反中感情に煽られたTikTok弾圧はビッグ・テックの真の脅威を見落としている
2024/3/14(Thu)
記事番号:
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【2024/03/14/3】米国の下院議会は、珍しい超党派の取り組みとして、ショート動画投稿サービスTikTokに対し、中国の親会社ByteDance社が株式を売却するか、さもなくば米国全土での使用を禁止するという法案を圧倒的多数で可決しました。法案推進議員たちは、この人気のSNSアプリが中国政府に米国住民の個人データへのアクセスを許しかねず、ひいては2024年の米国選挙に影響を与える可能性があると主張しています。TikTokをめぐる争いの背景には、民主党と共和党の両方において中国に対する敵対的な言論が台頭していることや、このアプリの若いユーザーの間ではパレスチナ人の権利を擁護したりイスラエルに批判的なコンテンツの人気が高いことに保守派が警戒感を持っていることが挙げられます。
TikTok法案の今後の行方は上院の議決に委ねられ、可決された場合にはジョー・バイデン大統領の署名を経て成立することになります。ドナルド・トランプ前大統領は、在任中にTikTokを取り締まろうとしましたが、現在はこの取り組みに反対しています。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の情報学教授ラメシュ・スリニヴァサンRamesh Srinivasanは、この法案について、「極悪非道な活動やスパイ活動を行っているという証拠もないのに、TikTokと中国だけを取り上げて危険視しているのが問題です」と語ります。「必要なのは、すべてのSNS企業に適用され、米人が自分自身のデータに対して権限を持てるようになる、広範で包括的なデジタル著作権法です」