環境運動の火付け役レイチェル・カーソンと『沈黙の春』

2007/5/31(Thu)
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1962年に出版されたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』は、環境保護運動の勃興をうながした名著として知られています。40年以上も前の科学書が、今も古典として読みつがれているのはなぜでしょう?

カーソンはこの本でDDTなど農薬の危険性を訴えたため、当初は化学企業やマスコミから攻撃を受け、大きな物議をかもしましが、後には20世紀でもっとも重要な人物の1人とみなされるようになりました。このとき、すでに末期がんだった著者は、1年半後に亡くなりました。未完に終わった次の本では、業界との癒着構造が科学をゆがめていることについて書こうとしていたそうです。

レイチェル・カーソンは1964年パシフィカラジオでこう語っています「産業界は都合の悪い事実を隠蔽し、無害なことだけを公表させる選別装置になったのでしょうか?心ある科学者の多くは自分たちの働く組織が業界の隠れ蓑にされていることに危惧を感じています。複数の科学者が、ルイセンコ主義が米国にも台頭しつつあるのではないかと警告を発しています。ソ連の遺伝科学を捻じ曲げ、だめにしてしまっただけでなく、農業科学全般にも広く浸透していった似非科学の風潮です。でも、ここ米国では、基本的事実の歪曲は、政党の主張にそってではなく、生産と利潤をあがめ目先の利益に奉仕するためになされるのです」

このような影響力のある本を書いたカーソンは、どんな人物だったのでしょう?彼女が『沈黙の春』を書くにいたった動機や、この本の影響について、カーソンと同じエコロジストで作家のステイングレーバーに話を聞きます。

* サンドラ・ステイングレーバー(Sandra Steingraber)エコロジスト、作家。環境と癌や生殖機能との関係についての専門家として国際的に知られる。自身も癌を患った体験があり、Living Downstream: An Ecologist Looks at Cancer and the Environment(『リビング・ダウンストリーム 癌と環境を見つめるエコロジスト』)をはじめ、多数の著作がある。

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字幕翻訳:川上奈緒子 /全体監修 中野真紀子・高田絵里