緩慢なジェノサイド ウラン採掘の健康被害を先住民族が訴える

放送日: 
2014/3/14(金)
再生時間: 
17分

グランド・キャニオン観光のために年間数百万人が訪れるアリゾナ州フラッグスタッフ市は、先住民族の居留地への入り口でもありますが、ここでウラン採掘による環境汚染をめぐる紛争が起きています。
2013年、連邦政府はグランド・キャニオンから約10キロの地点でのウラン採掘を許可しました。既にナバホ(別称ディネ)民族の土地では1944年から1986年までの期間に390万トンのウラン鉱が掘り出され、現在では千カ所を超えるウラン廃坑と4つの閉鎖されたウラン製錬所がありますが、放射性廃棄物は適切に処理されず、多くが住民の生活圏に放置されています。ウラン採掘のために強制移住させられたナバホ民族は2万人を超えています。

番組では環境保護団体グランド・キャニオン評議会のテ イラー・マッキノンさんと、ナバホ民族の活動家クリー・ベナリさんをお招きし、記録映画『The Return of Navajo Boy(ナバホの少年の帰郷)』の映像を交えて、先住民族居留地域における汚染の問題と、反対闘争について伺います。
ウ ラン採掘による被害は先住民族だけのものではありません。廃坑の数は全米で1万カ所以上で、廃坑から80キロ以内の地域の人口は1千万人を超えるといいま す。2012年にはグランド・キャニオン水系での新規ウラン開発を禁じる法律が発効しましたが、1980年代に開発された廃坑の再開は規制対象外です。
またフラッグスタッフ市の近郊にある先住諸民族の聖地サンフランシスコ・ピークスでは、14の民族と6つの環境団体が協力して最高裁判所まで争いましたが敗訴しました。ここでは世界初の処理済み排水100%使用の人工雪を使ったスキーリゾートが運営されています。

ゲストのクリー・ベナリさんは、全ての人間は「大地の子」であり、地球上のどこかの土地の先住民であることを指摘し、大地との関わりを失った現代社会に警鐘を鳴らします。米国先住民の辛苦と福島の惨状はぴったりと重なり合っているのです。(斉木裕明)

ゲスト

*クリー・ベナリ(Klee Benally):ディ ネ(ナバホの別称)民族の活動家。パンクバンド「ブラックファイア」の元リードシンガーで、先住民族の若者に映画づくりを教える「アウタ・ユア・バック パック・メディア」の創設者。全米でウラン廃坑の処理に取り組むボランティア団体「クリーン・アップ・マインズ」にも参加。

*テイラー・マッキノン(Taylor McKinnon):グランド・キャニオン評議会のエネルギー担当理事

字幕翻訳:阿野貴史/ 校正:斉木裕明

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