「ショックドクトリン 大惨事につけ込んで実施される過激な市場原理主義改革」 ナオミ・クライン新著を語る 1

 1973年のピノチェト将軍によるチリのクーデター、天安門事件、ソ連崩壊、米国同時多発テロ事件、イラク戦争、アジアの津波被害、ハリケーン・カトリーナ。これらの事件に一すじの糸を通し、従来にない視点から過去35年の歴史を語りなおすのが、カナダ人ジャーナリストのナオミ・クラインの話題の新著The Shock Doctrine: The Rise of Disaster Capitalism(『ショック・ドクトリン:惨事活用型資本主義の勃興』)です。ケインズ主義に反対して徹底した自由市場主義を主張したシカゴ学派の経済学者ミルトン・フリードマンは、「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」と述べました。この主張をクラインは「ショック・ドクトリン」と呼び、現代の最も危険な思想とみなします。近年の悪名高い人権侵害は、とかく反民主主義的な体制によるサディスト的な残虐行為と見られがちですが、実は民衆を震え上がらせて抵抗力を奪うために綿密に計画されたものであり、急進的な市場主義改革を強行するために利用されてきたのだ、とクラインは主張します。 (13分)

ハイチの苦難の歴史 黒人奴隷革命から大統領拉致まで ランダル・ロビンソン 後編

 民主的に選ばれた大統領が、未明に官邸を襲った他国政府の要員によって拉致され、国外に追放される。こんな無法な事件が4年前ハイチで起こりましたが、その事実は大手メディアでは報道されていません。カリブ世界の最貧国、政情不安のつづく破綻国家で、またもや軍事クーデターが起こったと片付けられているようです。ハイチはフランス革命時代に黒人奴隷が蜂起しフランスから独立した世界最初の黒人共和国です。その輝かしい歴史のために、この国は大きな代償を支払わされてきました。独立以来たえまなく続く欧米の敵意と干渉について、2004年のクーデターの詳細と、その後の現地情勢を調査したランダル・ロビンソンが語ります。 (15分)

米政府の経済封鎖による打撃がベネズエラのクーデターの試みを後押し

ベネズエラでは今年1月、マドゥロ大統領の二期目就任からほどなくしてクーデタの試みが起こりました。1月24日に野党指導者のフアン・グアイド国民議会議長が、マドゥロの就任は正統性がないとして自ら臨時大統領を名乗り、米国は即刻グアイドを承認し、親米諸国もそれに続きました。しかし、グアイド議長の呼びかけに応じる国民は少なく、軍もマドゥロ支持を表明し、クーデターの試みは失敗しました。それでも主要メディアの注目と米国を後ろ盾にグアイドはマドゥロ政権への揺さぶりを続けており、こう着状態が続いています。(31分)

フリーダム・ライダーズ 人種隔離バスへの抵抗

公民権運動の歴史には、秘められた宝物がいっぱい埋まっているようです。今からちょうど50年前、公共交通機関の人種差別を撤廃させた非暴力不服従運動「フリーダム・ライド(自由のための乗車運動)」もその一つです。 南部では人種分離法によって、学校もレストランもトイレや乗合バスの座席も、はては救急車までもが白人用と非白人用に分けられていました。これに抗議するボイコットや座り込みが広がり、1960年末に連邦最高裁判所は南部の人種隔離法は憲法違反とする判決を出しました。でも南部はこれに従わず、差別の実態はなにも変わりませんでした。 その半年後、10人あまりの黒人と白人が一緒に南部行きの長距離バスに乗り込み、人種別の座席指定を公然と破ってみせました。(45分)

日本のショックドクトリン:原発事故から3年、国粋主義と軍国化にひた走る安倍内閣

1月に来日したエイミー・グッドマンと番組スタッフは東京からの3日間にわたる特別放送を行いました。その一部を字幕つきで紹介します。東京発の第1弾は、近隣諸国との関係を緊張させている安倍政権の右翼的政策について取り上げます。(11分)

「NATOに反対、戦争に反対」NATO首脳会議場に向けて帰還兵が従軍メダルを投げつける

2012年5月20、21日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が米国シカゴで開催されました。会場となったマコ―ミック・コンベンションセンターの外には、NATO、戦争に反対する数千人が集まり、抗議デモが行われました。NATO会場に向けて、従軍メダルを投げつけるセレモニーを主催したのは「反戦イラク帰還兵の会」と「平和を願うアフガニスタン人」(Afghan for Peace)のメンバーです。それぞれの短いメッセージに共通しているのは軍隊への不信・だまされたという憤り・イラク、アフガニスタンの人々への謝罪の気持です。アフガニスタンの人々に連帯し、本当の悪者は誰なのかを訴えます。

WikiLeaks: モンサントの遺伝子組み換え作物を拒む欧州に米国が報復を検討

ウィキリークスがリリースした外交公電によると、フランスがモンサント社の遺伝子組み換えコーンを禁止したことを受けて、ステイプルトン元駐仏大使は2007年、EUへの報復を米政府に要請していました。ゲストのジェフリー・スミスによると、ブッシュ政権時代、フランスだけでなく駐スペイン米大使もモンサント社の幹部からヨーロッパの政治状況の説明を受け、GM普及策を一緒に練っていたのです。ウィキリークスの公表により、モンサント社の世界戦略とブッシュ政権のむすびつきが確認されたわけですが、このような強引な販売戦略によりモンサント社は米国産大豆のほぼ100%、トウモロコシは約70%を占めたといわれます。(13分)

7万人の断種につながりナチ科学者の弁護にも引用された米国史上最悪の最高裁判決

今回は、米国史上最悪と言われる最高裁判決が下された「バック対ベル訴訟」を取り上げます。1927年、米国の連邦最高裁は、精神病または知的障害と言われている人々に対し、州が不妊手術を強制することを可能とするバージニア州の法律を支持する判決を下しました。この訴訟の原告は、何の障害も持っていないにもかかわらず州の隔離施設に収容されていた、キャリー・バックと言う若い女性でした。判決は、バージニア州はバックに不妊手術を施す権利があるとするもので、判決文を書いたオリバー・ウェンデル・ホームズ・ジュニア判事は、「知的障害が3代も続いたなら、もう十分だろう」と締めくくっています。この判決により、子孫を残すには「不適格」とされた6~7万人の米国人に強制的に不妊手術が行われました。この裁判について本を書いたアダム・コーエンに話を聞きます。(20分)

米軍内部告発者の逮捕、ウィキリークスは地下に潜る

米軍武装ヘリコプターによるイラク民間人の無差別に射撃が映った米軍機密ビデオを公開した内部告発サイトのウィキリークス。共同創設者のジュリアン・アサンジは、国防総省の捜索を逃れて行方をくらましています。一方、米軍は陸軍技術兵のブラッドリー・マニングを逮捕しました。ウィキリークスにビデオを渡した人物と疑われており、問題のビデオの他にも2万6千件の機密記録を外部にいます。マニング逮捕とアサンジ追跡は、内部告発者及び機密情報を漏洩する者に対するオバマ政権の強権的な弾圧を明らかにしました。ペンタゴン文書の漏洩で米国一有名な内部告発者になったダニエル・エルスバーグ、ウィキリークスの協力者で、調査報道ジャーナリストを保護するアイスランドの新しい法律を起草したアイスランド国会議員ビルギッタ・ヨンスドティル、サロン・ドットコムの有名ブロガー、グレン・グリーンウォルドの3人に話をききます。(41分)

アメリカの急進派 I.F.ストーンの生涯とその時代-前半

「急進派ジャーナリスト」を自称したI.F.ストーンは、20世紀アメリカを代表する調査報道記者でした。学究的とさえいえる緻密で徹底した調査によって政治スキャンダルを暴く独特のスタイルで、報道界に大きな影響を与えました。60年にわたる活動を通じて取り上げた問題は、ニューディール政策、第二次世界大戦、マッカーシズム、冷戦世界大戦、イスラエル=パレスチナ問題、公民権運動、ベトナム戦争と多岐にわたります。前半です。(29分)

"アメリカでいちばん危険な男"ダニエル・エルズバーグとペンタゴン文書

ベトナム反戦運動のハイライトとなった歴史的事件を二つ特集しました。ペンタゴン・ペーパーズの暴露については、すでに一度紹介しましたが、今回はその中心人物ダニエル・エルズバーグを取り上げます。ランド研究所のトップアナリストが、政府に背き終身刑を覚悟で内部告発をした動機はなんだったのでしょうか?(29分)

バーニー・サンダース上院議員 ギリシャからプエルトリコまで金融ルールは1%のための八百長

メディアがなぜサンダース候補を取り上げたがらないかは、彼の主張を聞けばわかります。金融業界の大幅な規制強化と、1%が独占する巨大な富の再分配を訴えるバーニー候補の面目躍如というようなスピーチをお届けします。今年7月にワシントンの上院議員会館に経済専門家を集めて行われたフォーラムのもので、主要なテーマはギリシャの債務危機です。ギリシャの話が中心ですが、問題はギリシャにとどまるものではなく、世界の多くの国々が共有するものです。重過ぎる債務と極端な格差に苦しむ国が、債権者の強要する緊縮政策のために所得も経済もますます低迷し、社会的弱者が追い詰められ、民主主義も人権も踏みにじられていきます。ギリシャで起きていることは、この現代の病の構造をこの上なく鮮明にみせてくれるのです。

「気づいていないから問題になっていない」 子ども向けメディアにおけるジェンダー格差

 映画『テルマ&ルイーズ』の主演女優ジーナ・デイビスは、子供向け番組におけるジェンダー格差に気づき、それをなくすのをめざして「シージェーン」というグループをつくりました。基金を集めて、子供向け映画・TV番組の中の男女別登場人物(動物を含む)を徹底分析した結果、一般映画の登場人物の75%が男性で、1990年から2005年に公開された上位100映画において、女性はわずか17%だったということがわかりました。女性登場人物の割合は、ここ15年間で進歩がほとんど見られなかったそうです。しかも、唯一出てくる女性キャラクターは、男性で成り立っている世界を滅ぼすための登場人物だったり、いなくなって初めてストーリーが始まるという設定だったり…。そんな例を面白おかしく混ぜながら、女優ジーナ・デイビスが、「シージェーン」結成の背景と目標を語ります。(メンフィスで行なわれたメディア改革会議での講演の収録です)(10分)

『ハンナ・アーレント』 アイヒマン裁判を取材したドイツ系ユダヤ人思想家

マルティン・ハイデッガーに師事したユダヤ系ドイツ人の哲学者で、亡命先のニューヨークに住んでいたハンナ・アーレントは、1961年のアイヒマン裁判の傍聴報告記事によって、米国の特にユダヤ系知識人から猛烈な反発を買いました。ニューヨーカー誌に裁判の傍聴報告を書くことを志願したアーレントは、現地で目にしたアイヒマンが、想像していた邪悪な殺人鬼というよりは、善悪の別に全く無関心で権威に盲従して命令を執行するだけの小役人なのではないかと感じて衝撃を受けます。アイヒマンを単なる類型として「悪の凡庸さ」と名付けたアーレントの報告は、アイヒマンを免罪するものと解釈されて集中砲火を浴びます。さらにアーレントは、「欧州各地のユダヤ人評議会指導部がナチスに妥協的でしばしば取引を行ったためにホロコーストの被害が拡大した」という法廷証言を報じたために、ユダヤ民族の裏切り者の汚名を着せられて憎悪と脅迫の対象となりますが、圧力に屈せず自らの信念を守り抜きました。(20分)

世界的な学校スト運動を触発した15歳の活動家グレタ・トゥーンベリに聞く―後半

2018年12月、第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP24)に参加するため、世界中からの政府代表がポーランドのカトビツェに集まっています。番組では、大人たちが二酸化炭素排出削減のために何もしないことを非難している15歳の気候活動家グレタ・トゥーンベリさんにじっくりと話を聞きます。彼女はスウェーデン議会前で気候変動に対する学校ストライキを行っていることで、国際的な注目を集めています。「私たちは私たち自身を今変える必要があります。なぜなら明日では遅すぎるかもしれないからです」とグレタさんは言います。彼女がたった一人で始めた学校ストは、今や世界規模の広がりを見せています。 (15分)

オバマ政権による空前の武器輸出が中東の戦火をあおっている?

オバマ政権の下で、米国の武器輸出が前代未聞の水準に達していたという驚くべき報告が発表されました。国際政策研究所の武器取引専門家ウィリアム・ハートゥングによれば、オバマ大統領が最初の5年間で認可した武器輸出の額は1690億ドル以上に達し、すでにブッシュ政権の8年間における総額を300億ドルも上回っているのです。その6割は中東に輸出され、最大の輸入国はサウジアラビアです。数年間で膨大な量の兵器を購入しました。そのサウジは3月に隣国イエメンへの爆撃を開始し、市民に多大な被害を与えながら攻撃をエスカレートさせています。HRWによれば、クラスター爆弾のような非人道的兵器も使用され、米国製の武器が市民の無差別攻撃に使われています。(12分)

「戦争犯罪人は来ないで」 コンドリーザ・ライスがラトガーズ大学卒業式典を辞退

神戸女学院大学の翻訳チーム第二弾は、先週の動画に引き続き、米国の大学キャンパスでの積極的な直接行動の事例です。ジョージ・W・ブッシュ大統領の国務長官を務めたコンドリーザ・ライスは、ニュージャージー州の名門公立校ラトガーズ大学の卒業式典に招かれ祝辞を述べることになっていましたが、学生や教職員の強い抗議を受け、ライス本人の辞退によって取り止めになりました。(8分)

ラルフ・ネイダー 「もう止まらない 左派と右派の連携が企業支配をくつがえす」

米国の消費者運動の先駆者でパブリック・シチズンの創始者ラルフ・ネイダーは、市民の行動こそが政治変革の原動力だという固い信念のもと、長年にわたり市民の運動に力を尽くし、多くの運動家を育ててきました。近年は米国の二大政党制の行き詰まりに業を煮やして、これに挑戦すべく過去3回の大統領選挙に第三極の候補者として、緑の党の公認や後には無所属で出馬してきました。ネイダーが新著について語ります。(20分)

グリーン・ニューディール 上院で否決 広がる運動を阻止する悪あがき

民主党のオカシオコルテス下院委員とマーキー上院議員が提出したグリーン・ニューディール(GND)決議案が3月26日、上院で否決されました。グリーン・ニューディールはオバマ以来の民主党の目玉政策の一つで、政府が再生可能エネルギーに大胆な投資をすることで多数の緑の雇用(グリーン・ジョブ)を作り出し、米国経済を2030年までにCO2排出ゼロに変えることを目指します。しかし、共和党が強引に採決に持ち込んだ結果、民主党議員はほとんどが棄権(賛否を示さない「出席」投票)、4名は共和党議員と共に反対票を投じました。グリーン・ニューディールは挫折したのでしょうか?(14分)

カーライル・グループ 民間軍事諜報企業ブーズ・アレン・ハミルトン買収へ

カーライル・グループは未上場企業投資を専門に行う世界でも最大級の投資ファンドです。 一方、最もなぞに満ちたファンドでもあり、数々の政治家との深い関係から「元大統領のクラブ」と呼ばれていました。近年同社の取引に厳しい目が向けられてから、軍事契約数や問題の多い政治家との関係を減らす傾向にありました。しかしそのコースは変更されたと見え、今年5月には諜報コンサルティング企業であるブーズ・アレン・ハミルトン(以下ブーズ・アレン社)がその政府関連部門をカーライル・グループに売却すると発表しました(その買収は事実上7月に完了しました)。ブーズ・アレン社は民間の軍事諜報企業の大手であり、現在米国で進行中の「政府の諜報活動の民営化」の一端を担う企業で、米国の諜報活動において戦略的に重要な役割を負っています。(30分)
Syndicate content