オバマの金融チームは金融危機を招いた張本人たち バーニー・サンダース

2009/3/25(Wed)
Video No.: 
4
15分

オバマ大統領が商品先物取引委員会の委員長にゲーリー・ゲンスラー元財務次官を指名したとき、無所属議員バーモント州選出のサンダース上院議員が反対を表明しました。反対の理由は、ゲンスラーがフィル・グラム上院議員やアラン・グリーンスパン元FRB議長と一緒に、金融派生商品クレジット・デフォルト・スワップの規制撤廃を推進した張本人であり、それが保険会社AIGの破たんと巨額の公的救済措置につながったからです。

商品先物取引委員会は、先物取引を監視する重要な機関です。一昨年の石油価格高騰や穀物価格の高騰は、金融業界の投機による価格つり上げが一因だったと疑われています。ブッシュ政権時代の監視の甘さが招いたことであり、新政権には取り締まりの強化が期待されるところですが、そこに就任するのがゲンスラー委員長です。

サンダース議員は、オバマ大統領の金融顧問が、クリントン政権時代の規制緩和派ばかりで固められており、同じ世界観を持つ人たちに偏っていることを懸念しています。ゲーリー・ゲンスラーは、クリントン大統領の時代に財務省で次々と規制緩和を進めたルービン財務長官の部下でした。証券取引委員会(SEC)の委員長メアリー・シャピロも同様です。ルービン長官の後を継いで財務長官に就任し、引き続き規制緩和政策を推進したウィリアム・サマーズも、オバマ政権の下で国家経済会議委員長をつとめています。しかもゲンスラーも、ゴールドマン・サックス出身者です。

このような布陣が示すのは、オバマ政権がめざすのは金融危機を招いたシステムの修復であって、変革ではないということです。「誰も理解できない金融商品を売りさばきCEOたちが大もうけする仕組みはもう要らない。本来の銀行業に立ち帰り国民や事業所に資金を回して雇用や収入を生み出すべきだ。求められているのは金融革命だ。今回の危機で国民が目覚め、その方向に歩み出してほしい」とサンダース議員は言います。(中野真紀子)

バーニー・サンダース(Sen. Bernie Sanders) バーモント州選出の無所属上院議員。下院議員を16年つとめた後、2006年に上院に選出された。無所属議員としては米国連邦議会で史上最長の任期をつとめている。

Credits: 

字幕翻訳:田中泉/校正・全体監修:中野真紀子