最悪の核災害チェルノブイリから30年 米国の活動家たちが現在進行するリスクを警告
2016学生字幕翻訳コンテスト 課題1:「核なき世界とは逆方向に進む米国」の受賞作です
チェルノブイリ原子力発電所の事故からちょうど30年、福島第一原発事故からは5年を経た2016年4月26日、米国の二大核兵器研究施設のひとつロスアラモス国立研究所を抱えるニューメキシコ州から放送しました。第二次大戦で使用された原子爆弾は、このロスアラモス研究所で設計・開発され、現在も米国が所有する全核兵器を設計する2つの研究施設のうちの1つです。
史上最悪の核災害といわれる、旧ソビエト連邦のウクライナで起こったチェルノブイリ原子力発電所事故では、大量の放射性降下物がロシア、ベラルーシ、ヨーロッパの広範囲に降りました。チェルノブイリ周辺に住む5万人の住民は退避させられ、この地方の広大な地域が居住不可能になりました。
もう1つの研究施設はカリフォルニア州のローレンス・リバモア国立研究所の中にあります。番組では最近、リバモア市の住民で、市民団体トライバレー・ケアーズ(Tri-Valley CAREs:放射能環境に反対するコミュニティ)の代表を務めるマリリア・ケリー氏にインタビューしました。同団体は、「核の説明責任追及連合」(Alliance for Nuclear Accountability)と連携して、新たな報告書Trillion Dollar Trainwreck: Out-of-control U.S. nuclear weapons programs accelerate spending, proliferation, health and safety risks(『1兆ドルの大惨事:米国の制御不能の核兵器計画が財政支出、核の拡散、健康と安全の危機をさらに拡大させる』)を発表したばかりです。
チェルノブイリ原発事故と、日本で2011年3月に起こった福島第一原子力発電所事故が遺したものは、米国の住民にとっても他人事ではありません。今回の番組を通して、この地域や世界の人々を脅かす核のリスクについて考えましょう。核廃絶のスローガンとは裏腹に米国がこっそり進めている次世代核兵器への刷新計画が、いかに私たちを危険にさらすのか、報告書を出した著者のひとりケリー氏が語ります。(長沼美香子)
*マリリア・ケリー(Marylia Kelley):ローレンス・リバモア国立研究所のあるカリフォルニア州リバモア市の住民で、市民団体トライバレー・ケアーズ(Tri-Valley CAREs:放射能環境に反対するコミュニティ)の代表。
字幕翻訳:三澤慶展 パリ第3大学通訳翻訳高等学院(ESIT)翻訳科 2年 (2016学生字幕翻訳コンテスト受賞作品)
監修:中野真紀子