米国最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグは、1970年代にアメリカ自由人権協会(ACLU)の「女性の権利プロジェクト」(Women’s Rights Project)を共同創設し、最高裁で6件のジェンダー差別裁判の弁論を行ったことで著名になりました。その1つが妻を出産で亡くした夫が原告となった「ワインバーガー対ウイーゼンフェルド」裁判です。焦点は、妻を亡くした夫に対する社会保障年金の受給権の有無でした。原告のスティーブン・ウイーゼンフェルドと話します。ウイーゼンフェルドは、遺族の受給権が認められるのは女性だけであるとして、男性であるために資格なしと告げられました。ギンズバーグは最高裁で、男性であることを理由に父親の権利を否定することは憲法違反であると弁論し、最高裁は8対0で彼女の主張を支持する決定を下しました。後にギンズバーグと生涯の友人となったウイーゼンフェルドは、「ギンズバーグはきわめて保守的な裁判官を相手に、1つのジェンダーを傷つける因習はもう一方のジェンダーも傷つけると説きました」と言います。