グアンタナモ米軍基地 テロ容疑者収容開始から6周年
米国がキューバのグアンタナモ基地に、「テロとの戦い」と称するもので捕らえた人々を違法に拘束し始めたのは、2002年1月11日のことです。この6年間に「敵性戦闘員」とされる800人以上の男性(未成年者も含む)たちが、訴追手続きなしで収監されています。グアンタナモ収容所には米国の法律もキューバの法律も適用されず、収容者は戦争捕虜としても扱われません。おまけに法による保護を奪われた収容者たちには、情報を引き出す手段として心理学や医療の力を借りた拷問が加えられています。グアンタナモ収監者の惨状について「憲法上の権利センター」代表のマイケル・ラトナーに話を聞きます。
また、イエメン出身のロンドン在住のライターであるモギブ・ハッサンにも登場してもらいます。彼のいとこであるファワズ・マフディは5年以上にわたってグアンタナモに収監されていました。2007年6月に釈放されましたが、心理的に重篤なトラウマを負っていて、何回か自殺を図っています。イエメン人はグアンタナモ収容者の3分の1を占めるといわれます。かつては最大の収監者を出していたサウジアラビアが大幅に数を減らしたのに、イエメン政府はなんら有効な手を打っていないとマフディは批判します。
後半では、これまで番組でとりあげたさまざまなゲストの証言からダイジェストのかたちでグアンタナモの実態を浮かび上がらせます。グアンタナモでは囚人の精神をくじくため、宗教が武器として使われると証言する従軍牧師、グアンタナモにおいてCIAの拷問モデル(感覚器官、文化的感受性の攻撃、個人的な恐怖対象)が完成されたと述べる歴史学者、医療の名を借りた虐待を報告する弁護士など。(中野)
マイケル・ラトナー(Michael Ratner) 「憲法上の権利センター」代表
モギブ・ハッサン(Mogib Hassan) イエメン出身でロンドン在住のライター。いとこのファワズ・マフディは、グアンタナモに5年以上も収監されていた。
字幕翻訳:田中泉 校正:永井愛弓
全体監修:中野真紀子