共和党

8月28日フロリダ州タンパで開かれた共和党の全国大会には数千人のジャーナリストたちが取材つめかけました。しかし会場から離れた市内の一角では、11月の総選挙の行方に決定的な影響をおよぼす秘密会議がひっそりと開かれていました。巨額の資金を投じて共和党候補を応援する大富豪やその代理人です。ハフィントン・ポスト紙によれば、28日に行われた会議には、ブッシュ政権で「大統領の頭脳」と言われたカール・ローブの選挙資金管理団体アメリカン・クロスロード(American Crossroads)や億万長者チャールズ・コークとデイビッド・コークの代理人、米国商工会議所の代表などが集まり、オバマ再選阻止のための共同作戦を練ったようです。(14 分)
共和党の大統領選候補ミット・ロムニーは、ウォール街の熱烈な支持を受けて指名を勝ち取った大富豪の政治家です。「穏健派」というラベルを貼られがちですが、それはお金のこと以外には淡白なので人工中絶や同性婚問題に関しては宗教右派の候補に比べ穏健に見えるだけのことで、ロムニーの本質は金融資本の利益代表です。その本性を把握するには、彼の巨万の資産がいかに築かれたかを見る必要があります。1984年にロムニーが共同設立し、ベイン社(Bain&Company)から分離独立させたプライベートエクイティ・ファンドのベインキャピタル社(Bain Capital)は、企業を標的にするいわゆる「ハゲタカ」資本主義の典型です。 (21分)
元共和党副大統領候補サラ・ペイリンは、ティーパーティー運動の波に乗って人気は抜群、2012年の有力大統領候補です。ジュリアン・アサンジはオサマ・ビンラディンと同じだと言ってみたり、朝鮮の北と南を間違えたり、相変わらず話題に事欠きません。でも、彼女の背景にあるキリスト教右派の政治目標を考えれば、彼女の宗教観が政治決定に影響することが危惧されます。
50年前マッカーシー議員や極右団体から攻撃されたアイゼンハワー大統領は、「彼らはそんな資格も専門知識もないのに、ただ騒ぎ立てることで意見を押し通そうとする」と党内の急進派の台頭を懸念しました。今の共和党の状況を不気味なほど言いあてていると、マックス・ブルーメンソールは語ります。共和党はキリスト教右派に乗っ取られてしまい、アイゼンハワーの共和党はいまやサラ・ペイリンの党になったのです。
中間選挙の2週間前、NAACP(黒人地位向上協会)が保守派の市民運動ティーパーティに関する報告書「ティーパーティ・ナショナリズム」を発表し、全国各地の人種的な憎悪にもとづく団体とのかかわりを指摘しました。ティーパーティ運動の主張は「小さな政府」の実現であり、財政赤字の削減と減税が一番の目標のはずです。でも、実際に彼らが関心を注ぐのは人種や移民といった社会問題です。ティーパーティの集会には、排外主義や人種偏見に満ちたスローガンが目立ち、白人至上主義グループのオルガナイザーたちが跋扈し、新人勧誘にいそしんでいるといわれます。
2004年の米大統領選におけるオハイオ州の選挙不正疑惑で、訴訟を受けて証言する予定だった共和党のインターネット戦略主任が、不慮の飛行機事故で死亡しました。死亡したマイケル・コネルは、ブッシュ大統領の影の参謀として知られたカール・ローブ元次席補佐官の、主席IT顧問でした。彼はジョージ・W・ブッシュとジョン・マケインのために、選挙運動用ウェブサイトを作成しました。投票システムの電子化に伴い米国ではハッキングによる投票結果の改ざんや不正プログラムによる投票妨害などの疑惑が起こっていますが、コネルは過去8年の怪しげな選挙のすべてにかかわっていたと言われます。(16分)
2008年8月末から9月にかけて2大政党の全国大会が開催され、両党の大統領、副大統領候補が正式に指名されました。デモクラシー・ナウ!では2週間にわたる現地取材を行ない、華やかな党大会と聴衆を酔わせる流麗なスピーチの陰で、黙殺された抗議の声や問題点に焦点を当てました。共和党大会では、警察の過剰警備と取材妨害が焦点でした。警察の行動を監視してきた市民団体アイウィットネスは、宿泊先に警察のものものしい手入れがあり、この過剰な予防措置におびえた家主から立ち退きを宣告されました。大会周辺で行われた抗議デモは重装備の警官に蹴散らされ、取材中のジャーナリストも多数逮捕されました。デモクラシー・ナウ!でもエイミーと2人のプロデューサーが逮捕されました。(20分)
クレイグ・アンガー記者は新著『ブッシュ家の崩壊』で、ブッシュ政権下でネオコンたちがキリスト教右派と秘かに同盟し、イラク開戦に向けて好戦機運を煽った過程を検証しています。中東紛争は、イスラム対西洋の対立を軸としてとらえられがちですが、アンガーはそれに対して原理主義という別の視点から見てみようとする試みだといいます。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教それぞれに原理主義はあります。アンガーに言わせれば、ネオコン(新保守主義)も世俗的な衣をまとった原理主義です。啓蒙主義を経た近代社会とは相容れないこうした勢力の巻き返しが、現在の事態の大きな背景を描いていると彼は述べます。(30分)
ドミニオニズムは宗教運動としてよりも、ファシズム運動としてとらえるべきだとヘッジズは主張します。共和党=企業権益や保守層と、権威主義的な服従を要求するキリスト教右派の結びつきは、ファシズムに典型的な野合であり、ワイマール共和国で労働者や中産階級の没落を利用してファシストが台頭したのとおなじように、グローバリゼーションの進展で困窮に追いやられる労働者や中産階級の不満と怒りを、宗教的な救済でからめ取り、彼らの絶望を食い物にして絶対支配を打ちたてようとするのだと。 戦争請負企業ブラックウォーターや移民排斥問題などの背後には、この勢力の影がちらつきます。
クリス・ヘッジズの新著は、ドミニオニズム(支配主義)運動と呼ばれる比較的新しいキリスト教右派を取り上げています。選挙における絶大な力を通して共和党に大きな影響力をふるうこの運動は、アメリカにキリスト教国家を打ち立て、絶対権力を握ることを目指しています。彼らがのし上がってきた背景は1920年代から30 年代にかけてのイタリアやドイツのファシズム草創期に酷似していると、ヘッジズは警告します。