イスラム国

11月13日金曜日に起きたパリの襲撃で、世界が一気にキナ臭くなってきました。フランスのムスリムたち1月のシャルリエブド襲撃事件に続いて再びイスラム憎悪の高まりに怯えています。各国で移民への反感も露骨になってきました。フランスでは非常事態が宣言され、デモも禁止されています。欧米諸国はここぞとばかりに防衛と監視の体制を強化し、イスラム国に空爆で報復していますが、そんなことではテロ根絶どころか民間人の犠牲がテロに拍車をかけるだけで、喜ぶのは軍需産業だけです。グレン・グリーンウォルドは、現在の異様に好戦的な空気は2003年にブッシュ政権がイラクに侵攻したとき以来のものだと懸念します。(27分)
日本人2人が処刑されたことで「イスラム国」(ISIS,ISIL)に対する関心は一気に高まりましたが、人質解放に失敗した日本政府の対応についての検証はまだこれからです。トルコやフランスの人質は解放されているのに、中東への軍事干渉には直接関与していない日本の民間人が殺されてしまったことには、おおいに疑問が残ります。脅迫ビデオでイスラム国の処刑人ジハーディ・ジョンから「安倍晋三、お前の責任だ」と名指しで非難された日本の総理は、そんなことは知らんぷりで、ここぞとばかりにイスラム国と戦うことの必要性を熱弁し、「政府に協力しない者はテロリストの味方」というロジックで、大手メディアを使って政権批判の声を封じています。これはジョージ・W・ブッシュの対テロ戦争ドクトリンをそっくりいただいたものですが、オバマの民主党政権になっても米国は「テロには屈しない」という念仏を唱えて交渉を避ける「拒絶主義」に変わりはありません。最初に処刑された外国人ジャーナリストであるジェームズ・フォーリーへのオバマ政権の対応を見れば、日本政府の行動との共通点が読み取れます。(20分)
リビアでは2011年にカダフィ政権が倒れて以来、暫定政府はできたものの国家再建は進まず、各地で民兵組織が乱立し再び内乱状態に戻っています。国の西部では首都トリポリの支配をめぐってジンタンやミスラタの民兵組織が闘い、議会を開くこともままなりません。また、ベンガジなど東部の諸都市ではイスラム主義の民兵組織が勢力を伸ばし、米国から帰国したハリーファ・ハフテル将軍の軍と激しく戦っています。トリニティ・カレッジで国際学を教えるヴィジャイ・プラシャド教授は、現在のリビアの混沌を招いたのは、2011年のNATOによる爆撃だと批判します(19分)
イスラム国(旧ISIS)の台頭は、長年にわたる欧米の中東政策の矛盾を露呈させるものです。そもそもイラクやシリアという国の国境線や建国自体が英仏など戦勝国の利権分割のためですし、米国は最初サダム・フセインの独裁を支援していたのに彼がクウェートの石油利権に触手を伸ばし始めると急に手のひらを返して極悪人呼ばわりし、10年間後には9.11事件に便乗してサダムを排除し、ついでにイラクの国家機構も完全に破壊して宗派抗争の大混乱を引き起こしました。そのツケが巡り巡って鬼っ子のような過激組織、「イスラム国」がいまでは、シリア国内を含めて「英国の領土以上に大きい地域」を制圧し、クルド勢力が制圧する地域と合わせて、イラクは3分割状態です。(14分)