パラグアイのルゴ大統領失職 中南米の潮流に変化か

2012/6/25(Mon)
Video No.: 
1
11分

2012年6月、「貧者の司教」として知られるパラグアイのフェルナンド・ルゴ大統領が、土地をめぐる貧農と治安当局の間に起きた流血の衝突事件をきっかけとして、治安維持に失敗したことを理由に、議会の弾劾を受けて失職しました。ルゴ氏自身はこれを議会によるクーデターと呼び、南米諸国連合(UNASUR)加盟各国も、チリやコロンビアなどの保守政権も含め、パラグアイ国会の動きを一斉に非難していますが、米国のオバマ政権は模様眺めを決め込みました。『アメリカ帝国のワークショップ』の著者でニューヨーク大学のグレッグ・グランディン教授(中南米史)に伺います。

60余年にわたるコロラド党の右翼独裁を打破して2008年に誕生したルゴ政権は、議会基盤の弱さに足下をすくわれました。グランディン教授は、今回の事態と2009年のホンジュラス議会によるセラヤ大統領追放劇との類似を指摘しています。近年中南米を席巻した「ピンクの潮流」は退潮期に入ったのでしょうか。今後の動きから目が離せません。(斉木裕明)

*グレッグ・グランディン(Greg Grandin):ニューヨーク大学でラテンアメリカ史の教鞭を取る。著書に『アメリカ帝国のワークショップ』(明石ライブラリー)。2009年刊行のFordlandia: The Rise and Fall of Henry Ford's Forgotten Jungle City(『フォードランディア─ヘンリー・フォードの忘れられたジャングル都市、その勃興と凋落』)でピュリッツァー賞候補。

Credits: 

字幕翻訳:田中泉/校正:斉木裕明/Web作成:桜井まり子