金融

今年4月に辞任したエリック・ホルダー前司法長官といえば、まずは米国史上はじめての黒人司法長官であることが特筆されます。確かに公民権の擁護やマイノリティの権利擁護に尽力しており、一定の評価を得ています。しかしホルダー氏には、記憶されるべき別の側面もあります。テロ容疑者の無人機による暗殺や内部告発者の迫害などを許した国家安全保障の暗黒面に加え、とりわけ罪深いと思われるのはウォール街の犯罪行為を免罪したことです。金融危機の最中に登場したオバマ政権に米国の有権者が期待したのは、これを機に金融規制を再び強化し、経済全体を危機に陥れた大銀行の不正を糾すことでした。ところがオバマはこの絶好の機会を取り逃がし、銀行家は結局だれ一人として投獄されず、金融業界による支配をますます強化させてしまいました。なぜそうなったのか?退任後のホルダーが、就任前の8年間を過ごした法律事務所こ復帰するというニュースから、その理由が透けて見えます。(16分)
第二の住宅ローン危機とささやかれる米国の学生ローン問題。学生ローンの残高は総額1兆2000億ドルに達し、住宅ローンを除けば最大の消費者負債項目になっています。2014年の卒業生は7割以上がローン利用者であり、卒業と同時に平均3.3万ドルもの借金を抱えています。思うような就職ができなければ、たちどころに返済に苦しむことになり、大きな社会問題となっています。(9分)
この夏、連邦政府が貸し出す学生ローンの金利をめぐって議会が紛糾しました。スタッフォード・ローンの金利低減措置が7月1日で失効するため、一部のローンでは金利が3.4%から6.8%へと2倍に跳ね上がり、何百万人の学生が負担の増加に直面することになります。この事態を緩和するための措置が議論され、8月になってようやく、2015年までは低金利に据え置くという超党派の法案が可決しました。しかし、これは一時しのぎにすぎず、長期的には返済の負担は増加すると予想されています。でもローリング・スト ン誌の政治記者マット・タイビによれば、政府系学生ローンに絡む本当のスキャンダルは、ローン金利の問題ではありません。本当に悪質なのはローン元本そのもの、つまり際限のない学生ローンの提供が招いた授業料の異常な高騰という、一種の学費バブルです。(17分)
最初期から占拠運動を支援してきたデイビッド・グレーバーが著書『債務 最初の5000年』で語ったように、貧困層は債務を通じて富裕層に無限に縛りつけられてきた。ローリング・ジュビリーは、ウォール街占拠運動から派生したストライク・デット(「借金をストライキせよ」)と、占拠運動のなかで当初から提起されていた学生の負債問題にとりくむ占拠運動学生債務キャンペーンなどのグループが協力して立ち上げた、債務に対する新しいかたちの抵抗運動である。寄付などを通じて集められた資金を使って債券市場に出回る債権を買い上げ、廃棄するのである。債券市場では個々人の債権の特定は困難であるため、この運動は純粋な相互扶助として行われている。(
共和党の大統領選候補ミット・ロムニーは、ウォール街の熱烈な支持を受けて指名を勝ち取った大富豪の政治家です。「穏健派」というラベルを貼られがちですが、それはお金のこと以外には淡白なので人工中絶や同性婚問題に関しては宗教右派の候補に比べ穏健に見えるだけのことで、ロムニーの本質は金融資本の利益代表です。その本性を把握するには、彼の巨万の資産がいかに築かれたかを見る必要があります。1984年にロムニーが共同設立し、ベイン社(Bain&Company)から分離独立させたプライベートエクイティ・ファンドのベインキャピタル社(Bain Capital)は、企業を標的にするいわゆる「ハゲタカ」資本主義の典型です。 (21分)
 前ニュージャージー州知事でその前は連邦上院議員も務めたジョン・コーザインが13日、連邦議会で証言しました。商品先物及び金融派生商品を専門とする証券会社MFグローバル社の経営トップを短期間つとめていたからです。同社はこの10月に倒産し、2008年のリーマン・ブラザーズ倒産以降で最大規模の倒産となりました。MSグローバル倒産後、管財人は本来隔離されていなければならない顧客勘定の資金のうち12億ドルにおよぶお金が紛失していることを発見しました。コーザインはMFグローバルのだれにも資金の不正利用を命じたことはないと言いますが、証人の1人はコーザインは顧客資金流用の疑いのある融資を承知していたと証言しました。投資銀行員からジャーナリストに転じたノミ・プリンズに話を聞きます。(13分)
ウォール街を占拠した米国の99%の怒りは、金持ちが税金で救済されてさんざん国の世話になっておきながら、ちっともフェアな税負担をしていないことです。日本の総理大臣も増税にひた走っていますが、増税の前に抜け穴を塞いでもらわなくちゃ。租税回避の代名詞が「オフショア」ですが、英国ジャーナリストのニコラス・シャクソンによれば、オフショア金融制度は単に租税回避の手段というだけでなく、秘密の保持によって法規制の抜け道を提供し、不透明なハイリスク取引を可能にする魔法のトンネル、ウォール街の資金力にあかせた政治への介入を陰で支える聖域なのです。(25分)
2005年から2008年にかけて世界の穀物市場が高騰し、貧しい国々では食糧が不足して2008年には各地で飢餓暴動が起こりました。世界の飢餓人口は2億5千万人増加して10億人に達したと推測されています。価格の高騰は自然災害の多発だとかバイオ燃料ブームのためとか、当時さまざまな説明がなされましたが、どうやら決定的だったのは先物市場への巨額の金融投機だったようです。膨大な現金を抱えて運用先をあさっていた投資銀行が、穀物の商品先物市場をマネーゲームの対象として撹乱し、市場メカニズムをめちゃくちゃにしてしまったのです。
下落をみこんでいた住宅ローン担保証券を優良商品として顧客に販売して証券詐欺で訴えられていたゴールドマン・サックスは、5億5千万ドルの罰金を支払うことで証券取引委員会(SEC)と和解しました。SECは米国金融史上最大の和解金と自賛しましたが、傍から見れば首をかしげるような少額です。この程度ならゴールドマンは2週間で稼ぎ出すでしょう。市場の反応は正直で、ゴールドマンの株価は和解発表後5%も上昇し、時価総額の増加分だけで和解金を上回りました。同社の衝撃的な経歴をあばいたマット・タイビ記者に話を聞きます。
バングラデシュのグラミン銀行総裁ムハマド・ユヌスは、マイクロクレジット事業を切り開いた実績を評価され2006年のノーベル平和賞を受賞しました。マイクロクレジットとは、貧困層を支援する無担保長期返済の小口金融のことで、グラミン銀行は特に女性の支援に力を入れています。世界の大多数の人々は銀行を利用できません。もし担保も保証人もなしにお金を借りることができれば、貧しい女性たちは、鶏を飼ったり手工芸に投資したりしてお金を稼ぎ、借金も返していくことができます。家を守り子供を育てる女性たちを支援するマイクロクレジットとは、どんなしくみなのでしょうか?(30分)