南北

 イギリス「ガーディアン」紙のコラムニスト、ジョージ・モンビオ氏は最近『ヒート:燃える地球をどう救うか』という本を出版しました。彼は世界の科学者が主張する基準、2030年までに温室効果ガスを60%削減すること、を実現できれば、まだ地球を救う可能性は残っていると言っています。そのためには一部の人たちが心配しているように、自家用車の使用をあきらめたり、産業化社会を放棄することはなく、今人類が到達している技術を駆使することで十分に健全な地球を取り戻すことが出来るというのです。問題は技術ではなくむしろ人間の倫理なのだと彼は指摘します。各国政府の政治的な思惑が、技術的には可能な温暖化対策を妨げているのです。(25分)
 アメリカでは超ベストセラーなのに、なぜか日本では紹介されない本。どうみても日本人の興味を引きそうなのに、いまだに翻訳が出ないのが不思議なのが、ジョン・パーキンスのConfessions of an Economic Hit Man(『エコノミック・ヒットマンの告白』)です。グローバリゼーションの原動力となってきた、企業利益中心(コーポレートクラシー)の合衆国の世界支配戦略を、経済面で推進する勢力の深部で働いてきたと称する人物が、いかにこのシステムが第三世界の貧国を欺いて巨万の富をまきあげてきたかを内部告発。かつて英仏がしたような直接の軍事占領や植民地支配を伴わないアメリカ帝国の搾取構造が、ある意味、非常にわかりやすく説明されています。(16分)
 世界で3430万人いるといわれているHIV感染者/AIDS患者(1999年 UNAIDS調べ)。今では抗エイズ薬の開発のおかげで、かなりの長期にわたってHIVウイルスの増殖を防ぎ、AIDSの発症を抑えることが可能になっています。しかし、数百億かかるという開発費を捻出するために正規薬の値段は高く、2000年現在のアメリカで年間1万2000ドル(約150万円)に達していました。最もAIDSの被害を受けている発展途上国では、到底手が届かない価格です。(28分)
 「ノーモア・デス」の救援活動は、長老派教会のジョン・ファイフ牧師が2002年に始めたサマリタン・パトロールを母体としています。ファイフ師は80年代中ごろにも、国境に滞留した大勢の難民たちを保護する「サンクチュアリー(避難所)」運動を始め、全米の教会やシナゴーグにネットワークを広げたため、当局ににらまれて密入国幇助の罪で有罪判決を受けたことがあります。彼の体験を通じて、国境での生死をかけた救済活動の今と昔が語られ、そこにはっきりした一筋の糸が通っているのが見えてきます。(14分)
 メキシコ国境では合衆国で働くため密入国する人々が増加し、砂漠を越える途中で衰弱し、死に至る事故があとを絶ちません。アメリカ政府はこの惨状を放置し、彼らの「死」を無許可の移民をけん制する抑止力として使っています。それどころか、このような非人道的な政策に対抗して移民たちの救助活動にあたるボランティアたちを、密入国幇助として重く罰しようとさえしています。このような政府の威圧政策にも屈せず救援活動をつづけ、オスカル・ロメロ人権賞を与えられた2人の若いボランティアが、国境の惨状を報告します。(12分)
一千万を超える人々がビザなしで滞在しているといわれる米国で、2006年5月1日、抑圧された移民の権利を擁護する人々が街頭に繰り出し、米国史上で最大級の抗議行動が全米各地でくりひろげられました。ブッシュ政権が推し進める就労の取締りや国境警備の強化にいたたまれず、これまで日陰に置かれてきた移民達が、ついに抗議の声をあげたのです。いっせいに職場や学校を放棄して、「移民のいない一日」を実現させ、その存在の大きさに目を向けさせた移民たち。この歴史的なメーデーの様子をぜひ映像で。(18分)
 2006年のメーデーに大きな盛り上がりを見せた移民の権利要求運動ですが、150万人もの参加者が要求したのは、1986年の移民法改正時に行ったような「恩赦」による、無届の移民の即時合法化でした。でも議員たちの多くは、二大政党のいずれも「恩赦」には冷淡です。それに代わるものとして超党派で提案されているのがゲストワーカー制度ですが、どうやらこれは「外国人一時労働者」という底辺労働層を固定化するものです。その背後には、NAFTAに代表される米州自由貿易体制による構造的な貧困と移民流出、そのような人の流れに目をつけた大資本による、人の移動そのものの搾取という思惑が働いているようです。(10分)