民衆の気候マーチ Part 3 いざウォールストリートへ

民衆の気候マーチ Part 3 いざウォールストリートへ

水色の服を着て、集合!そして、米国と世界の金融と政治を牛耳るウォールストリートを気候温暖化に反対する人の波であふれさせよう―これが、フラッド・ウォールストリート(Flood Wall Street :ウォールストリートをあふれさせよう)の呼びかけでした。ウォールストリートでシットイン(すわりこみ)をし温暖化促進に励む石炭・石油産業に巨額を注ぎ政治を牛耳っている体制に「ノー」をつきつけるのが目的です。前日9月21日の40万人近くが参加した「民衆の気候マーチ」とは違い、市の許可を得ていませんし、道路にすわりこんで交通を止め、ウォールストリートのビジネスを攪乱しようというのですから、逮捕者が出ないはずはありません。言い方を変えれば、逮捕で終わらなければサマにならないイベントでした。

国連の1日気候サミットを翌日に控えた9月22日、2000人あまりが参加したシットインは、マンハッタンを南北に貫くブロードウェイの南端からウォールストリートまでの車道を人の波が7時間近く占拠し、102名の逮捕者を出しました。警察側は、ブロードウェイからウォールストリート証券取引所にいたる曲がり角は死守の構えを見せましたが、あとは宵闇がたちこめるまで、どうぞご勝手にという姿勢。多くの参加者たちにとっては、果敢な闘いというよりは、路上でのピクニックのような1日でした。しかし、逮捕された人たちの一部は、裁判闘争を展開しようとしており、注目です。

逮捕もみすえ非暴力直接行動のトレーニング

数日前から参加の心構えや取るべき行動がを教授する直接行動ワークショップが開かれました。インストラクターには、オキュパイ運動を担った人たちがまじっているので手慣れたものです。逮捕者が出る可能性があること、しかしたいした罪には問われないだろう。逮捕前には警告が出るので、それまではすわりこみを続けてほしい。やばくなってきたら知らせるので、逮捕されたくない人はすみやかに立ち退くこと。司法救援対策センターの電話番号を身体のどこかに書いておくこと。逮捕されたら黙秘が最善。保釈金の財源はかつてはどっさりあったけど、オキュパイの司法闘争でいまではだいぶん減ってきてるから、他の財源が可能な人は、そっちもあたってもらえれば大変にありがたい。当日は、大金は持ち歩くな。留置所は寒いから、重ね着の用意があるといいかも、といたれりつくせりの情報サービスです。逮捕覚悟の人をやたらにもちあげて、逮捕はいやだなと思う人に心理的な圧力をかけることは一切、ありません。インストラクターの中に、「僕は翌日、授業があるから、逮捕される気はまったくない」という学生もはいっていて、各人がそれぞれのスタンスで参加できるよう、気を配っています。

朝9時 集合

音楽ってやっぱり大事。さわやかに元気が出るぞ。

さて、当日。なんと集合は朝の9時。ご覧の通りの快晴です。集合場所は、マンハッタン南端のバッテリー・パーク内にある第2次大戦の海兵隊戦没者の記念碑周辺。ウォールストリートまで、ゆっくり歩いて15分くらいの距離で、オキュパイの集まりにもよく使われた場所です。自由の女神周遊のフェリーが発着する埠頭も近く、遙か彼方に女神像も見えます。記念碑の鷲は自由の女神を直視しているのに、女神はそっぽを向いているのがご愛嬌。自由の女神は贈り主であるフランスの方を向いて立っていると言われますが、これは真っ赤な嘘。フランスはNYからみて北東。でも、女神は南東を向いて立っています。港に入って来る船に「さあ、自由の国に着きましたよ」とメッセージを送っているのだとか。

まずは腹ごしらえ

 

シットインの予定は正午。たっぷり時間があります。まずは腹ごしらえ。用意された朝食はベーグル。ニューヨークですからね。右の人のTシャツには「気候変動懐疑論者なんか、朝飯にして食っちゃうもんね」と書かれています。うん、食っちまってくれ。

直接行動トレーニング

デモで叫ぶかけ声の練習。この日のための、特製は、「人々が水のようにわきあがる。この危機を止めなくちゃ。ひ孫の声が聞こえてくる。『お願い、ウォール街を封鎖して。いますぐに』」

出発前に、直接行動のトレーニングです。その間に司法救援にあたるNational Lawyers Guild(全米法律家ギルド)のメンバーが集まった人たちの間を周り、逮捕される可能性も辞さないとする人たちの名前をメモし、覚えておくべき注意点を書いた紙を渡します。ナオミ・クライン、クリス・ヘッジズ、マリの社会経済学者、ブラジルでアマゾン地域の巨大ダムに反対する運動を展開している活動家などゲストスピーカーのスピーチの後、行進で唱える本日特製のかけ声の練習をして、さあ、まもなく出発です。

コチャバンバの民衆パワー

オスカー・オリヴェラ。(左)テレビの取材でちょっと緊張。(右)自分の背丈と同じくらいの旗を手に。後ろは、自由の女神に向かう遊覧船。スペイン語ですみませーん。でも、声をおとどけしたくて。

Part 1でもご紹介しましたが、オスカー・オリヴェラ は、ボリビアのコチャバンバの水戦争で民衆パワーを勝利に導いたリーダーです。この人の演説には、いつもこころがゆるぎます。正直でてらわず、勇敢で揺るぎなく、しかもことばに詩がある。自分の身長と同じくらいの水色の旗をもち、ひまそうにしてたので、直撃インタビュー。一緒にいたお友達のフィリピンのアクティビストがざざっと訳してくださいました。

「昨日の(民衆の気候)マーチ?大変な数の参加者の気候変動に対する熱気が感じられて、楽しく過ごしました。ただ、行儀よすぎた。非暴力の運動なのは、わかる。でも、要求をはっきり掲げるべきだった。今日のアクション(Flood Wall Street)はとても重要だと思う。象徴的な意義がある。『北』の経済の要地ウォール街を占拠し、経済的権力を握っている人たちにシグナルを送る、『私たちが手にしたいのは、こんなのとは違う金融制度、別の世界がほしいんだ』と」。

若い声

ベン・シャピロ。救援対策弁護センターの電話番号をマーカーで腕に。「僕の最新のタトゥー」

3人の声を聞きました。以下、報道記事風に。

ベン・シャピロは、ウォールストリートでシットインするためだけを目的にオハイオ州からやって来た。28歳。「民衆の気候マーチ」はパス。これまでに2度逮捕されている。環境の問題にめざめたのは、山頂除去石炭発掘法を知った時。この鉱法は、より安上がりより迅速に鉱脈にたどりつくために、山のてっぺんを吹き飛ばしてしまう乱暴なものだ。景観破壊はいうまでもないが、巨大な爆破により埋蔵されていた鉱物のチリが飛び散り、飲料水源が汚染される。汚染物質や廃棄物は谷間に捨てられる。自然環境はもとより周辺住民の健康を痛め、新生児の出生異常やガン患者の多発が報告されている。

「オハイオ州の豊かな北東部に住む僕らは、自分の州でそんなことが行われているなんてちっとも知らなかった。だから学生の組織を作り炭鉱地帯の人たちとつなげ、大学当局に対して炭鉱業への投資から撤退するようよびかけたんだ。

活動に本腰を入れだしたのは、4年前。シェールガス採掘のための水圧破砕法(ハイドロフラッキング)がオハイオ州に導入された時だ。化学物質を添加した超高圧の大量の水を地下の岩体に注入して亀裂を生じさせるというこの手法は、もちろん地下水を汚染する。が、さらに厄介なのは廃水の処理だ。地下深くに作られた圧入井戸に流しこむという方法が採られてきたが、これが地震をひき起こす可能性が浮上したのだ。実際、オハイオ州のヤングスタウンでは、観測が開始された1776年以来、ただの一度も地震が記録されたことはなかったのに、「マルセラス・シェール」と呼ばれるシェール(頁岩層)で水圧破砕法が使われ始めた2011年から2014年7月までにマグニチュード3.9を含む地震が実に109回も観測されている。

仲間たちと一緒に、ヤングスタウンの圧入井戸の入口をバリケード封鎖して、ベンは逮捕された。このシェールガス会社D&LエネルギーのCEOベン・ルポはとんでもない奴だ。排水が地震を起こすという批判がもりあがると、化学物質たっぷりの汚染水を大量に川に捨ててしまった。「地震を起こした上、50万ガロンもの汚水で川を汚したCEOは捕まりもせず、水を守ろうとした僕ら全員が留置所で1日を過ごすことになった。逮捕されるのは誰か、誰が犯罪者なのか。この国の制度は貧乏人向けには作られてない。企業や大金を稼ぐ連中を守るよう機能してるんだよね」。

2度目の逮捕は、半年ほど前、ピッツバーグで。Earth Quaker Action Team (アースクエーカー・アクション・チーム)というグループの活動で、PNC銀行という、山頂除去石炭採掘の大手融資銀行の支店に抗議に出向き、立ち退きを拒否して逮捕された。「あせるなよ。こういう運動には、時間がかかるんだからって言う人たちがいる。だけど、取り返しがつかなくなるまでに、もう時間はあまり残されてない。だから、僕は、もう怖いなんて思わない」とベンは言う。

そして、「いま、必要なのは、こういう行動を取る人がもっと増えること。逮捕のことだけ言ってるんじゃないんだよ。僕が言いたいのはね、自分、そして自分が大切に思う人を破壊するようなシステムには参加しないぞと決意すること。僕らから水や土地を取り上げる権利は誰にもない。『警察が企業を守ってもOK。企業が水を汚してもOK』、そんなシステムをほうってはおけない。逮捕したければご勝手に。オバマや潘 基文に訴えかけようなんて思わない。ことを止めることができるのは、ここにいる連中や僕の友達、家族たちだと思うんだ」

カイラは、首都ワシントンDCのジョージタウン大学の学生。救援対策センターの電話番号を腕に書き込んでいたけれど、逮捕されるまでシットインを続けるかどうかは、まだ決めていない。キャンパスで大学に化石燃料からの投資撤退を求めるキャンペーンを組織している。仲間たちと一緒に貸し切りバスでニューヨークに来て「民衆の気候マーチ」にも参加した。

「昨日のマーチは、ああ、運動を続けて大丈夫なんだというとても大きな刺激になった。気候正義に向けてこんなにも多くの人が活動をしてるんだというパワーを示せたし、自分が関わってる運動を改めて考える、とても意義深い一日だった。今日のマーチは、『じゃ、これからどうしていくの?』という問いかけ。企業に向けての直接行動もとっても大切だと思う」。

ウェストコーストのスタンフォード大学が学生側の圧力を受け石炭企業への投資を撤退すると発表し先鞭を切っ連帯たのは、2014年の5月のことだ。ワシントンの大学でも、学生たちの取り組みは活発だ。中でもアメリカン大学では、この4月の「アースデー」には、学生が授業をボイコットし、学生と教授陣が連帯してデモや集会を行い、理事会との話し合いももたれた。この11月に学内でリファレンダムを行う地点にまで到達している。

「私たちの大学でも早く追いつきたい。ニューヨークで感じたパワーをキャンパスに持ち帰る」とカイラは言う。ジョージタウン大学のキャンパスでは、キーストーンXLパイプライン建設反対運動も盛んで、2014年3月2日には、全米80校以上の大学の学生がここのキャンパスに集結し、ホワイトハウスまでデモをした。400人近い逮捕者が出たシットインだった。

ピーターは、大学を今年卒業したての22歳。独立系ジャーナリズムのレポーターになりたくて、今日は半分参加、半分取材の乗りで来た。「僕にとって、そして皆の将来にとって大事なことだよね。NASAのジェイムズ・ハンセン博士が、議会証言で気候変動について警告したのが、1988年。で、現状は?何ひとつ変わってない。『拘束力のない合意』だって?おいおい、いい加減にしてくれよ。皆がそう思ってる。この夏起きたこと、オバマをイラクでの地上戦にひきずりこもうとする軍の幹部、ファーガソンでの警官による射殺事件、そういうことが皆、つながって市民運動が勢いを得ていると思う。僕は、明日は、仕事もあるし、逮捕される予定はないけど、ふつうに働く人も参加できるこういう形の運動が盛り上がるのは、すごくいいことだと思うよ」

通りを占拠

いよいよ、出発。お、反原発の旗も!

車道をどんどん歩いていきますが、ウォールストリート名物の牛の銅像をすぎた当たりで、警察のバリケードに行く手をはばまれ、すわりこみ

2階建ての観光バスに乗ったツーリスト。応援の拍手が巻き起こります。

デモの写真をとりたきゃ、人一倍速く走り、高い所にかけあがること。

人の河

人の「河」を象徴する90メートルを超えるバナーを運ぶ人々。取材にやって来たデモクラシー・ナウ!のエイミー・グッドマンとデニス・モイニハンが嬉しそうにバナーの下を突進していく姿を目にしました。

おなじみの顔。左はコードピンクのメディア・ベンジャミン。デモには参加しませんでしたが、バリケードにのぼってシットインしてる人たちを嬉しそうに眺めていました。さて、右は?クリス・ヘッジズ。朝の演説から参加。シットインしてましたが、1時間ほどすると引き上げていきました。えっ、帰っちゃうのー。

逮捕

黒いシャツの参加者。高いところに昇って演説開始。律儀に人間マイクしてた人も、途中から、え、何この人、という感じになるスピーチ。「やめろよ」という声と「発言したい人にはしゃべらせなきゃ」という声が半ばするうちにスピーチは終了。降りてきた途端にこの彼ともう一人が突然、逮捕されました。逮捕の理由は、誰にもわからず。「罪状は、後からでっちあげるのさ」というのが、大方の意見。

我慢の子

 

時々、バリケードを外してみたりもするけれど、あとはもう、やることなし。

退屈は、政治活動の敵。だんだん、じれる人も。待ちくたびれたベテラン・カメラマンは、「今日の警官は、新顔ばかり。以前だったら、この手のデモは、1時間もありゃ、つぶしてたのに」と、早く、帰りたそう。ちなみに、この規模の無届けデモは、デブラシオNY市長にとっては就任後、始めての体験。デブラシオは、前日の「民衆の気候マーチ」に参加し、2050年までにニューヨーク市の温暖化ガス排出量を2005年比で8割にまで削減すると発表したばかり。環境への理解をアピールしたいはずです。この人はまた、ブルームバーグ前市長の警察の「ストップ&フリスク」政策を強く批判して当選したので、強権的な警察のイメージは、当面、極力、見せたくないところ。結果、たいしたドラマもないまま、ただすわっている我慢の時間が続きました。シットインだから、当然と言われればそうなのだけど、アクションを期待してきた新参者の参加者たちには、辛抱の1日になりました。

やがてじれた空気を伝わったのか、幹部が車座になってさてどうしようと相談。「やっぱり、ここでとまって終わるんじゃ、来た人、気がすまないよね」「ともかく、ウォールストリートまで、つかなくちゃさあ」。話し合いは、こそこそやらず、内容はそこらの誰にでも聞こえます。決定がくだされ、さて発表。「もうしばらくここにいます」「もうしばらくってどのくらい」とヤジ。ひるまず、「で、その後、ウォールストリートまで進みましょう」

へーい。ここまでおいで。

ペパースプレイ

ついにブロードウェイをウォールストリートとの交差点まで、北へ前進。しかし、ウォールストリートの入口付近では、さすが警察のガードは堅い。バリケードを開こうと押し合いするうちに、飛んできたのは、ペパースプレイ。この人、真っ赤な顔してふらふらし、まわりに水をまきちらしてたので、酔っ払い?と怪訝に思ってみていたら、一瞬前にスプレーを直撃されたのでした。写真ではよくわかりませんが、目が真っ赤でしょぼしょぼ。「僕なんて、最前列にいたわけでもないんだよ。なのに警告もなしに、あたり一面にスプレーを吹き付けるんだもん」

ふて寝

「怒れる平和主義者」さんは、警官たちに向かってひとしきりお説教をたれていましたが、飽きてしまってふて寝。

お待ちかね、オキュパイ名物のピザが到着。ごちそうさま。近くのデリのトイレには、長蛇の列。順番を待ちながら、アクティビストたちの同窓会が繰り広げられます。「無人機基地前でまだデモやってるの?」「えーっと、この前、あったのは、ワシントン?」

 ウォールストリートへの入り口まで前進はしたものの、再び、すわりこみ。路上に書かれたらくがきには、「この通りであなたがみつけるのは、果てしなく大きな夢」

逮捕された白熊クン

夕闇が迫ってきました。報道陣もどんどん引き上げていきます。

Photo credit: The Guardian(left), Eco Watch(right)

宵闇が落ちると、逮捕が始まりました。2000人近くいた参加者も多くがすでに家路についていました。警察から、道路からの立ち退き、解散を命令する警告が数回出された後、すわり続けた102名が粛々と逮捕されていきました。逮捕された白熊クンたちの身には、その後、何が起こったのでしょう。左の写真でキャプテン・プラネットの後ろにオレンジ色のベースボールキャップをかぶってすわっているジョン・タールトンがインディペンデント紙に逮捕後に起きたことを書きつづっています。

逮捕された人たちは、歩道で顔写真を撮られた後、車で警察本部に連れていかれました。タールトンは警察の駐車場で「書類の書き込みが終わったら、全員に後日、刑事裁判所の罪状認否に出頭するように命じるチケットを渡し帰宅させるように」と警察の上司が部下に指示を出すのを小耳にはさんだそうです。ところがこの書類への書き込みが遅い。取り調べ処理センターにはコンピューターなどまったくみあたらず、すべて手書き。タールトンはまた、後にこの取り調べで男女に差があったことを知ります。逮捕された女性は、プライバシーに関する質問をねちねちと聞かれ、応えないなら、保釈が遅くなる、留置時間が長引く別コースにまわすぞと脅されたそうです。

一通りの取り調べが終わった後、タールトンたち男性は、白熊クンも一緒に大きな房にいれられ、釈放までの時間を待ちました。運動のオルグ、アーティスト、学生、オキュパイ運動のベテラン、ヴァーモント州の元州上院議員など、獄房仲間は、自己紹介などして、疲れたながらも意気揚々。留置所が出した夕食は、ピーナツバターサンドイッチかチーズサンドイッチかどちらかのチョイス、生ぬるいミルク、りんご1個。

午前2時頃から、1人1人、呼び出しが始まり、白熊クンも含めて全員が釈放された頃には、午前3時をまわっていたそうです。

裁判闘争へ

それから1ヵ月。10月28日、刑事裁判所で罪状認否が行われました。検事側は、こんな提案を出しました。治安紊乱罪(迷惑行為)で有罪と認めるなら、半年後、訴追を取り下げよう。これに対して、タールトンたち12名は、有罪と認めることを拒否し、裁判闘争にもちこもうと決断しました。裁判の場で、自分たちの行為は、「防衛の必要がある」行為だったと主張するのです。金融業界は地球に危害を与える気候変動を悪化させている、シットインはこの脅威から自分を守るためのやむをえない防衛手段だったと主張し、行為の法的正当性を争うのです。実はこの戦法の「成功例」が、すでにあります。マサチューセッツ州の火力発電所への石炭の輸送をエビ釣り用の小型漁船で阻止し逮捕された環境活動家2人がこの主張で裁判を試みました。この時には、検事長が彼等の論理にすっかり同調する形で、罪状を取り下げたのです。9月の民衆の気候マーチ直前のできごとで、この検事長も被告もマーチに参加しました

街頭での直接行動と裁判闘争。60年代の定番だった市民運動のこの戦法が、気候変動の闘いでこれから効果を挙げていくのか。気候正義を求める声が高まる一方、11月の中間選挙では、気候温暖化否定派がいまだに健在な共和党が連邦議会の上下両院を占めました。若者たちの間にも強い支持層をもつこの気候を軸にした変革運動が次にどんな一手を打ち出していくか、期待をこめて注目です。

(大竹秀子)

DNJ字幕付動画

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