イラクで拷問を採用したことが何千もの米兵を死に追いやった

2008/12/3(Wed)
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26分

2年前イラクで尋問チームを指揮していた元米軍特殊諜報活動員が仮名の下に、米軍がイラクで行なった拷問による尋問の効果を疑問視する本を出しました。

安全上の理由からマシュー・アレグザンダーのペンネームを用いるこの人物は、イラクで自分が指揮したチームは拷問を用いる代わりに、正統的な心理戦術による尋問方法によってずっと大きな成果を上げたと主張します。なかでも最大の功績はアル=ザルカウィをしとめたことだと彼は言います。

ザルカウィはイラクに浸透したアルカーイダの指導者とされ、多数の自爆攻撃を指導して多くの犠牲者を出したと言われる人物です。アレグザンダーの頭脳を使った尋問が引き出した情報と、優れた捜索チームの連携によって、この男の所在がつきとめられ、米軍は爆撃機を飛ばして「最も危険なテロリスト」をしとめました。民家にいるところを、たまたま周囲にいた人々もろとも吹き飛ばしたのですが、彼を捕らえて裁判にかけようという考えは米軍にはなかったようです。

こうした経緯をつづったアレグザンダーの本は、米国防総省の審査が長引いたため、出版が6週間も延期されたそうです。おまけに何箇所も削除させられたと彼は嘆いています。どうやら当初は大統領選挙の直前に出版を予定していたようですが、そのあたりに彼の立場が表明されているのかもあいれまえん。(中野)

マシュー・アレグザンダー(Matthew Alexander)
How to Break a Terrorist: The US Interrogators Who Used Brains, Not Brutality, to Take Down the Deadliest Man in Iraq. (『テロリストに自供させる方法  暴力でなく頭を使って、イラクで最も危険な男をしとめた米国尋問の官たち』)の著者(仮名)。 アメリカ空軍に14年間勤務し、30以上の国で特殊任務に就いた諜報分野のベテラン。在任中に300人以上を自ら尋問し、千人以上の尋問を監督した経験を持つ。イラク戦争での功績を称えてブロンズスター勲章を与えられた。

Credits: 

字幕翻訳;阿野貴史 / 校正:関房江
全体監修:中野真紀子・付天斉