アラブ世界の「民主化」を本当は望まない米国とNATO

放送日: 
2011/5/11(水)
再生時間: 
15分

米国のメディア監視団体FAIR(Fairness and Accuracy in Reporting)は大手メディアを25年にわたって監視し、少数者や反体制派の意見を排除しようとする報道に批判を加えてきました。ノーム・チョムスキーが25周年イベントに招かれ、アラブの春に対する欧米政府の反応、主要メディアの報道について話しました。

アラブ世界の一般民衆の意見は、欧米の主要メディアにほとんど取り上げられないとチョムスキーは言います。ブルッキングス研究所がアラブ世界の人々を対象に行った意識調査では、米国を脅威とする意見が圧倒的多数を占め、イランを脅威とする意見は10%にすぎませんでした。しかしこのような意識調査を報じる米国メディアは皆無に近いとチョムスキーは言います。こうしたことは、米国政府の民主主義に対する深い嫌悪の現れだとチョムスキーはくりかえし指摘してきました。独裁者の意見だけが重要で、民衆の意見はどうでもよいという姿勢を見続けてきたアラブ世界の人々には、米国を最大の脅威とみる理由が十分すぎるほどあると言えます。

米国にとって中東は石油戦略上、最も重要な地域であり、その支配は現地の独裁者にかかっています。チョムスキーは、欧米の利益にはたらく中東の専制支配体制を「アラブの見せかけ」(Arab Facade)と、英国のカーゾン卿の言葉を引用して呼びました。独裁体制の下で苦しむアラブ世界の民衆が「私たちの地域にある資源の恩恵を受けるのは、私たちであるべきだ」と主張することは許されません。

しかし欧米にとって懸念されるのは、中東の油田地域が偶然にも、イスラム教シーア派住民が多数を占める地域にまたがっていることです。サウジアラビア東部からバーレーン、イラク、イランにかけてシーア派の連携ができ、自立への道を歩むことは、米国政府にとって「悪夢に近い」とチョムスキーは言ってきました。(桜井まり子)

ゲスト

*ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky):マサチューセッツ工科大学名誉教授。著書が百冊を超える著名な言語学者で反体制知識人。新刊はOccupy(Zuccotti Park Pressから2012年5月刊行予定)

字幕翻訳:田中泉 校正・サイト構成:桜井まり子

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