諜報

本日の番組では、世界的に著名な英国出身の小説家、ジョン・ル・カレ(本名:デビッド・コーンウェル)に長時間のインタビューを行いました。ル・カレの作家キャリアは50年に及び、スパイ小説の大家としての地位を築きました。今週刊行予定で、彼の22冊目の著作となる最新小説の題名は、Our Kind of Traitor(「こっちに寝返るやつ」)です。デビッド・コーンウェルは1950年代後半から60年代初頭まで英国の情報機関に勤めていました。冷戦のまっただ中の時代でした。3作目の小説「寒い国から帰ってきたスパイ」は国際的なベストセラーとなりました。冷戦終結後もル・カレは意欲的に執筆活動を行い、さらにグローバリゼーションの不公平さや、歯止めの効かない多国籍企業の力、さらに企業の利益を保護するために国家のスパイ機関が果たす役割などに関心を向けるようになりました。「株主の名のもとに行われていることは、私にとっては、神の名のもとに行われる事と同じように恐ろしい」と、ル・カレは述べます。おそらく冷戦以後の時代の作品で最も知られているのは、何も知らされていないケニア人たちを危険で時には死に至る薬物試験に搾取する製薬会社を描いた「ナイロビの蜂」でしょう。米国で行われた貴重なインタビューの中で、ル・カレは、イラク戦争に対する英国のトニー・ブレア元首相の果たした役割、米政府の対イラン政策、国際的なマネーロンダリングについても語りました。
米国はブッシュ政権のもとで、テロ戦争を口実にCIAや米軍による民間人の拉致や拷問が容認され、国内でも捜査令状なしに電話を盗聴することが認められる一方、政府の情報開示は著しく制限される一種の暗黒時代に入りました。オバマ政権に交代した後も、公約とは裏腹に政府の秘密主義や情報機関の逸脱は改められていないようです。これと似た状況が、1970年代にもありました。政府の不法行為を捜査してきた米上院委員会。その中でも最も有名な70年代半のチャーチ委員会を振り返ってみましょう(24分)
カーライル・グループは未上場企業投資を専門に行う世界でも最大級の投資ファンドです。 一方、最もなぞに満ちたファンドでもあり、数々の政治家との深い関係から「元大統領のクラブ」と呼ばれていました。近年同社の取引に厳しい目が向けられてから、軍事契約数や問題の多い政治家との関係を減らす傾向にありました。しかしそのコースは変更されたと見え、今年5月には諜報コンサルティング企業であるブーズ・アレン・ハミルトン(以下ブーズ・アレン社)がその政府関連部門をカーライル・グループに売却すると発表しました(その買収は事実上7月に完了しました)。ブーズ・アレン社は民間の軍事諜報企業の大手であり、現在米国で進行中の「政府の諜報活動の民営化」の一端を担う企業で、米国の諜報活動において戦略的に重要な役割を負っています。(30分)
国家機密機構関連のリサーチャーであるR.J. ヒルハウスによると、アメリカの諜報活動予算の七○%がアブラクサス、ブーズ・アレン・ハミルトン、ロッキード・マーティン、レイセオンなどの大企業に対するアウトソースに割り当てられているという。彼女がワシントン・ポスト紙上で八月初旬に明らかにした調査結果だ。さらに、彼女の調査によると、これら企業の影響力が直接大統領執務室にまで及び、アメリカという国の意思決定を左右している。(19分)
 警察がすべての住民の身上調書をひそかに作成し、秘密の基準に従って各個人に「危険度」をつける。この「危険度」に対し当人が異議を申し立てるすべはなく、たとえ誤った情報や、不完全な情報が自分について記録されていたとしても、それを訂正することはできない。そもそも自分についてどんな情報が記録され、どのように使われているのかも判らないし、なにを基準に国家への危険を測られているのかさえも知ることができない。9/11以降アメリカが他国の警察組織との協力で進めている国際的なテロ対策ネットワークは、データマイニングや統計的予測による「危険度」の割り出し、収集した個人情報の国際的な共有などによって、まさにジョージ・オーウェル的な世界をつくりあげているようです。(23分)