見えない戦争 経済制裁措置によるイラクの破壊

7年以上に及ぶ米国の軍事占領は、イラクにさまざまな災禍をもたらしました。しかしイラクへの攻撃が始まったのは20年前、米国の主導で国連安全保障理事会がイラクに対する経済制裁措置を決議したときからです。1990年8月、サダム・フセイン大統領のクウェート侵攻に対して発動された厳格な経済制裁措置は2003年5月まで続きました。その後の軍事侵攻と占領の陰に隠れて見過ごされがちですが、この残酷な経済制裁措置はイラクの国民生活を徹底的に破壊した見えない戦争でした

エコノミック・ヒットマンが語るアメリカ帝国の秘史  ―経済刺客、暗殺者、グローバルな腐敗の真相 前編

 アメリカでは超ベストセラーなのに、なぜか日本では紹介されない本。どうみても日本人の興味を引きそうなのに、いまだに翻訳が出ないのが不思議なのが、ジョン・パーキンスのConfessions of an Economic Hit Man(『エコノミック・ヒットマンの告白』)です。グローバリゼーションの原動力となってきた、企業利益中心(コーポレートクラシー)の合衆国の世界支配戦略を、経済面で推進する勢力の深部で働いてきたと称する人物が、いかにこのシステムが第三世界の貧国を欺いて巨万の富をまきあげてきたかを内部告発。かつて英仏がしたような直接の軍事占領や植民地支配を伴わないアメリカ帝国の搾取構造が、ある意味、非常にわかりやすく説明されています。(30分)

ラルフ・ネーダー:日本の事故で「原発ルネサンス」は終わった

気候変動対策に前向きなオバマ政権が切り札の一つとして進めてきたのが、クリーンなエネルギーとしての原子力発電の再評価です。1979年のスリーマイル島の事故以来、米国では新規の原発の建設はほとんどありませんでしたが、オバマ政権のもとで「原発ルネサンス」と呼ばれる建設ラッシュが始まりました。日本の事故は、この「原発ルネサンス」も吹き飛ばしたようですが、米国の消費者運動の旗手ラルフ・ネーダーに言わせれば、ここからが私たちのがんばりどころです。原発利権はそう簡単には退散しません。確実に息の根をとめるように、黙ってみているのではなく行動せよと、ネイダーは呼びかけます。

NAFTAの20年で雇用流出 所得格差 環境衛生基準の劣化 なぜ阻止できなかったのか?

NAFTAは米国、メキシコ、カナダの3国間に結ばれた多国間自由貿易協定で、現在交渉中のTPPやTAFTAの原型といえるものです。締結に至るまでには、その経済的、社会的な影響をめぐって賛否両論の大論争が起こりましたが、多くの異論を押し切る形で締結され、1994年1月1日に施行されました。惨憺たる結果が十分に予想されていたのに、協定が成立してしまったのは何故なのか?これを検証することが、「NAFTAの強化版」(NAFTA on steroids)といわれるTPPやTTIPを阻止するために重要なヒントになります。(12分)

イスラム学者タリク・ラマダン 中東に広がる反米運動を語る

一年ほど前、米国で作られた映画がイスラムを冒涜しているとして、北アフリアや中東に反米デモが広がりました。各国の米大使館が襲撃され、リビアでは大使など4人が殺害されました。「アラブの春」を経て、公正な自由選挙が実施され、その結果誕生したのはエジプトでもチュニジアでもムスリム同胞団出身の大統領でした。穏健派のムスリム同胞団の政府の下で反米運動が激化するのはなぜなのか?欧州の代表的なイスラム知識人タリク・ラマダンは、「アラブの春」以降の流れはイスラム主義をめぐる内部の葛藤や、複雑な経済利権の絡み合いなど、様々な要素を斟酌する必要があるといいます。(26分)

理不尽な男 ラルフ・ネーダー 前編

 民主党と共和党という二つ利権集団が、さほど違わない政策を掲げながら二大政党として君臨し、それ以外の選択肢を有権者から奪っているアメリカ。この状況に業を煮やして、第三の道を選択する機会を提供すべく、1996年に「緑の党」から立候補したラルフ・ネーダーは、アメリカの市民運動を基盤とする政治家として以来ずっと大統領選挙に出馬し続けています。(15分)

ウィキリークスのイラク民間人爆撃ビデオ 米兵の行動は訓練どおり

ウィキリークスに漏洩された米軍所蔵のビデオには、2007年バグダッド郊外で米軍ヘリが民間人を襲撃し12人を殺害した現場が映っています。犠牲者の中にはロイター社の職員もいましたが、肩からカメラ機材を下げていただけで武装していると疑われ、明らかに丸腰だった周囲の人々とともに爆撃を受けました。たまたま現場を通りかかり、道に倒れている負傷者を救出しようとしたトラックも爆撃され、運転手は死亡、乗っていた彼の子供2人も大ケガをしました。ヘリコプターの兵士たちと地上部隊との交信も記録されていますが、そこにはイラク民間人を人間とみなしていない冷酷な会話が聞き取れます。この衝撃的な映像がネットに流れると、兵士たちの行為を犯罪だと非難する声があがりましたが、その一方で、軍事的な見地からすれば兵士たちの行為はごくあたりまえの戦闘行為であるとするシニカルな評価もあります(22分)

ジョセフ・スティグリッツ:『世界の99%を貧困にする経済』

経済的な格差が、先進国の中で最大になってしまった米国。機会均等を誇っていたはずの国が、先進国の中で均等の度合いが最も低い国になってしまったのです。最新著『世界の99%を貧困にする経済』の中で、ノーベル賞受賞経済学者のジョセフ・スティグリッツは、経済格差が政治をゆがめ、民主主義をあやうくしている現状を指摘します。(35分)

暴露 スノーデンが私に託したファイル~(1)国民監視のウラとオモテ

世界24カ国同時出版で話題を呼んでいるグレン・グリーンウォルドの新著『暴露 スノーデンが私に託したファイル』。エドワード・スノーデンの勇気ある内部告発に協力し、最大限の効果を引き出すことに大きな役割を果たしたジャーナリストが、事件の当事者として証言している決定的な書籍です。事件の重要性を理解するには欠かせません。一時帰国した折にDNスタジオを訪れ、長時間におよぶインタビューで新著の内容を話しました。2日にわたる放送の最初の部分は、若干テクニカル。Collect It All(すべて収集せよ)という標語に象徴されるように、人間が交わすあらゆる電子通信を収集しようというNSA(国家安全保障局)の欲望と、グローバルな巨大通信傍受システムの広がりとその意味合いについて語ります。 。(25分)

バーニー・サンダース上院議員 ギリシャからプエルトリコまで金融ルールは1%のための八百長

メディアがなぜサンダース候補を取り上げたがらないかは、彼の主張を聞けばわかります。金融業界の大幅な規制強化と、1%が独占する巨大な富の再分配を訴えるバーニー候補の面目躍如というようなスピーチをお届けします。今年7月にワシントンの上院議員会館に経済専門家を集めて行われたフォーラムのもので、主要なテーマはギリシャの債務危機です。ギリシャの話が中心ですが、問題はギリシャにとどまるものではなく、世界の多くの国々が共有するものです。重過ぎる債務と極端な格差に苦しむ国が、債権者の強要する緊縮政策のために所得も経済もますます低迷し、社会的弱者が追い詰められ、民主主義も人権も踏みにじられていきます。ギリシャで起きていることは、この現代の病の構造をこの上なく鮮明にみせてくれるのです。

もう1つの9/11:1973年9月11日 米支援のピノチェトがチリの実権を握った日

チリで9.11と言えば、1973年の軍事クーデターを指します。米国の支援を受けたピノチェト将軍が、民主的に選挙で選ばれたアジェンデ政権を倒した日です。それ以降、チリでは独裁政権が反対派の誘拐や虐殺を繰り返して国民を恐怖に陥れ、その一方でシカゴ学派の主張に沿った新自由主義経済政策が徹底的に推進されました。このショックドクトリンの最初の「実験」は、その後、IMFの手動でバブル崩壊後の中南米全体に広がり、大多数の国民を困窮させて、現在の中南米のアメリカ離れの種を撒くことになりました。今ではそれが全世界に拡大していますが、今日の私たちが直面する問題の先駆けとなった事件として、チリ・クーデターの意義は一段と大きくなっています。(17分)

サパティスタ蜂起から20年 NAFTAに立ち向かったメキシコ先住民が築いたオルタナティブ社会

NAFTAは米国、カナダ、メキシコの北米3カ国のあいだで結ばれた、TPPの元祖みたいな地域間自由貿易協定です。締結当時のうたい文句とは裏腹に、この20年で米国の雇用は失われ、メキシコではトウモロコシの生産が壊滅的な打撃を受けて農村地帯が困窮し、仕事を求めて米国に流入する無資格移民が百万人を超えています。自由貿易協定が引き起こすこのような悲惨な結果を当初から予測し、反対の声をあげて立ち上がったのが、メキシコの奥地の貧しい先住民たちだったことは、記憶に刻んでおきたいものです。NAFTAが発効した1994年1月1日、チアパス州の先住民が「NAFTAは自分たちへの死刑宣告だ」と訴え、自由貿易協定を推進するメキシコ政府に宣戦を布告しました。武装蜂起した農民中心のサパティスタ民族解放軍は、瞬く間にチアパス州の5つの主要な町を制圧しました。巧妙なメディア戦略も奏功して、この蜂起は世界に大きな衝撃を与えました。 あれから20年、サパティスタはチアパス州のおよそ3分の1を掌握し、サパティスモ(サパタ主義)と呼ばれる独自の方法論に基づいた自治を確立しています。(12分)

WikiLeaks: モンサントの遺伝子組み換え作物を拒む欧州に米国が報復を検討

ウィキリークスがリリースした外交公電によると、フランスがモンサント社の遺伝子組み換えコーンを禁止したことを受けて、ステイプルトン元駐仏大使は2007年、EUへの報復を米政府に要請していました。ゲストのジェフリー・スミスによると、ブッシュ政権時代、フランスだけでなく駐スペイン米大使もモンサント社の幹部からヨーロッパの政治状況の説明を受け、GM普及策を一緒に練っていたのです。ウィキリークスの公表により、モンサント社の世界戦略とブッシュ政権のむすびつきが確認されたわけですが、このような強引な販売戦略によりモンサント社は米国産大豆のほぼ100%、トウモロコシは約70%を占めたといわれます。(13分)

「帝国の基地は要らない」米軍の海外基地に反対する国境を超えた運動

世界に700カ所以上あるという米軍基地。1980年代末に共産党独裁体制が瓦解しNATO体制に入ったチェコは、アメリカが世界各地で推進するミサイル防衛システムの一環を担うレーダー基地受け入れの計画に揺れています。「ノンバイオレンス・チェコ」という名の非暴力直接行動主義の運動が立ち上がり、ミサイル基地建設反対のオンライン署名を世界に向けて募っています。ミサイル防衛は軍拡スパイラルと冷戦の再来を招き、軍需産業をもうけさせるだけだと語るリーダーのヤン・タマスは、チェコの基地化を阻むためアメリカ各地を回り、グローバルな軍需産業に対抗するグローバルな平和運動を訴えています。(11分)

農業関連大手モンサント社の恐怖の収穫

「世界的な食糧危機の今、買いだめするなら米よりモンサント株がお勧め」――何百万人もが飢餓に追い込まれる中、一部のアグリ企業は過去最高益をあげています。その筆頭がモンサント社、世界最大の種苗企業です。同社の遺伝子組み換え作物は、米国の食品チェーンにあふれており、次は乳製品を狙っています。あれ、モンサントって化学企業じゃなかったの? いえいえ、いつのまにかアグリビジネスに変身しているのです。しかし他人の迷惑をかえりみない強引で攻撃的な企業体質は、ダイオキシンやPCBを作り出した頃から変わっていないようです。バニティー・フェア誌の寄稿編集者ジェームズ・スティールに話を聞きます。(18分)

経済学者ハジュン・チャン 通貨戦争と「自由市場のウソ」を語る

昨年11月、韓国で開かれたG20ソウル・サミットは、通貨切り下げ競争を回避し新興国への過度な資本移動に歯止めをかけるため各国が協調して為替レートの安定をめざすというものでしたが、オバマ大統領は韓国との自由貿易協定の実現も、中国との通貨摩擦の解消にも成果を挙げられませんでした。現在まで継続している通貨戦争と緊縮財政の問題について、ケンブリッジ大学で教える韓国出身の経済学者ハジュン・チャンが、わかりやすく解説します。(14分)

コチャバンバ「水戦争」から10年 民営化阻止の民衆闘争をふり返る

ボリビアのコチャバンバでは10年前、最も大切な天然資源である水をめぐり、壮絶な「水戦争」が起こりました。その数カ月前にはシアトルで、WTOへの抗議行動で総会が中止になっており、時を同じくして米大陸の南北で企業中心のクローバリゼーションに対する民衆の抵抗を象徴する事件が置きました。コチャバンバ市では政府が米国企業ベクテルに水道管理権を売り渡したことに危機感を抱いた民衆が一斉に立ち上がり、契約取り消しをもとめて広場を占拠しました。政府は軍を投入し、戒厳令を発令して弾圧しましたが、「水の権利」を守ろうとする民衆の反乱には勝てず、結局は民衆の要求に屈しました。2月と4月の二度にわたる壮絶な街頭闘争の結果、ボリビアの民衆はベクテル社を追い出しました。水戦争の当時、住民側の組織で重要な役割を担当したはたしたマルセラ・オリベラに当時の話を聞きます。(20分)

国連報告草案 コンゴで大量虐殺をしたとしてルワンダ軍を非難

コンゴと並んでベルギーの植民地支配を経験したのがルワンダです。ここでは1994年に、数カ月の間に80~100万人ものツチ人が殺された「ルワンダ虐殺」が起こりましたが、そもそもフツ人とツチ人という反目する2民族をつくり出しジェノサイドの遠因を作ったのは欧州の宗主国です。聖書を背景にした独特の人種思想を植民地支配の道具として押し付けたのです。この大虐殺を収束させたのは、ツチ人保護を名目にルワンダ全土を制圧したルワンダ愛国戦線の指導者ポール・カガメです。彼は米国の陸軍学校で教育を受けた軍人で、米英の支持を受けて2003年にルワンダ大統領となり現在に至っています。ルワンダを見事に復興させたと米国では評価の高いカガメ大統領ですが、ここに来てまったく違う見方が出てきました。(11分)

NSAの内部告発者トーマス・ドレイクとオバマ政権による迫害 (2)

国家安全保障局(NSA)の内部告発者、トーマス・ドレイクに話を聞きます。彼はNSAの浪費や不適切な管理、憲法違反の疑いのある活動を報道機関に告発したため、当局の迫害を受けました。スパイ防止法に違反したとして起訴され、最長で35年の投獄という危機に直面しました。でも実際の起訴状にはスパイ行為の具体的な指摘はなく、政府の機密文書を自宅地下室に保管していたという微罪しかありませんでした。結局、この微罪をドレイクが認めるかわりに他の容疑はすべて取り下げるという司法取引が成立し、昨年2011年に裁判は結審しました。当時司法省の首席報道官だったマシュー・ミラーは今ごろになって、「起訴したのは勇み足だった」などと話していますが、明らかに司法を使った内部告発者への嫌がらせです。(12分)

オリバー・ストーンの「語られざる米国史」前篇

アカデミー賞受賞監督オリバー・ストーンが、歴史家でアメリカン大学教授のピーター・カズニックと共同で、10回シリーズのテレビ番組Oliver Stone's Untold History of the United States(『オリバー・ストーンの 語られざる米国史』)を撮り、大部の書籍『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(早川書房)を刊行しました。記録資料からの新発見や最近になって公開された公文書に依拠しながら、日本への原爆投下から冷戦、共産主義の凋落、そしてオバマ政権へとつながる米国史の全ての道程を批判的に検証しています。いわゆる「秘史」というよりも、顧みられず忘れられた米国政治の歴史を、政府や企業メディアが提示する公式見解とは違う視点で語り直すことに主眼を置いています。(23分)
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