苦境に立たされているブラジル大統領のジルマ・ルセフは29日、自らの弾劾裁判で証言する予定です。多くの人々はこの裁判を、ルセフの右派政敵によるクーデターだと批判しています。ルセフもこの裁判を批判し、国を一つにするために選挙を早く行うよう呼びかけています。弾劾は、ルセフが財政赤字を隠すために政府の会計を不正に操作したという非難が元となっています。今年初めに職務停止を受けたルセフは一貫して無罪の立場を守り、裁判手続きを進めているのは彼女の政敵であり、その目的は自分たちに対する訴追をかわし、ここ数年の進歩的な政策を無にするためだと主張しています。ブラジルの情報公開推進団体「トランスペアレンシー・ブラジル」(TransparencyBrazil)によると、ブラジルの議員の60パーセントは現在、刑事捜査の下にあるか、汚職から不正選挙に至るさまざまな罪状ですでに有罪判決を受けています。反対派が予算法違反でルセフを有罪とするには、上院81議席の3分の2にあたる54票が必要となります。弾劾が認められれば、13年続いた左派労働党政権に終止符が打たれ、ルセフの残りの任期の2年間はミシェル・テメルが暫定大統領を務めることとなります。テメルはきわめて人気が低く、国営石油会社ペトロブラスとつながりのある不正な選挙資金を受け取ったとして自身も捜査対象となっています。