ジョセフ・スティグリッツ「今は救済だ、あとで見直せばいい」

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放送日: 
2008/10/2(木)

10月1日夜、上院は7千億ドルの救済法案を修正して可決しました。74対25と、両大統領候補を含む、民主、共和両党の賛成多数で承認されました。ノーベル賞を受賞した経済学者 のジョセフ・スティグリッツは、この救済措置に問題はあるものの、今はこれを支持し、11月の大統領選の後に問題点を見直すべきだと語ります。

この救済策の問題点は、ウォール街に資金をつぎ込んで、実体経済への浸透を待つというトリクルダウン理論、すなわち金持ちが儲かれば下々もおこぼれに与れるという「おこぼれ経済」の考え方です。銀行に資金を入れても住宅差し押さえ問題に手当てをしないのでは、出血の原因を放置したまま大量輸血をしているようなものだとスティグリッツは言います。

また救済措置によって金融機関の統合がさらに進み、「大きすぎて潰せない」銀行がさらに大きくなる危険もはらんでいます。「大きすぎて潰せない」銀行は、大きすぎるリスクを引き受けるのが自然だからです。大きなリスクをとって、成功すれば大もうけできるし、失敗すれば政府が救済してくれると考えるからです。しかも、独占によって金融業界の競争回避の傾向はさらに進み、消費者の利益はますます侵害されることになるでしょう。

救済措置によって政府が抱え込む膨大な借金は、外国から調達されます。その利払いは、今後長期間にわたって国民が背負うことになります。生活水準の低下は避けられず、今後の競争力のための投資に使うことのできる資金も減ります。とりあえずの救済措置は必要だとしても、それが引き起こす問題から、長期的にみて納税者が保護される措置が必要だとスティグリッツは言います。(中野)

ゲスト

ジョセフ・スティグリッツ(Joseph Stiglitz) 2001年のノーベル経済学賞を受けた影響力のある経済学者で現在コロンビア大学教授。クリントン大統領の経済諮問委員会の長や世界銀行の首席エコノミストをつとめたこともあり、活発に政策提言をしている。グローバリゼーションのもたらした格差社会を批判した『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』はベストセラーになった。

字幕翻訳:関房江 /校正:大竹秀子
全体監修:中野真紀子

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