後、エジプトの民主化のハイライトとも言えるエジプト大統領選が2012年5月23,24日に行われ、全世界の注目を集めました。エジプト革命の報道でイジー賞を受賞したシャリフ・アブドゥル・クドゥースが第1回投票の結果への反応をレポートします。(12分)

エジプトのショック・ドクトリン? ムバラク後の経済危機と混迷の大統領選挙

2012/4/10(Tue)

エジプトで初めての民主選挙と言われた2012年5月の大統領選は、当初本命とされていた立候補者たちが次々と失格となりました。エジプトの報道でイジー賞を受賞したデモクラシー・ナウ特派員のシャリフ・アブドゥル・クドゥースが混迷するエジプト大統領選を語ります。(14分)

革命は終わらず エジプトの民政移行を求める勇敢な闘い

2011/11/22(Tue)

2011年11月、人民議会選挙を前に、暫定内閣を骨抜きにし強権を押しつける軍事政権を終わらせ民政への移行を求めカイロで大規模なデモが繰り広げられました。2月のムバラク退陣後、暫定的権限を与えられた軍最高評議会は、ムバラクの防衛大臣を20年間務めたタンタウィ陸軍元帥の指揮下、次第に完全な権力支配をめざそうとしているかに見えました。警察と軍による激しい弾圧に抗して、革命の震源地タハリール広場に結集する人々の勇敢な抗議行動をシャリーフ・アブドゥル・クドゥースが生々しく報じます。(21分)

ラルズセックのサイバー活動家たち リーダーの裏切りで逮捕-アサンジ訴追への準備か?

2012/3/7(Wed)

政治にめざめたサイバー活動家たちが特定の政治主張を掲げコンピューターやネットを使った積極行動を行うハクティビズム(hacktivist)。これを一躍有名にしたアノニマスは緩やかに連帯した匿名の人々の巨大なネットワークです。そこから派生したコンピューターハッカーの集団ラルズセックは、企業や政党、政府に対する数々のサイバー攻撃で名をはせました。3月はじめ、このラルズセックのメンバーとされる5人の男性が逮捕・起訴されました。もっと大きな衝撃は、逮捕者たちの情報を警察に密告したのが、他ならぬラルズセックのリーダー、「サブー」と呼ばれる人物だったことです。匿名性を前提としたネットカルチャーの落とし子のような運動の脆弱性があらわになり、大きな打撃を与えました。サブーはなぜ仲間を売ったのか?今後のハクティビズムに与える影響は?

米国ではアサンジに起訴状が? ストラトフォー社漏洩メールが示唆

2012/2/29(Wed)

ウィキリークスは2月27日から民間情報機関ストラトフォーの内部メールを大量に公開していますが、その中に米司法省がすでにジュリアン・アサンジに対する極秘の起訴状を用意しているとの情報が見つかりました。「アノニマス」のハッカーたちがストラスフォー社のサーバーから入手した約500万のメールのうちの1通です。アサンジの訴追をめぐってはバージニア州で秘密の大陪審が開かれていることが以前から報じられていましたが、どうやら正式起訴の決議が出たということのようです。これで米国に身柄を引き渡されれば即座に収監されることになります。そうなればブラッドリー・マニング上等兵のように外部との連絡を絶たれて、拷問に近い独房監禁におかれる可能性もあります。

「セラヤ追放クーデターの黒幕は米国」ホンジュラス元閣僚が証言

2011/6/1(Wed)

2009年6月28日、ホンジュラスのマヌエル・セラヤ大統領が自宅から拉致され、米軍基地経由でコスタリカに追放されました。これをうけてミチェレティ国会議長が暫定政府大統領に就任。セラヤ大統領は内外の支援を得て帰還を試みますが失敗に終わり、09年11月の大統領選でロボ国民党候補が大統領に就任しました。セラヤはドミニカ共和国に亡命、2011年ベネズエラなどの仲介を経てロボ政権と「カルタヘナ合意」を結び帰国しました。ホンジュラスの2009年クーデターの背景を当時の文化相ロドルフォ・パストル・ファスケレが話します。(18分)

マヌエル・セラヤ独占インタビュー 追放から2年、ホンジュラス前大統領の帰還(2)

2011/6/1(Wed)

拉致の1週間後、セラヤ大統領はニカラグアのミゲル・デスコト国連総会議長を伴ってテグシガルパ空港への着陸を試みましたが、ホンジュラス軍に妨害されニカラグアに戻っています。その2カ月後の2009年9月21日、今度は陸路で帰国。その時の苦労をこのインタビューで明かしています。セラヤ大統領はブラジル大使館で4カ月軟禁生活を送った後、2010年1月にドミニカ共和国に亡命し、2011年6月にようやく帰還を果たしました。(9分)

マヌエル・セラヤ独占インタビュー(1)

2011/5/31(Tue)

2009年にクーデターで国外に追われたホンジュラスのセラヤ大統領が本国に帰還した時のインタビューです。ホンジュラスは1980年代、レーガン政権によるニカラグアのサンディニスタ政権転覆計画の拠点となり、中米ではコスタリカとならんで対米関係を重視する国とされていました。セラヤ大統領も就任当時は前体制を踏襲していましたが、2007年の原油高騰をきっかけにそれまでの親米路線を転換し、2008年、ベネズエラ主導の石油価格協定ペトロカリベ(Petrocaribe)と米州ボリバル代替構想(ALBA)に加盟すると発表 しました。(22分)

『帝国の収穫』 フアン・ゴンザレスが詳細に描く米国ラティーノの歴史

2011/5/25(Wed)

フアン・ゴンザレスが著書Harvest of Empire: A History of Latinos in America(『帝国の収穫:米国のラティーノの歴史』)の全面改訂を記念し、米国のラティーノ系移民の歴史を語ります。ゴンザレスによると、2050年には米国に住む人の3人に1人がラティーノ系になると予想されています。1960年から2008年まで合法非合法合わせて4千万人を超える移民が米国に流入、その半数がラティーノ系だと言います。(15分)

50年ぶりの米大統領プエルトリコ訪問

2011/5/25(Wed)

オバマ大統領は2011年6月、ジョン・F・ケネディ大統領以来、現職大統領としては50年ぶりにプエルトリコを公式訪問しました。2012年大統領選での本土ヒスパニック系住民からの支持を得るためとみられます。Harvest of Empire: A History of Latinos in America(『帝国の収穫:米国のラティーノの歴史』)の著者でプエルトリコ出身のフアン・ゴンザレスに聞きます。(7分)

「バーレーン:闇の中で叫ぶ声」の監督 弾圧下での困難な取材を語る

2012/4/6(Fri)

チュニジアにはじまりアラブ各国に波及したアラブの春運動。エジプトでの反政府運動が最高潮の盛り上がりを見せた2011年2月半ば頃、ペルシャ湾に浮かぶ島国の小国バーレーンでも民主化運動が繰り広げられていました。しかし世界的には、バーレーンの民衆蜂起が注目されることはありませんでした。一つはイスラム教スンニ派のアラブ各国が、バーレーン王室擁護に回り、米国もサウジ王室に遠慮して口を出さなかったため。もう一つは、政府が外国メディアを追い出しにかかり、言論統制を徹底したためだと、アルジャジーラ・イングリッシュのメイ・イン・ウェルシュ記者は語ります。ウェルシュ記者は蜂起の期間、外国人記者として唯一通して現地取材をつづけ、その記録をドキュメンタリー「バーレーン:闇の中で叫ぶ声」(" Bahrain: Shouting in the Dark")としてまとめました。(21)

マフムード・マムダニが語るリビア アフリカ連合の「危機」 南スーダンの前途

2011/9/14(Wed)

政治学者マフムード・マムダニがリビア・南スーダン独立・米国のムスリムについて語ります。NATO軍がリビアに空爆を始めて約半年、首都トリポリが陥落した時のインタビューです。マムダニは、アフリカ連合に属する南アフリカとナイジェリアが国連安保理のリビア制裁決議で賛成票を投じていたことをあげ、「アフリカ連合そのものが危機に陥っている」と批判します。アフリカ連合はリビアへの干渉に消極的な態度をとっていたにもかかわらず、NATO軍の空爆を容認するという矛盾した行動を取っていたのです。「それぞれの国の権益に応じルールを変えるご都合主義のアフリカ連合はもう終わっています」とマムダニは厳しく批判します。(11分)

新生リビアを取り巻く環境と課題

2011/9/14(Wed)

2011年8月23日、リビア反政府勢力は、カダフィ側の施設に攻撃を加え、制圧に成功しました。カダフィ氏の所在は不明でしたが、首都トリポリの制圧によって、事実上カダフィ政権は崩壊しました。これを受けて、番組特派員のアンジャリ・カマトがリビア取材の報告をします。加えて、コロンビア大学マフムード・マムダニ教授が辛口のコメントをします。(19分)

ネット時代の民主主義 オンラインの自由を求める世界的な闘い

2012/1/17(Tue)

「アラブの春」を機にインターネットは、解放をもたらす強力な力としてもてはやされるようになりました。けれども一方でインターネットは人々をスパイし、市民の自由を厳しく取り締まるためにも使われていることにレベッカ・マッキノンは警告を発します。よく取り沙汰される中国のような国にとどまらず、民主主義圏とされる欧米諸国でも、著作権保護と児童ポルノの取締を口実に検閲法が増殖し、ネットのブロッキングが人目につきにくい形で野放しに広がり、ネットの自由を次第に浸食しています。(18分)

【EXPRESS】タックス・ドジャーズ「1%のためにバッティング」

2012/5/2(Wed)

メーデーの行進に現れた野球チームにエイミー・グッドマンがインタビューしました。メーデーなのに、バナーには米国を代表する大企業のロゴがずらり。リーダーらしき男性が「僕らは1%のためにバットを振る」と胸を張る。なるほど、背番号は全員「1%」。真ん中の女性が持っているフラフープには「ループホール」という文字。何の抜け穴なのでしょう。(4分)

米国内の戦争: 9.11後の連邦補助金で警察が軍装備を購入

2011/12/27(Tue)

2001年の9.11以降、米国の警察組織に兵器のショッピング・ブームが起きたと言います。調査報道センターのジョージ・シュルツによると、爆弾探知ロボット、戦闘用ベスト、戦闘用ヘルメット、戦闘用盾、無人機に至るまで購入品目は多岐にわたります。ブームの背景には、9.11の再来に備えるためとして、国土安全保障省に創設された連邦補助金制度がありました。無人機はヘリと比べて安価であるため、いっそう普及が広まったと言われます。(18分)

非暴力デモの鎮圧にトウガラシスプレーを使う警察に開発者が非難の表明

2011/11/29(Tue)

2011年11月、カリフォルニア大学ディビス校で座り込みデモをしていた学生たちに、警官がトウガラシスプレーを順番に噴射する映像が大きな話題を呼びました。トウガラシスプレーとは、標的にじかに噴射する催涙スプレーの一種で、トウガラシの濃縮成分が強い炎症を引き起こします。開発に携わったムラン・ロフマンが登場し、スプレーの使われ方に異議を唱えます。(14分)

オークランドからニューヨークまで 警察による占拠抗議運動の取り締まりは 「新軍事都市」の前触れ

2011/11/16(Wed)

戦場にいるのかと見まがうばかりに武装した警察官が、非暴力のデモ参加者に襲いかかる光景が米国で続きました。特に2011年秋から2012年にかけて、カリフォルニア州ではオークランド占拠運動に対する警察の激しい弾圧が続き、大量の逮捕者や負傷者が出ました。カリフォルニア大学でも、腕を組んで座り込みをする学生たちに催涙スプレーを順番にかけていくなどの過剰な取り締まりが行われ、広く非難を呼びました。警察の軍備増強について英国ニューカッスル大学のスティーブン・グラハム教授に聞きます。(13分)

マイケル・ムーアとナオミ・クライン:怒りから希望へ 「すべての場所を占拠せよ」

2011/11/25(Fri)

「ウォール街を占拠」運動の功績のひとつは、ことばに力を与えたことです。自分や親しい人の暮らしを苦しめる経済的・社会的な不正への憤りを口にする事が愚痴で終わらず、より良い社会を作る力になると感じた人々は、公共の場で自分の体験や考えを述べ、ひとびとの声に熱心に耳を傾けるようになりました。2011年11月10日という同年における「占拠」運動の絶頂期とも言える時期にネイション誌の主催で開かれたパネルディスカッション「すべての場所を占拠せよ:新しい政治と企業権力に立ち向かう運動の可能性」は、ナオミ・クラインとマイケル・ムーアという、運動を早くから支持してきたとびきり人気者のオピニオン・リーダー2人をパネラーに加え、占拠運動の紆余曲折を記録する画期的なイベントになりました。(46分)

アラブ世界の「民主化」を本当は望まない米国とNATO

2011/5/11(Wed)

米国のメディア監視団体FAIR(Fairness and Accuracy in Reporting)は大手メディアを25年にわたって監視し、少数者や反体制派の意見を排除しようとする報道に批判を加えてきました。ノーム・チョムスキーが25周年イベントに招かれ、アラブの春に対する欧米政府の反応、主要メディアの報道について話しました。

米大統領の判断で米国市民の無期限勾留が可能に?

2011/12/22(Thu)

米国の国防権限法(NDAA)は国防プログラムと年次予算の大枠を定める法律で毎年改訂されます。かつては「国防授権法」と訳されていましたが、全権委任するものではありません。2012年度の米国防権限法は、日本では在沖縄米海兵隊のグアム移転費が全額削除されたことで大きく報道されましたが、この法案には米国国民にとって大きな問題となる条項 が入っていました。2001年、9.11の犯人を捕獲する目的で可決された「テロリストに対する軍事行使権限付与決議」(Authorization for Use of Military Force Against Terrorists) を拡大解釈して、大統領はテロ組織に関与していると判断した人物を、裁判手続きなしで無期限に拘束できる権限があると書かれていたからです。(12分)

COP17 青年使節が気候正義を訴える人間拡声器のパフォーマンス

2011/12/9(Fri)

国連気候変動会議が開かれている南アフリカのダーバンでは、世界の指導者たちが温室化ガス排出削減のための法的拘束力を持つ協定にいつまでも合意できずにいることに対して、いくつもの抗議行動が行われています。青年使節団の代表としてCOP17で演説した米メイン州アトランティック・カレッジの学生アンジャリ・アパデュライは、「世界の過半数を代表して発言します。これは”声なき者たちの声”です。私たちは会議に招かれても、私たちの要求は取り上げられません・・・チャンスはあと5年なのに、皆さんは10年くれと言う。それを"意欲的"と呼ぶなんて、私たちの世代への裏切りです」と痛烈な批判を展開しました。(10分)

ダーバン合意 約束を反故にして途上国に責任を転化する先進国の常套手段

2011/12/12(Mon)

ダーバン気候変動会議(COP17)は2日間の会期延長の末、法的拘束力のある唯一の条約「京都議定書」の延命(第2約束期間)が合意され、これに非加盟の国々や義務を負わない国々をも取り込んだ新たな枠組みの交渉を開始し、2020年の発効をめざすことになりました(ダーバン・プラットフォーム)。多国間の交渉による気候対策の枠組みづくりの重要な一歩と喧伝されますが、環境団体の多くは、これではまったく不十分だと非難します。国際環境団体フレンズ・オブ・ジ・アースのケイト・ホナーは、「富裕な国々が、これまでの約束をすべて反故にして責任を逃れるという昔からのパターンの繰り返しです。新たな協定の交渉のために10年近くも費やして行動が遅れ、それまでは低い目標に縛られます」といいます。そうすることで、問題を招いたわけでもないのに被害を受ける途上国に負担を押し付け、尻拭いをさせるつもりです。(16分)

インドの活動家プラフル・ビドワイ:気候変動の政治学と危機に陥る世界

2011/12/6(Tue)

「汚染会議」とまで呼ばれた南アフリカ、ダーバンでの国連の第17回気候変動枠組条約締約国会議(COP)。過去150年間にわたる最大の温暖ガス排出国である米国は、自国が参加すらしていない京都議定書で中国が発展途上国として規制を受けないことを交渉を遅らせる口実にし、交渉自らの排出量をしばることになる世界的な規制作りへの真剣な取り組みを拒みました。インドのジャーナリスト・評論家・平和運動家のプラフル・ビドワイ氏は、人口の55%が電気へのアクセスが無く、発展を必要とするインドのような貧困国を責め、これまで蓄積してきた排出量をほおかぶりしようとする米国の不正義を問います。「大気中に蓄積され、そこに残留し数千年の間地球を温暖化する、全ての温室効果ガスの4分の3は、北半球の先進国からの排出、米国はその4分の1以上に対して責任がある」のです。(13分)

グリーンピース事務局長クミ・ナイドゥ:反アパルトヘイトから気候正義へ

2011/12/5(Mon)

南アフリカのダーバンで開催された2011年国連気候変動会議(COP17)で、グリーンピース・インターナショナルのクミ・ナイドゥ事務局長にインタビューしました。ナイドゥ氏は14歳で反アパルトヘイト運動に参加し、1986年に非常事態宣言の下で逮捕された後、地下にもぐったベテラン活動家です。(19分)

元FCC委員マイケル・コップスが語る米国メディアの未来

2012/1/12(Thu)

ブッシュ政権からオバマ政権にかけて約10年間、連邦通信委員会(FCC)委員を務めたマイケル・コップスが、この10年で大きく変化した米国のメディア環境について語ります。(32分)

チェルノブイリの大惨事:世界最悪の原発事故から25周年

2011/4/26(Tue)

今日4月26日はチェルノブイリ原子力発電所の事故が起きた日です。ちょうど一年前のチェルノブイリ事故25周年の検証番組をお届けします。当初ソ連当局は事故を隠蔽しようとしましたが、結局はチェルノブイリ周辺の5万人の住民を強制避難させることになりました。2004年にアカデミー賞最優秀短編映画賞を受賞したディレオ監督のドキュメンタリー映画「チェルノブイリ・ハート」が示すように近隣地区で生まれた子供にはいまも先天性の異常が多発しています。長期的にみたチェルノブイリ事故の影響による死者数には推計によって大きな開きがあり、IAEA推計では約4000人ですが、ニューヨーク科学アカデミーが2009年に掲載したアレクセイ・ヤブロコフらロシア人科学者の研究では100万人にのぼりますチェルノブイリ被害実態レポート翻訳プロジェクト。(23分)

NATOのリビア空爆は米軍のアフリカ進出への布石?

2011/11/1(Tue)

リビア最高指導者カダフィ氏の死亡をうけNATOのラスムセン事務総長は2011年11月、「民間人への脅威が存在しないことは明らかだ」としてリビア爆撃作戦の終結を宣言しました。カダフィ側の拠点に対する空爆は激化するいっぽうでしたが、「カダフィ氏の出身地シルトへの攻撃は熾烈をきわめ、多数の死者が出た」と政策研究所のフィリス・ベニスは言います。シルト住民のすべてがカダフィ支持者ではありません。ベニスは「NATO軍のリビア爆撃が民間人保護のためだったなどというのは事実に反する。シルトの住民は保護どころか爆撃の対象だった」と言います。(10分)

9.11のTVニュース・アーカイブ: 3000時間分の映像がオンラインで

2011/8/24(Wed)

テレビ報道は私たちの現実認識に大きく影響し、集団的記憶として刻み込まれます。でも、そうしたメカニズムは十分に解明されてきたとはいえません。実際に過去のTVニュースを参照して比較検証するためのツールがなかったからです。米国テレビ報道は私たちの現実認識に大きく影響し、集団的記憶として刻み込まれます。でも、そうしたメカニズムは十分に解明されてきたとはいえません。実際に過去のTVニュースを参照して比較検証するためのツールがなかったからです。米国では9.11同時多発テロから10年目に、インターネット・アーカイブ事業の先駆者2人が野心的なプロジェクトを立ち上げました。『9/11理解 テレビ報道アーカイブ』(Understanding 9/11: A Television News Archive)は、2001年の9月11日から15日まで放送された米国内外20局の延べ3000時間にわたるニュース映像を集め、さまざまな角度から検証できるように重層的にカタログ化して、インターネットで公開されています。(12分)

殺人と汚職をめぐるムバラク裁判に沸くエジプト

2011/8/4(Thu)

民衆革命から半年、エジプトでは長期にわたる独裁政権を敷いてきたムバラク元大統領の公判が開かれました。カイロ郊外の警察学校に置かれた法廷に、入院先から担架で運びこまれた元大統領は、二人の息子とともに、在職中の汚職や革命中の市民虐殺などの罪状で裁かれます。初公判が開かれた8月3日には大勢の群集が敷地を取り囲み、スクリーンに映し出される法廷の様子を固唾を呑んで見守りました。「今後何が起ころうと、今日はエジプト革命の決定的な瞬間です」と、昨年来カイロに居を移した元デモクラシー・ナウ!のプロデューサー、シャリーフ・アブドゥル=クドゥースは言います。(8分)

ノルウェーの大量殺人事件報道に見る「テロ」報道の色眼鏡

2011/7/26(Tue)

まず、おさらいから。2011年7月22日にノルウェーで起きた大量殺人事件。首都オスロでの爆破とウトヤ島のノルウェー労働党青年本部のキャンプ地での銃撃により計77人が殺害されました。事件が初めて報道されたときの衝撃にもかかわらず、多くの人々にとってこの事件はあっという間に色あせ、忘れさられました。なぜか?主流メディアが興味を失い、報道が消えたからです。憲法専門の弁護士で、政治と法律問題のブロガーでもあるグレン・グリーンウォルドが、イスラム過激派の「テロ」襲撃ではないとわかった途端に報道を放り出したメディア報道の歪みを分析します。(13分)

ウォール街の占拠を超えて

2011/11/16(Wed)

2011年9月17日に、一握りの人々がウォール街に近いズコッティ公園を「占拠」して以来、11月15日に警察の手入れで追い出されるまでの2ヶ月間、「ウォール街を占拠せよ」は、あれよあれよの勢いで盛り上がりました。国民の99%を犠牲にモラルを欠いた1%の投機家が仕切る米国の現状という認識のもと、経済的不公平に異を唱え、経済的困窮を訴える運動ではありましたが、その意義は経済闘争にとどまりません。テロ対策と経済回復の名のもとで長らく保守右派に牛耳られ、市民の多くの権利を犠牲にさせられてきた人々の堪忍袋の緒が切れたのです。不満を抱えているのが自分ひとりではないことに気付いた人々が、「占拠」の場に集まり、手作りの様々な貢献をして自分たちがほしい社会の雛型を作ろうとした。こうして、参加型民主主義に再び力がみなぎりました。このセグメントでは、2人のゲストがこの運動の戦略と成功について語ります。(24分)

ナオミ・クライン「ウォール街を占拠」に参加 パート2

2011/10/6(Thu)

昨年10月「ウォール街を占拠せよ」で素晴らしいスピーチをしたカナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン。その直前にデモクラシー・ナウ!のスタジオでグローバリゼーションに抵抗する運動の現状を語りました。「ウォール街占拠」はもちろん、折りしもチリで盛り上がる学生運動や、9月末にワシントンで行われたパイプライン敷設阻止の大規模な非暴力抗議行動などについても報告します。(12分)

ナオミ・クライン 「ウォール街を占拠」に参加 パート1

2011/10/6(Thu)

昨年10月「ウォール街を占拠せよ」で素晴らしいスピーチをしたカナダのジャーナリスト、ナオミ・クライン。その直前にデモクラシー・ナウ!のスタジオでグローバリゼーションに抵抗する運動の現状を語りました。「ウォール街占拠」はもちろん、折りしもチリで盛り上がる学生運動や、9月末にワシントンで行われたパイプライン敷設阻止の大規模な非暴力抗議行動などについても報告します。(21分)

「ウォール街を占拠」ズコッティ公園から強制退去  

2011/11/15(Tue)

2011年11月15日未明、ニューヨーク市警は2カ月に及ぶ「ウォール街占拠」に退去を命じて強制執行し、ズコッティ公園内のテントや寝袋を解体、参加者たちが持ち込んだ物品を一切合財没収し、抵抗した70人以上を逮捕しました。デモクラシー・ナウ!のスタッフも夜中に駆けつけ、早朝まで現場にとどまり一部始終を映像に収めました。(21分)

ジェニン自由劇場のジュリアノ・メル=ハミスの殺害

2011/4/5(Tue)

映画『アルナの子供たち』をご覧になったことがありますか?アルナ・メル=ハミスというユダヤ系イスラエル人でパレスチナ人と結婚した女性が、インティファーダ(民衆蜂起)の勃発で暴力が日常化した占領下のパレスチナ西岸地区の町ジェニンに住み、芸術とは無縁の難民キャンプの子供たちに絵画やダンスなどを教え、暴力ではなく創造的な自己表現を通じて占領に抵抗していくことを教えようとしました。アルナは1993年にライトライブリフッド賞を受賞し、その賞金でジェニンに子ども劇場を作り、95年に亡くなるまで子供たちのために尽くしました。この劇場を手伝った息子のジュリアノは、2000年に再燃したインティファーダのさなかにジェニンに戻り、アルナの教えを受けた子供たちの多くが抵抗運動の戦士として散っていったことを知ります。暗澹とする結末ですが、ジュリアノは映画の終わりに、子ども劇場の再建をめざすことを誓っていました。

ガザ支援船団に参加の米国船 ギリシャ当局の出航禁止に挑む 

2011/7/6(Wed)

「フリーガザ・ムーブメント」は、2008年以来、イスラエルによるガザ封鎖への抗議として、人道物資をガザに届ける航海に挑んできました。しかしイスラエルやギリシャによる妨害により2009年以降はすべて失敗に終わっています。中でも2010年に組織された「フリーダム・フロッティラ」は世界中から約700名が参加した大船団となりましたが、イスラエル軍が「乗客の中にテロリストがいる可能性がある」としてトルコ船を公海上で襲撃、9名の死者を出し、イスラエルとトルコの外交問題に発展しました。

アラブ人作家2人の共同インタビュー アラブの春とイスラエル=パレスチナ

2011/4/27(Wed)

ジャーナリストで作家のルーラ・ジブリールと、エジプトの著名ブロガーのイサンドル・アル・アムラニが、アラブの春とパレスチナについて話します。エジプトの民衆蜂起のさなかに行われたこともあり、アラブの春への二人の期待が伝わるインタビューとなっています。(21分)

ファタハとハマスの和睦で5年ぶりにパレスチナ統一?

2011/4/28(Thu)

2006年1月、パレスチナ立法評議会の選挙が行われ、イスラム主義政党ハマスが過半数の議席を獲得、パレスチナ解放機構(PLO)の中心勢力ファタハを下しました。しかしイスラエルの「生存権」を承認しない政党だとして、イスラエルはハマスとの交渉を拒否、ファタハのアッバース大統領は緊急事態を宣言してファイヤド内閣を西岸地区に発足させ、欧米主導の和平交渉からハマスは排除されました。カルフォルニア大学のサリー・マクディシ教授が、2011年4月に流れたハマスとファタハが和解したとのニュースについて話します。(13分)

英国のウォーターゲート「マードック盗聴スキャンダル」

2011/7/21(Thu)

ルパート・マードックのメディア帝国に逆らえば当選できないと悟った始めての英国首相は、マーガレット・サッチャーだったと言われます。遠路はるばるオーストラリアまでご挨拶に出向き、マードック氏の新聞サン紙を手にチェシャ猫のような笑顔で写真に収まったトニー・ブレア、おそらくやばいことになるとわかってはいながら、盗聴や賄賂による取材にまみれたマードック帝国の元編集幹部を広報担当者として雇わざるをえなかったキャメロン。マードック盗聴スキャンダル暴露の渦中にリリースされた、このウェブエクスクルーシブ・セグメントの中で、ゲストでアルジャジーラのメディアウォッチ番組「リスニングポスト」の司会者、リチャード・ギズバードは、マードック帝国に戦々恐々とする歴代の首相の姿を語っています。(34分)

盗聴スキャンダルに揺れるマードック帝国 地道な調査報道の成果

2011/7/21(Thu)

2011年7月に英国を揺るがしたマードック帝国スキャンダル事件。だが、この事件が国をあげての調査と告発の対象になるまでには、3年間にわたる事件記者の地道な調査活動が必要だった。書かれた記事は、75本。英ガーディアン紙で仕事するニック・デイビス記者の快挙だった。(19分)

ゴールドマン・サックス VS ウォール街占拠 グレッグ・パラストが調査

2011/10/25(Tue)

ウォール街きっての有力銀行ゴールドマン・サックスが、ニューヨークの零細信用組合の募金イベントに脅しをかけたという事件。その裏には、受け取った公的救済資金を悪用して零細金融機関に圧力をかけようとするゴールドマンの悪巧みが・・・(13分)

「企業人格化」を否定するため憲法修正を推進する人々

2011/11/9(Wed)

米国では企業が個人と同等の権利を有するという「企業人格化」の概念が極端に解釈され、企業にも合衆国憲法第一条(表現、出版、集会結社の自由)が適用されるので政治キャンペーンにどれほどお金をつかっても制限できないとする最高裁判所の判決(シチズンズ・ユナイテッド判決)が2010年に下されました。これによって米国の選挙では企業の資金が絶大な力をふるうことになります。これに反対する活動家たちが、憲法修正を求める運動を始めました。新たな修正条項をつくり、「企業は人権をもたない。主権を持つのは人間であり、議会や政府には企業を規制する権限はある」と明記するよう求めるものです。(3.5分)

「銀行口座移動の日」 さあ皆で大銀行から信用組合へ大移動

2011/11/9(Wed)

11月5日は「銀行口座移動の日」。大銀行の横暴に抗議して、みんなで一斉に地元の信用協同組合やコミュニティ銀行にお金を預け変えよう。そんな呼びかけがネットで広まり、全米で7万5千人以上が参加を表明し、信用組合には4万口以上の新規口座が開設され、総額8000万ドルが大銀行から移動しました。11月5日といえばガイ・フォークス・デイ、英国人が反逆者の精神を思い出す日です。この日を選んだのは、もちろんアノニマスやウォール街占拠運動に触発されたから。呼びかけ人はクリステン・クリスチャンという、ごく普通の若者。彼女にキャンペーンを思い立った経緯について話を聞きます。

特権保護と不正隠しの武器と化した米国の司法 グレン・グリーンウォルド

2011/10/26(Wed)

米国の司法には2層構造が生じていると、政治司法評論家グレン・グリーンウォルドが新著で批判しています。かつて法律とは万人が同じ規則に従うことを保障するものでしたが、「法の下の平等」原則はここ40年ほどで形骸化しており、政財界の人々は法をやぶっても訴追されることがなく法を超越した存在になっています。その被害をかぶるのは一般国民ですが、彼らの人権は守られず、国民の監視に税金をつぎ込む政府が危険視すれば司法手続きも踏まず拉致監禁され、いまや堂々とCIAに暗殺されることさえあります。「法律はもはや機会均等を保障せず、むしろ不平等を正当化して政財界の有力者の特権を守り不正な利得を隠す武器になっている」とグリーンウォルドは言い切ります。法の原則の崩壊と司法の濫用は、どうやら日本だけの現象ではなさそうです。

大きすぎて投獄できない銀行 ウィキリークスへの攻撃

2011/10/26(Wed)

前のセグメントからの続きで、グレン・グリーンウォルドがウォール街占拠運動についてコメント。占拠の運動の推進力は、税金で救済された銀行の目に余るふるまいに対する怒りです。金融危機の原因は経済政策の誤りだったとしても、それを何倍にも増幅させて経済を破壊したのは金融業界の巨大な不正でした。それなのに銀行に対しては起訴はおろか犯罪捜査さえ行われません。一方、庶民は些細さな違反でも逮捕・投獄されるようになり、この40年間で米国の囚人の総人口に対する比率は5倍に跳ね上がっています。特権階級に対する司法と庶民に対する司法の差をこれほどあからさまに示すものはありません。しかも政府の金で救済された金融投資家たちは、その金を使って選挙に介入し、自らの特権をさらに固めているのです。

すべての人のためのニュース:米国メディアと人種の相関

2011/10/13(Thu)

デモクラシーナウの共同司会者フアン・ゴンザレスが、数年間にわたる調査を経てメディアに関する画期的な新著を共著で刊行しました。News For All the People: The Epic Story of Race and the American Media(『すべての人々のためのニュース 人種と米国メディアのかかわりについての壮大な歴史物語』)は、米国における人種偏見の持続にメディアが中心的な役割を果たしてきたことを検証します。 白人所有のメディアにはびこる悪質な人種差別に挑戦した黒人、ラティーノ、アメリカ先住民、アジア系アメリカ 人など非白人の先駆的なジャーナリストたちの生涯という、これまでほとんど語られることのなかった歴史を掘り起こします。(44分)

ギリシャ国民投票を妨害するEUの背後にはデフォルト回避に必死なウォール街が

2011/11/3(Thu)

2011年11月初旬カンヌで開催されたG20サミットの議題はギリシャ救済とヨーロッパ債務危機への対応でした。この直前にEUの救済措置を受け入れるかどうか国民投票で決めると発表したギリシャのパパンドレウ首相は、集中砲火を浴びました。国民投票で救済提案が否決しされればギリシャはデフォルトに追い込まれ、金融市場は大きなリスクに直面するからです。でも救済案を受け入れれば、ギリシャは今後長期にわたり緊縮財政と不景気が続き、公共財も天然資源も借金のかたにとられてしまいます。国の主権にもかかわるような大問題を国民投票で決めることの、どこが間違っているというのでしょう。国民の頭越しに政府間の話し合いで決めてしまいたいというEUのほうがよっぽど変です。(12分)

ギリシャとイギリスで数十万規模のストライキ 大胆な歳出削減と緊縮政策に抗議

2011/7/1(Fri)

2011年夏、英国では公共セクター職員75万人強が政府の推進する年金制度改革案に反対して24時間ストを決行しました。この年金制度改革は、財政赤字削減のため公務員年金の支給開始年齢を引き上げ、年金積立金を増額する一方、受給額は減少させるものです。労組側は、銀行が引き起こした経済・財政ききのツケを労働者に回すのはお門違いだと反発しています。英国全土の学校の3分の2がストで休校になり、学生も抗議行動に合流しています。(16分)

債務上限論争の勝ち組は金融市場と国防総省

2011/8/2(Tue)

2011年夏、米国政府はあわやデフォルト(債務不履行)に陥る寸前に追い込まれました。「米国債のデフォルト危機」と日本でも一時あおられましたが、これはまったくの政治的な駆け引きの問題でした。そもそも債務上限の引き上げは1963年以降、毎年のようにほぼ定期的に引き上げられてきたものであり、いまさら政治問題にするようなものではなかったのです。でも終わってみれば、軍事予算だけが上積みされるペンタゴンの全面勝利だったようです。では敗者は誰だったのか、いったい、どうしてこんなことに?金融アナリスト出身の辛口経済批評家で『超帝国主義国家アメリカ』の著者マイケル・ハドソン教授と軍事経済専門家のウィリアム・ハートゥング氏に聞きます。(24分)

ジュリアン・アサンジとスラボイ・ジジェクの対談 Part 2 新マッカーシズムの台頭、コミュニケーションの権利、アラブの春へのウィキリークスの影響、クレジット会社提訴など

2011/7/6(Wed)

2010年12月ロンドンの監獄からは保釈されたものの、以来ずっとノーフォークの邸宅に軟禁状態に置かれてきたジュリアン・アサンジが、スウェーデンへの身柄引き渡しに抗告する上訴審を間近に控えた7月2日、初めて公開の場に姿を見せました。スラヴォイ・ジジェクと長時間の対談を行い、司会はエイミー・グッドマンという、たいへんに珍しいイベントです。会場を提供したフロントライン・クラブは、最前線で命を落とした戦争ジャーナリストを記念して設立された団体です。二時間に及ぶ興味深い対話を2回に分けてお送りします。(55分)

ブルックリン橋で700人逮捕 「ウォール街占拠」が全米に拡大

2011/10/3(Mon)

 ニューヨーク金融街で行われている「ウォール街を占拠しよう(Occupy Wall Street)」キャンペーンは、ブルックリン橋を行進しようとした1日に劇的な展開を迎えました。警察官が700人のデモ参加者を逮捕したことで、同 キャンペーンは、近年で最も多くの逮捕者を出した非暴力運動の一つとなりました。警察官に車道におびき寄せられたと語る人や、歩道を歩けとの警察官の指示 は聞いていないと述べる人もいます。一方、同様の「占拠」キャンペーンはシカゴ、ボストン、ロサンゼルスといった他都市にも拡がっており、数百人が市庁舎 前で抗議のキャンプをしています。番組では「ウォール街を占拠しよう」キャンペーンを組織した主要グループ「集会」(General Assembly)のマリサ・ホームズ、同キャンペーンの法務作業グループに参加するマリーナ・シトリン弁護士、さらに今夏ロンドンで発生した抗議運動を取材した作家でジャーナリストのローリー・ペニーを迎えて座談会を行いました。(17分)

労働組合や学生たちが合流 「新しい運動」の始まりか?

2011/10/5(Wed)

 「ウォール街を占拠せよ」(Occupy Wall Street)抗議デモは20日目に突入。ニューヨーク最強の労働組合のいくつかが今日、同市庁舎からこの抗議デモが陣取る金融街地区に向けてデモ行進を 行う予定です。また数千人とも予想されるニューヨーク市内の主要公立大学の学生たちも、授業料高騰に抗議する授業ボイコットを行うことで、側面支援をする ようです。一方、同様の「占拠」運動が米国中の都市に広がっています。4日には154組合9万人の労働者を代表する大ボストン圏労働協議会 (Greater Boston Labor Council)が「ボストンを占拠せよ」陣営への支持を表明しました。「我が国の権力の不均衡と我々の経済を台無しにしたウォール街の役割に光をあてた」というのが理由です。この「ウォール街を占拠せよ」運動が経済変革のための多様な草の根運動を誘発するのかどうか、今日は2人のゲストが議論します。ネイション誌の寄稿者でColorLines.comの編集主幹カイ・ライトは、同サイトで "Here’s to Occupying Wall Street! (If Only That Were Actually Happening)"(「ウォールストリートを占拠せよ」に乾杯!(それが実際に起きていればね))と題する記事を書いています。もう1人のアルン・グ プタはインディーペンデント(Indypendent)紙の編集者で、またThe Occupied Wall Street Journal (『ウォールストリートを占拠せよジャーナル』) という、同運動に連動した新聞の編集も行っています。同紙で彼は、”The Revolution Begins at Home” (アメリカで革命が始まった)と題する記事も執筆しました。

「ズコッティ公園は次世代の抵抗運動の象徴」マイケル・ラトナー弁護士

2011/10/14(Fri)

 ロウワー・マンハッタンのズコッティ公園で、憲法上の人権センターのマイケル・ラトナー弁護士は、公園清掃を理由にしたニューヨーク市による「ウォール街占拠」抗議者排除の試みは表現の自由に対する違反であって、強行すれば大変な衝突に発展していただろうと話します。「違法性を別にしても、あまりにも大規模な群集ですから、流血の事態になっていたでしょう。この一帯に数千人の人が集まっており、労働組合の人たちもたくさんいるところに入ってこようなんて考えるのが間違いだ。公園の閉鎖なんて、うまくいくはずがなかった…もう大きくなりすぎた。この公園は次世代の抗議運動の永遠の象徴になりつつあるのです」。ラトナーは、ウォール街占拠運動の法務班がブルックフィールド不動産に宛てた書簡の共同署名者です。同不動産はこの「民間所有の公園」を公衆に開放する義務を負っています。書簡は、同不動産が公園清掃を理由にニューヨーク市に要請した措置は憲法修正第一条などに抵触する恐れがあると主張し、裁判所の令状なしに警察が同公園で法執行を行うことは違憲であり違法であると警告しています。また、ウォール街占拠組織者の1人に10月15日の「世界・明日への行動の日」の「United for #GlobalChange」(#世界変革のための連帯)と称した計画について話を聞きます。(11分)

デイビッド・グレイバー:貧困層の債務は帳消しに!

2011/9/19(Mon)

グレイバーは負債の観念そのものを問い直します。歴史を見ると、世界のどこでも大金持ちや政府が借りた金は常に融通が利き、減免が可能です。ところが貧乏人が金持ちに金を借りると、とたんに返済は神聖な義務となり、おいそれと免除はされません。それでも現在の米国のような社会的な危機になった場合には、歴史的に何らかの救済措置が取られてきました。新王の即位で商人への債務を帳消しにする「大赦」など、さまざまな形で制度化もされてきました。政治的な判断でいくらでも融通が効くのです。ウォール街の占拠に来た人たちは、金持ちの債務がチャラになるなら庶民の債務だって危機に際しては柔軟に対処するべきだといっています。(3.5分)

「ウォール街を占拠せよ」 抗議運動のはじまり

2011/9/19(Mon)

 ニューヨークの金融中心地ウォール街に17日から数千人の抗議者が集まって始まった「ウォール街を占拠せよ(Occupy Wall Street)」と呼ばれる運動は、3日目を迎えた今日、デモ参加者が行進を行います。カイロのタハリール広場やマドリードのプエルタデルソル広場で行われた大規模な抗議運動に触発されて、数百人の参加者がこの2日間ウォール街の周辺で夜を過ごしました。デモラシー・ナウ!のサム・アルコフが撮影した抗議行動のビデオレポートを放送し、さらにブログ「非暴力闘争の遂行」(Waging Nonviolence)の編集者ネイサン・シュナイダーに、抗議行動の最新情報を現場から報告してもらいます。また一連の抗議運動に参加した人類学者のデイビッド・グレイバーにも話を聞きました。「(エジプトとスペインでの)デモ参加者の多くは若者で、大半はそれぞれの国の教育制度をまっとうし、多額の債務を抱えて卒業してみれば、就職するのは絶望的に難しいことが分かったのです。既存体制は彼らを完全に裏切った。もし生きる価値のある社会ができるとするなら、私たちはそれを自分たちの手で生み出す必要があります」とグレイバーは語りました。

オフショア金融とタックスヘイブンはグローバル経済の心臓部

2011/4/15(Fri)

ウォール街を占拠した米国の99%の怒りは、金持ちが税金で救済されてさんざん国の世話になっておきながら、ちっともフェアな税負担をしていないことです。日本の総理大臣も増税にひた走っていますが、増税の前に抜け穴を塞いでもらわなくちゃ。租税回避の代名詞が「オフショア」ですが、英国ジャーナリストのニコラス・シャクソンによれば、オフショア金融制度は単に租税回避の手段というだけでなく、秘密の保持によって法規制の抜け道を提供し、不透明なハイリスク取引を可能にする魔法のトンネル、ウォール街の資金力にあかせた政治への介入を陰で支える聖域なのです。(25分)

ジュリアン・アサンジとスラボイ・ジジェクの対談 Part 1 ウィキリークスの理念と影響、マニング、米国での大陪審

2011/7/5(Tue)

2010年12月ロンドンの監獄からは保釈されたものの、以来ずっとノーフォークの邸宅に軟禁状態に置かれてきたジュリアン・アサンジが、スウェーデンへの身柄引き渡しに抗告する上訴審を間近に控えた7月2日、初めて公開の場に姿を見せました。スラボイ・ジジェクと長時間の対談を行い、司会はエイミー・グッドマンという、たいへんに珍しく興味深いイベントです。主催のフロントライン・クラブは、最前線で命を落とした戦争ジャーナリストを記念して設立された団体です。二時間に及ぶ興味深い対話を2回に分けてお送りします。(45分)

【EXPRESS】伝説的バンドCSN&Yのクロスビー&ナッシュがウォール街占拠ライブを語る

2011/11/10(Thu)

クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤングのデヴィッド・クロスビーとグラハム・ナッシュが、ウォール街占拠運動の応援にかけつけました。政治的メッセージを発信しつづけてきた2人が、スタジオでウォール街占拠や原子力発電に反対する理由を語ります。ウッドストックの懐かしい映像やWhat Are Their Names? のアカペラ演奏もお楽しみください。

トロイ・デイビスの処刑迫る

2011/9/21(Wed)

NYタイムズ紙が「悲劇的な誤審」と論じたトロイ・デイビスの死刑判決。有罪判決への疑いのさなか、2011年9月22日、薬物投与による処刑が執行され世界に衝撃を与えました。処刑前日、ジョージア州アトランタからオンエアされたこのセグメントでは、デイビスの死刑反対運動の両翼を担ったアムネスティ・インターナショナルと全米黒人地位向上委員会(NAACP)の幹部が、事件と裁判のあらまし、米国の死刑制度反対運動について語ります。(20分)

「食物テロリスト」の出現?公園の炊き出しを取り締まるオーランド市

2011/6/24(Fri)

フロリダ州のオーランド市は、ディズニーワールドのお膝元です。この町は最近、「食物テロリスト」が出没するそうで、数週間で20名以上が逮捕されました。お腹を空かせた人々に公園で無料の食事を配ったというのが逮捕の理由です。炊き出しを行った団体「フード・ノット・ボムズ」を、市長が「テロリスト」と呼んだことが広く報道されました。

高木仁三郎の盟友マイケル・シュナイダーが語るプルトニウムの恐怖と平和利用のペテン

2011/4/14(Thu)

マイケル・シュナイダ―は、28年間エネルギー問題を追い続けている理由を「エネルギーの利用や生産が政治権力と結びついている」からだと説明します。もともとはドイツの反戦活動家で、良心的兵役拒否者だったと言います。社会奉仕活動を課せられた後、世界を渡り歩き、フランスに落ち着きます。しかし軍事問題への関心を持ち続けたシュナイダ―は、軍事用核と民生用核の問題に気づき、独自に調査を始めます。1992年以降、環境団体と協力して『世界の原子力産業現状報告』を発行、原発産業の動向を報告してきました。報告の中でシュナイダ―が一貫して指摘しているのは、原発産業は1980年代末にピークを迎えた斜陽産業だということです。しかし「原子力ルネサンス」は「安全神話」と共に世界中で喧伝されました。シュナイダ―は、「原子力ルネサンス」は権力構造を維持するための壮大な「誇大宣伝」であり「ペテン」だと言っています。効率的なエネルギー生産という名のもとに世界をだます「無用の長物」だと。半年後の2011年3月11日、日本でそれが証明されることとなりました。(17分)

AP記事が暴露 米原子力規制委員会が業界と共謀して安全基準の緩和に動く

2011/6/24(Fri)

AP通信の連載企画記事“Aging Nukes”(老朽化する原子力発電所)(2011年6月20日から28日にかけて配信)は、業界となれ合い状態にある米国の原子力規制、放射性物質の漏出、漏出の実態調査の不備など、お寒い状況を明らかにしました。記事を執筆したジェフ・ドン記者が連載の渦中にデモクラシー・ナウ!に登場です。(14分)

米国が隠したヒロシマとナガサキ

2011/8/9(Tue)

3.11の福島原発事故は、核エネルギーを安全に使いこなせるという原子力「安全神話」をくつがえしました。原子力の平和利用という謳い文句の下、放射能への恐怖を軽んじたのは日本も米国も同じでした。あまりにも残虐な武器の使用を正当化するために、被爆者の惨状を隠そうとする動きは、終戦直後から始まりましたが、さらに冷戦下の核軍拡競争と原子力発電推進の中で、米国は原爆の全貌を国民の目から隠しました。ウソで固めた核の時代が始まったのです。(26分)

セイモア・ハーシュ 「アラブの春」と湾岸諸国、サウジアラビア、米国

2011/6/3(Fri)

米国政府はありもしない核兵器開発疑惑を煽り立ててイランを叩こうと一生懸命ですが、アラブ世界の各地に民衆蜂起が吹き荒れる中、むしろ注意すべきはサウジアラビアだとシーモア・ハーシュは言います。この専制的な神権国家は、アラブの春に対して心底怯え、反革命に走っているのだと。例えば隣国のバーレーンはペルシャ湾岸の小さな島国ですが、ここではスンニ派の政府が住民の多数を占めるシーア派にひどい弾圧を加えていますが、同じようにシーア派住民を弾圧しているサウジはバーレーン政府の弾圧を支援しており、バーレーンに第五艦隊の基地をおく米国も弾圧は見てみぬふりです。(17分)

イランの核兵器開発疑惑は米国の諜報機関によって否定されている セイモア・ハーシュ

2011/6/3(Fri)

IAEA(国際原子力機関)は11月8日、テヘランに核兵器の起爆装置を開発する施設が建設された有力な証拠があるとするイラン核問題報告書を発表しました。米国のマスコミは発表前からすでにリーク情報を流しており、イスラエルが単独でイランを攻撃することへの懸念を指摘しました。これを受けて米国、英国、カナダは共同でイランに対する制裁措置を決めました。いっぽうイラン側は、天野之弥IAEA事務局長を「米国の手先」と呼び強く反発しています。長年イランの核兵器開発疑惑を取材してきたセイモア・ハーシュ記者は、IAEAの主張は何の証拠もない妄想であり、イラク戦争を始めたときと同じ危険なものだと言います。(13分)

オバマ大統領のリビア攻撃は合法か?

2011/6/16(Thu)

今年6月、米国下院で超党派の議員10人がオバマ大統領を戦争権限法違反で提訴しました。リビアへの介入が議会の承認のないまま60日を過ぎたからです。米政府はこれに対し長文の報告書を作成し、リビア介入は戦争権限法のいう戦争にはあたらないと弁明しました。「リビアでは敵との交戦も、恒常的な戦闘もなく」、「地上軍も展開していない」からです。リビアでの軍事行動の合法性をめぐって、提訴に加わったオハイオ州選出の民主党デニス・クシニッチ下院議員と、レーガン政権で法務官として活動し、戦争権限法に批判的なロバート・ターナー氏の論争をお届けします。

フアン・コール エジプトの指導者は軍が決める

2011/1/28(Fri)

ホスニ・ムバラク大統領が去った後、エジプトの実権を握ったのは軍でした。軍政の強固な支配をつきくずすことができるかどうか、エジプトの民衆革命は正念場を迎えています。ムバラク退陣を求める大規模な抗議運動が全土に広がりつつあった頃、ミシガン大学の歴史学教授フアン・コール氏にエジプト情勢の背景について聞きました。(12分)

ゆらぐ米国中心の中東地域体制 ラシード・ハーリーディ

2011/2/5(Sat)

コロンビア大学で中東現代史を教えるラシード・ハーリーディ教授が、エジプトとチュニジアの民衆蜂起が中東全体に与える影響について語ります。ハーリーディは2010年秋、米コロンビア大学が毎年開催しているエドワード・サイード記念レクチャー・シリーズで行なった講演で、「米国の中東政策を決定する政治プロセスがもたらす結果についての短期的な見通しは深い悲観論であり、パレスチナ・イスラエルの状況についても同様だ」と述べました。その数カ月後、エジプト蜂起がそれを変えることとなりました。アラブ諸国の中心的存在エジプトの既存体制が揺らぎ始めたからです。(13分)

【Express】「ウォール街を占拠せよ」野営地にコミュニティが出現

2011/10/11(Tue)

「ウォール街を占拠せよ」運動の野営地、ズコッティ公園にコミュニティが出現しました。無料の食堂エリア、図書エリア、医療エリアもそろっています。野営の存続を支えているのは、多くの人々から次々と届くカンパや差し入れ、そして参加者たちの自助活動です。海外の活動家たちも自分の経験を役立ててもらおうとやってきました。ウォール街の投資銀行に勤める男性もやってきました。銀行名は言えないが、といいながら銀行内の反応を明かしています。スペインから来たジャーナリストは「私たちはただ怒っているのではない。システムを変革せよと言っているのです」と言います。(4分)

『陽だまりの時』ジョン・セイルズ監督に聞く

2011/7/4(Mon)

 米国独立映画界のベテラン監督で脚本家のジョン・セイルズへの1時間インタビューです。1979年の『セコーカス・セブン』でデビューして以来17作品を監督してきたセイルズ監督。2011年夏、まずフィリピン、続いて米国で公開開始された第17作目の長編映画『アミーゴ(原題)/Amigo』(日本公開未定)の題材は米比戦争(1899年~1913年)。ハワイ併合(1893年)や、「キューバ解放」を口実にした米西戦争(1898年)とともに、現在に至る米国の暴力的な対外膨張戦略を決定的なものとした事件です。映画では白人至上主義者によるノースカロライナ州のクーデター、映画産業の勃興など、広範な題材に取り組んでいます。セイルズ監督は、O.ヘンリー賞を受賞するなど、小説家としても高い評価を受けていますが、『アミーゴ』公開に先立ち、2011年5月に同じ題材で千ページ近い大河小説A Moment in the Sun(『陽だまりの時』)を発表しました。

 ハリウッドの主流から距離を置き、学生運動・人種差別・労働運動・性的少数者・政治腐敗など、興行的にタブーとされる題材を積極的に取り上げてきたセイルズ監督が、新作映画と小説を中心に、過去の監督作品の名場面を交えてデビュー以来の経験を語ります。視聴者からの質問に対して、芸術家あるいは活動家として正気を保つためには「自らの役割を知る」ことが大切だと答えるセイルズ監督。「社会は良い方向に動いており、より良い世界を作るためには草の根の力が必要で、例え容易にはつたわらなくとも、対話の努力をすること自体に意味がある」と熱く語ります。(斉木裕明)

公共テレビの巨星ビル・モイヤーズ

2011/6/8(Wed)

アメリカの伝説的ジャーナリスト、ビル・モイヤーズが、民主主義擁護に賭けた気骨の生涯を語る特別番組です。モイヤーズはジョンソン大統領の若き報道官として1967年に公共放送法の成立を目撃し、公共放送の誕生に立ち会いました。ベトナム戦争が拡大していく中、ジョンソン政権内のハト派だったモイヤーズは「予算も労力も時間もすべてが戦争努力に吸い取られ」、公民権運動などジョンソンの国内でのせっかくの成果がいかされないことに失望。政権を離れ、ジャーナリストとしての活動を始めました。新聞を皮切りにテレビの世界にはいった彼は、放送ジャーナリズムの「第2世代のパイオニア」として、メジャーネットワーク局NBC、CBSのニュース解説者として活躍した後、公共放送局PBSでTV放送史に残る数々の名番組をプロデュースし、不動の地位を獲得しました。(30分)

【Express 】「私たちは99%」「ウォール街を占拠せよ」の市民の声

2011/10/6(Thu)
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