CIAやFBIの権力乱用を捜査したチャーチ委員会
米国はブッシュ政権のもとで、テロ戦争を口実にCIAや米軍による民間人の拉致や拷問が容認され、国内でも捜査令状なしに電話を盗聴することが認められる一方、政府の情報開示は著しく制限される一種の暗黒時代に入りました。オバマ政権に交代した後も、公約とは裏腹に政府の秘密主義や情報機関の逸脱は改められていないようです。これと似た状況が、1970年代にもありました。政府の不法行為を捜査してきた米上院委員会。その中でも最も有名な70年代半のチャーチ委員会を振り返ってみましょう。
チャーチ委員会と言えば、日本ではロッキード事件の引き金となった報告書を出した上院外交委員会の多国籍企業小委員会が有名ですが、この委員会を率いたアイダホ州選出の民主党上院議員フランク・チャーチはその後、政府情報機関の非合法活動を調査するために1975年に発足した上院特別委員会の委員長にも就任します。ここで取り上げるチャーチ委員会とは、この情報活動調査特別委員会のことです。
チャーチ委員会はCIAやFBIなどの国内外における職権乱用に関し、複数年度にわたる大規模な捜査を行いました。調査の結果、米国内でのスパイ行為、CIAによる外国指導者の暗殺計画、FBI・CIA双方による左翼組織への潜入捜査や破壊工作などがつぎつぎと明るみに出ました。故フランク・チャーチ上院議員の寡婦ベシーン・チャーチと、チャーチ委員会の主席法律顧問だったフレデリック・A・O・シュワルツ・ジュニアに話を聞きます。(中野)
*ベシーン・チャーチ Bethine Church 25年前に亡くなった故フランク・チャーチ上院議員の夫人。夫の在職中は、きわめて活発に活動し、アイダホ州三人目の上院議員と言われた。同州の民主党では今も長老的な存在。
*フレデリック・シュワルツ Frederick Schwarz チャーチ委員会の主席法律顧問をつとめた法律家。現在はニューヨーク大学法科大学院のブレナン・センター主任法律顧問。
字幕翻訳:さかまきさきえ/校正:関房江
全体監修:中野真紀子・高田絵里