誘拐された少女たちを救うより状況を悪化させる?アメリカ人の#ハッシュタグに警告

誘拐された少女たちを救うより状況を悪化させる?アメリカ人の#ハッシュタグに警告

#BringBackOurGrils

事件の背景:デモクラシー・ナウ! リンク  「我々の少女たちを取り戻そう:バコ・ハラムの破壊的衝撃と軍による報復の板挟みになったナイジェリア国民」

ナイジェリアでは、約300人の少女たちが北部の寄宿学校から誘拐された事件をめぐり、「我々の少女たちを取り戻そう」というスローガンのもと、抗議行動が続いています。イスラム武装勢力は4月14日、女子中等学校を襲い、生徒たちを連れ去りました。5月5日、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム」の指導者が犯行声明のビデオを発表しました。ナイジェリア当局者らは、一部の少女たちはすでに、わずか12ドルで嫁として売り払われたと報告しています。他の少女たちは誘拐犯らと強制的に結婚させられ、隣国のカメルーンとチャドに連れて行かれたと報告されています。少女たちが誘拐されたナイジェリア北部の地域は約1年間にわたって非常事態にあり、襲撃を受けた学校は、地域で唯一閉鎖されずにいた学校だったといわれています。

■ Twitterで米国著名人やセレブも参加:ハッシュタグ・キャンペーン 

Twitterキャンペーン「#BringBackOurGirls」のハッシュタグが全米のソーシャル・メディアを賑わせています。アメリカ市民のみならず、ミッシェル・オバマ大統領夫人や、数々のセレブたちが、「#BringBackOurGirls」と手書きで書かれた紙を持って撮影した(下のような)写真をTwitterに投稿し、この米国政府に積極的な介入をするよう要求するキャンペーンを支持しています。

しかし、このようなソーシャルメディア社会現象を、ナイジェリア系アメリカ人ジュモク・バログンさんは大変批判的にみています。彼女の「アメリカ人の皆さんへ...(Dear Americans…)」と始まる手紙が、Huffington PostやThe Guardianをはじめとするメディアでも公開され、大きな議論を呼びました。

*Jumoke Balogu: FRKのフェミニスト、労働運動家。Compareafrica.comの共同創設者。現在、ワシントンのD.C.の公民権団体で働いている。

#BringBackOurGirls2

■ ジュモクさんの手紙の部分引用

「アメリカの力、特に軍事力をあてにして、この(少女誘拐)問題に対処すべきだと主張するのは、結果的にナイジェリアの人々を傷つけることになります。 あなた方が欧米の大国、特にアメリカ政府に圧力をかけて、アフリカへの介入を要求し、軍事介入を支持すれば、はるかに大きな問題の片棒を担ぐことになるのです。それはアフリカ大陸での軍事拡張を狙う勢力に参加をすることになり、(それはアフリカにとって)決して好ましいことではありません。

あなたは知らないかもしれませんが、米軍はあなたのハッシュタグが大好きです。なぜならハッシュタグに集まる世論が、軍事駐留を拡大してアフリカを侵食する行為に正当性を与えてくれるからです。アフリカ全土における米軍の作戦を統括するAFRICOM (アフリカ・アメリカ軍)は、 #KONY2012というハッシュタグによってすでに多くの正当性を得ていますが、今回の#BringBackOurGirlsは、さらに大きな正当性を与えるでしょう。

いまやアメリカはナイジェリア軍を支援する名目で軍事顧問やセキュリティ関連の要員を送り込み、アフリカでの勢力を拡大しています。ちなみにナイジェリア軍は自国の人々に大量虐殺を行った過去があります。 また、前回アフリカに軍事顧問たちを送ったことは、あまりいい結果をもたらしませんでした。

「#KONY2012」キャンペーンを覚えていますか?オバマ大統領は、中央アフリカのゲリラ組織「神の抵抗軍」のリーダー、ジョゼフ・コニーを捕獲または殺害するために100人の戦闘員を送り込みましたが、コニーはまだ発見されていません。この軍は探索を一時中止していたにも係らず、オバマ大統領は2014年の3月、追加の兵士を送り、米軍はいまやウガンダ、中央アフリカ共和国、南スーダン、コンゴ民主共和国に展開しているのです。

その結果として、「危機へ対応してほしい」というあなたのアメリカへの呼びかけは、ナイジェリアの民主的な政治手続きを弱体化させ、無能な汚職まみれのジョナサン政権に反対する勢力運動の広がりを助長することにつながります。行方不明の少女たちの窮地に対応するように、無能な大統領に挑戦しなくていけないのは、そんな彼を大統領に選んだナイジェリアの人々です。誘拐された女の子たちのために捌きを求め、ナイジェリア政府の責任を問うのは、彼らナイジェリア人の役目です。米国に行動を促すあなた方の呼びかけは、米国の軍事力の維持と拡大を助けることにはなりますが、あたなが本来助けたいはずの人々にとっては害になるばかりです。

もし何かをしたい、助けたい、と思うのであれば、まずナイジェリアの内部情勢を知る事です。政府に挑戦し、身柄の拘束、命を危険にさらしているジャーナリストや、アクティビストのすばらしい活動についてもっと学んでください。どうしてもツイートしたい場合は、彼らへのサポートをやってください。でもアメリカ政府に行動するよう呼びかけることはしないでください。彼らはアメリカの軍国主義を拡大しようとするだけなのですから。ナイジェリア人が始めた内紛につけこもうとするアメリカ政府と米軍に同調するのだけは、どうかやめてください。」(via Compare Africa)

AFRICOMは、2013年だけで合計546回の 「軍事活動」を実施し、その活動目的は明らかにされていないが、すでにニジェール、ウガンダ、ガーナ、マラウィ、ブルンジ、モーリタニア、南アフリカ共和国、チャド、トーゴ、カメルーン、サントメ·プリンシペ、シエラレオネ、ギニア、レソト、エチオピア、タンザニア、南スーダンに米軍は拡大しているとモジュクさんは言います。

参考記事:

 

 

マーティン・チエ
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