環境団体がG8首脳を非難 地球温暖化への取り組みが後退

2008/7/8(Tue)
Video No.: 
1
12分

7月に北海道で行われた洞爺湖サミットでは、主要8カ国の首脳たちは、世界全体の温室効果ガスの排出量を、少なくとも2050 年までに半減させる長期目標に合意しました。米国政府はこの宣言を大きな進歩として高く評価しましたが、環境活動家たちは中期的な数値目標が欠如していると批判しています。

地球温暖化は、食料および燃料価格の急騰など、他の世界的な大問題に密接に結び付いています。世界の重大なものごとを少数の国だけで決める非民主的なG8のシステムに反対して、北海道には世界各地から活動家たちが集まり、対抗アクションをとりました。何億ものお金をつぎ込んだ贅沢な会場の外で、反対の声を上げる人々に取材しました。北海道にきていた反グローバリゼーションの代表的な論客フィリピンのウォールデン・ベローに聞きました。

ベローによれば、気候変動問題については2007年12月にフィリピンで開かれた国連バリ気候会合が、京都会議を引き継ぐ形で中期目標を採択しました。2020年までに温室効果ガスの排出を途上国は25%、先進工業国は40%削減するという数値が合意されていたのです。2050年には全体で8割の削減が必要というのが国際的な共通認識でした。それに比べれば、今回のG8は大幅な後退です。これは米国が国連の今日と議定書に対抗するため、主要経済国会合という新しい枠組みで気候変動対策を進めようとしているのに、おもねった形です。

今回の北海道サミットで目立ったのは過剰な警備でした。北海道に全国から大量の警察官が動員されましたが、それ以前に外国の活動家は日本国内に入ろうとするところで阻止されました。入国審査で環境問題活動家たちをより分け、別室に連れて行き長時間尋問したり、本国に送還したりしました。社会運動をする人々の入国を制限するやりかたは、シンガポール政府の政策をみならったものだとベローは批判しています。(中野)

*ウォールデン・ベロー(Walden Bello) 国際政策研究所フォーカス・オン・ザ・グローバル・サウス(Focus on the Global South)を創始し、現在は常任理事をつとめているフィリピン大学の社会学教授。カリフォルニアのNGOフードファースト(食料第一:食料と開発のための政策研究所)の元常人理事。経済のグローバル化のありかたを批判する急先鋒で、2003年にスウェーデンのライト・ライブリフッド賞を受賞した。

Credits: 

字幕翻訳:川上奈緒子
全体監修:中野真紀子・高田絵里