マット・タイビ

今年4月に辞任したエリック・ホルダー前司法長官といえば、まずは米国史上はじめての黒人司法長官であることが特筆されます。確かに公民権の擁護やマイノリティの権利擁護に尽力しており、一定の評価を得ています。しかしホルダー氏には、記憶されるべき別の側面もあります。テロ容疑者の無人機による暗殺や内部告発者の迫害などを許した国家安全保障の暗黒面に加え、とりわけ罪深いと思われるのはウォール街の犯罪行為を免罪したことです。金融危機の最中に登場したオバマ政権に米国の有権者が期待したのは、これを機に金融規制を再び強化し、経済全体を危機に陥れた大銀行の不正を糾すことでした。ところがオバマはこの絶好の機会を取り逃がし、銀行家は結局だれ一人として投獄されず、金融業界による支配をますます強化させてしまいました。なぜそうなったのか?退任後のホルダーが、就任前の8年間を過ごした法律事務所こ復帰するというニュースから、その理由が透けて見えます。(16分)
この夏、連邦政府が貸し出す学生ローンの金利をめぐって議会が紛糾しました。スタッフォード・ローンの金利低減措置が7月1日で失効するため、一部のローンでは金利が3.4%から6.8%へと2倍に跳ね上がり、何百万人の学生が負担の増加に直面することになります。この事態を緩和するための措置が議論され、8月になってようやく、2015年までは低金利に据え置くという超党派の法案が可決しました。しかし、これは一時しのぎにすぎず、長期的には返済の負担は増加すると予想されています。でもローリング・スト ン誌の政治記者マット・タイビによれば、政府系学生ローンに絡む本当のスキャンダルは、ローン金利の問題ではありません。本当に悪質なのはローン元本そのもの、つまり際限のない学生ローンの提供が招いた授業料の異常な高騰という、一種の学費バブルです。(17分)
共和党の大統領選候補ミット・ロムニーは、ウォール街の熱烈な支持を受けて指名を勝ち取った大富豪の政治家です。「穏健派」というラベルを貼られがちですが、それはお金のこと以外には淡白なので人工中絶や同性婚問題に関しては宗教右派の候補に比べ穏健に見えるだけのことで、ロムニーの本質は金融資本の利益代表です。その本性を把握するには、彼の巨万の資産がいかに築かれたかを見る必要があります。1984年にロムニーが共同設立し、ベイン社(Bain&Company)から分離独立させたプライベートエクイティ・ファンドのベインキャピタル社(Bain Capital)は、企業を標的にするいわゆる「ハゲタカ」資本主義の典型です。 (21分)
下落をみこんでいた住宅ローン担保証券を優良商品として顧客に販売して証券詐欺で訴えられていたゴールドマン・サックスは、5億5千万ドルの罰金を支払うことで証券取引委員会(SEC)と和解しました。SECは米国金融史上最大の和解金と自賛しましたが、傍から見れば首をかしげるような少額です。この程度ならゴールドマンは2週間で稼ぎ出すでしょう。市場の反応は正直で、ゴールドマンの株価は和解発表後5%も上昇し、時価総額の増加分だけで和解金を上回りました。同社の衝撃的な経歴をあばいたマット・タイビ記者に話を聞きます。
政治評論家マット・タイビが、AIG救済問題の真相を追及します。タイビによれば、世界的規模の経済破たんと政府による救済措置は一種のクーデターです。金融業界は長年にわたり選挙を金で動かし、金融規制を骨抜きにしてきましたが、ついに今回の金融危機で、少人数のウォール街インサイダーによる政府の乗っ取りが完成したのだと言います。今回の金融危機で目立つのが、ゴールドマン・サックスの焼け太りです。AIG救済問題も、じつはゴールドマン・サックスの救済だったとタイビは言います。(20分)