悪魔のチェスボード:アレン・ダレス、CIA、米国の秘密政府の台頭 (1)破壊的な遺産

放送日: 
2015/10/13(火)
再生時間: 
10分

1950-60年代、というと、遠い過去のことのように感じるでしょうか。しかし、この時代にCIA長官アレン・ダレスが行ったことは、現在のアメリカそして世界に暗く長い影を落としています。デイビッド・タルボットに新著『悪魔のチェスボード:アレン・ダレス、CIAとアメリカの隠された政府の隆盛』について聞きます。

米国諜報機関による自国民や同盟国民の盗聴、監視活動、マインドコントロール、拷問、誘拐−これらのことは、911以降に始めたものだと私たちは捉えてしまいがちですが、実はダレス長官時代、1950-60年代にすでに政権転覆のために行われていました。

当時のCIAの活動がどれほど広い範囲に及んでいたかは、驚くほどです。「アメリカの裏庭」南米大陸のキューバ、グアテマラのみならずイラン、アフリカのコンゴにまで及ぶものでした。

当時キューバでは砂糖、グアテマラではバナナ・パイナップルでユナイテッド・フルーツ社(現チキータ社)イランでは石油の権益を持っていたアングロ・イラニアン石油(現BP)といった企業がその国に広大な土地やインフラを所有し収益のほとんどを吸い上げ、当事国の人々の生活が上向くことには貢献しませんでした。

そんな国のリーダー達が自国民のために、と立ち上がった結果はいつも同じでした。インタビューの中では、コンゴで独立運動を率いた若きカリスマ、パトリス・ルムンバ首相、グアテマラの農地改革を推進したハコボ・アルべンス 大統領、イランの石油国有化を断行したモハマンド・モサデク首相などが、次々と失脚させられ たことなどを取り上げています。これらの中には、結果的に命まで落とした人もいました。

アメリカの利益に反する人物とみなされ「排除」されてしまったのです。そうすることがアメリカの国益を守ること、「安全保障」なのだと考えたのがアレン元CIA長官、それに賛同し協力したのが兄で国務長官のジョン・フォスター・ダレスでした。

CIA長官と国務長官という「スーパー・パワーエリート兄弟」はウォール街の最大手法律事務所サリバン&クロムウェルの出身ですが、その顧客にユナイテッド・フルーツ社がいたことは決して偶然ではないでしょう。これは、「大きすぎて潰せない」と金融危機に責任のある大手銀行を訴追することなく、それら銀行を多く顧客に持つ古巣のコビントン&バーリングに今年戻ったエリック・ホルダー前司法長官のことを思い起こさせます。民間(大手法律事務所)と政府ポストの回転ドア人事もまた、すでにこの時代に始まっていたことを認識させられます。(仲山 さくら)

ゲスト

デイビッド・タルボット(David Talbot): 『悪魔のチェスボード ~アレン・ダレス CIA 米国の隠れた政府の勃興』の著者。オンライン・ジャーナリズムの草分けSalon.comの創始者で元編集長。『兄弟 ケネディ時代の秘史』はベストセラー

字幕翻訳:朝日カルチャーセンター横浜 字幕講座チーム:
東泉知佳・千野菜保子・仲山さくら・山下仁美・山田奈津美・山根明子
/全体監修:中野真紀子

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