資本主義がインターネットを民主主義の敵にする

2013/4/5(Fri)
Video No.: 
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17分

イリノイ大学教授のロバート・マクチェズニーは、インターネットは権力をもたない人々が平等に発言権をもち、大企業や政治権力と戦える「商業主義から自由なオアシス」とみられていた、と過去形で言います。真の民主主義が実現できる場、それがアーロン・シュワルツが信じたインターネットでもありました。

しかしインターネットは過去20年、特にこの5年間で大企業による商業資本が席巻し、根本的な変質が起きたとマクチェズニーはいいます。あふれる広告、そこから吸い上げられる個人情報。お店で現金で物を買うのに、いちいち身分証明書を出せと言われたら抵抗を感じる私たちも、アマゾンでは抵抗なく住所氏名電話番号を提供してしまう。

個人情報のみならずアカウントやIPアドレスで一人ひとりが監視される場にもなりました。また通信会社もメディアも寡占化され系列化されてしまいました。企業のニーズを満たすため、サイバーセキュリティー法案(CISPA)や著作権保護法案(SOPA)による規制の法制化も固められつつあります。マクチェズニーはこのような独占企業の隆盛を「デジタル・エンパイア」と呼びます。

市民にサービスを提供する使命を負っているメディアや通信会社が市民を食い物にしている。こうした状況を打破しようとメディア改革会議は開かれてきました。マクチェズニーの鋭い指摘をぜひお聞き下さい(桜井)。

*ロバート・マクチェズニー(Robert McChesney):メディア改革団体「フリー・プレス」とメディア改革全国会議の創始者の1人。新著に Digital Disconnect: How Capitalism Is Turning the Internet Against Democracy (『デジタル・ディスコネクト─資本主義がネットを民主主義の敵に変える』)

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字幕翻訳:阿野貴史 校正:斉木裕明 ウェブ作成:桜井まり子
監修:中野真紀子