食への権利: 企業、外国政府による 土地の収奪で第3世界に飢餓

2010/10/28(Thu)
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12分

貧しい国々で5億人を超える小農が飢餓に苦しんでいます。食の権利に関する国連特別報告者オリビエ・ド・スキュテールによれば、その一因は外国の政府や企業が土地を大量に買いあさっているからです。ただでさえ世界中で年間3千万ヘクタールの農地が、工業化や環境破壊によって失われていくのに、今や猛烈な勢いで土地の争奪が進んでおり、アフリカや南アジアでは不透明な土地取引によって住民が追い立てられ、暮らしが脅かされ、地域社会が蝕まれています。
ここ数年でフランスの全農地の2倍にあたる4千万ヘクタールが投資家によって買い占められました。ド・スキュテールによれば、土地争奪が起きる原因は4つです。
1)2008年の世界食糧危機を受け、もはや食糧の調達を不安定な国際市場に依存せず、じかに海外の農地を所有して食糧の確保をはかろうとする動き
2)バイオ燃料の生産
3)工業化や都市化による農地の減少
4)世界的な淡水資源の枯渇 中国などは国民の将来の食糧確保のため海外の土地を買う

こうした危機感による土地争奪の動きに便乗するのが、土地取引を投機の対象とみなす投資ファンドのような金融機関です。値上がりが期待できるというだけの理由で土地を買い漁るこうした人々の存在が、土地の争奪にさらに拍車をかけています。(中野)

*オリビエ・ド・スキュテール(デ・シューター)(Olivier De Schutter) 食の権利に関する国連特別報告者 *スミタ・ナルラ(Smita Narula) ニューヨーク大学ロースクールの人権世界正義センター(Center for Human Rights and Global Justice)責任者
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字幕翻訳:小椋優子/校正:永井愛弓
全体監修:中野真紀子/サイト:付天斉