ブラッド・ウィルに捧ぐ インディメディア、スクウォッター、コミュニティガーデン、デヴィッド・ロヴィックス

18分
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放送日: 
2006/10/30(月)

 2006年10月オアハカで死んだNYのインディメディア活動家ブラッド・ウィルを取り上げた一時間の後半部分です。ここでは、彼がニューヨークで番組を担当したマイクロラジオ放送局、90年代のニューヨークのスクウォットやコミュニティ・ガーデン保護運動の理念がさらに深く語られ、そこで実践されていた戦術こそが後に反WTO、反グローバリズムの運動の特徴として広まっていったものだと指摘されます。またオアハカの抵抗運動とサパティスタ蜂起の連続性や、今日の世界の抵抗運動にオアハカの運動は「多様性の歓迎」という1つの新しい要素を付け加えていることも指摘されます。

 スクウォッティングは、不法居住とか無断居住とか訳されますが、都心の空きビルを占拠して住みつくことを指します。もともとは公有地の不法占拠をさす言葉だったようです。アメリカでは西部開拓推進のため公有地に一定期間居住すればその所有者になれるというホームステッドの伝統があり、NYのスクウォット運動はその延長として説明されています。その一方で、コミュニティの共有空間はどんどん狭められており、公園や文化センターのような公共空間も、放送電波という公共空間も、絶え間ない民営化の圧力にさらされている現状があります。マイクロラジオの運動も、それに抗するものでしょう。確かにこのような視点は、後の反グローバリズム運動のなかに継承されていったもののようです。

 今ひとつ、興味深い指摘は、オアハカの抵抗運動の特徴についてです。オアハカはメキシコでも唯一、先住民のインディオが人口の多数を占める州です。インディオたちには16の異なる伝統文化があり、それぞれが互いを尊重しながら共存する複合社会を形成しています。このような社会を背景にした抵抗運動は、一つのイデオロギーや一人の指導者を中心に結集する従来型の運動とは異なり、様々な価値観やスタイルを持つ人々がそれぞれの方法で一つの反対運動に参加することをよしとするものです。多様性を積極的に受け入れ、異なる民が共存できる社会を作り上げることを目標とする、というオアハカの提唱は、グローバルな抵抗運動にとって大変示唆的なものを含んでいるようです。 (文:中野真紀子)

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番組の最後にブラッド・ウィルへの感動的な弔辞を寄せている友人のミュージシャン、デヴィッド・ロヴィックスは、もうすぐ来日して、各地で公演を行います。この番組にも何度か登場し、歌うデモクラシー・ナウ!ともいわれる人物です。公演の詳細は、こちらを参照してください

ゲスト

*レズリー・カウフマン Leslie Kauffman ブラッドの友人、ニューヨークの活動家として長年活躍。

*ダイアン・ニアリ Dyan Neary ブラッド・ウィルの親友 インディメディア・センターの運動を広げるため、ラテンアメリカ各地を一緒に旅行した。

*グスタボ・エステバ Gustavo Esteva オアハカのティエラ大学の創始者で、ラホルナダ紙のコラムニスト。Grassroots Post-modernism: Remaking the Soil of Culture(『草の根ポストモダニズム 文化の土壌を再考する』)など著書多数。

*ジョン・ギブラー John Gibler メキシコで活動中のNYのインディメディア・ジャーナリスト。

*デヴィッド・ロヴィックス David Rovics  ニューヨーク生まれのシンガーソング・ライターで、ブラッドの友人。音楽を通じて革新運動を進める活動家の代表的存在。イラク戦争、グローバル化、地球温暖化など様々な社会問題を歌の素材にし、平和運動家らともステージを共にしてきた。2007年夏に来日公演が予定される(広島、長崎、東京、宇部、京都、大阪)。

翻訳・字幕 下條 匠、田中恵子
全体監修 中野真紀子

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