壊滅地帯 封鎖されたガザの経済
テロ封じ込めのためというイスラエルの封鎖はどんな影響を与えているのか、Democracy Now!のプロデューサーがガザ地区に入って経済状況をレポートします。イスラエルによる22日間の攻撃の後、ガザ地区の失業率、貧困率は世界でも最悪となっています。国際社会はガザ地区の復興支援に52億ドルの拠出を約束しましたが、イスラエルは4カ月が過ぎた現在もガザ地区の完全封鎖を解いておらず、再建しようにも物資がありません。2万軒以上の家屋が破壊され10万人が家を失ったというのに、セメントやガラスなどがまったくはいってこない状態です。
このような厳しい封鎖が始まったのは、ファタハ治安部隊がガザを追放されハマスの単独支配が始まった2007年6月からです。以来95%の事業所が操業を停止し、20万人が失業しています。経済は凍結し、医療品やおむつのような生活物資が欠乏し、100万人以上が外部の援助にすがって生きる中で、イスラエルが侵攻する直前の2008年11月にはついに国連難民救済機関の食糧備蓄も底をつきました。
飢えた人々はしかたなく国境沿いに地下トンネルを掘ってエジプトから物資を密輸します。危険を冒してトンネルから運び込まれるヤミ物資は非常に高価で、仕事の無い人たちには手が出ません。イスラエルは武器を密輸するといって次々と爆撃しますが、これが命綱である以上、トンネルはなくなりません。
もちろん、人々はヤミ物資の売買などしたくはないし、国際援助に頼って生きたいわけでもありません。パレスチナは豊かな土地ですし、牢獄のような狭い土地に閉じ込められてさえいなければ、働いて十分に暮らしを立てられるはずです。ガザが周囲を囲い込まれ、徐々に経済を破壊されたのは、2年前からではなく、1990年代初期のオスロ合意の頃からです。これが150万人の人々を物乞いにしたのだとアミラ・ハスは言います。
「私たちは国際社会の同情などいらない。イスラエルが行なった破壊に対して正当な賠償を行なうようにしてほしい。援助ではなく、私たちの権利を認めてほしい」とガザの住民は言います。(中野)
字幕翻訳:田中泉/校正:永井愛弓
全体監修:中野真紀子・高田絵里