第一次世界大戦の平和主義者に学ぶ反戦運動のレッスン パート2 コンゴの呪い
第一次世界大戦における反戦運動を扱った歴史書To End All Wars (『すべての戦争を終えるために』)の著者アダム・ホックシールドへのインタビューの第2部です。
後半の話題の中心は植民地支配によるアフリカの資源収奪と現代も続くその影響です。ホックシールドは前作King Leopold’s Ghost (『レオポルド王の亡霊』)で、ベルギーから独立したコンゴ民主共和国の残虐な植民地支配の歴史をふり返りました。いまも内戦が止まず、戦場における女性への性暴力が常態化しているコンゴは、過去のおぞましい植民地支配が影を落としているようです。
中央アフリカのザイール川流域の広大な地域は、1908年にベルギー領コンゴとなる以前は「コンゴ自由国」と呼ばれる国王レオポルド2世の私領地でした。すでに奴隷貿易の時代は終わっていましたが、象牙や天然ゴムなど豊富な天然資源があったため、住民を拉致して奴隷労働につかせました。採集量がノルマに達しなければ殺されるという苛烈な強制労働です。反乱鎮圧のためにも住民が徴兵されましたが、黒人兵は銃を他の目的に使うことのないよう一発撃つごとに手を一本持ち帰る決まりになっていたため、人間の手がかき集められる結果になり、手のない女性や子供が沢山いたそうです。このような前代未聞の圧制と搾取はやがて国際的なスキャンダルを引き起こし、国王はベルギー政府からの補償金との引き換えにコンゴ自由国を手放すことになりました。苦難の歴史の末に1960年に独立した後も、初めて選挙で選ばれた首相パトリス・ルムンバはCIAの暗躍で暗殺されてしまいす。その後も戦乱は絶えることなく、「資源の呪い」の歴史は今も続いています。(中野真紀子)
ゲスト
*アダム・ホックシールド(Adam Hochschild)マザージョーンズ誌の共同設立者で、現在はUCバークレー校ジャーナリズム専攻科大学院で教えている。To End All Wars: A Story of Loyalty and Rebellion, 1914-1918 (『全ての戦争を終えるために 忠誠と反抗の物語り』)、著書多数
字幕翻訳:田中泉/校正:大竹秀子/全体監修:中野真紀子/サイト作成:丸山紀一朗
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