米国テレビ界でのパイオニア、ドン・コーネリアスが75歳で亡くなったのは2月のことでした。「ソウル・トレイン」の司会者だった彼は、多くの追悼の中で「アフリカ系アメリカ人のディック・クラークだ」と形容されました。ディック・クラークとは1956年から89年まで続いた人気番組「アメリカン・バンドスタンド」の伝説的司会者の名前です。ハリウッドに移る前はウエスト・フィラデルフィアで作られていたこの番組を、クラークは「人種的な垣根を取り除いた最初の全国放送番組の1つ」と主張していました。しかしこのように語られる歴史に疑義を挟み、この番組が初期には黒人の若者たちを排斥していたという新事実を明らかにした本がこのほど出版されました。The Nicest Kids in Town: American Bandstand, Rock 'n' Roll, and the Struggle for Civil Rights in 1950s Philadelphia(『街でお気に入りの子:アメリカン・バンドスタンドとロックンロールと1950年代フィラデルフィアにおける公民権運動』)の著者マシュー・デルモントは、「これは北部における公民権と隔離政策の物語です」と言います。