ウィキリークスがTPP知財条項の草案を暴露

ウィキリークスが公開したTPP交渉の知財関連の章の草案をめぐるディベートです。TPP交渉の一番の問題は、なによりもまず秘密主義です。各国政府の交渉担当官の他には利権を持つ業界や企業の代表しか詳細を知ることができません。ウィキリークスによってようやく内容を知った、ということ自体が問題です。米国ではこれまでTPP交渉はほとんど注目されてこなかったのですが、これでようやくその危険性に対する関心が高まり そうです。ウィキリークスが取り上げたことで、その怪しさがいっそう強調されました。とくにアサンジの指摘によって、昨年春に大規模な市民運動の力で一気 に廃案に追い込まれたSOPA(オンライン海賊行為防止法案)やACTAからの継続性が強調されたので、ネット市民の警戒の目も一段と厳しくなるでしょ う。(21分)

奴隷とアイビーリーグ: 奴隷制度が支えた米名門大学の発展

今でこそアメリカの知と良識の府として尊敬を集めているアイビーリーグの名門大学ですが、創立期から19世紀半ばにいたるまで、アメリカの負の歴史にどっぷりと関わっていました。MITの米国史教授のクレイグ・スティーブン・ワイルダーの上梓までに10年をかけた労作、Ebony & Ivy: Race, Slavery, and the Troubled History of America’s Universities. (『エボニーとアイビー:人種、奴隷制、そしてアメリカの大学の問題ある歴史』)は、ハーバード、イェール、プリンストンを初めとする東部名門校が、奴隷貿易で財をなした実業家たちの富を財源とし、北米大陸はもちろん、西印度諸島のプランテーションで大もうけした人々の子供たちを学生としてリクルートし、大学としての基盤を築いていった歴史を跡づけます。

イラクは既に分裂した―「イスラム国」台頭の影響は?

イスラム国(旧ISIS)の台頭は、長年にわたる欧米の中東政策の矛盾を露呈させるものです。そもそもイラクやシリアという国の国境線や建国自体が英仏など戦勝国の利権分割のためですし、米国は最初サダム・フセインの独裁を支援していたのに彼がクウェートの石油利権に触手を伸ばし始めると急に手のひらを返して極悪人呼ばわりし、10年間後には9.11事件に便乗してサダムを排除し、ついでにイラクの国家機構も完全に破壊して宗派抗争の大混乱を引き起こしました。そのツケが巡り巡って鬼っ子のような過激組織、「イスラム国」がいまでは、シリア国内を含めて「英国の領土以上に大きい地域」を制圧し、クルド勢力が制圧する地域と合わせて、イラクは3分割状態です。(14分)

「英国の政治反乱」 タリク・アリ 労働党の新党首ジェレミー・コービンの当選について

英国の野党、労働党の党首選で、反戦、反緊縮、移民保護を掲げる社会主義者のジェレミー・コービン議員が6割近い票を獲得して圧勝し、内外に衝撃が走りました。英国のマスコミはパニックに陥り、これで政権獲得の芽はなくなった、「労働党の自殺行為」だ、などと一斉に酷評しました。一方、コービン議員とは40年来のつきあいだという政治評論家タリク・アリは、コービン党首の誕生で「労働党が変わり、英国の政治も変わる」と大喜びです。日本でも反原発、反安保の抗議運動が政治運動に変わろうとしている今、タリク・アリの分析は必見です。(24分)

湾岸戦争と米国の戦争プロパガンダ機構の進化

米国の戦争プロパガンダを大きく進化させた、1991年の湾岸戦争をふりかえります。湾岸戦争は故ジョージー・H.W.ブッシュ大統領の負の遺産の一つです。形式的には1カ月で終結しましたが、米国のイラクへの攻撃は継続しています。50万人以上の子供が死んだとされる過酷な経済制裁のあげく、2003年に息子のジョージ・W.が再び軍事侵攻し、現在でも米軍や軍事請負業者が駐留しています。でも、湾岸戦争で注目されるのは、米国民に向けた大胆なプロパガンダです。ベトナム戦争の記憶がまだ残り、軍事介入に懐疑的な世論を転換させるため、ブッシュ政権は大芝居を打ちました。ナイラというクウェート人の少女を使って、サダムの軍の残虐行為を米国議会で証言させたのです。兵士が保育器の赤ん坊を殺したと証言したナイラは、じつは難民どころかクウェート大使の娘で、広告会社に振り付けされて真っ赤な嘘をついていたことが後に判明しました。しかし、当時はマスコミも国際人権団体も無批判にこれを喧伝し、軍事侵攻に議会の支持を取り付ける決め手となりました。

「見過ごされた人々」 NYタイムズ紙の追悼欄にはダイアン・アーバスもアイダ・ウェルズもいない

2019学生字幕翻訳コンテスト  課題5:「女性のエンパワメント」の受賞作です 2019年2月28日の国際女性デーに、ニューヨーク・タイムズ紙が、これまで追悼記事が書かれなかった優れた女性たちの人生に光を当てる企画、「見過ごされた人々」を開始しました。驚くことに、以下のような重要かつ著名な女性たちさえ追悼記事が書かれることはなかったのです。反リンチ報道の草分けアイダ・B・ウェルズ、作家で詩人のシルビア・プラス、中国のジャンヌダルクとして知られる秋瑾(しゅうきん)、革新的な写真家のダイアン・アーバス、ブルックリン橋の技術に貢献したエミリー・ウォーレン・ローブリング、『ジェーン・エア』の著者シャーロット・ブロンテ、医学革命に導いた細胞の提供者ヘンリエッタ・ラックス、世界初のコンピュータープログラマーとされるエイダ・ラブレスなどです。ニューヨーク・タイムズ紙は自社の追悼記事の167年に及ぶ歴史で(白人)男性ばかりに注目したことを埋め合わせたいとしています。(9分)

マイケル・ポーラン アメリカ人の危険な食生活

「今日たいていのアメリカ人が口にしているものは食物ではなく、食物に似た工業製品だ」──マイケル・ポーラン教授によれば、米国の食生活を危機に陥れている元凶は2つです。第一に、自然の食品に付加価値をつけるため、高度な加工処理を行い、食物を工業製品化する食品産業です。思いのままに栄養素を強化し、いつまでも腐らない工業食品がスーパーの棚にあふれ、自然食品は手に入りにくい、ぜいたく品となります。第二に、食品そのものよりも、そこに含まれる栄養素が大事だと唱える「栄養学主義」です。これはイデオロギーであって科学ではないとポーランは批判します。科学的根拠の乏しい「善玉」「悪玉」のきめつけや、「栄養素」万能の食品評価などによって、食生活を歪ませていると。このような怪しげな科学に基づいて私達の食生活が変えられるのは恐ろしいことです。どうしてこんなことになってしまったのでしょう?ポーラン教授は、具体的な事例によってわかり易く説明してくれます。(36分)

ガザのゲルニカ イスラエルによる空爆で300人以上が死亡

世界中で抗議の声がまきおこる中、イスラエルはガザ爆撃を続けています。数カ月間におよぶ封鎖によってガザの市民生活を完全に麻痺させた上に加えられたイスラエルの猛攻撃は、1948年以来で最も犠牲者の多い凄惨なものと言われています。攻撃開始3日目でガザ地区の一般市民300人以上が死亡、1400人が負傷しました。 現在の事態について、ガザの現地からガザ市在住のムーサ・エルハッダート氏と、ラファのフィダ・キシュタ氏、西岸地区のラマラからは独立系議員のムスタファ・バルグーティ氏、イスラエルからはテルアビブ在住のハアレツ紙記者ギデオン・レビ氏、米国からはエレクトリック・インティファーダ挙動設立者のアリ・アブニマー氏に話を聞きます。(37分)

教師や親たちがハンストを決行するロサンゼルスの学校

ロサンゼルスの学校では、助成金の削減や教職員の大量解雇に抗議するハンガーストライキに教師や親たち、地域住民が参加しました。この問題はカリフォルニア州の財政が破産寸前になっていることから、アーノルド・シュワルツェネッガー州知事が歳出削減のために教育関連予算を州全体で10億ドル近く削減する方針を定めたために引き起こされました。(8分)

"アメリカでいちばん危険な男"ダニエル・エルズバーグとペンタゴン文書

ベトナム反戦運動のハイライトとなった歴史的事件を二つ特集しました。ペンタゴン・ペーパーズの暴露については、すでに一度紹介しましたが、今回はその中心人物ダニエル・エルズバーグを取り上げます。ランド研究所のトップアナリストが、政府に背き終身刑を覚悟で内部告発をした動機はなんだったのでしょうか?(29分)

オリバー・ストーンが中南米の政治変動に取り組んだ新作『国境の南』 前編

10月27日アルゼンチンのネストル・キルチネル前大統領が心臓発作で亡くなりました。90年代に極端な新自由主義路線を突っ走って経済破綻したアルゼンチンを、財政再建を迫るIMFの干渉をふり払った経済重視の政策で見事に立ち直らせた英雄です。訃報を受けて中南米諸国に大きな衝撃が走り、ブラジルのルーラ、ベネズエラのウーゴ・チャベス、ボリビアのエボ・モラレス、エクアドルのラファエル・コレア、パラグアイのフェルナンド・ルゴ大など、南米諸国の大統領たちが、3日間の喪に服すと発表したそうです。中南米の指導者の間には今、1820年代の独立革命以来といわれる強い結束が生まれています。でも、この中南米の大きなうねりは、米国のメディアに無視されたり、歪曲して伝えられています。オリバー・ストーン監督の新作ドキュメンタリー『国境の南』は、南米6カ国の7人の大統領に直撃取材を行い、南米大陸を席巻する革命のほんとうの姿を伝えようとするものです。(30分)

チリの経済学者マンフレッド・マックスニーフ:米国は「発展不全国」になりつつある

オバマ大統領の経済チームはウォール街出身者で固められ、ローレンス・サマーズが国家経済会議委員長を退いた後、後任に指名されたのはまたもや金融業界(ゴールドマンサックス)出身のジーン・スパーリングでした。こうした人々が舵を取る米国の経済政策の方向性とは対極にある、人間の尺度から考える経済学に耳を傾けてみましょう。チリの経済学者マンフレッド・マックスニーフは、人間の基本的なニーズに基づいた人間開発モデルで知られています。(19分)

ナオミ・クライン:究極の危機「気候変動」を利用して軍国主義が台頭?

民主主義の否定に利用されかねない最大の危機としてクラインが恐れるのが気候変動です。ここ数年で気候変動を信じる人の割合は急激に減少しましたが、その現象は英語圏に偏っています。その理由は、気候変動を信じるかどうかはもはや科学ではなく政治信条の問題になっているからだと、クラインはオーストラリアの政治学者クリーブ・ハミルトンの論考(かつて相対性理論をめぐる論争が政治論争化したこととの興味深い比較)を紹介します。気候変動を信じないことは、いまや右派にとって右派であることの証明です。彼らが信じない理由は、気候変動論は「富の再分配を狙った社会主義者による陰謀」だからです。こんな言いがかりつけて忌み嫌うのは、気候変動に有効な対策をとろうとすると、ことごとく右派の主張を否定しなければならないからです。エネルギー効率を考えれば、輸送によるロスを抑える地産地消が必須になりますが、それは「自由貿易」の終わりを意味します。そして先進国は自分たちが引き起こした問題の被害者である途上国に、つけを支払わなければなりません。自由貿易とグローバル化という右派の2枚看板を下ろし、富の再分配によって南北格差を是正するように迫られます。(16分)

「NATOに反対、戦争に反対」NATO首脳会議場に向けて帰還兵が従軍メダルを投げつける

2012年5月20、21日、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議が米国シカゴで開催されました。会場となったマコ―ミック・コンベンションセンターの外には、NATO、戦争に反対する数千人が集まり、抗議デモが行われました。NATO会場に向けて、従軍メダルを投げつけるセレモニーを主催したのは「反戦イラク帰還兵の会」と「平和を願うアフガニスタン人」(Afghan for Peace)のメンバーです。それぞれの短いメッセージに共通しているのは軍隊への不信・だまされたという憤り・イラク、アフガニスタンの人々への謝罪の気持です。アフガニスタンの人々に連帯し、本当の悪者は誰なのかを訴えます。

新たな黒人隔離:カラーブラインド時代の大量投獄

人種差別が無くなったはずの米国。2人の活動家兼著述家、ランダル・ロビンソンとミシェル・アレグザンダーが、黒人のアメリカを語ります。(26分)

オリバー・ストーンの「語られざる米国史」後篇

アカデミー賞受賞監督オリバー・ストーンが、歴史家でアメリカン大学教授のピーター・カズニックと共同で、10回シリーズのテレビ番組『オリバー・ストーンの 語られざる米国史』を撮り、大部の書籍『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(早川書房)を刊行しました。記録資料からの新発見や最近になって公開された公文書に依拠しながら、日本への原爆投下から冷戦、共産主義の凋落、そしてオバマ政権へとつながる米国史の全ての道程を批判的に検証しています。いわゆる「秘史」というよりも、顧みられず忘れられた米国政治の歴史を、政府や企業メディアが提示する公式見解とは違う視点で語り直すことに主眼を置いています。(16分)

ソ連崩壊から20年 共産党が大躍進 ~ロシアの民主化とショックドクトリン

プーチンは米国にとって本当に手ごわい相手ですが、これまでの経緯をみてくると、プーチンは必ずしも欧米に敵対的ではなかったのに、米国の愚かな行動が追い詰めたことが見えてきます。今回はさらに遡って、プーチン登場の背景となるソ連後のロシアと米国の関係を確認してみましょう。ソ連が消滅した後の無秩序で略奪的な自由主義経済への移行についてはナオミ・クラインの『ショックドクトリン』でも詳しく述べられていますが、ここではロシア問題の大家スティーブン・コーエン教授に聞きます。少し前のインタビューですが、現在の米ロ対立がどのようにして起きてきたのかを理解するには欠かせません。(

CIA 麻薬取引 中南米の反革命ゲリラのつながりを暴いて葬り去られた記者ゲイリー・ウェブ

新作劇映画<cite>Kill The Messenger</cite>(『使者を殺せ』)の主人公は、タブーを破ってCIAの犯罪を報道したために主流の企業メディアによって誹謗中傷されて職を失い、最後には自ら命を絶った報道記者ゲイリー・ウェブ氏です。1996年サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙(San Jose Mercury News)に、Dark Alliance(「暗黒同盟」)と題する衝撃的な記事を発表し、1980年代に全米で大問題になったクラック・コカインの密売が、CIAによって組織されたニカラグアの反政府右翼武装組織コントラの資金源であることをスクープしました。(18分)

マッチョな男像が横行する米国のゲーム界 女性蔑視への批判は命がけ

グローバル市場で年間百億ドル近い収益をあげるビデオゲーム業界。ヒット商品として脚光を浴びるのはバイオレンスあふれるゲームの数々です。実際には米国でゲームを楽しむ人々の4割以上が女性であるにもかかわらず、ゲーム業界は男の世界と位置づけられ、女性のゲームデベロッパーは3割に達しません。メディア批評家アニタ・サーキージアンは、米国の人気ゲームに登場する女性像を分析し、その多くがゲームの本筋に無関係な端役というだけでなく、ゲーマーの興奮をあおるためにレイプや殺しの対象として使われているという実態を指摘しました。(10分)

教皇フランシスコと「解放の神学」ポスト共産主義時代の復権

後半は中南米の軍事独裁時代を生きた教皇フランシスコの過去と現在のかかわりに光を当てます。史上初の新大陸出身の教皇は、外交の世界でも大活躍。米国とキューバが国交正常化に向けて踏み出すという昨年末に世界をあっと言わせた出来事でも、その準備段階では教皇が仲介役として大いに尽力していたようです。両国の長年の不和は、双方が築いたイデオロギーの壁で出口を失った不毛な対立の典型例であり、まさにこうした状況を調停し打開の道を開くことこそフランシス教皇の生涯の使命だと伝記作家のオースティン・アイバリーは言います。教皇は共産主義にも批判的で、1998年ヨハネパウロ2世に随行してキューバを訪問した際の回想録では共産主義はキューバの伝統と価値感に相容れないイデオロギーだと厳しく批判したようです。とはいえ大量消費資本主義にも批判的で、中南米の成長モデルはもっと伝統に即したカトリックの人間中心主義の価値感に基づくものであるべきだと考えているようです。(17分)
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