「いつだって、石油のためさ」CIAとMI6が70年前に仕掛けたクーデターがイランの民主政治を破壊した

2023/8/23(Wed)
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8月19日は、イランで1953年に民主選挙で選ばれたモハンマド・モサデグ首相がクーデターで失脚してから70年目にあたります。クーデターの背後にいたのは米国と英国です。モサデグ首相はその2年前に、アングロ・イラニアン石油(現在のブリティッシュ・ペトロリアム)に支配されていたイランの石油産業を国有化していました。「もしイランで石油国有化が成功していれば、米国が石油利権をもつ他の国々に対して恐るべき手本を示すことになったでしょう」と、イランの歴史家エルバンド・アブラハミアンは説明します。アブラハミアンの著作には、Oil Crisis in Iran: From Nationalism to Coup d’Etat (『イランの石油危機 ~ナショナリズムからクーデターまで』)、 The Coup: 1953, the CIA, Roots of Modern U.S.-Iranian (『クーデター 1953年、CIA、現代の米国・イラン関係のルーツ』)があります。
    CIAは、モサデグ政権を転覆させたことを昔から認めていますが、「英国は自分たちが主導的な役割を果たしたことを認めていません」と、映画作家のタギ・アムラニ(Taghi Amirani)は指摘します。アムラニが監督したドキュメンタリー映画 Coup 53(『クーデター53』)は、英国の諜報機関MI6の諜報員が果たした役割を暴いています。「大英帝国が持っていたイランの石油への利権を手放すまいとして、米国にも分け前をやるからと約束して仲間に引き込んだのです」とアミラニは言います。70年経った今も、「私たちはこの悲惨な出来事の影響を引きずっているのです」

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