ユタ州に巨大監視センターを建設するNSA

2012/3/21(Wed)
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国家安全保障局 (NSA)がユタ州の山間の町ブラフデールに巨大な情報監視センターを密かに建設中であることが、長年NSAの動きを追い続けてきたジェイムズ・バンフォード記者のスクープで判明しました。

「ステラウィンド」という極秘の監視プログラムの一環で、NSAは米国中に盗聴ポストを設けて国内および国外から発信される膨大な数の電子メールや携帯電話の内容を収集しています。ユタ州に建設される巨大データセンターは10万平米の敷地を持ち、無尽蔵の収容能力を持ちます。ここに一般国民のメールや会話、ネット検索履歴、チケットや乗車券の購入、旅行日程、書店での購買記録などあらゆる個人情報が蓄積され、高速ネットワークでつながった全国各地のNSA拠点からデータにアクセスしてします。

NSAはCIAと並ぶ米国のインテリジェンス・コミュニティの中核組織ですが、その活動は秘密のベールに包まれています。CIA が人間に対する諜報活動を行うのに対し、NSAは通信の傍受や暗号解析が専門です。公式には他国の通信情報を収集分析するのが任務のはずですが、バンフォード記者が指摘するように国内でも通信情報を傍受しています。米国では情報機関が外国で諜報活動をするのは合法ですが、米国内で市民の通信を傍受することは捜査令状がない限り違法行為です。(中野真紀子)

*ジェイムズ・バンフォード(James Bamford)調査報道記者。ワイアード誌に"The NSA Is Building the Country’s Biggest Spy Center (Watch What You Say)"(NSAは巨大監視センターを建設中~ 壁に耳あり)という記事を発表し、ユタ州の巨大情報集積センター建設をスクープした。 1980年代からNSAに関する調査報道を続け、その存在を明るみに出すことに貢献してきた。著書は、 The Shadow Factory: The Ultra-Secret NSA from 9/11 to the Eavesdropping on America などが有名

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全体監修:中野真紀子