ショックドクトリン

トランプ大統領が選出されてからそろそろ1年を迎えようとしています。彼の名前を冠したホテルの高価な部屋に宿泊することで歓心が買えると「忖度」した外国政府関係者は、史上最も裕福な大統領をますます裕福にする手助けをしています。「職業政治家」に対する失望から、まさかのどんでん返しで選ばれた「実業家大統領」ですが、保険制度の改革(改悪)も遅々として進まず、イスラム諸国などからの入国制限は違憲との判決が相次ぎ、そのはらいせのように北朝鮮をいたずらに挑発するなど、少なくとも現時点では国内・国外ともに政権発足以前よりよい状況になったとは思えません。(16分)
プーチンは米国にとって本当に手ごわい相手ですが、これまでの経緯をみてくると、プーチンは必ずしも欧米に敵対的ではなかったのに、米国の愚かな行動が追い詰めたことが見えてきます。今回はさらに遡って、プーチン登場の背景となるソ連後のロシアと米国の関係を確認してみましょう。ソ連が消滅した後の無秩序で略奪的な自由主義経済への移行についてはナオミ・クラインの『ショックドクトリン』でも詳しく述べられていますが、ここではロシア問題の大家スティーブン・コーエン教授に聞きます。少し前のインタビューですが、現在の米ロ対立がどのようにして起きてきたのかを理解するには欠かせません。(
1月に来日したエイミー・グッドマンと番組スタッフは東京からの3日間にわたる特別放送を行いました。その一部を字幕つきで紹介します。東京発の第1弾は、近隣諸国との関係を緊張させている安倍政権の右翼的政策について取り上げます。(11分)
アメリカの自動車産業を象徴する大都市とされてきたミシガン州のデトロイト市が連邦破産法の適用を申請しました。米地方自治体の財政破綻としては過去最大です。かつて米国第4位の都市だったデトロイトですが、1950年に180万人いた人口が、現在では68万5000人と、半分以下に減少しています。その背景には、犯罪の増加や、郊外への人口流出、自動車産業の空洞化による都市基盤の浸食がありました。(17分)
財政危機を利用して、町をまるごと民営化?そんな可能性もはらむミシガン州の新しい非常事態法に反対し、住民が訴訟をおこしました。「財政の戒厳令」と呼ぶ人もいるこの新法では、財政難の市町村に、知事が非常事態管理者(emergency manager)と呼ばれる職員あるいは企業を任命し、管理に当たらせます。非常事態管理者は、公共財の売却や、労使契約の破棄、行政の民営化を行えますし、公選された人を解雇できます。決定に際し、民意を問う必要はなく、説明責任も負いません。
日本では未曾有の自然災害と原発事故という最大の国難のさなかに、無策を糾弾された総理が退陣を表明し、大連立が叫ばれています。党利党略を捨てて協力して国難にあたるそうですが、いったいなにをするのかは定かではありません。消費税引き上げ、TPP参加、コンピューター監視法案(共謀罪の一部切り離しです)など、およそ災害対策とは無関係な政策がごり押しされる気配もあります。社会的な危機の中では、強力なリーダーシップによる決然とした対応が必要です。しかし、ひとつ間違えば危機に乗じた権力の集中につながります。そんな時間はないといって民主的な幅広い議論を退け、これしか方法はないのだと騙して国民に犠牲を強いることを許しかねません。(21分)
民主主義の否定に利用されかねない最大の危機としてクラインが恐れるのが気候変動です。ここ数年で気候変動を信じる人の割合は急激に減少しましたが、その現象は英語圏に偏っています。その理由は、気候変動を信じるかどうかはもはや科学ではなく政治信条の問題になっているからだと、クラインはオーストラリアの政治学者クリーブ・ハミルトンの論考(かつて相対性理論をめぐる論争が政治論争化したこととの興味深い比較)を紹介します。気候変動を信じないことは、いまや右派にとって右派であることの証明です。彼らが信じない理由は、気候変動論は「富の再分配を狙った社会主義者による陰謀」だからです。こんな言いがかりつけて忌み嫌うのは、気候変動に有効な対策をとろうとすると、ことごとく右派の主張を否定しなければならないからです。エネルギー効率を考えれば、輸送によるロスを抑える地産地消が必須になりますが、それは「自由貿易」の終わりを意味します。そして先進国は自分たちが引き起こした問題の被害者である途上国に、つけを支払わなければなりません。自由貿易とグローバル化という右派の2枚看板を下ろし、富の再分配によって南北格差を是正するように迫られます。(16分)
環境活動家ティム・デクリストファーはユタ大学の学生だった2008年末に、公有地での石油・天然ガスの採掘のための入札を阻止しようと、会場に入って入札に参加し10万エーカー(約400平方km)の土地を競り落としました。ユタの自然を守る快挙でしたが、デクリストファーは入札妨害で起訴され、2つの重罪で有罪判決を受けました。彼が罪に問われたのは、「支払いの意思がないのに入札に参加した」ことです。でもそれならば入札に参加した他の企業には、自分たちの生産する石油やガスが引き起こす環境汚染のコストや事故が起きたときの損害賠償を支払うつもりはあるのでしょうか、とナオミ・クラインはダブルスタンダードを指摘します。(9分)
11月15-16日ワシントンで開かれた緊急金融サミットには、世界20カ国/地域の首脳が集まり、金融危機や世界不況への対策を話し合いました。先進国が金融市場の十分な監督を怠ったことが、今回の金融危機を引き起こしたという認識が参加国のあいだで共有され、国際金融規制の強化をうたう共同声明が出されました。新興経済諸国の参加により従来のG7の枠を超えた画期的な方針が打ち出されることが期待されていましたが、結果はどうだったのでしょう?(30分)
2008年7月ブッシュ大統領は、環境保護のため米国近海の大陸棚での石油・天然ガス採掘を禁止してきた1981年の法律を、解除するよう議会に強く要請しました。エネルギー資源の対外依存を引き下げ、ガソリン価格の低下をもたらすためと説明しています。果してそうでしょうか? ゲストのナオミ・クラインは、2007年に発表した『ショックドクトリン 惨事活用資本主義』の中で、社会が大きな危機に見舞われたとき民衆がまどわされ、目の前にある救済策に飛びつくのを利用して、本来なら容易に受け入れられない企業寄りの政策を強行するネオリベ政府の手口を論じています。今回の石油価格高騰を受けたブッシュ政権の対応も、まさしくこの火事場泥棒の手口に他ならず、本当の問題解決にはならないけれど、石油企業は念願の海底掘削権を手に入れるのだと論じます。(46分)