フィリピンの気候変動交渉の元代表イェブ・サノは、気候変動のための「人々の巡礼」(People’s Pilgrimage)の一貫として、ローマからパリまで900マイル(約1448キロ)以上を歩きました。彼は、史上最大級の温帯性低気圧、台風ハイヤンがフィリピンを直撃し数千人の死者を出した2013年に、同国の代表として気候変動会議に出席しました。この自然災害は、ポーランドのワルシャワで行われた2013年の国連気候変動会議と同時期に発生し、サノは気候変動への取り組みを涙ながらに訴えて大きく報道されました。翌2014年も再びフィリピンは別の破壊的な嵐に襲われ、サノはペルーのリマで開催された国連気候変動会議を突然欠席しました。彼は直前になって代表団から外されたため、米国のような富裕国から圧力がかかる中で、彼の率直に発言する態度が疎まれたのではないかと憶測を呼びました。2015年の会議には、サノは国の交渉担当官としてではなく、世界中の数千人の人々と共に気候対策を訴えて断食する活動家として戻ってきました。