金融救済措置から1年 注がれた7000億ドルはどこへ?

2009/9/10(Thu)
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2008年9月、金融危機に見舞われたブッシュ政権は、7000億ドルの公的資金を投じるウォール街救済策を発動させました。米国史上最大の政府による金融制度介入でしたが、その巨額の資金はいったいどのようなメカニズムで配分され、最終的にどこに行ったのでしょうか?答えは簡単――「わかりません」。

この問いを追究したピュリッツァー賞受賞の調査報道コンビは、驚くべき実態を報告しています。ゴールドマンサックス出身のポールソン財務長官は、ウォール街の大暴落を防ぐため、とにかく手当たりしだいに金をつぎ込む必要があると言い、最大手銀行のトップを呼びつけ有無をいわせず一律に救済資金を受け取らせました。でも実際に資金を必要としていた銀行はほんの一握りだったのです。それなのに、すべての銀行に救済資金を配り、その使い道も聞かなかったため、どの銀行の、どの取引が実際に救済されたのか、皆目わからなくなってしまいました。いや、むしろ政府はわざと知ろうとしなかったのだと彼らは言います。 。(中野)

*ジェームズ・スティール (James Steele )/ドナルド・バーレット (Donald Barlett)
バニティフェア誌の寄稿編集員をつとめる調査報道コンビ。ピュリッツアー賞やナショナル・マガジン賞など米国のほぼすべてのジャーナリズム賞を受賞している。バニティフェア誌に“Good Billions After Bad”(盗人に追い銭)とする記事を発表した。

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Pulitzer Winners Jim Steele and Don Barlett: Geithner Tax Troubles Far More Egregious Than Daschle’s (2/6/2009)

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字幕翻訳:加藤麻子/校正:関房江
全体監修:中野真紀子・付天斉