ガザ救援物資コンボイを率いた英国議員カナダで入国拒否
カナダ政府は2009年3月20日、辛らつな発言で有名な英国のジョージ・ガロウェイ(ギャロウェイ)下院議員が遊説のため入国するのを拒否しました。理由は国家安全保障にかかわるテロ支援の疑いです。2006年1月のパレスチナ立法評議会選挙で圧勝し、現在はガザ地区のみを支配するハマス政府に援助を行ったことをさします。
2008年末から22日間にわって続いたイスラエルによるガザ攻撃を受けて、ガロウェイ議員はガザに救援物資を届ける「ビバ・パレスチナ」キャンペーンを企画し、1カ月で100万ポンド相当の支援と数百人のボランティアを集めました。消防車や救急車を含む120台の車両に生活物資を満載したコンボイが、陸路ガザをめざしました。ヨーロッパからイベリア半島を南下し、モロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビア、エジプトなど北アフリカのイスラム諸国を通過して、3月9日中か途ら加わったリビアのトラック180台分と共にガザに到着しました。
「ハマスの政治思想を支持するわけではないが、私は民主主義を重んじるので、住民が選出した代表は尊重する」と述べるガロウェイ議員は、すべての支援物資をパレスチナのハマス政府に引き渡しました。同団体は、カナダではテロリスト集団とみなされています。
イスラエルの非人道的なガザ封鎖は、いまだに終わっていません。イスラエル軍は撤退しても、状況はむしろ悪化しているそうです。医療品も食糧も搬入させない、このような異常な経済封鎖は、それ自体が戦争犯罪ですが、絵になるシーンも乏しくなかなか緊急性が伝わりません。
ガザ解放船やビバ・パレスチナのような派手なアクションは、この問題に注意をひきつけるためですが、この背景には封鎖を破ろうとする長年にわたる粘り強い国際的な試みがあります。孤立しがちな日本の支援運動ですが、もちろん日本からでもこうした運動に参加することはできます。ビバ・パレスチナも今年中にまた支援物資を運び込む計画のようですし、フリーガザの運動は日本でも連帯運動が立ち上がっています。ぜひアクションを!(中野)
★ DVD 2009年度 第3巻 「パレスチナ」に収録
● ガザ・フリーダム・マーチ米国のノーマン・フィンケルスタインなどが中心となって、ガンジーにならった非暴力のガザに向けた行進を12月末から2010年の正月にかけて行なう計画を立てています。日本からも参加したいという方々がいらっしゃるらしく、そのうち日本語で情報が出てくるかもしれません。
ジョージ・ガロウェイ(ギャロウェイ)(George Galloway)グラスゴー出身の現職英国下院議員。労働党の古株議員だったがイラク戦争に反対して当時のブレア首相を厳しく批判し、2003年労働党を離れリスペクト党を結成した。パレスチナ人への支援は70年代から始まり、イスラエルのレバノン侵攻に強く抗議した。どんなに小気味よく、はっきりものを言うかは、たとえばこんな動画を見るとわかります(英語です、ごめん)。
字幕翻訳:川上奈緒子 / 校正:田中泉
全体監修:中野真紀子・高田絵里