モハメド・アリ 政治にコミットするスポーツ選手の草分け

 ボクシング界屈指の偉大なチャンピオンであるモハメド・アリは、その波乱万丈の生涯を通じ、その生きた時代の政治とのかかわりによって、まさに伝説的なものになっています。1960年オリンピックでライトヘビー級金メダルを獲得した後、プロに転向したカシアス・クレイは、ブラック・ムスリム運動として知られる「ネイション・オブ・イスラム」に入信し、「モハメド・アリ」に改名すると宣言しました。ベトナム戦争にも批判的で、徴兵拒否をし、タイトル剥奪と活動停止に加え、禁固5年という異常な重刑を宣告されました。デビッド・ザイリンは、「スポーツと政治の接点」という彼独自の視点から、スポーツ界の沈黙を破って、弱者のために闘うと言ったアリの生涯をとらえ直す新著を刊行しました。(11分)

ワシントンがピンクに染まる:平和活動集団「コードピンク」参上!

 もしも、永田町の国会議事堂の傍聴席を、ピンクの服を着た人たちが大勢で占拠したら…。ここのところ頻発している政治家の失言の翌日に、ピンクの服の集団がその政治家の家に押しかけて、失言を題材にした歌の大合唱を始めたら…。 そんな活動を実際にワシントンで行なっているグループ、それが「コードピンク」です。(12分)

『アメリカのファシスト』急進的キリスト教右派の政治的野望 後編

ドミニオニズムは宗教運動としてよりも、ファシズム運動としてとらえるべきだとヘッジズは主張します。共和党=企業権益や保守層と、権威主義的な服従を要求するキリスト教右派の結びつきは、ファシズムに典型的な野合であり、ワイマール共和国で労働者や中産階級の没落を利用してファシストが台頭したのとおなじように、グローバリゼーションの進展で困窮に追いやられる労働者や中産階級の不満と怒りを、宗教的な救済でからめ取り、彼らの絶望を食い物にして絶対支配を打ちたてようとするのだと。 戦争請負企業ブラックウォーターや移民排斥問題などの背後には、この勢力の影がちらつきます。

ジョン・ピルジャー「リベラルな報道機関によるプロパガンダと沈黙、民主主義の圧殺」

 オーストラリア出身の著名なドキュメンタリー作家、ベトナムや東チモールやなどで数々の真実を暴いてきたジョン・ピルジャーは、2007年8月にシカゴの社会主義会議で行った講演で、企業利益を代弁する商業メディアの支配にいつにもまして痛烈な批判を浴びせています。その論調は、N・チョムスキー&E・ハーマンのメディア論を髣髴とさせます。「リベラル・デモクラシーは、しだいに企業による独裁政治の一形式へと変容しつつある。この歴史的な大転換が進むとき、外見を繕い真実を隠蔽する道具としてメディアが機能するのを許してはならない。メディアそのものが、大衆的な関心を呼ぶ緊急の大問題として論争にさらされ、直接行動のまとになるべきだ。「大多数の人々が真実を知らされず、真実という観念を奪われたなら、その時には"言葉のバスティーユ監獄"が襲撃される、と米独立革命の思想家トマス・ペインは警告しました。その時は、今です」(46分)

革命家チェ・ゲバラ 没後40年の遺産

 キューバ革命の指導者チェ・ゲバラが1967年10月9日、ボリビアで同軍とCIAの共同作戦によって処刑されてから40年に当たる日の特集です。最初に1964年のゲバラの国連演説、その時のNYでの米報道陣によるインタビューをパシフィカ・ラジオのライブラリーから紹介、さらにボリビアのモラレス大統領の演説からゲバラに関する部分を抜粋しています。 全体のコメンテータには『帝国のワークショップ:ラテンアメリカ、アメリカ合衆国、そして新帝国主義の勃興』などの著書があるニューヨーク大学グレッグ・グランディン教授(南米史研究)を迎えています。 (30分)

「味方がないのに真実を訴えるのは、学者として途方もない勇気がいる」 ホロコースト産業を批判するフィンケルスタイン教授に圧力

 政治学者ノーマン・フィンケルスタインは、イスラエルの政策に対する強烈な批判で米国では異彩をはなっています。2000年に出版した『ホロコースト産業』では、米国のユダヤ系支配層やイスラエルが、ホロコーストという民族の迫害の記憶を利用して、自分たちの利益を増進し、ユダヤ文化の伝統を損なってきたと論じ、痛快な批判を繰り広げました。第二次世界大戦中にスイスの銀行がユダヤ人の資産を着服したとして、ユダヤ系の団体が一斉に騒ぎ立て補償を求めた事件について、あれは何の根拠もないゆすりだったと暴き、アメリカの外では大ベストセラーになりました。デモクラシー・ナウ!にもしばしば登場し、イスラエル支持の論客と鋭い論争を見せていました。 (19分)

アナポリスから中東平和は生まれない 頼みは民衆の連帯のみ ノーム・チョムスキー

 2007年11月27日メリーランド州アナポリスで米国主導の中東和平会議が開催されました。それに先駆けて開かれたるキリスト教聖公会系の会合で、世界を代表する2人の思想家が話しました。南アフリカ聖公会の元大主教でノーベル賞受賞者のデズモンド・ツツと、世界的に著名な言語学者のノーム・チョムスキーです。チョムスキーによれば、和平への最大の障壁は、パレスチナ人の領土を占領し、違法な入植政策を続けているイスラエル政府の政策を、米国が支援していることだと述べます。この二者を除く世界のほとんどが、国連決議242に沿ってパレスチナを分割し、パレスチナ人にも独立国家を与える「二国家解決」を基本的には支持しています。アラブ連盟もハマスも、イランも、残りの世界もそれを支持していると彼は述べます。 (24分)

世界的食糧危機の中 G8サミットは豪華ディナーを楽しむ

世界の食糧高騰と供給不足に「深く憂慮している」と言ったその舌も乾かぬうちに、北海道サミットに集った各国首脳は18品目の豪華コース料理を楽しみました。世銀の推定では食糧高騰により新たに1億人強が貧困ラインを割る可能性があり、30カ国以上で暴動が起きたなかでの美食の饗宴には、世界の現実がグロテスクに示されています。『小さな惑星の緑の食卓』の著者フランシス・ムア・ラッペとともに世界の食糧危機、食糧の自立、真の民主制度とは何かを考えましょう。(11分)

パレスチナの詩人マフムード・ダルウィーシュ死去

パレスチナを代表する詩人、マフムード・ダルウィーシュが8月に亡くなりました。持病の心臓病の悪化のため米国で手術を受け、そのまま帰らぬ人となりました。遺体はパレスチナのラマラに運ばれ、ヤセル・アラファートに次ぐパレスチナで2人目の国葬が執り行われました。彼の死を悼み、パレスチナでは3日間の喪服期間が宣言されました。一介の詩人が、これほどまでに人々に敬愛され惜しまれるのはなぜなのでしょう? 「敗北したトロイの語り部になろうと決意した」というダルウィーシュが、パレスチナやアラブ世界全体にとってどんな存在意義を持ったのか話し合います。(28分)

奴隷制とよばれない奴隷制 黒人再奴隷化の歴史

数々の受賞歴を持つジャーナリスト、ダグラス・ブラックモンの新著『奴隷制とは呼ばれない奴隷制  米国における黒人の再奴隷化の歴史』は、数百人数千人のアフリカ系アメリカ人に強制された新奴隷制の忘れられた歴史を明るみに出しました。この新奴隷制は南北戦争後1940年代まで維持されていました。広範な歴史資料をひも解きながら、アフリカ系アメリカ人の再奴隷化を目して作られたこの恥ずべきシステムをブラックモンは明らかにしていきます。新法のもとで、彼らは脅され、逮捕され、法外な罰金を科せられ、そうして強制された労働力として企業や鉱山、プランテーションに売られたり、望まない労働に就かせられたりしていたのです。(15分)

「貧困のアメリカ史」スティーブン・ピムペア

2007 年に米国民の12.5%にあたる3700 万人以上が貧困ライン以下で暮らしていました。古今の経済危機の影響で、この数は4700万人まで増加する可能性がありす。スティーブン・ピムペアは、1980年代からの福祉政策攻撃キャンペーンは、「政府の保護は勤労意欲を損ねるので、貧困層や労働者の精神にとって有害だ」という、ビクトリア朝時代の主張とほとんど同じであり、「生活保護に頼る人々は遊んで暮らしている生来の怠け者であり、犯罪予備軍であるから甘やかしてはいけない」というプロパガンダだと言います。モラルの荒廃が懸念されるのは、もちろん下々の者だけです。「大きすぎてつぶせない」金融機関が税金によって救済されても、彼らのモラルハザードを心配する声は上がりません。国による保護を受けるのは、その「資格」がある者だけだと、特権を持つ人たちは言います。(10分)

「白い肌のテロリスト」 反アパ ルトヘイトの詩人ブレイテンバッハ 前編

ブレイテン・ブレイテンバッハ)は反アパルトヘイト運動で有名な南アフリカの亡命詩人です。アフリカーナとよばれる南ア白人の家庭に生まれましたが、60年代 初めにパリに移り住み、そこで反アパルトヘイト運動に深く没入しました。1975年、偽造パスポートでひそかに南アに戻ったところを逮捕され7年間投獄されました。この獄中体験を綴ったのが、代表作『白い肌のテロリストの真実の告白』です。11月26日に放送された第一回は、反アパルトヘイト闘争と解放後の南アフリカの失敗について詳しく聞きました。続編にあたる今回は、アフリカ大陸全体の現在に視野を広げます。(20分)

ガザ救援物資コンボイを率いた英国議員カナダで入国拒否

カナダ政府は2009年3月20日、辛らつな発言で有名な英国のジョージ・ガロウェイ(ギャロウェイ)下院議員が遊説のため入国するのを拒否しました。理由は国家安全保障にかかわるテロ支援の疑いです。2006年1月のパレスチナ立法評議会選挙で圧勝し、現在はガザ地区のみを支配するハマス政府に援助を行ったことをさします。 2008年末から22日間にわって続いたイスラエルによるガザ攻撃を受けて、ガロウェイ議員はガザに救援物資を届ける「ヴィヴァ・パレスチナ」キャンペーンを企画し、1カ月で100万ポンド相当の支援と数百人のボランティアを集め、消防車や救急車を含む120台の車両に生活物資を満載し、陸路ガザをめざすコンボイを実現させました。(10分)

アルンダティ・ロイ 「9は11ではない(そして11月は9月ではない)」

2008年11月26日にインドのムンバイで発生した武装集団による数箇所の同時襲撃事件の後、インドでは米国の9.11同時多発襲撃事件と比較する論調が目立ちました。12月はじめ、インド政府は国内の治安とテロ対策のため、インフラを大規模に改造すると発表しました。小説家で活動家のアルンダティ・ロイは、「9は11ではない(そして11月は9月ではない)」という記事でムンバイの襲撃事件とニューヨークの襲撃事件とを安易に同一視することの危険を指摘し、警告の声を上げています。番組では、直後から事件への関与がささやかれる隣国パキスタンとの関係を建国の歴史にさかのぼって説明し、ムンバイの事件を南アジア全体の国際政治の中に位置づけてくれます。(27分)

エクアドルのコレア大統領へのインタビュー

中南米の左傾化の一翼を担うエクアドルのラファエル・コレア大統領への単独インタビューをお届けします。2009年6月下旬、国連で行われた世界金融・経済危機と開発への影響に関する高官レベルの会合に出席するためニューヨークに滞在中のコレア大統領にお話を伺いました。 グローバル資本主義、マンタにある米軍基地協定の更新拒否、アマゾンに暮らす数千人の先住民が毒性の強い油井汚染に関して石油メジャーのシェブロン社に120億ドルの損害賠償を求めている訴訟、エクアドルとコロンビアの関係、そしてコレア氏のオバマ大統領に対するアドバイスを聞きました。(28分)

ホンジュラスのクーデターの背景をたどる

6月末に起きたホンジュラスのクーデターは、中南米の歴史を見てきた人にはおなじみの光景だったかもしれません。民主的に選ばれたマヌエル・セラヤ大統領が軍部のクーデターにより国外追放されました。それを率いたロメオ・バスケス将軍は、米国の陸軍教練機関スクール・オブ・ジ・アメリカズ(SOA)で訓練を受けていました。SOAは現在は名称を変えてWINSECと呼ばれていますが、これまで6万人以上のラテン・アメリカ諸国出身の軍人を訓練してきました。その多くは祖国に戻って人権蹂躙や拷問、裁判なしの死刑執行や大量虐殺などに関わっています。放されたホンジュラス大統領マヌエル・セラヤと今回のクーデターについて、『革命!南米と新左翼の台頭』の著者ニコラス・コズロフに聞きます。セラヤはもともと特権階級出身の実業家で、当初は保守的な姿勢が目立ちました。しかし、2007年以降、中南米全体に左翼的な傾向が顕著になると、セラヤもその流れに乗り、革新的な立場を取り始めました。(20分)

コンゴ内戦の性暴力とアフリカの「資源の呪い」 後編

アフリカの天然資源に利権を持つ米国企業のかかわり方に目を向けてみましょう。クリントン長官が訪問したアフリカ7カ国には同大陸の二大石油算出国であるナイジェリアとアンゴラが含まれるなど、資源国との関係強化が訪問の狙いであったと言えそうです。しかし、これらの国々は、豊かな天然資源のゆえに紛争や汚職が絶えない「資源の呪い」に取りつかれた国でもあります。(8分)

アメリカの急進派 I・F・ストーンの生涯とその時代

「急進派ジャーナリスト」を自称したI・F・ストーンは、20世紀アメリカを代表する調査報道ジャーナリストでした。学問的ともいえるような緻密で徹底した調査手法でスキャンダルを鋭く暴く独特のスタイルによって、アメリカの報道界に大きな影響を残しました。60年にわたる活動期間を通じて取り上げた問題は、ニューディール政策から、第2次世界大戦、マッカーシズム、冷戦世界大戦、イスラエル=パレスチナ問題、公民権運動、ベトナム戦争と多岐にわたります。 有名な自費出版の個人ジャーナル『週刊I・F・ストーン』を始めることになったきっかけは、マッカーシー時代の言論統制の中で、公的医療保険の導入を阻む医療業界のボスを果敢に批判したためマスコミを追放されたからでした。(50分)

"アメリカでいちばん危険な男"ダニエル・エルズバーグとペンタゴン文書

ベトナム反戦運動のハイライトとなった歴史的事件を二つ特集しました。ペンタゴン・ペーパーズの暴露については、すでに一度紹介しましたが、今回はその中心人物ダニエル・エルズバーグを取り上げます。ランド研究所のトップアナリストが、政府に背き終身刑を覚悟で内部告発をした動機はなんだったのでしょうか?(29分)

タリバンを善人に見せるためにやってきたようなもんだ

オバマ大統領はアフガニスタンへの3万人の増派を発表しました。マクリスタル司令官はNATOにも派兵を要求しており、5千人が追加される予定です。2003年からイラクとアフガニスタン両国を取材してきたニル・ローゼン記者に、アフガニスタンの米軍の現状を聞きます。(16分)
Syndicate content