DVD 2008年第3巻(通巻9) メディアの現在

2008年度第3巻のテーマは、デジタル化により大きな曲がり角を迎えている、メディアの現在です。

1.20世紀のメディア王マードック / 2.メディア系列化容認に動くFCC / 3.電波を民主化せよ / 4.新聞に未来はあるか? / 5.ネット中立性を守れ R・レッシグ / 6.公共電波の大量競売 / 7.ホワイトスペース

☆付録の対訳小冊子は、「ローレンス・レッシグ ネットの中立性を守れ」です。 それぞれの動画の詳細は、画面をクリック

 
 
 

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  2007年8月、ルパート・マードック率いるニューズ・コープ社が、米国でもっとも信頼されてきた大手新聞の一つ、ウォールストリート・ジャーナル紙を所有するダウジョーンズ社の買収に成功しました。この時点でニューズ・コープ社は世界中で176の新聞を所有したことになります。米国ではここ数年、マードックのような“メディア王”による報道機関の占有が進んでいます。報道の公正さと質の低下を危惧するジャーナリストたちは、利益追求を優先させる企業家によってメディアが売買される状況を深刻な危機であると声を上げています。(2007年8月2日放送)

シドニー・シャンバーク (Sydney Schanberg) カンボディア報道でピュリッツァー賞を受賞した著名ジャーナリスト。 スティーブン・ヤウント(Steven Yount) ダウ・ジョーンズ社の労働組合IAPE委員長。ウォールストリートジャーナル・ラジオのキャスター。 クレイグ・アーロン(Craig Aaron) メディア改革推進団体フリープレス広報


国ではメディア集中排除の見地から、一つの企業が新聞社とテレビ・ラジオ放送局を同じ都市において所有することが禁じられてきました。このメディア系列化規制の緩和に向けた動きがここへきて再び活発化し、激しい攻防が繰り広げられています。 FCCは2003年にも一度クロスオーナーシップ解禁を決定した事があります。それに対して何百万人もの市民から激しい反対の声が起こり、多数の市民団体が起こした訴訟に破れ、FCCは規制緩和を撤回することになりました。 ところが2007年秋になって再び系列化規制の緩和を求める動きが活発になり、12月18日にはとうとうFCCがクロスオーナーシップ容認を決定してしまいました。(2007年10月22日放送)

エリック・クリーネンバーク(Eric Klinenberg) ニューヨーク大学社会学助教授。Fighting for Air: The Battle to Control America’s Media(『電波争奪戦 米国メディア支配をめぐって』)の著者。


6月6日から3日間にわたってミネソタ州ミネアポリスで開かれた第4回メディア改革全国会議には、全米各地から3500人を超えるメディア関係者や活動家が集まりました。米国では商業メディアの資本集中が進み、報道の質の低下が顕著になっています。娯楽重視の巨大メディア複合企業の中でジャーナリズム部門はリストラ対象となり、ニュースという名のバラエディショーが横行し、非営利の独立報道の意義がますます大きくなっています。一方、高速インターネット接続の普及により、テレビとパソコンの区別がなくなりつつあるなか、インターネットにも商業資本の支配が拡大し、中立性が失われることが懸念されています。そうした現状に市民の危機感が高まり、独立メディアを中心とした下からのメディア改革の運動が始まったのです。その中心的イベントがメディア改革全国会議です。ジャーナリストのビル・モイヤーズや作家のナオミ・クライン、元トークショー司会者フィル・ドナヒュー、映像作家ディーディー・ハレック、サイバー法学者のローレンス・レッシグなど著名人をはじめ数十人が講演し、多数のパネルやワークショップを通じて、メディアの統合に対抗し、電波を民主化するための戦略が話し合われました。会議を主催する「フリープレス」の共同設立者二人に話を聞きます。(2008年6月6日放送)

ロバート・マクチェズニー(Robert McChesney)イリノイ大学教授。 ジョッシュ・シルバー(Josh Silver) メディア改革団体「フリープレス」の共同設立者で事務局長


リストラの嵐が吹き荒れる米国の新聞業界。何千人ものジャーナリストが職を失い、新聞社の株価は急落、発行部数も激減しています。10月末にはついに老舗の一流紙クリスチャン・サイエンス・モニターが、紙媒体を捨ててネット展開だけにすると宣言しました新聞というメディアは、ついに終わりを迎えるのでしょうか?新聞の未来をめぐるディスカッションをお聞きください。(2008年7月29日放送)

バーナード・ランザー(Bernard Lunzer) 米国新聞協会(新聞業界の労組)代表、米国通信労働者組合の副代表 クリス・ヘッジス(ChrisHedges) ネイション・インスティテュートの上級研究員。ニューヨーク・タイムズ紙の海外特派員を20年近くつとめ、中米や中東、アフリカ、バルカンなどに赴任した。 リンダ・ジュー(Linda Jue)ニュー・ボイシズ・イン・インディペンデント・ジャーナリズム(独立系ジャーナリズムの新しい声)主任、職業ジャーナリスト協会北カリフォルニア支部代表。


スタンフォード大学の法学教授ローレンス・レッシグは、世界の有数のサイバー法の専門家として有名です。ネットの中立性に関する問題をめぐって、2008年4月17日にスタンフォード大学で行われた米連邦通信委員会の公聴会を機に、インタビューを行いました。 まず「ネット中立性」とはどんな概念か、現在どのような問題が持ち上がっているのか? ネットワーク所有者がコンテンツの流れを管理支配することが可能になり、ネットの中立性が失われることが懸念されているのだとレッシグ教授は言います。 米国ではケーブル事業者と電話事業者が高速インターネット接続の98%を支配しています。彼らは新規参入を阻止して個別サイトへのアクセス速度を支配したい。そうなれば、インターネットはケーブルテレビのようになってしまい、コンテンツや料金、アクセス速度を、電話やケーブルの会社が決めることになります。 この危機を未然に防いで、現在の皆に開かれた民主的な環境をどうしたら守れるのでしょうか?(2008年4月17日放送)

ローレンス・レッシグ(Lawrence Lessig) スタンフォード大学法学部教授。サイバー法の分野における世界的な権威。スタンフォード大学法学部のCenter for Internet and Society を創設し、現在は共同所長。クリエイティブ・コモンズ・プロジェクトの会長。最近、Change Congressというプロジェクトをはじめた。


2007年8月始め米連邦通信委員会(FCC)は公共電波の競売に関する一連の規則を承認しました。これにより、FCCは無線ネット接続や携帯電話に利用できる周波数帯の使用権を入札で売却することになります。TV局が返却する700MHz周波帯域を競争入札させることは、ブロードバンドの恩恵を社会全体に広げる歴史的なチャンスの喪失だとメディア活動家は嘆きます。この周波帯域は高速無線インターネット接続に使えるため、電話やケーブル事業者の独占市場に風穴を開け、真の競争を実現させるまたとない絶好の機会だった、と。具体的な事例として、ノースカロライナ州西部の山岳地帯で非営利の接続サービスを提供するNPO「マウンテンエリア情報ネットワーク」の、市民のネット接続料で地域の独立メディアを支えるというビジネスモデルが紹介されます。(2007年8月2日放送)

ウォリー・ボウエン(Wally Bowen) 低出力FM放送局WPVMの創始者。NPOマウンテンエリア情報ネットワークの理事。同団体はノースカロライナ州アッシュビルに本部をおき、同州西部でインターネット接続事業を行っている. クレイグ・アーロン(Craig Aaron) メディア改革推進団体「フリープレス」の広報部長


2008年11月4日、米連邦通信委員会(FCC)は、高速無線インターネット接続を広範囲に広げることになる決定を下しました。テレビ放送用の電波の周波数帯域のうち「ホワイトスペース」と呼ばれる空き部分を開放し、誰でも高速インターネット・サービスに利用できるようにしたのです。ホワイトスペースとは、テレビの各チャンネルに割り当てられた周波数の間にある未使用の帯域です。アナログ放送の時代には、電波の干渉を防ぐために、チャンネル間にスペースを設けることが必要でした。しかし、デジタル放送への完全移行(米国では2009年2月、日本は2011年7月予定)後は、電波の干渉の恐れはなくなるので、この未使用のスペースを高速インターネットや携帯電話に利用することができます。 しかしFCCがこの決定にいたるまでには、長い時間がかかりました。放送業界が猛反発したのです。過去70年近く、最も便利な周波数帯をただ同然で独占してきた放送業界は、情報の流通を独占することで大きな影響力を振るってきました。その既得権が脅かされるのであれば、どんな革新にも反対します。 FCCは4年もかけて約3万人から意見を聴取し、技術的な検証もした末に、全会一致でホワイトスペースの開放を決定しました。(2008年11月4日日放送)

ティモシー・カール(Timothy Karr) メディア改革団体フリープレスのキャンペーン主任、ブログMedia Citizenを運営 MediaCitizen.Blogspot.Com