新著The Empire of Necessity: Slavery, Freedom and Deception in the New World(『必然の帝国:新世界の奴隷制度、自由、そして欺瞞』)のなかで、高い評価を受ける歴史家グレッグ・グランディンは、国境を越えた奴隷貿易が、現代社会にも影響するような大きな経済、社会、政治的変化を起こすことで以下に世界を変えたかを検証しています。グランディンは、1805年に実際に「トライアル」(Tryal)という船の上で起こった奴隷蜂起の物語について話してくれます。この蜂起では、西アフリカ出身の男女が船を占拠しました。この奴隷蜂起に着想を得たハーマン・メルビルは短編「ベニト・セレノ」を書きましたが、これはフランクリン・デラーノ・ルーズベルト大統領の遠縁にあたる、デラーノ船長の回想記を基にしています。グランディンは今回、劇的なこの事件を使い、奴隷制は、貿易から保険、テクノロジー、宗教から医学に至るまで、4世紀続く世界的発展の「はずみ車」だったと説明します。ニューヨーク大学のラテンアメリカ史の教授であるグランディンの著書には、ピュリッツァー賞歴史部門の最終候補ともなったFordlandia(『フォードランディア』)があります。