新聞に未来はあるか?人員削減、部数縮小、広告減少の負のスパイラル

30分
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放送日: 
2008/7/29(火)

リストラの嵐が吹き荒れる米国の新聞業界。何千人ものジャーナリストが職を失い、新聞社の株価は急落、発行部数も激減しています。10月末にはついに老舗の一流紙クリスチャン・サイエンス・モニターが、紙媒体を捨ててネット展開だけにすると宣言しました新聞というメディアは、ついに終わりを迎えるのでしょうか?新聞の未来をめぐるディスカッションをお聞きください。

人員削減が集中しているのは、地方記者と並んで海外特派員です。この3年で米国紙の3分の2近くが海外報道を減少させ、海外支局をもつのは4紙のみとなっています。ここで注意したいのは、人員を削減している新聞社の経営が、必ずしも悪いわけではないことです。ナイト・リダーが買収された時は15%もの売上利益を上げていました。

優良経営にもかかわらず新聞業界が破滅の危機にあるのは、企業買収が横行しているからです。巨大なメディア資本が資本市場で調達した借金を元手に優良新聞社を買い取り、投資に見合うだけの高リターンを要求して、増益への強烈な圧力をかけます。利益率を上げることを最優先とする改革が断行され、不必要と判断された部署はどんどん整理されていきます。その結果、中身はすかすかになった新聞は、さらに読者を失うという悪循環にはまります。

ただ、その根本には技術革新の問題があります。インターネットの登場により、活字メディアがニュース配信の手段としては決定的に時代遅れになってしまったのは逃れようのない事実です。では新聞もインターネットに移行すればよいではないか、というようにはいかない。新技術は我々の現実そのものを変えてしまい、ジャーナリズムという営みが成り立たなくなっていることが危機感の本質だと、ヘッジズは言います。商業メディアのニュースが娯楽化する一方、ネットの世界にも取材報道はほとんどありません。ヘッジズによれば、ブログ記事の8割は通信社や新聞の報道の焼き直しです。時間と金のかかる取材報道を支えるだけの収入を、ネットから回収することはできません。

そうすると、新技術を前提として、従来のジャーナリズムとはまったく違ったビジネスモデルを開発し、質を落とさず、報道倫理を保つことを目指すしかない。カリフォルニアのメディア活動家リンダ・ジューは、ベイエリアにおける新しい試みを紹介し、「より小さく安く速く」という方向に、報道の未来があるのではないかと示唆します。(中野)

★ DVD 2008年度 第3巻 「メディアの現在」に収録

ゲスト

*バーナード・ランザー(Bernard Lunzer) 米国新聞協会(新聞業界の労組)代表、米国通信労働者組合の副代表

*クリス・ヘッジズ(Chris Hedges) ネイション・インスティテュートの上級研究員。ニューヨーク・タイムズ紙の海外特派員を20年近くつとめ、中米や中東、アフリカ、バルカンなどに赴任した。最近、共著で Collateral Damage. (「民間人の巻き添え」)を出版した。

*リンダ・ジュー(Linda Jue)ニュー・ボイシズ・イン・インディペンデント・ジャーナリズム(独立系ジャーナリズムの新しい声)主任、職業ジャーナリスト協会北カリフォルニア支部代表。

字幕翻訳:桜井まり子 / 校正;関房江
全体監修:中野真紀子

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