「移民のいない日」アメリカ史上最大級のデモ 150万人が移民の権利を主張

2006/5/2(Tue)
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19分

 デモクラシー・ナウ!では、マイノリティーの権利をめぐるニュースが頻繁に取り上げられます。その中でも、アメリカの移民問題の根本をとりあげ、移民問題に関する市民の迫力をうまく伝えていたTOPICSを、過去のアーカイブより紹介します。

 2005年12月16日に、「移民法の強化、国境警備の増強などのための『移民および国籍法』改正法案(HR4437)」が、ウィスコンシン州のジェームズ・センセンブレナー共和党議員の主導で、下院を通過しました。これにより、ビザなし移民およびその手助けをする人は重罪人とされ、入管にビザなし移民の疑いのある人を国外追放する権限が与えられました。実際に、砂漠を歩き続けて国境までやってくる人々に水を差し出す活動をしているNGO「No More Deaths」の学生が、ビザなし移民に手助けしたとして重罪判決を下されたりもしています。また、カリフォルニア、ニューメキシコ、テキサス、アリゾナ各州に渡って、メキシコ国境に700マイルもの壁が建設されることも決定されました。

 移民の国アメリカで、このような法律が通ったことに対する反発は非常なものでした。そして、翌2006年のメーデーには、移民とその支持者による大規模なボイコットが行なわれ、150万人もの人が仕事や学校を休み、工場や店も閉鎖され、「移民のいない日」と呼ばれたのです。今回のTOPICSでは、その時の参加者の声をご紹介します。

 2007年5月19日付けのTOPICSでも、上院議員の超党派グループが、5000ドル の罰金を支払ったり生体認証のIDカードを持つなどの多くの条件を満たせばビザなし移民でも米国内の労働許可を与える、という新たな改正法案を提案し、それに対して市民グループが「移民の地位を永遠に底辺に押し込めるもの」と懸念を表明していることが紹介されています。 (英文記事
今後もずっと続くであろうこの話題、ぜひ注目していきたいと思います。(古山葉子)

参考TOPICS(いずれも英語のみ)

2005.12.16 ビザなし移民を重罪とする法案、下院で審議

2007.4.23 No More Deaths 人権グループが国境を越える移民を支援

2007.4.23 ジョン・ファイフ牧師 移民の聖域を提供してきた経験を語る

2007.4.27 「送還大作戦」で、750名以上の移民を留置

2007.5.1 「移民のいない日」今年はどうだったか

Credits: 

字幕・翻訳 :田中恵子