アメリカの急進派 I.F.ストーンの生涯とその時代-前半

2009/6/18(Thu)
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29分

「急進派ジャーナリスト」を自称したI.F.ストーンは、20世紀アメリカを代表する調査報道記者でした。学究的とさえいえる緻密で徹底した調査によって政治スキャンダルを暴く独特のスタイルで、報道界に大きな影響を与えました。60年にわたる活動を通じて取り上げた問題は、ニューディール政策、第二次世界大戦、マッカーシズム、冷戦世界大戦、イスラエル=パレスチナ問題、公民権運動、ベトナム戦争と多岐にわたります。

有名な自費出版の個人ジャーナル『週刊I.F.ストーン』を始めたきっかけは、マッカーシー時代の言論弾圧の中で、公的医療保険の導入を阻む医療業界のボスを果敢に批判してマスコミから追放されたことでした。その結果は、先進国で唯一、今日に至るまで公的医療保険制度を持てない不幸な米国市民です。ストーンのような忌憚のない報道を主流メディアから排除することが、いかに危険であるかを、これがよく物語っています。

たった一人の手で4千部から出発した『週間IFストーン』は、最盛期の1960年代には発行部数約7万のを記録するまでになりました。しかし、そのあいだ中ずっと、ストーンにはFBIの尾行がついていたのです。ストーンの伝記を上梓した作家 D.D.ガッテンプランに、この稀代のジャーナリストの生涯について訊きます。(中野真紀子)

「すべての政府は嘘をつく」公開に併せて再編集しました。前半29分は、ストーンの生い立ち、マスコミ追放、FBIの尾行などについてです。対訳ニュースレターでも取り上げました。

*D.D.ガッテンプラン (D.D. Guttenplan) ネイション誌のロンドン特派員で、I.F.ストーンの伝記American Radical: The Life and Times of I.F.Stone(『アメリカの急進派 I.F.ストーンの生涯とその時代』)を書いた。

・I.F.ストーン(I.F.Stone)の録画
・1988年3月22日放送マクニール=レーラー・ショーの、ロバート・マクニールによるインタビュー。ストーンはこの時、古代ギリシャの史実を扱った『ソクラテスの審判』を出版した直後だった。
・1965年カリフォルニア大学バークレー校でのベトナム戦争をめぐるティーチインの録音(パシフィカ・ラジオのアーカイブより)

Credits: 

字幕翻訳:中村達人/校正:桜井まり子/全体監修:中野真紀子