スティグリッツ 1%による 1%のための
米国では富の格差がますます拡大し、上位1%の金持ちが国民総所得の25%を懐に入れます。過去10年の経済成長は上位2%が独り占めにしています。有り余る資金で金融ギャンブルをやり世界経済を危機に陥れたのも彼らですが、失業者が街にあふれるなか金融業界は空前のボーナスを配っています。しかも税金は払いません。政界に効率のよい投資をして、税制も規制も自分たちに都合のよいものに変えていきました。しかし、そんなことを続けては国全体が傾いてしまいます。
日本の原発事故についても、金融派生商品による市場のメルトダウンと比較して興味深い指摘があります。原子力産業も、金融業界も、破綻が起こるリスクをできるだけ小さく見積もろうとする傾向があり、その理由は過小評価したほうが得だからだとスティグリッツは指摘します。「経済全体にリスクを分散したから、リスク管理はできている」つまり一企業の手には負えない巨大な損害は社会全体が背負うことになるので、リスクをとったほうが得なのです。こんな間違った方向にインセンチブが働いているのは恐ろしいことです。(中野真紀子)
★ DVD 2010年度 第4巻 「巨大リスクと利益」に収録
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/cifamerica/2011/apr/06/japan-nuc...
ゲスト
*ジョセフ・スティグリッツ(Joseph Stiglitz) ノーベル賞受賞の経済学者でコロンビア大学教授。著書多数。最新著は『フリーフォール グローバル経済はどこまで落ちるのか』
字幕翻訳:川添峡子/全体監修:中野真紀子/Web作成:丸山紀一朗
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