ブッシュ家の崩壊  親子の確執につけ入り、過激信仰集団が権力の中枢を握って侵略戦争を開始

30分
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放送日: 
2007/11/16(金)

クレイグ・アンガーの新著は、ブッシュ政権の下でネオコンたちがキリスト教右派と秘かに同盟し、イラク開戦に向けて好戦的な機運を煽った過程を検証しています。中東紛争は、イスラム対西洋の対立軸からとらえられがちですが、アンガーはそれに対して原理主義という別の視点から見ようとします。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれに原理主義はあります。アンガーに言わせれば、ネオコン(新保守主義)も世俗的な衣をまとった原理主義です。啓蒙主義を経た近代社会とは相容れないこうした勢力の巻き返しが、現在の事態の大きな背景を描いていると彼は述べます。
表面的には仲のよさそうなブッシュ親子のあいだには、じつは長年の確執があるとアンガーは言います。親子の立場は正反対ともいえるほど対立しています。先代ブッシュ大統領がキリスト教右派を嫌い、ドナルド・ラムズフェルドのようなネオコン勢力とは険悪な仲であるのに対し、息子のブッシュは熱心な信者であり、初期のブッシュ政権にはネオコン勢力が深く浸透していました。キリスト教右派は圧倒的な集票能力によって、いまや共和党に大きな支配力を及ぼしています。
ジョージ・Wはブッシュ家の長男ですが、父親に愛されていたのは弟のジェブだったようです。期待されない息子は、次第に父とのあいだに確執を深めていったとアンガーは言います。大統領に就任したジョージ・Wが、父親が信頼していた保守本流の現実主義路線ではなく、過激な原理主義者たちに取り込まれてしまったことも、父親への反発としてとらえられるのかもしれません。親子の対立につけいって、共和党をのっとり行政府の中枢にすわった宗教右派やネオコン勢力が、アメリカを誤った戦争に導いたとアンガーは主張します。米国のキリスト教原理主義は8千万人の信者をかかえる巨大な大衆運動です。アメリカの政治を動かす一つの大きな軸として、宗教右派の動向は目が離せません。(中野)

★ DVD 2007年度 第6巻 「2008年2-3月」に収録

ゲスト

クレイグ・アンガー (Craig Unger)調査報道記者、著作家。 『バニティー・フェア』の寄稿編集者で、『ブッシュの野望 サウジの陰謀―石油・権力・テロリズム』(柏書房)はニューヨークタイムズ書評のベストセラー。新著はThe Fall of the House of Bush: The Untold Story of How a Band of True Believers Seized the Executive Branch, Started the Iraq War, and Still Imperils America’s Future(『ブッシュ家の崩壊 強烈な信仰集団がいかにして行政府を掌握し、イラク戦争を開始し、そしていまもなお米国の未来を危険にさらしているのか、その語られざる物語』)

字幕翻訳:田中泉 校正:永井愛弓
全体監修 中野真紀子

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