『地球が燃えている』ナオミ・クライン(4)極右白人至上主義の台頭は気候危機と関連



ナオミ・クラインが新著『地球が燃えている~気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提言』の発売当日に、デモクラシー・ナウで語りました。日本でも先月(2020年11月)に翻訳版が出たので紹介します。 この放送の2019年9月の時点では、1年後の大統領選挙に向けて民主党では多彩な人々が立候補し、候補者討論会でしのぎを削っていましたが、オカシオ・コルテス議員ら進歩派が推すグリーン・ニューディール(GND)についての各候補の立場は、サンダースやウォーレンを除けばあいまいです。特に、党の中央執行部と彼らが一押しするジョー・バイデン候補はともにGNDに冷淡で、気候対策に的をしぼった候補者討論会の開催も拒んでいます。シングル・イシュー(単一の争点のみに的を絞る)の討論会は開けないというのが理由なのですが、気候危機は他の争点とは位相が違います。地球環境が安全に保たれていることは、すべての問題解決の前提なのですから。もはや、どんな個別の争点も、徹底した温暖化対策との組み合わせでしか成立しないのです。 そんな状況で急いで出版された本書は、政治家にもっと危機感を持ってもらうため、みんなで力を合わせようという気合が感じられます。長編インタビューのうち、パート(1)から(4)までに字幕を付けました。それぞれのパートで、新著で論じられているポイントが紹介されています。 パート(4)はエコファシズムです。2019年3月15日、最初の世界的な学校ストが実施されたのと同じ日に、ニュージーランドのクライストチャーチで自称「エコファシスト」の白人男性がモスクを襲撃し100人近くを殺傷しました。温暖化懐疑論は未曾有の自然災害の前に影が薄くなりましたが、今度は温暖化の事実を認識したうえで、それに対する防衛手段としての白人至上主義のテロが世界各地で台頭しているのです。彼らが恐れるのは、途上国に対する「気候債務」です。気候変動が事実なら、その原因を作った先進国は富を途上国に再分配しなければならないからです。だから災害で故郷を奪われた気候難民が激増することを見越して、国境から締め出し、自分たちの富を守ろうとしています。 その根源にあるのは、自分たちだけが自然を無制限に搾取する権利を持つという考え、キリスト教の人間中心主義と植民地支配がつくりあげた、白人キリスト教徒が世界の頂点に君臨し、他の「劣った」人間たちは隷属させ、生き物も地球もすべて自分たちを養うために存在するという思想です。これを打破して、人類全体が運命共同体であると認め、力を合わせて危機に対処する方向に向かうことができるかどうかが、いま問われているとクラインは指摘します。(中野真紀子)
再生時間: 
11 分

ゲスト

ナオミ・クライン(Naomi Klein):オンラインサイト『インターセプト』の上級特派員。ラトガーズ大学のメディア、文化、フェミニスト研究のグロリア・スタイナム基金教授。新著は『地球が燃えている~気候崩壊から人類を救うグリーン・ニューディールの提案』On Fire: The (Burning) Case for a Green New Deal

字幕翻訳:福田えみり (2019年学生字幕翻訳コンテスト 特別審査員賞受賞者 上智大学)  
監修:中野真紀子

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